R192,Z432,ハコスカGTR,日産旧車デフ

R192 デフ その5

2021年1月20日

R192デフ R12

ハコスカGTR用デフR192のオーバーホールです。

このデフは今までも述べてきたように日産旧車の中でも古い世代に採用されたデフですが、それだけに贅沢な設計のデフで、例えばサイドフランジに独立したベアリングを内蔵しているとか、高級です。

 ただ、ピニオンギヤを固定している大きなナットはダブルナットで固定されており、しかもその位置がデフの首の内部です。したがって特殊工具が無いと

扱えないし、しかもその締め付けトルクがとんでもなく強くしっかり気合を入れていかないと分解することすらできないのではないかと思います。

ピニオンを分解しました。

この中で小さいほうのピニオンセンターテーパーベアリングは製廃で手に入りません。私は特別に頼んである程度の数を製作して在庫しています。また欲しい方には販売もしておりますので、必要な方はどうぞ。こちら 

 

ピニオンシャフトのナット固定位置がシャフトのねじ切の位置でお分かりいただけると思います。

 

 

 

 

 

 

 

デフ恒例の摩耗状態チェック

こちらはピニオンリヤベアリング 大きい方です。

 

程度は悪くはないですがやはりあちらこちらに小さな穴が出来ており使い過ぎによる疲労が見えています。


 

こちらは製廃のピニオンセンターベアリング

こちらの方が摩耗が酷いように見えます。


 

この後ベアリングを交換してピニオンを復元してゆきますが、この時にベアリングのプリロード=締め合わせを基準値どうり(私はなるべく上限を狙います)にセットすることが重要で、それはシム調整でやるのですが、まずシムが無いとできませんということとプリロードの測定器が必要で、シムが有っても一発で決まることは有りませんし、ましてやベアリング総とっかえではさらに難しくなります。

今回も7回目でやっと満足できる値になりました。

ピニオンプリロード 21.54KG/CM  これは締めこみナットを設定上限の1500KG/CMで締めこんでの値です。締めこみナットを緩い状態で締めてプリロードをごまかす人はいないと思いますが、それをやると実走行ですぐにナットが緩んでしまいます。

 この後、又特殊工具を使ってダブルナットで固定するのですが、この時にトルク管理したメインナットが動かないようにしておいて子ナットでロックするのもスキルが必要です。

 

リングギヤ側の組み立てに入りますが、今回はこのOS技研のスパーロックを使います。これはオーナー様がOSに特注したものでまだ数例しか製作例がないもののようです。

OSの証

OSスーパーロックのカム角にはいつも驚かされます。

リングギヤを取り付けました。

R192の純正のボルトロックプレートを流用して、ネジロックケミカルも併用してボルトを規定トルク(今回900KG/CM)で締めこみます。

スパーロックの場合イニシャルトルクと言っていいのかどうかわかりませんが一応測定で16KG/Mと出ました。

リングギヤの組み付け。

この時に重要なのはサイドベアリングのプリロードがちゃんとかかっているかどうかとバックラッシュが規定値内かどうかということです。

 

サイドベアリングのプリロードがちゃんとしていないとどうなるかということは例として挙げればフロントタイヤのハブベアリングを思い浮かべればわかりやすいと思います。

 

サイドベアリングのプリロードはどうやって測るかというと、サイドフランジを締めこんだ時にピニオンプリロードがどれくらい増すかということ、詰まり今回のピニオンのみのプリロード21.53KG/CMがどれくらい増加するかを測定してその差がサイドベアリングのプリとなります。今回はLSDの玉自体を新品のしかも社外品を使うので、今までのシム調整を少し調整ぐらいでは全くダメでした。ああ、そうなんです、ここでもシムが必要でしかもそのシムはサイドフランジと同じ形の複雑な形状で、これも製廃です。私は自分で復刻して作っていますから調整に必要な板厚のシムを選ぶことができます。必要な方はこれもこちらから購入が可能です。

 ここの調整に今回は16回やり直してやっと満足のできる値になりました。値は24.8KG/CMで、差し引きサイドベアリングプリは3.3KG/CMです。

この時に毎回バックラッシュを測るのですが、サイドベアリングプリが無い状態=ガタガタの状態でバックラッシュを測ってもバラ付いて意味がなさないし、プリ過大の場合はバックラッシュが気持ちよく出ないので測定できません。気を付けなくてはいけないことは左側のシムを薄くしすぎてリングギヤをピニオンへ押し付けてしまうことを避けるということです。

歯当たり調整

ここまで来てこの歯当たりがだめだとまた全部分解してピニオンギヤの根元にあるシムを調整が必要で、ということは今までと同じ作業を初めからやり直し、スゴロクでいえば振出しに戻るを引いたことになります。大抵は数度のやり直しが必要です。

 

 調整してここまで来ました。正転側ど真ん中です。

逆転側、同じくど真ん中のベタ当たり

各調整作業が確定したので、この時点で初めてオイルシールを付けたり付帯部品を取り付けることをします。

デフカバーはオーナー様が持参してくれたフィン付きデフカバーとなります。

完成です。

回転試験機でしばらく回してチェックしています。