安心して乗れる大人の240ZGへの変身ー駆動系編 S30Z R180 デフ オーバーホ-ル

・エンジンルーム編 こちら

・駆動系編 こちら 現在のページ

・足回り編 こちら

・室内編 こちら

・ボディー外回り編 

2019年8月14日

安心して乗れる大人の240ZG-駆動系編

 

 デフの外観が非常にきれいなのに妙にオイル漏れがあるということで、オーナーの指令で急遽おろして確認することに。

 

ドライブシャフトをはずしましたがオイルでギトギトになっています。私の推測では10万Kmは走っていると思います。

フロントメンバーを外してデフマウントが見えてきました。

 

プロペラシャフトも外すのですがこれにはまだ部品番号ラベルが残っていてかなり新しい感じです。

 

と思ったのですがスパイダーを確認してみるとスプライン側は軽く動きすぎでもうグリース切れと思われますし、フランジ側はもっとひどく動きが渋くなっているところが有ります。とりあえずは使えると思います。とてもここ2~3年使用したというレベルでは無いですが、そうすると日産ラベルは・・・。

結局この状態になりました。マフラーはもちろん外しています。デフメンバーも比較的新しそうです。

 

デフそのものの外観はよくある防錆パスタの厚塗りや真っ黒に固まったオイルのべたつきが無くまるでブラストかけたようにきれいで、デフカバーやサイドフランジのアルミ部分もサンドブラストをかけたばかりのようにきれいな地肌が出ている。このようにきれいなデフはなかなか無い。

デフマウントインシュレーターも相当古そうですがまだゴムが切れるところまでは行っていないので良しとしましょう。

分解に入りましたが、さてこれが何かというとデフのドレンプラグです。いったい何の物質が付着しているのか見当がつきません。

恐る恐るウェスで拭いていくとヘドロのようなものがこびりついていることが分かります。

この状態でオーバーオールプリロードを測定しますが

ほとんど測定不可能なくらい低い値ですが無理やり測って3.7KG/CM 規格は10~15KG/CM

ですのでものすごく低すぎます=ガタガタです。

 

デフカバーをはずしますがそもそもここにあるべきパッキンが省略されていてベンガラ色の液体ガスケットのみで組まれています。

加速側は当たりは刃先に当たりが寄り気味です。

エンブレ側は当たりは完全に刃先に当たりが寄りすぎています。

オーバーオールプリロード3.7KG(規格10~15KG)

リングギヤのバックラッシュ

0.18~0.28(規格0.13~0.18)

 

ピニオンプリ 1.5KG(規格5~10KG)

スプラインプリロード2KG(3~5KG)

 

となっており全体的にはガタガタの状態、特にピニオンプリロード1.5は低すぎる。ずっとベアリング交換しないで来ているものと思われる。

サイドベアリングアウターレース

明らかに摩耗が見て取れる。

ただ段付きなどが出来ていないのでまだ異音などの現象にはつながらないかもしれないが時間の問題であろう。

オイル漏れのもとと予想していた部分は明確な異物の噛みこみなどは見られなかったがオーリングが三角に変形してよれよれ状態でした。長らく交換していなったのでしょう。

リングギヤを分解して組み付けし直します。

 

それにしてもこのデフは外観は非常にきれいなんですが中身は全く手つかずというのはどのようにやるのでしょうか?逆の意味ですごいテクニックだ。

がたがただったピニオン系を分解した。

一番重要なピニオンリヤベアリング

アウターレース面は何やらほくろのようなものがいっぱいあります。

顕微鏡的に拡大するとこのようになっており、無数の黒い点は穴のようにえぐれていることが分かりますが、間違いなく使いすぎたベアリングに現れるクレーター状摩耗で、合金鋼が分子レベルで崩壊して脱落していっている結果です。

ピニオン側の全部品

組み立てに入って一度すべて組み上げましたが、

ピニオンプリロード過大=測定不可能

ギヤ歯当たりがヒール側に寄ってきている

サイドベアリングプリロード不足

バックラッシュ過大

となり、ピニオンベアリング、サイドフランジベアリングが新しくなったことの変化が生じていますので、それぞれ調整用のシムを変更しなければなりませんがそれらを変えるとそれぞれが影響しあってまた変化するので一筋縄では決まりません。今のところシムを発注して部品待ちです。

今回はシムの準備で一日棒に振ったので、少し急がねばなりません。

先ずはピニオンのプリロードシム調整ですが、ピニオンベアリングを2個ともに変えるとプリロードは大幅に過多となります。ベアリング新品なので日産で作った時に戻したことになるのですがなぜか大きく変化が出来ています。考えられることとしてはケース側が長年の使用でベアリング受け面が変形してきているのかもしれません。以前は全く見当がつかなかったのですが何回もやるうちにだいたいどれくらいシムアップすればいいかおおよそ分かるようになってきましたが、それでも一発では決まらず、今回も3回やり直し!

