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71BコンパチC Ωバージョンは71Bミッションの中身を71系最終バージョンの71Cに入れ替えて性能回復を図るバージョンです。Ωバージョンは純正でも存在しない4速まで強烈なシンクロのかかるダブルシンクロとするバージョンです。バージョンとしてΩ、α、β、γ各バージョン×クロス組バージョンが有ります。

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2022年8月3日

71BコンパチC Ω49 製作

Ωバージョンもとうとう49基目まで来ました。

このところαバージョン(α83まで来ています)よりΩバージョンのほうがオーダーが多い傾向となっています。このままいくとΩバージョンのほうが製作ナンバーが多くなるかもしれません。

αバージョンは完全に71C純正のギヤを71Bのケースに入れるバージョンですので2速3速がダブルシンクロとなります。(5速のギヤ比は選択可能)

Ωバージョンはこれに対して4速までダブルシンクロとするところがその差となります。4速のダブルシンクロは純正でも存在しない仕様となります。3速4速のシフトチェンジが主体となる現代の道路事情では4速のダブルシンクロはその価値が大きくあります。

 

さてダブルシンクロとは何かという事ですが画像の下側の金色のリングがシンクロリングですが、右側が71Cの大径シングルシンクロで、これでも71Bよりだいぶ大きいのでシンクロ作用面積が大きいです。

これに対して左側の3枚重なっているのがダブルシンクロでシンクロ作用をする金色のリングが2個あることでシンクロ作用を強烈に発生させています。真ん中のシルバーのリングはアダプター作用をします。

画像で分かる通り今回はメインシャフトを純正新品で作りこんでいきます。

フロント側を組んでいます。

下側にあるのがメインドライブシャフト(4速)で、71Cの純正ではすべてのバージョンで大径シングルシンクロとなっています。2速3速がダブルシンクロに対してなぜ4速をシングルにしたのかは想像するしかないのですが、経済的な理由しか思い浮かびません。確かにギヤ比的にみると2速3速4速5速の順に必要なシンクロ作用力は小さくなる傾向にあると思います。事実、5速はシンクロリングの大きさはすごく小さくしかもシングルとなっています。5速についていえば5速ミッションでは5速へのシフトダウンというのは無いですからシンクロはほとんどシフトアップ時の回転抑制する方向での作用がほとんどですので大きなシンクロ作用力は必要ないのでこれで良いと思います。

 4速については5速から4速へのシフトダウンはありえますので、かなり大きなシンクロ作用が必要なはずです(ギヤ比的には2速3速よりはシンクロ力は少なくても良いとは言えます)がそうしなかったのは、想像ですがその頃は5速をオーバートップと言っていたように通常走行は4速までで、高速に乗ったなどの特殊なときにだけ5速に入れるという想定だったのではないかと思います。そんな頻度の少ない場合のために高価なダブルシンクロにする必要はないと考えたのではと思います。(あくまでも想像です。) 現代の良好な道路事情ではほとんどが5速で走行していて、4速、3速へのシフトダウンで速度変化に対応するという状況となっていますので4速のシンクロ作用は重要になってきていると思います。そして5速で長時間 高速道路で120Km/Hで走るという状況も少し前までは考えられなかった状況ですが、その状況だとミッションオイル温度はどんどん上がってくるのでシンクロ作用はその温度上昇比率で低下してくると思います。こんな状況の変化がダブルシンクロにする意義のあるところだと思います。つまり、一般走行においても現代の道路事情では純正のマニュアルトランスミッションではもはや対応できない時代に入っているのです。

フロント側1速から4速(メインインプット)まで組みました。一番右のメインインプットは71Cでもギヤ数が22-31のハイギヤードタイプと21-32のローギヤードタイプがあります。スポーティーな仕様はハイギヤードタイプを使い、車重の重いセダンタイプはパワフルに走るローギヤードを選択します。単に71Cにするといってもこの2種類が有り、ここの差は大きいので、必ずオーナー様の走り方や車の仕様を検討して選択する必要があります。

 この減速比の差は計算上8%となります。

従いまして1速~5速の全ギヤ比が8%減速比が大きくなることになりますのでこの差は大きいです。ハイギヤードから見れば4速が1.00ギヤ比だったのが1.08ギヤ比になることになります。

