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R200デフ  その1   その2   その3

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2021年1月25日

R200デフ R13 サーキット用

 サーキットの狼さんに頼まれてこのギヤ比3.7のデフをサーキット用にビルドアップします。

 今まで4.1だったのですが富士のメインストレートで5速全開で吹けきってしまうということでデフのレシオを上げます。この3.7ギヤ比のR200デフはなかなか見かけませんが、たまたま私の手持ちの中にありました。

ピニオンを取り外しましたが、3.7のピニオンはすごく大きいです。

ピニオンプリロードはシム調整で3回ほどやり直して17Kg・cmに設定しました。ピニオンベアリングを交換すると大抵今までのシムではプリロードが過大になります。そしてどれくらいの値で補正すればよいかだんだん傾向が推定出来るようになってきました。

問題発生です

このピニオンの先端、フロントオイルシールの裏側に付くボールベアリングがなぜかこの3.7ギヤ比のデフは仕様が違っています。これは私も初めてのパターンで、左が3.7用で内径が30mmで右の通常のR200のベアリング内径が28mmに対して大きいのです。ということはピニオンシャフトも3.7用はその分太くなっているということなんですが。最初はそのまま通常のφ28ベアリング取り付けて、全く打ち込めないので調べたらこんなところが異なっています。日産パーツリストでも私は探し出せませんでした。すぐにベアリング屋さんに行って問い合わせたのですが、お手上げ状態でした。それでなくてもこのベアリングは見るからに外輪の肉厚が大きく通常のベアリングの仕様から逸脱しています。

 今のところ入手不可能で今までついていたこのベアリングをそのまま使うしか手立てが見出せません。

どうも、各部の寸法は同じで内輪の肉厚を薄くして内径を拡大しているようです。

LSDの組付けです。

左側のプレート構成で、右から

渦巻純正内爪フリクション

渦無外爪フリクション

渦無内爪フリクション

外爪コーン

内爪コーン

外爪コーン

の6枚構成で

外側の丸プレートが私の特性焼き入れ効き補正プレートとなります。ただの生鉄板やブリキみたいな鉄板とは異なります。

4ピニオンですね。カム角は90度だと思います。

これが特製焼き入れプレート、これがどんな働きをするかはお分かりですね。

0.1mmピッチで製作して在庫しています。

 

LSDの組み付け完了

リングギヤの組み付け準備

全ボルト穴をタップでさらって、ロックタイトで固定する下地を作ります。ボルトサイズはM10ピッチ1.25という細目特殊ボルトです。

締め込みトルクは1500KgCM

イニシャル測定

片手でトルクレンチ持って、片手でカメラ構えて撮影なのでブレブレでうまく撮れませんが、1500KGcm=15Kgmと見て取れますか。

このLSDはこの部分が変形が見られました。

出来る限り仕上げておきました。

バックラッシュ調整

何回(5回)かやり直して0.10~0.12に設定収束してきました。

そして歯当たり調整・・・・・

ああー・・・ ああー・・・

ダメだ~~

最初からやり直しのピニオンまで全バラシだー・・・・

いつものことなんですがね・・・・

R200重いからな~~プレスとの往復きついです。

ピニオンまですべてバラして歯当たり調整しました。ここもやはり専用シムが無いとできないわけで、私はここのシムも復刻して対処しています。歯当たりは画像のようにベストと思います。何回かやり直しました。

そしてバック側も良い状態です。摩耗が激しいギヤだとどちらかを優先大抵は前進側を合わせると、バック側がど真ん中にはならない場合が有ります。

そして歯当たり調整をやり直すと当然又バックラッシュ調整が再度必要となります。

デフ精度

ピニオンプリ 16.9Kg/cm

(ピニオンナット締めトルク20kg/m)

 

サイドベアリングプリ 3.7kg・cm

 

オーバーオールプリ 20.6kg・cm

 

