2016年10月10日

ウェーバー・ソレックス・OERキャブの調整

 

スポーツキャブの調整は旧車スポーツカーのだいご味であるとともに、うまく調整できない場合は悩みの種でもあります。最初はだれでもしり込みしますし、壊れたらどうしようと考えます。ましてや最近のキャブの値段の高騰ぶりではますます近寄りがたい存在になりつつあります。

 

このスポーツキャブの調整について日常的に普通のオーナーがやることを前提でのまとめをしてみたいと思います。かなり当たり前の初歩的なところも感じるかもしれませんが悪しからず。

 

キャブ調整はショップさんやメカに任せているという方もいるでしょうが、それで割り切っているならそれでいいかもしれませんが、やはりなるべくオーナーがやる方が楽しいと思います。なぜなら一口に調整といっても或る決まった値があるわけではなく、高回転で走る人、低回転でのトルクがほしい人、トップスピードが欲しい場合とコーナーでの立ち上がりを重視する場合など運転する人の個性や、場所や道路の状況があり、もちろんよく言われる夏と冬など環境による違いもありますのでそれぞれの場面で使いわける方がより楽しめるはずです。一番身近な例は燃費だと思いますが、ツーリングで燃費重視で行きたい場合にサーキットでタイムアタックするのと同じセッティングでは大きな開きが出て直接サイフに影響してきますね。私のzはL型2000ccでウェ-バー40 3連で高速主体のツーリングで薄めのジェッティング調整で8~10km/L走ります。6KM/Lで当たりまえとあきらめないでください。もちろんショップやメカがその都度しっかりと調整してくれるという人は幸せな人たちです。

 

 キャブ調整といってもここではキャブバランサーなどの特別な機械などない場合でも或る程度の調整してかぶったり息つきしたりエンストしたりせずに普通に走れる状態を作ることを先ずは目指します。

 

 

 

 

点火系のチェックから先ず始めよう

キャブの調整なのになんで点火系のチェックから始めるかというとさんざんキャブをいじくりまわして治らずあきらめかけたら、実は点火系がだめだったということがあるからです。点火系はエンジンが回っていればOKと考えがちですが古ーくなったトランジスター点火の場合高回転で点火が間引かれる、時々失火するなどの症状があるからです。これは高回転がぐずつくなどの症状に似ています。

具体的には

・トランジスタイグナイターをスペアや友人のと交換してみる。またはポイントがあれば戻してみる。これは配線さえ画像やメモで記録しておけば点火時期が変わるなんて心配はなく元に戻せますが、ただ配線間違えるとイグナイターがお釈迦になるのでご注意ですので自信がない方はどなたかに助けてもらった方が良いかも。

・点火コイルをやはり交換してみる。

・点火ケーブルを交換してみる。

・点火プラグを交換してみる。番手はオーソドックスな6番または5番にする。

・配線のレジスターなどの抵抗を測定チェックしてみる。

・最後に点火時期や点火進角のチェック。これにはタイミングライトなどの機械が必要ですからショップやGSで借りましょう。車検をお願いしている工場なら一度ぐらいは点火タイミング見てくれます。

など。これらの電気系のチェックは最近新しく交換調整されているものならそれほど心配しなくてもよいかもしれません。

以上の例で交換して大きく調子が変わる場合はそのパーツの故障が考えられます。

私はこのような調整時には電気系はできるだけ余分なものがついていない単純な状態にして取り掛かるようにしていて、調整が終わってからまただんだん電気系の強化をしてゆけば良いと思います。

また一度チェックして問題なければ電気系はプラグ以外はそうそう頻繁に壊れたり変化するものではありませんから当分は触らなくてよいですね。

 

 

 

燃料供給系のチェック

これも同じく見落としがちなところですがまずは燃料フィルターを見て錆などのつまりがないかチェックします。次に燃料の吐出量をチェック。ちょろちょろしか出ない場合は燃料ポンプの故障や、ポンプ内にもフィルターが有る場合がありこれが詰まっている場合もあります。正式に測る場合はキャブ前でホース外して容器に一定時間で吐出する燃料量を見ます。機械式燃料ポンプは消耗品と考えた方が良いです。これらの不具合は加速不良、高回転が伸びないなどの症状になります。また、これらから錆を取り除いてもしばらくするとフィルターに錆が見られる場合は燃料タンク内がさびていることが考えられます。EGIなどに使われる電磁式フェールポンプは丈夫で吐出量も大きくよろしいですが、これも高圧用のレギュレーターを使えばキャブにももちろん問題なく使えますというか私はこちらの方が望ましいと思いますし、流用しようと思えば量産車用のがいくらでも使えるので安く済むと思います。

どちらの場合も燃圧レギュレーターを入れた方が良いでしょう。機械式ポンプの圧力は0.4~0.5kgくらいある場合がありオーバーフローを助長しがちです。燃圧メーターは配管の間に仮に割り込ませ、レギュレーターの調整ねじで燃圧セットしたら取り外してしまいます。好みにもよりますが計器は作動しっぱなしだと次第に精度が落ちると思いますのでチェック時だけ付けるようにしています。設定は0.25~0.3kgくらいでしょう。念のためこの圧力を高めにしたからと言って決してガソリン供給量が増すわけではないので規定値でOKです。

