S30Zのサスペンション

2014.9.2

 


ことしの4月に富士スピードウェイを走って以来そのままになっていたS31Zですが、次の走行会が見えてきたのでやっとやらなくちゃと思って手つかずになっていたことをやります。

 

サスペンションなんですが、スプリングは○メアリの車検対応バリアブルの強化スプリングですが確かに街乗りでもあまり固くなくしかもコーナーリング時はある程度固くなるのでロールは少ないです。

しかし、サーキットとなるとこの柔らかい部分が操縦しにくい要素になっているのではと思いだしました。

 

で4本とも全部仕様変更ということでこんな姿になりました。

 

フロント側は特に難しいことはありません。

・ブレーキキャりパーを外すボルト2本

・ストラット下面から2本ボルト外してナックルから分離

・ストラットアッパーの3本ボルト外す

・最後にナックルアームをモンキーでグリっとこじると

ストラットが外れますので手で支えておきます。

 

 

MK63はラインを切らずに取り外せるように改造しているのでコンプロッドに針がねで吊ります。

 

ディスクはベンチディスク パッドはプロジェクトμ タイプHC 

 

グレーに塗られているステアリングナックルアームは偶然入手したクイックタイプで軸間が10mmほど短くなっているのでステアリングがクイックになります。(ハンドルはさらに重くなるけど)

 

少し見えにくいけど、コンプレッションロッドのボディー側の固定は○ギサオートで販売しているテフロンぐりぐりタイプで、後ろ側はウレタンハードタイプです。最近ここも含めてブッシュをピローブロックに交換してがちがちにするやり方を見ますが、それは所属クラブの神様にきつくご法度を言い渡されています。やはり振動でボディーがガタガタになるらしいです。

 

 

 

フロント側はみなさん多分同じようなやり方で分解するでしょうが、リヤ側についてはいろいろやり方がありそうですね。整備要領書はデフごと一式下ろすようなやり方だったと思います。

 

ストラット下側のスピンドルシャフトを抜いてストラットを取り出す人もいるでしょうが、長い間付けたままのスピンドルシャフトはよっぽど運が良くない限り抜けません。叩くとネジがだめになり、抜きハンマーでは加重不足・プレスで押すにはやっぱりロアアームごと外さねばなりません。(スピンドルシャフトには中間にロケートテーパピンがありますのでこれを抜いてからでないと絶対に外れませんから念の為)

 

で、私のやっているのは超手抜き技法で 画像を見ればだいたい想像がつくと思いますが、ストラットは付けたまま外しません。ストラットアッパーボルト3本外し、スタビ外し、ドラシャ接続外しで、後はロアアームがスコンとお辞儀したら完了です。落下しないように下からパンタジャッキで支えます。このままの状態でスプリング締めてサスアッパー外してショックもはずします。なんとも横着ですがそれなりにツボがありましてそこを外すと迷宮に入りますのでご注意です。(なんか理○学なんとかで聞いたような)

 

ところがです、今回はロアアームが下がりすぎ画像中央部にあるサイドブレーキワイヤー吊ゴムを破ってしまいました。早速買いに走りましたが案の定製廃・・・・。

サイドプレーキ接続切っておけば良かった・・・・。

 

これって近くでドライブシャフトがブン回っているので、サイドブレーキワイヤーが巻き込まれるととんでもないことになりそうで、侮れないパーツです。

こういったものですが、材質はマフラーハンガーと同じスリング入りゴムですがかなり厚いので流用は無理そうです。しかもブレーキワイヤが通る穴は画像のように長穴です。長穴になっちゃったわけではなく最初から長穴だと思います。

 

 

このゴムの素材が入手できればいいのですが、私にはわかりませんでした。どなたか知っていますか?

 

最も近いものとしては工業用のプラスチック MCナイロンかと思います。その板を入手してサイズィングと穴加工を施していけば行けそうです。ケーブルの流れに合わせて少しひねりが必要かもしれません。

MCナイロンは入手ルートが判っているしサイズも自由なのでそれを買って機械加工で同形状にして、あぶってすこしひねりを加えれば出来そうですので、案その1 は思いつきました。

 

でも整備書やパーツリストを見ると気になることが書いてあります。

 

画像のように⑥のスプリングで吊るタイプがあるのですが、リストでは横に不採用と書いてあり、ゴム板タイプが採用となったような経緯がありそうです。

そこで案2としていつもの材料商社○ームセンターへ行って材料を調達します。

 

スプリングはもちろんありますが、C型のパーツはロープなどのゾーンにありました。

こんなちょうど良さそうなものがあるんですね。ま、無ければ鉄板で作りますけど。

 

で、こんな形になりました。

 

スプリングは十分な線形と伸び荷重が保障されており材質はステインレスで錆びないものです。

金具は1mmくらいの鉄板をプレス成型して溶融亜鉛メッキがされています。

仮付けするとこのようになりました。

 

なんかとって付けたような感じですが、MCナイロンよりは良さそうです。

心配なのは振動で踊って外れたりしないかということですが整備書にも記載があるやり方なので様子を見てみます。

 

黒く塗っとけばよかったかな。

まあとにかくスプリングとショックを外しました。

 