 このピニオンプリが確定しないと次のサイドベアリングの締め合わせで、見当違いのことをやることにな   

                            ります。

プリロード測定

私は自分でジグ作って測っています。

今回は13kg/cmで確定しました。(規格は10k~15k)

この後、デフ球とサイドフランジをセットしてオーバーオールプリロードを測りますが、ここからピニオンプリを引いた値がサイドフランジベアリングのプリロード値となり、これを確認しないままではサイドベアリングに隙間がある状態であり、これでいくらバックラッシュや歯当たり測定しても全く意味はありませんことになります。

とにかく間違いなくピニオンプリよりもオーバーオールプリが高くなったことを確認します。

今回のオーバーオールは15kg/cmでしたのでピニオンは3kg/cmのプリでわずかに押されている状態であることが分かります。この後バックラッシュ調整になりますがサイドフランジプリが少ない状態で測定するとバックラッシュ測定値が測るたびにばらつくという現象が出ますので、これではバックラッシュ調整できません。

バックラッシュ調整は左右のサイドフランジと共締めするシムで調整しますがプリロードが出た状態のシム厚のシム左右振り分けを調整することでバックラッシュ調整となり、全体のシム厚を変えることはできません。

今回

1回目 L側 0.50 R側 0.97 バックラッシュ 0.2 (規格0.1~0.2)

2回目    0.45    1.02         0.07

3回目    0.48    0.98         0.12~0.17

となりました。

がこれで終わりではありません。

この時のギヤの歯当たりを光明丹で見ます。

これは最終的に調整した結果ですがもしここで歯当たりがだめなら今までの作業を全部初めからやり直しとなります。

ピニオン単位までバラバラにしてピニオンの裏側にある歯当たり調整シムを調整します。

ピニオンベアリングを新品に交換するとほぼ間違いなくシムを薄い方向=ピニオンを遠ざける方向 に調整が必要となりますが、何回もやるうちにどれくらいが適当かわかるようになってきましたが、それでも今回もこの全替えを2回やりました。

 

画像歯当たりは正転(前進)側

 

こちらは逆転(バック)側

プリロード・バックラッシュ・歯当たり

全てがOK範囲になったところでいったんすべて分解してここから今度はシール類の取り付け・仕上げ工程に入り、完成したところで自前の回転試験機

イーザナライザー for デフ

に乗せて回転試験をします。

回転数はおおよそ2000rpm

試験後、最初に取り外すときに分解したこれらのパーツを逆の手順で組みもどして、最後にマフラー付けて完成となります。

 よくよく見るとデフメンバーの中央についているはずのマスダンパー(共振防止の錘)が無いようだ。


2019年8月22日

デフが完成して組み戻した翌日オーナー様が引き取りに来られました。最終チェックに入ります。

 

 これはキーレスエントリーでドアのカギ穴を傷めないこのシステムは旧車にとってこそより有効なものと考えて取り付けました。

室内関係も結局ダッシュ以外はほとんど全部取り外したことになりましたが、今はこのように復元しています。

ハンドル回り。

ホーンパッド中央のZマークはアンチモニー製のレアパーツ

これがあるともしもの時の安心感が大きく違います消火器、運転席の下に取り付け。CO2タイプなので白い泡だらけになる粉末式と比べて躊躇なく使用できます。

 

外観です。

何回かやり直した車体姿勢は、この状態で落ち着きました。

次の日オーナー様が引き取りに来られて、足回りからデフまでと、室内・電気配線もほとんどやり直した状態からいきなり兵庫のご自宅までの500kmあまりの実走行に入りますが、結果4時間と少しぐらいでほとんどノンストップで走り切ったとのことです。

 

 左は私のZで兵庫への帰還の途中まで伴奏をいたします。