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日産旧車の駆動系レストア

 デフR180R200他 LSD ドライブシャフト プロペラシャフト

 

だんだんと事例が集まってきたのでこちらで集約していきます。

下記クリックするとそれぞれのページに飛びます。 


デフ・LSDのオーバーホール  下記から各機種へリンクします。

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・R200 下記

・R180  ・S30Z・240Z・ハコスカ・セドリック・P510など

R192  Z432・Z432R・ハコスカGTRなど

・H190       240RS・SR311など

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R200 LSD オーバーホール

2017年1月19日

ミッションでいろいろご相談してきた埼玉のSさんから、今度はデフが送られてきました。

いままで3.7の減速比だったので4.1に換えたいということです。

 

 

デフケースですがきれいに塗装されています。

早速内部を調べてゆきますが、LSDがついていてOS技研のスーパーロックです。3.7のリングギヤはすでに取り外されていて、4.1リングギヤが同梱されています。デフケース・ピニオンギヤ・他パーツはもちろんすべてこの4.1ギヤとセットのものです。

サイドベアリングを外してみるとところどころ引っかかったような傷があります。(左側)何か異物を噛みこんでいた感じです。レース面にもよく見ると細かい金属片がめり込んでいるのが分かります。

右側も同じような感じですが、こちら側はよく見ると画像中央部付近だけレコード盤状の傷が細くなっています。ここだけ凹んでいる?なんなんでしょ・・・・

 

どっちにしてもこのベアリング使えないので交換です。

なんでもそうですがこういう機構パーツは寸法測定が大事だと思います。特にデフはプリロードとバックラッシュが云々されますので0.01mm単位が影響してくるはずですので正確に測らなければなりませんが、実はこれが奥が深く難しいと思います。

 

メモ

ケース182.14

ベア左20.72

シム左2.25

LSD128.02

シム右2.35

スペーサー右8.03

ベア右20.74

プリ 0.01

2017年2月6日

 

sさんと相談して今回はピニオンベアリングまで確認に決定したので作業に入ります。

 

先ずは現状のピニオン部のみのイニシャルトルクを測定します。オイルシールが無い状態で測定しますが値は3.37kg/cmとかなり低い値です。

 

確認後分解に入ります。プレスで押すのですがかなり圧入力は強いです。ちゃんとしたプレスが無いと難しかったです。

完全分解いたしました。ピニオンは問題なくきれいです。

ベアリングリヤのアウターレースですが、経年変化相応の摩耗が見られますが、異常な状態では無いと思います。

同じくセンターベアリングですがこれも問題ない感じです。ただ右45度のところ摩耗痕が細くなっていますが、こういうところがやはりデフの癖というべきものかもしれません。

べリング類を準備してゆきます。

結構手間がかかります。

しばらく中断していましたが再開です。

ピニオン側のでっかいテーパーローラーベアリングを組んでいきます。プレスで押すのですが、特殊工具の押し治具はもちろん無いので、いろいろ工夫して押し込みます。

ピニオン側を何とか組んだところでイニシャルトルクを測定します。デフはこれが大事です。

 

ピニオン側のみベアリング新品オイルシール取り付け前で11.08kG/cmで規格の10~13に入っています。

次にOS技研のスーパーロックと4.111のリングギヤを合体します。スーパーロックはM12の取り付けボルトに合わせてOS技研で取り付け穴追加工してもらいました。

リングギヤのねじ穴はロックタイトするので前準備でタップでさらいます。

このように治具を使ってリングギヤを締め込みます。

途中はしょりましたがサイドベアリングを圧入してシムを先ずは今までどうりの選択で組んでいき、バックラッシュを測定します。

同時にリングギヤの振れも測定します。

この時点でバックラッシュは0,23と過大

リングギヤ振れは0.03と規格内

 

順番が前後していますが、リングギヤサイドベアリング組んだ状態でのプリロードを測りますが、この状態で測定不能なほどプリロードがかかっていました。サイドベアリングを新品にした影響でしょうか?

 

バックラッシュの値と並べてこれではNGです。

測定値上のプリロード寸法は0.06有りましたので無理もないかもしれません。

 

サイドベアリングの位置調整用シムですが0.05ピッチでこれだけあります。本来はもう少し狭いピッチで欲しいところですが、後は研磨調整でしょうか?

メモ

ケース182.14

ベア左20.72

シム左2.35

LSD128.02

シム右2.25

スペーサー右8.03

ベア右20.83

プリ 0.06

とにかくこの組み合わせと測定を何度も繰り返していきます。

リングギヤ・LSDをこの狭いクリアランスでシム打ち込みで何度も組んだり外したりするのは楽ではないです。

 

 

なんとか収まってきました。

メモ

ケース182.14

ベア左20.72

シム左2.40

LSD128.02

シム右2.15

スペーサー左8.03(4.1を堺に左右入替る)

ベア右20.83

プリ 0.01

これでバックラッシュ

0.16 0.17 0.17 0.14 0.15 (全周測ると当然ばらつきがあります)

推奨は0.13~0.18となっています。

リングギア振れ 0.03(0.05以内)

またこの状態でのイニシャルトルクは13.34kg(規格は11~17kg)と良好

歯当たりは画像の通り良いです。

最終段階です。

アルフィンカバーを取り付けます。

 

完成です。

 

 

2017年5月6日

今回、以前に依頼されていたR200アルフィンデフの乗せ換えもで依頼されたので、デフ交換を実施します。

 