バックラッシュ 0.09~0.12mm

 

ピニオン歯当たりシム厚 3.30mm(ー0.1)

 

ピニオンプリシム厚3.92+0.2(これがほぼテーパーベアリングの摩耗量)

サイドベアリングシム

当初 左2.40 右8+2.3

最終  左2.43 右8+2.30

結果的にはこれまでのベアリング摩耗の状態でバックラッシュが少なくなっていた状態を、サイドベアリングを交換することによりそのままのシムでバックラッシュも良好となった。

完成して回転試験をしています。この時点で良いデフは振動や音が少なくきれいに回ります。消耗が激しいデフはどうしても振動が大きくなり、この机ごとひどい振動で、デフが机から落ちていきそうになります。

 私はこの時のモーターにかかる電流値を見ていて判断基準にしています。消耗が激しいデフはやはりベアリング類を新品にしても回転抵抗が大きく、モーターの発生電流が大きくなります。(使用オイルと設定回転数と回転時間は固定して観察します。デフはオイル粘度が高いとものすごく負荷抵抗が大きいです)

完成です。


2021年5月18日

R200デフ R16

依頼主は上記と同じ「サーキットの狼さん」で、今回は富士スピードウェイ用にR200の3.9ギヤ比で製作してほしいということです。

 デフケースはご自身できれいに塗装され、デフオイルクーラーの取り付け穴も加工されて支給されてきました。

3.9のピニオンとリングギヤはドナーを探しておいて準備しています。

今回もシム調整(=フルオーバーホール)を何回かやり直してピニオンのプリロードを正しく設定します。

ピニオンナットを3000Kg/cmで締めこんだ状態で19.2Kg/cmのプリロードを得ました。調整シムは0.35mmでした。(シムが0.01変わるだけでプリロードは大きく変化します)

R200用LSDを作っていきます。物としては日産純正の機械式LSDです。

4ピニオンです。

カム部分です

ドナーの純正プレート構成 イニシャルは6Kgでした。

左からイニシャル調整プレート(0.5)

外爪SP 内爪P 上段で外爪渦巻F 内爪渦巻F

外爪渦巻F 内爪渦巻F

の7枚構成

これを下記のようにチューニングしてゆきます

特製焼き入イニシャル調整プレート(1.0)

外爪SP 内爪P 下段で外爪SP 内爪渦巻F

外爪渦巻F 内爪渦巻F

の7枚構成は同じですが SP(スプリング)プレートを2枚から3枚へ増やしています。

これでLSD組んでイニシャル測定で15kgcmとなりました。

サイドベアリングを組んでバックラッシュとサイドベアリングプリロードとリングギヤの歯当たりチェックと最もコアな部分に来ました。

まずはプリロードを出しますが今回はピニオンプリ19.2kgにプラスすること5.6kgとなりトータルプリロード24.8kgとしました。少し多めですが最近はなるべく大きめを狙うようにしています。

 バックラッシュは何回かやり直して0.15~0.17に追い込んできました。

 歯当たりは画像正転側でかなり良い当たりに出ていると思います。見た通りほぼど真ん中です。

こちらは逆転側でこちらも申し分ない状態に出ています。

この後シール類を取り付けていきます。

シール類が付いた状態ではシールとの接触ロードが負荷されてくるので、ベアリング自体のプリロードを測れるのはこれが最後のチャンスとなります。

回転試験のセットをしてオイルを入れて回してゆきます。私はこの時のモーターの負荷電流値のデーターを取っていますのでおおよそのデフの状態が分かるようになってきています。しっかり組んだ状態での同じ回転条件で回したときのモーターの電流値が少ないほど回転抵抗が少なく精度の良いデフと判定しています。

 回転で振動も少なく良いと思います。これで富士スピードウェイのメインストレートを5速ベタ踏みで7500rpmまで回せば時速は実測で240kmまで出てくるはずです。

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・H190       240RS・SR311など

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