2023年6月24日

魔界エンジン MEー6 製作開始

 静岡県内の方から魔界エンジンの製作依頼がございまして、開始いたしました。 画像は今まで使っていたエンジンを支給されたもので、ある程度はチューニングされているが調子が良くないとのことで、不具合箇所は修理してほしいという要望です。

ME-6ー1 素材エンジンの調査

ME-6-2 新規ヘッドチューニング

ME-6ー3ー1 腰下加工その1

ME-6-3-2 腰下加工その2

ME-6-3-3 腰下組付け その3

MEー6ー4 エンジン組み立て・調整

 


2023年12月27日

エンジン腰下について前加工をして(その1参照

ボーリングとパルフォス処理に出していたのですがもうすでにだいぶ前に完成して戻ってきていました。

 

ところが6月に発注したフルカウンタークランクが完成してこないのでしばらくそのままになっていたのですが、あまりこのままで放置しておくと錆が出てしまったりすると困るので、最小限の手入れを進めてゆきます。クランクが無いとピストンの突き出し量が測定できないし、メタルの選定もできませんし、圧縮比の設定ができないのでヘッドのメンケンもできず組付けもできませんので、すべての作業が進められなくなります。

先ずはシリンダーの鋳物砂抜きプラグを取り外して中をきれいにしてゆきます。

こんな感じで錆びていますが、この個体はかなり程度が良いほうです。ひどい場合はこの穴半分くらい錆で埋まっているなんてのが有ります。

奥に見える左右のがシリンダー壁でその間にわずかな隙間が有りますが、ここへも冷却水が循環してエンジン冷却しています。シリンダー壁がかなり錆びているように見えますが、これもこの程度では良いほうです。この壁から錆が板状になって脱落してくるなどというものもあり、その場合はボーリングすると残り壁厚が少なくなり危険です。最低でも3mmは残らないとヤバイと思います。もしそうでなければ、その腰下は潔く捨てたほうがその後の損害を少なくできると思いす。

水穴プラグまで含めて外せるところは全部外してから屋外に移動して様々なところからエアーブローをかけて錆や切粉などを吹き飛ばします。

その後室内に戻してマスキングしてから日産エンジンブルーで塗装しています。

塗料密着剤をスプレーしてから日産エンジンブルーを重ね吹きします。

だいぶ間が空いてしまいましたけど

再びME-6の製作に入ります。

 

手前にあるのは私のサーキット用S31ZのエンジンでME-5となります。今回、ある程度走ったので分解してチェックしています。

 

向こうにあるのがME-6エンジンで、ここまでフルカウンタークランクの準備で手が付いていない状態でしたが、しばらく前に入荷したので先を進めます。

先ずはボーリングとバルフォス処理から帰ってきた状態なので洗浄を行いました。パーツクリーナーで空圧でジェット洗浄をします。

抜いてあったオイル通路プラグを打ち込み

丸い白いところがそのプラグです。

前後2か所あります。

オイルリリーフ通路もプランジャーを抜いていたので専用のプラグを打ち込みます。

入荷したフルカウンタークランク

L3.1用フルカウンタークランク

SNCM材で削りだし

フライホイール取り付け面6mm短縮(いわゆるケツ切)

このクランクは各オイル通路が1パスで加工されてオイル流れが良くなるよう工夫されています。

測定に入ります。

マイクロは1ミクロン制度のデジタル表示

シリンダーゲージも1ミクロン表示のダイヤルゲージを使います。

シリンダー径測定

ピストン径の測定

このピストンには表面処理が施されていますので黒くなっています。

重量測定です。

ピストンクリアランスは0.063となりました。

 

クランクジャーナルの径を測定

クランクキャップは私の考案したクランクラダーで補強しています。

クランクとしては全体的に細目でできていることがわかる。従ってメインメタルとしては#2の選択で良いことがわかる。

クランクラダーです

こちらはコンロッドの小端ジャーナル測定です

測定しています

重量測定です。

ハカリは0.1グラム精度の精密ハカリです。

全部のピストンとコンロッドの重量測定をしてから、それぞれセットにしたときに重量差が少なくなるよう組み合わせる。最もそのどちらも2g以内の差しかないのでほとんど気持ちの問題的なところになる。

メタルを選定して#2メタルを選択してクランクの組付けに入っています。クランクを静かにメタルにドッキングするためにハンドリフターを使っています。

最終確認でプラスチゲージの測定です。

クランクを載せました。

イーザ方式クランクラダーを組んでクランクキャップを固定します。

クランクキャップボルトは高強度M12ボルトで締め付けトルクはいろいろ試したが最終的に6.8kg/mで決めた。

 

これ以上増やすとジャーナルがサイド方向につぶれる傾向になり左右方向のメタルクリアランスが20ミクロン以上拡大してしまうので、油圧低下の傾向になりそう。

ピストン組付けの準備です。

ピストンリングの合口隙間を1ST 2ND オイル1.2の順に調整してゆきます。おおよそ0.3~0.5とします。これは個々のピストンで指定が有ります。

ここでこの付帯部品ブローバイガスフィルターの金属網を投入してから専用のプレートで押さえます。

ここのM6ボルトはエンジン内で下向きになるので緩んで脱落しやすい方向になるので、ボルトをSCM高強度ボルトに交換して目いっぱい締めこんだ。

ピストンを取り付ける前のメタルの起動トルクを測っておきます。7Kg/cmと出ました。

ピストンです。

ピストンコンロッドの組み立て準備に入っています。

ピストンリングの合口調整です。

ピストンリングの組付け、各リングの合口位置はピストンの説明書どうりに各リングで合口の位置をずらして取り付けます。

ここまで一揆に組付けました。

コンロッドメタルは#2を使用しています。

クランクラダーとコンロッドボルトの隙間ですが、レーシング用軽量コンロッドだとこのように大きな隙間でクリアーしていますが、これが純正コンロッドだと1mm隙間くらいのギリギリとなります。

ピストン側から

ピストンを取り付けた状態での回転抵抗摺動トルクは27Kg/CMという結果でした。

2023年6月24日

魔界エンジン MEー6 製作開始

 静岡県内の方から魔界エンジンの製作依頼がございまして、開始いたしました。 画像は今まで使っていたエンジンを支給されたもので、ある程度はチューニングされているが調子が良くないとのことで、不具合箇所は修理してほしいという要望です。

ME-6ー1 素材エンジンの調査

ME-6-2 新規ヘッドチューニング

ME-6ー3ー1 腰下加工その1

ME-6-3-2 腰下加工その2

ME-6-3-3 腰下組付け その3

MEー6ー4 エンジン組み立て・調整