サスペンションのセッティングなんですが、これは奥が深くてとても私などのものがうんちくを述べることができないと思います。ただそれなりに何回もやり直していますが、それはほとんどが目的の車高にできないからです。いまどきは車高調というものが有りますので、そんな苦労はしないでしょうがかつてはいろんなスプリング買ってきてはサンダーで切って調整していました。サンダーで切るだけだと座りが悪くなるのでバーナーで炙ってスプリングを水平に曲げるのですが、ここも車高不確定要因の一つです。

 そんなら車高調にすればいいじゃんと思うかもしれませんが、わたしはあのネジ切りした外観が好きになれませんし、変な意地の様なものがあります。

 

 今まで困っていたことは車高を落とすためにスプリングを短くするとスプリングが遊ぶことになり、車検を通りません。それでバリアブルにしていたのですが。これを短いレース用スプリングにするにはショックのストロークを短くする必要があります。おおよそを言いますと通常は160mmストローク有りますが、これを100mmストロークにショート化加工します。今回はエナペタルさんでオーバーホールも兼ねて加工していただきました。分解チェックでショック1本が抜けていることも発覚しました。私は乗っていて気がつきませんでしたが?人間の感覚っってそんなものですね。そのほかにスライドメタル交換、シャフト交換、ガス圧調整などしていただき、ほとんど全とっかえのようになりましたがこれでも新品価格の半額でできました。 ( ガス圧 F18K R20K ショートー53 溝なし、フロント6 リヤ6)

 

  

これでスプリングは自由長が50mm短いレース用H150スプリングを遊ばずに取り付けできます。線形も11mmから12mmとなり、バネ定数も2.5kG/mmが4.7kG/mmとなります。この状態でショック1本あたりに約250kGの車重が掛かりますので、約50mm沈むことになり、ショックのストロークは残り50mmとなります。

 

そしてこれはエナぺタルさんで指摘されたことなのですが、ビルシュタインショックは倒立タイプですのでショックの筒の部分が上側にありますので、ダンプラバーが下側、つまりストラット内部の見えないところにあり、その高さが50mmだということです。考えてみれば当然上側にダンプラバー付けても動かないところですから無意味です。そうすると見えているショックストロークであと50mmストロークできるなと見ていたところが実際はすでにダンプラバーに突き当っていることになります。これは今までずっとそうだった訳で走っていてやけに突き上げがひどくグリップしないと思っていたことの原因そのものです。ここはエナペタルさんに頼んでダンプラバーも短縮加工していただき、ストローク確保いたしました。

そして、ここまではいいのですがもう一つ問題はこのH150スプリングは30mmの車高ダウンのバネ自由長の設定になっていることで,これではバネは固くなったが車高はまだ高めです。ショックをショート化してもそのまま下がる訳もなく、車高はこのバネ自由長で決まります。それではバネを短くすればいいかと言うと、今度はまたバネが遊ぶことになるし、それを防ぐためにショックをさらに短くするともうサスストロークは走行できないくらい短くなってしまい、追っかけっことなります。つまり、純正のストラット仕様ではこれがほぼ限界ということになります。

 

それで長年苦しんできたのですがここであきらめないのがvintagecraftです。どうするかというとS31Zはストラット上部にアッパーサポートというスペーサーの様なものが付いていますが、この厚みがS30Zは20mmほど薄くなっているので、4本全部のアッパーサポートをS30Zの薄いものに交換してしまいます。車体はこの上に乗っているのですから当然追加で20mm低くなります。しかもサスペンションの仕様は変更することなくこれができるのです。S31Zにお乗りの方はノーマルのままでも無条件に20mm車高ダウンできます。(限界のフルバンプ状態ではボディ下面が干渉する場合もあり得ます。特にガソリンタンク)車高調もほとんどがこのアッパーサポートを廃止してリジッドにしてしまいますのでこの部分でサスストロークを確保しているのだと思います。   私の場合はレーサス30mmダウンに加えてこれで合計50mmの車高ダウンを果たし、サスストロークも確保できています。

 

 

ということで、純正ストラットのままでサーキット用サスペンションをセッティングするという目標はなんとか達成できそうです。バリッと全部車高調に変えてしまう方がはるかにスマートで調整範囲は広いかもしれませんが、私はこういうのが好みです。ただ、サーキットタイムにどれほど効果があるかは別ですが・・・・。

 

この状態でさっそく秘密のテストコースで走ってみましたが、全く走りやすくなっています。しかも乗り心地はマイルドでぴょんぴょんするような動きが激減しています。一番の違いはブレーキングで躊躇なくフルブレーキを踏めるようになりました。今まではブレーキングでどこに行ってしまうか判らないような不安定さがありました。

 またコーナリングでも粘りが出ている感じで今まであったような急激なリヤのブレイク感がありません。今まではどこで滑りだすけかわからないので、わざとフェイント付けて最初から滑らせる走り方しかなかったのですがタイムロスしてしまいます。やっぱりサスが粘ってくれて徐々にブレイクしてゆく方が走りやすいはずです。

 

 

早速9月18日のNAPACで富士スピードウェイを走ってみます。