  量については配管の太さで経路全体の中でどこか一か所でも細いところがあると量がそこで規制されてしまうと思いますのでチェックです。純正などの燃料パイプには出口側に燃圧をコントロールするオリフィス(=パイプを細い穴にしたところ)が設けられていたりします。

 

 

 

だんだんとキャブに近ついていきますが、燃料系ではやはり燃料の油面高さが影響しますので測定調整します。メイン系取り付け部のキャブ上面から油面までの高さをチェックしますが、ソレックスは21mm、ウェーバーは29mmですね。

ガラス管式の場合は画像の位置(ソレックス)に差し込みます。

これも一度設定してあればそんなに変わるものではないので毎回やる必要はないですね。新たに入手した場合は必ずやった方がいいです。

ガラス管式の場合は差し込んだ後上部の通気孔を指でふさいだまま抜き出してくると油面が写し取られてくるのでその目盛りを読みます。燃料が表面張力で変化するので結構難しいですが何回かやって平均を見て確認します。正式にはこれをエンジンをかけてポンプが動いている状態でやることとなっています私はそこまでシビアにやらない場合もあります。

高等テクニック?でこのようにノギスで直接油面を見ながら測る方法もあります。

 

調整はソレックスの場合は画像のノギスの左側に見えるマイナスねじをナットでロックしている部分が調整ストッパーになっていますのでこれをいったんナット緩めてマイナスねじを回して調整です。ちなみにマイナス締め込みで油面は下がりますね。

 

ウェーバーの場合はアッパーカバー全体を外して裏返してフロート根元のストッパーのベロを曲げて調整です。このときカバーのパッキンが破れる場合がありますからリペアパッキンを準備してからの方がいいです。このときフロートのヒンジが変形してフロートがキャブ本体の壁をこすったりしていないかチェックすれば完璧です。時々そんなのがあります。ソレックスでもこれはチェックした方が無難かもしれません。この状態だと時々フロートがひっかかり激しいオーバーフロー(ガソリンがキャブ入り口から垂れてくる)が発生して危険です。キャブをコンコンと叩いたりコーナリングでフロートが動くと治ったりします。

 

 

 

原点を探そう

いよいよキャブのセットにかかりますが、その第一歩は原点を探すということだと思います。道に迷った場合と同じで今現在自分がどこにいるかわからなければ進めなくなり、がむしゃらに進んだら反対方向に来てしまったり、同じところをぐるっと回って元のところに戻ってきてしまったりします。

原点を探すには先ずは現在値、キャブの場合は調整に関係する各ジェットの番手を把握するところから始めます。この際、キャブのサイズやスリーブの径から考え始めると前に進めなくなるのでまずはジェットから。

 

ジェットにはいくつか種類があることはご存知と思いますし、いろんな資料で説明されていますので今更かもしれませんがここではまとめの意味で敢えてジェットの種類の確認から記述します。

 

上部の丸い蓋の中に主要なジェットがありますので、蓋の蝶ボルトを手で回して外しますが、内部にリング状のパッキンがありますから紛失注意です。

代表としてウェーバーキャブの場合

調整で触る可能性のある代表的なジェットやスクリューを示します。

 

補足で④アイドルジェットのカバー通常は画像のような中央の穴はありません。これは私がスペシャルドライバーを使うために改造でこのようにしています。通常はただのマイナス溝です。また、各ジェットなどは左右対称一対となっていますが⑦アイドルアジャストは片側一個です。

これからこれらのジェットを調整含めて何回も分解組み立てしていくわけですが、その時の工具についてやってみるとわかるのですが、どのジェットもマイナスドライバーで外せそうですが意外と溝幅が合わなかったり、溝からずれたりしてうまく回せません。これを6気筒分やるわけですからその間にキャブを壊したりとか、ジェットを紛失というこになりかねません。

 できればわたしの考案した画像のような専用工具でやった方がうまくいくと思います。詳細は こちら ウェバー・ソレックス・OERそれぞれのセットがございます。

①エマルジョンチューブを外してみますとこのようになっています。エマルジョンチューブはウェーバーの場合何種類もあるのでこの時点では記号をチェックッするにとどめ現状を肯定しておきます。一番下についているのが燃料量を調整するメインジェット。

エアージェットはジェットホルダー(一番上のパーツ)で蓋をされているので見えていません。エアージェットを分解するにはこのジェットホルダーを外す必要があるのですが、ウェーバーはこれが圧入になっていて手で引っ張っただけでは取れない場合が多いです。それでペンチで引っ張ったりするのですが傷がついてしまい易く、また抜けた拍子の勢いでジェットがどこかに飛んで行ったりすることがあります。

その時にこのエマルジョンチューブホルダーリムーバーが役に立ちます。前述のセットに入っています。詳細はこちらで見てください。

このように分解しましたが、ウェーバーの場合まだ難関が待っています。左側が②メインジェット、右側が③エアージェットですがどちらも圧入になっていて手指では取れないのです。それで私も長年考えた末にこれを外す特殊工具を考えだして作ったのです。

