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R180デフのオーバーホール その1   その2   その3   その4   その5

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2021年9月6日

R22 R180デフ 

 古くからのお仲間からのご依頼でP510用のR180デフを作ります。バリバリのレース仕様車となる様ですので、それに合わせた仕様選定で行きます。そもそもP510のデフはR160なんですがそれをR180にするところからすでにレース仕様です。

 ギヤ比は重要ですが今回はご相談の上、3.9で行くことにしましたので、ピニオンとリングギヤ選定して組み付けて行きます。

ピニオンプリは1900Kgで締めこんでプリロード17Kgとしています。

LSDのカム角はスポーツ走行では特に重要になります。今回はこの角度を使用します。

構成としては4ピニオンの片側6枚構成でスプリングプレートは2枚フリクションが4枚、しかもすべて溝無のプレーンです。

プレートの構成

LSDが完成です。

これでイニシャルは13Kgでした。もっと高くできますがカム角が良いのでこれくらいで十分効くと思いますし、あまり無茶強くしてもLSDケースが膨らんで良いことは少ないです。車庫入れでハンドル切っても直進するようでは困りますよね。

 

外観がN社とは感じが違うと思います。

リングギヤを取り付けて組み込みサイドテーパーベアリングのプリロード設定をします。サイドのシムを入れ替えながら測定してトータルプリ19kgサイドプリ2kgを得ました。

バックラッシュは0.11~0.14でした。

 

歯当たりについて正転側 良い当たりと思います。

逆転側は少しトー当たり気味ですが問題ないと思います。メンテナンスの場合はほとんどがこういう傾向になります。

リヤカバーも取り付けて完成です。

サイドフランジはスバル用強化フランジです。

コンパニオンフランジも強化があるので強化に変更します。

R180はR200と比べてだいぶ軽いです。

持ってみると痛感します。


2023年4月7日

R30 R180デフ

 

ひどい異音がするという事でこのR180デフが福岡から送られてきました。

フランジコンパニオンを回してみたのですが、普通のデフとは全く異なる回り方でやはりどこか故障しているようです。分解して調べてみます。

反対側からの画像

サイドフランジのカバーがやけにアルミの地肌できれいに光っているのが気になりますが、ほかの部分は外観的にはあまり良くは有りません。(サイドフランジはアルミ地肌ではなく銀色塗装でした)

リヤデフカバーも真っ黒に塗られています。このドレンボルトはどちらも2面幅が17mmとなっておりよくあるサイズではありませんので、特殊工具も使えませんでした。17mmスパナで緩めます。

デフカバーを外してみるとリングギヤの刻印で37:9とありますのでギヤ比としては4.111となります。

LSDのカム角を見るとニスモのように見えます。

正転がわの刃当たりを見るとほぼ良さそうな感じです。

リヤ側は完全にヒール側に寄っており、これは対策が必要なレベルです。

サイドカバーの固定ボルトが社外品のギザ付きに替えられているので、フランジカバー側がガリガリになっています。そんなに緩みやすいところでもないのでこのボルトを使ったのは不正解だと思います。

サイドベアリングのレースの摩耗具合は通常レベルで交換時期だと思います。

LSDとリングギヤです。

イニシャル測定です。

5Kg/m有るかないかというところで、ほとんど効いていない状態ですが、街乗りならこれでOKだったことでしょう。

リングギヤ分解

金属片が出てきたので何だろうと調べてみたらリングギヤのボルトナットの入り口がめくれ上がったようです。これくらいなら問題はないと思います。

LSDケース蓋のこういうところを見ると、組んだ時の扱いがかなり荒かったんではないかと思わせます。

LSD全バラです。

ピニオンは4ピニですのでニスモに間違いないのではないかと思います。

フリクションプレート類は既定どうり片側6枚構成のプレーンなプレートが使われていますが、全数がピッカピカに光っていますので相当摩耗していると思います。ここがあまり光ってくると最終的には焼き付きが発生してきます。できれば交換が望ましいところです。まだこのパーツは新品が手に入るのではと思います。