これに対して例えばデフを4.1から3.9にすると約5%変化することになりますのでこの変化より大きな変化が起こることになります。

ギヤ部分が組付け完了です。

ギヤ精度

 1ST  2ND  3RD      5TH

エンドプレイ

0.25 0.13 0.20 ー-- 0.24

バックラッシュ

0.12 0.14 0.12 ー-- 0.05

 

きれいに揃っていて良い値だと思います。

71Cのシフトフォークを組みます。

71Bと比べるまでもなく巨大ですので、シフト剛性が上がっています。さらにアルミ合金製(スライド部にはスライドメタルが鋳込まれています)なので軽量化もできることになります。

バックー5速は 5速ギヤ比0.75

バックにもシンクロがつくバックシンクロタイプとなります。

フロントメンドラの部分

画像はカウンター側ですが71Cの後期からこの部分にシザースギヤ(画像でカウンターギヤと互い違いちぐはぐになっているような薄いギヤ)が付いた仕様に変更になってきました。この薄いギヤはカウンターギヤより歯数が1枚多いギヤとなっておりますがメインギヤときれいに噛みあうことができるようになっています。この働きはアイドリング時のチャタリング音(ガコガコ音)を消す働きをしており、この薄いギヤとカウンターギヤとの間の回転差が摩擦力となって働いてチャタリング音の原因であるバックラッシュを抑える働きをしています。

リヤエクステンションの分解

ここが分解が難しくオーバーホールしていない場合が多いのでオーリング類が摩耗してオイル漏れの原因となります。

ストライキングブロックの中にオイルシールが有りますので外します。71B後期ではなぜかここのシールがリップシールとなってしまいましたので、すぐに摩耗してしまいます。リップシールタイプのオイルシールはどう考えても軸の回転方向のオイルシールが目的で、これをこの部分のようにストライキングロッド軸の前後ストロークする部分に使ったらすぐにリップはロッドへへばりついて切れてしまうは明白なんですが、このように設計変更した(変更が承認された)理由がわかりません。(71B以前はすべてオーリングでした)

私はこの部分をある方法を使ってオーリングシールに変更していきます。

そしてこの部分も71Bの後期から追加された部品でオイルガターといいます。ここの働きはこの受け皿のような部分にギヤの遠心力で汲み上げたオイルを受けて横の穴からリヤエクステンションのオイル通路経由でプロペラシャフトを差し込む部分のプレーンベアリングに潤滑オイルを供給するための働きをします。

がこの部品のつくりは見てわかる通り鉄板で仮に作った部品のように見え、実際強度が無くほとんどの71Cで曲がったり、脱落してケースの中に落ちたりしています。私の予想ではこれは何かのクレームのその場しのぎの対策であったのではないかと思います。これがついていないミッションもたくさんありますが、プレーンベアリングがかじっているかというとそんなことは有りません。私は、つけるには付けますが画像のように取り付け部をろう付けで補強してから取り付けています。この部品、付いて無くても変わりませんがね。

完成です。

回転試験機で良好です。

今回はイーザ方式クイックシフトのご要望をされていますので、クイックシフトを作ります。

上側がハコスカのノーマルのシフトレバー

下側がクイック化したシフトレバーです。

丸いシフトレバー支点穴から左側の白いキャップのついた作用点(ストライキングロッドを押します)までの距離を長くするのが一般的なクイックシフトの原理です。

イーザ方式クイックシフトは71系の中の小判型のブッシュ仕様を流用している場合が多いのですが、今回は溶接で延長しています。

私は溶接は高価な溶接設備を持っていないのできれいには溶接できていませんが、接合がイモ継ぎ溶接(面と面で溶接)ではなく芯棒を出してインロー方式で繋いでいますので強度は問題ないと思います。

ストライキングブロックのウサギの耳に上下2か所にシフトレバーの支点穴を開けるのがイーザ方式クイックシフトの特徴です。これができるストライキングブロックはウサギの耳が長くないとダメだし、ストライキングブロックをリヤエクステから分解しないと加工ができないです。製作したクイックシフトをこの上の支点穴にセットすればクイックシフトとなります。今回は相当クイックです。

元に戻す場合は元々ついていた純正シフトレバーを下の元々の支点穴にセットすれば純正シフトストロークに戻ります。この組み換えは慣れた人ならミッションを乗せたままセンターコンソールを外して上側からの作業で簡単に変更ができると思います。