(特許まで申請しました。圧入したパーツの取り外し方法全般について)

これがその工具でエアージェットをつかんで引き抜いたところです。工具詳細はこちら

 

メインジェットも同様の工具がございます。

これでジェット番手チェックや交換ができる状態になります。今回はメイン #155です。

 

これからこの番手を必ず記録してゆくようにします。そのときは頭で覚えていてもすぐにわからなくなります。

そしてエアージェットは#200ですね。

 

ちなみにこの番号はジェット穴径を0.01mm単位で示したもので#200の穴径は2.00mmということになります。

そしてこれが④アイドルジェットですが右側のねじ付きパーツはホルダーで調整交換はしませんで、左側の細い部分がアイドルジェットで交換調整する部分です。番号はF8 60で#60ということですね。F8にも意味がありますが今の時点では記録だけでとどめます。

⑤ポンプジェットはこの位置で指でつまんだカバーを外すとジェットの頭が出てきます。

頭をペンチやピンセットでつまんで引き上げるとこのように取り外せますが、下側にアルミの小さなワッシャーがあるので落とさないように注意。時には中に残っている場合もあります。中間の太い部分に番手が刻印されています。取り付けの時は太くなっているところの切り欠き平面がある側をエンジン側に向けないと組めません。ノズルの先端のそちら側にポンプが働いたときに噴き出すノズル穴があり、それをエンジンマニフォールド側にするためです。

 

ソレックスの場合はこのようになります。呼称や形は違いますが機能はほとんど同じですので番号で相互して覚えていけばよいかと思います。

*見やすいようにホース類などいろんなパーツを外していますので実際の景色は違います。

*①ジェットブロックには右側のビジェットタイプと左側のモノジェットタイプ(ジェットが出っ張ってい  

 る)の2種類あります。通常はどちらか同じタイプが2個付いていますが今は説明のためちぐはぐになって 

 います。

ソレックスもそれぞれのジェット類がウェーバーとは異なりますので、やはり専用の工具セットを開発しています。OER用も同様にあります。

工具詳細はこちら。

販売しております。

 

確認したジェットの番手類は上記のような表にして記録します。今後ジェットを交換した都度必ず記入しますが、私はエクセルソフトで作っていますのでいくらでも行を増やせますが、紙でプリントアウトして記入でももちろんOKです。この表についてはキャブ工具をお買い上げくださった方でご希望の方にはサービスでお付けします。

*アジャスト戻しは⑥アイドルミクスチャーの戻し値です。

さて、現状のジェットの番手は記録できたでしょうか?これまでにもいろんなショップやご自分で選定して走行性能や状態は別にして走れる程度の選定ができているはずですので、まずはこれを記録することは重要です。そしてそのキャブが初めて取り付けた場合や自分で初めて見る場合は全部のキャブ気筒それぞれすべての番手を確認することをやった方がいいです。全部同じだという固定概念でいるとそうでもない場合が結構あるもんです。全気筒のうち一か所だけ5番手ずれてるとかが時々あるんですね。そんなことで頭をひねるのもつまらないのでまずは全て確認します。一回確認すればそれ以降は大丈夫ですね。

 

そしてここから原点を探す作業にかかりますが、その前にすこしリンケージ周りの簡単なチェックをします。

エンジンを止めた状態で上記画像参照で

 a)アクセルリンケージを軽く左右に回してみてほんのわずかに遊びがあるか確認します。あまりにもアクセルレスポンスを追求するあまりここの遊びがなくしてしまっている場合があります。それだと常にアクセルを少し開けた状態になってしまい、キャブの調整に影響してしまいます。遊びが無い場合は丸いぐりぐりがついているロッドの中間に調整ねじがありますから調整します。

次に手持ち鏡などを利用してファンネル内のb)バタフライが6か所ともほとんど閉じているか確認します。1mmも空いていたらちょっと変ですが大部分はちゃんと閉じていると思いますので確認だけです。暗くて見えない時はライトをファンネル内に当てるとはっきりします。私は工業用内視カメラでチェックしています。

次にアクセルリンケージを手で目いっぱい開ける方向に回して同じくバタフライがほとんど水平になるか確認します。このとき注意深く見ているとリンケージを回した瞬間にバタフライの奥にポンプジェットが作動したときの燃料の霧が見えます。

最後にt)ターンバックルをそれぞれ指で軽くゆすってみてガタ=遊びが大きすぎないか確認します。

 

以上やってみて極端な異常がある場合はリンケージの再調整をしなければなりませんが、ここでは説明しきれないんでベテランか専門家に見てもらった方が良いです。少しの違和感ならこの後の調整で治ります。

また、ここではキャブの同調などというようなシビアなセッティングはまだ後でするのであくまで簡単なポカヨケチェックをするだけです。

 

 

 

 

 

 

だんだんと記述してゆきます。続く

 

ウェーバーキャブ分解弱点克服に戻る