この中で最も問題なのはLSDケースのこの部分、LSDプレートの荷重を受ける部分ですが段付き変形しています。ここがこのように変形するとLSDの効きにばらつきが出ることになります。とりあえずならハンドワークで削って滑らかにするくらいしかできませんが、どれくらい寿命が持つかは不明です。完全にするにはLSDを交換することが望ましいでしょう。

ピニオンだけになった状態でフランジコンパニオンを回すとプリロードが全くない状態、手で前後にゆするとがたつきさえ感じられるほどガタガタでした。

恒例のピニオンベアリングのチェックです。

フロント側

やはりひっかいたようなクレーター状の摩耗が発生しています。このクレーターはどんどん進行して大きくなっていきます。

リヤ側

こちらはフロントよりはましですが、やはりクレーター摩耗ができてきています。

フロントコンパニオン

一応傷などは無いですが、オイルシールとの接触面が錆びて摩耗ができています。

このままでも使えないことは無いでしょうが、オイルシールのリップがどんどん削られてゆくので、オイル漏れの原因になりそうです。このパーツは今でも強化タイプというのが売られているのでそれと交換することも可能です。

 

 

これで現状調査は終わりです。このあとどこまで直すかをオーナー様とご相談の上、対策に入ってゆきます。

LSDのケース含むパーツ一式

リングギヤ径は115mmタイプ

リングギヤボルト径は10mm

いろいろ調べてゆくとLSDケースの損傷がひどいことがさらに分かってきました。

・LSDプレートが当たる半円形の溝の段付き変形

・リングギヤボルト締め付け座面の打こん変形

・左側のケース蓋のプレート当たり面の錆

・プレッシャーリングの打こん

・さらに今回新たに左側のベアリングレース取り付け部に摩耗が発生していることが判明しました。

結論からするとこのLSD一式は使用不可能と言えると思います。

ケース内部の段付き変形

中央部の少しひし形の様な形が見えるところの周囲全体が0.5mmくらいめり込んで段付きができています。本来は下側に見えるような円筒形の切削面がそのままずっとあったはずなんですがそこが変形しています。デフをかなり激しく使用していた結果だと思います。

そして決定的なことは

このサイドベアリングを打ち込むケースのサイドのボスが摩耗してこのベアリングがスコンと落ちてしまいます。取り外しも手で引き抜けばスコンと抜けてしまいます。このようになるとベアリングが本来の働きをすることができず、内輪のレースが空回りするようになりどんどんLSDケースを削ってしまうのでこの部分の精度ががたがたになっていきます。これはこのLSDにかなりの確率で起こる現象で、ケースの鋳物材質が良くないのだと思います。こうなるとこのケースは使用不可となりますが、このリングギヤ内径115mmでボルト径10mmの物は入手が困難です。

 

オーナー様へ3案を提案して相談しました。

 

・純正のオープンデフに戻す。純正のリングギヤ内径115mmボルト径10mmのデフ玉はまだ入手が可能だし私  

 も在庫を持っていますので、これに組み替える。

・ほかの市販されているLSD、例えばOS技研のスーパーロック特注品を購入して組み替える。

・ニスモR180 リング内径115mmボルト径10mmのLSDケースを探して入手して組み替える。

 

の3案でしたが、結果としてOS技研スパーロック特注品にすることに決まりました。

オーダーしてバックオーダーとなりますので納期が1.5か月ほどかかるようです。

入荷までしばらくこのデフについては待ちの状態となります。6月に再開。

OSスーパーロックが入荷しました。

今回はKマーク付きのリングギヤ径Φ115でボルト径M10 8本 サイドフランジ付きボルト止め仕様で特注しました。日産R180へドンピシャで取り付けできます。

リングギヤを取り付けた

 

サクサクと組んでしまったので途中画像が無いですがサイドフランジのプリロード調整とバックラッシュ調整を実施

プリロードは3.5Kg

バックラッシュは0.13~0.17

と調整しました。

刃当たりは画像のようにど真ん中となります。

逆転側も良好

回転試験しています。

問題なく良好でした。

完成です。

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