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2021年5月21日

S30Z電動アンテナの修理

S30Zに特徴的な装備としてこの電動アンテナが有るのではないでしょうか。現代車ではほとんどがフィルムアンテナに変わってきているのでこの物理的なアンテナ自体が珍しいものになりつつありますが、これが電動で動くとなるとさらに不思議なものとなります。信号待ちで止まった時に前に止まったS30Zのリヤからこの電動アンテナがグィーンと伸びて来たり、高速で並走していてこの電動アンテナが次第に伸びてきて、高速の風圧で少し後ろにそり気味になって走っている姿もかっこいいものです。

ところがこの電動アンテナも長い時間を経て消耗劣化して動かないものも増えています。今回の依頼品もかなり状態はひどいものです。アンテナを上下する白っぽいラインは2カ所で切断してしまっています。

ドラムの内部はグリースと錆が入り混じった何とも言えない物質で満たされています。

蓋の内側はこんな状態になってしまっており、ここに水が溜まっていたのではないかと思います。電動アンテナのロッド部分には稼働するためのわずかな隙間が有り、雨などが降った時はその隙間から回転ドラム内へ雨水がしみ込んできますが、回転ドラムの底面側にある水抜き穴がグリースで詰まったりすると回転ドラム内部に次第に水が溜まってゆくことになるのではないかと思います。回転ドラムの底面側にはこの水抜き用のビニールホースが有りますがこれを確実に社外へ取り出しておかないと今度は左リヤフェンダーに水が溜まるようになります。

四角い箱にモーターが入っていますが今回はモーターはちゃんと動き問題なく錆もなくきれいでした。しかしアンテナを上げ下げする白っぽいコードが2カ所で寸断しています。このコードは樹脂でできているのですがかなり特殊なもので私は今のところ代替品を見出し得ていません。今回の場合はこのコードを何とかつなぎなおすしかないのですがこちらのドラム側は画像のように銅パイプの固定具と割ピンを移植してつなぎなおしています。

問題はこちらのアンテナ側根本のコード切断なのですがこちらは難しいです。今までも何回かはこの復元をやったのですが、失敗する場合も多々あります。また、コード同士をつなぎこむのは不可能に近いのでどうしても捨てるところが出るのでアンテナコードがだんだん短くなってきますので、最悪アンテナがフルに上がるところまでいかない場合もあります。

何とかつなぎこみました。今回はかなり確実な方法を見出しましたのでよりしっかりと繋がったと思います。ただし白いコードは40年前のものをそのまま使うので他の部分から切れないかが心配ですが、こればっかりは使ってみてのことになると思います。ちょうど良い汎用コードが見つかると良いんですが、だんだんと心当たりを探してゆきます。

この部分、アンテナ上下時に無理な力がかかった時や、上下端に達していっぱいになった時にモーターの力を逃がすフェールセーフ機構となっていて、過大な力がかかるとカッチャ、カッチャ、カッチャと音がでて空回りするようになっています。ここの動きがしっかりしていないと大事なモーターそのものを焼き切ってしまいます。(ただし、私は過去にこのモーターの焼損も修理した経験は有りますので、その場合でも修理はできます)

 ドライバーはアンテナ動作時このカッチャ音を聞き逃さずにスイッチから手を放す必要があります。

また、純正スイッチは手でスイッチを押している時だけ電気が通じるようになっているスイッチで、通常は手を離せば自動的に通電が切れるようになっていますがこの動作が不確実な場合も電動アンテナが壊れる原因となります。

アンテナを伸ばした状態。

一応ほとんど全部めいっぱいまで伸びているようです。

アンテナを縮めた状態。

付属品も復元して完成です。このように外回りはかなりきれいなんだけど、今まで見たように電動アンテナの場合内部から腐りが進行してゆくようです。やはり定期的に点検しないとだめの様ですね。