ミッションについてはΩ9ルート6クロスとα55の2基をお持ちになられて、使いわけています。

ハコスカのデフ取り付けはセミトレメンバーの中をくぐっていますのでS30よりずっと手間がかかります。

 

R200 4.111 

アルフィンカバー 

OS技研スーパーロックLSD

全ベアリング新品交換

交換が完了しました。

これでミッションは71BコンパチC Ω9

ルート6 クロスギヤ

2速3速4速71Cダブルシンクロ

v・c・e-za式クイックシフト

クラッチ OS技研スーパーストリート

となりました。

 

駆動系であと残るのはドライブシャフトと

プロペラシャフトのみです。

 

 


 

2016年12月15日

R200 4ピニLSD駆動系刷新

 

ミントなZの記事参照 こちら

このzの駆動系を入り口から出口まで刷新する記事が乗せてあります。こちら


2018年9月3日

R200ニスモLSD4ピニオン

 

ハコスカGTR用にデフを作ります。支給されたデフはR200のニスモLSD付とのこと。

 

先ずは現状をチェックしてゆきますが、

赤印のコンパニオンフランジが付いてません。ここは付いてくる場合が多いんですがはずしてあります。手に入りますからOKですが。

 

青印のサイドフランジ左右は付いてこない場合が多いです。これも入手しなければなりません。R180はボルト止めですがR200はサークリップで固定で仕様が異なります。

 

 

LSDは角度的にニスモで間違いなさそうです。また全体的コンデイションもすばらしく良いです。

 

このカムの角度、恐ろしく効きが良さそうでしかも4ピニオンですのでなおさらです。

ここから見ると4ピニオンであることが良く分かります。超貴重、お宝パーツですね。

バックラッシュは全周6か所で0.15~0.16mmとベストの値。

リングギヤの振れは0.03mm以内に入っていました。

ギヤ比は35:8で4.375とGTRにはちょうど良いギヤ比ですね。

歯当たりチェックの正転側ですがど真ん中で言うことなしの当たりです。

歯当たりチェックですがこちらは逆転(エンブレ)側で申し分の無い良い当たりです。ただしコンパニオンフランジが無い状態ですのでピニオンナットもありませんで締めこみ無の状態でです。?

コンパニオンフランジが入荷したので取り付けてはいますが今までどうりナットは締めこんでいない状態で(念のため)オーバーオールプリロードを測ります。

 

測定には整備解説書には特殊ツールが必要と書いてありますが私はいつもこの自作ツールで測ります。中心から何センチのところに何キロのものを作用させたことがトルクをかけた状態ですから後は単位を計算すればトルクが出ます。

 

この状態でオーバーオールプリロードは

20.72kgcm 規格は13kgですから大幅にオーバーしています。しかもピニオンナット締めないで・・!

 

LSDデフ玉を取り外します。見たところはきれいです。

この状態で再度プリロードを測りますが、これがピニオンベアリングだけのプリロードとなりますが

15.20kgcm 規格は9kgまでですので大きくオーバーしている(ベアリングを締め込みすぎている)状態です。(しかもピニオンナットを締めこんでいない状態でですのでなんか変です。)コンパオン側からかなり叩いてもあまり変わらないし、手で回した状態でもゴリゴリと違和感があります。もうピニオンも分解して確認するしかありません。

 

しかし、差し引き。20.72-15.20=5.52(規格は4kgまで)となりますのでサイドベアリングだけのプリロードは大きめですがまあまあです。

 

 

ピニオンをばらします。

 

ピニオンリヤ側 うっすらとだんだん模様が見えます

 

拡大するとこんな感じ。フロント側も同じ感じでした。間違いなく長い間交換しないで使われてきたものと思われます。


 

問題のニスモLSD4ピニオンのイニシャルトルクを測りますが11Kg~12Kgありましたので、これは情報どうりでした。

 

今回の要望はイニシャルが高すぎ普段使いにはハードすぎるのでイニシャルを5Kから6Kにして欲しいとのこと。

全バラしました。プレートは6枚構成、フリクション系が3枚、プレッシャー系が3枚の構成です。リングギヤボルト径はM12です。

 

プレートの入れ方としては中心側からフリクションの3枚が入り、その外側にお皿上のプレッシャープレートが凹み側そろえて、つまり並列に3枚参っています。

全体的にきれいですがこのプレートのみ何かあったのか矢印部分に損傷が見られますが大きな問題ではないです。

イニシャル荷重の調整に入りますが、6枚構成のプレートの中でいろんな組み合わせが考えられます。板厚まで含めるともっとたくさんの組み合わせ順列ができますが今回は1.75板厚でそろえておきます。

3枚のフリクションは固定して置き、プレッシャープレートを変えますが、このプレッシャープレートは単純には1枚で2kGのイニシャル発生の様です。プレッシャーを左右で1枚ずつであとはフリクションに替えれば2+2=4kgとなります。計算上はこうですがうまく言えないけどこれだと多分動作が安定しないと思います。フリクションばかり増えてそれをほんの数ミリのプレッシャーストロークでコントロールするようになりますから。そこでプレッシャーを2枚にして1枚のプレッシャーは画像の渦巻きフリクションに替えます。そしてプレッシャーを裏表で最中合わせで組みます。これでプレッシャーは2枚ですが直列組みなのでイニシャルは片側2kgのままでストロークを2倍に変更し安定した圧力となるようにします。

 ちなみにこれでプレッシャーを凸同士の並列組にすると片側で2+2=4kg、両方で8kgのイニシャル

元々の3枚プレッシャーで凸同士の並列組で2+2+2=6kg両方で12kgのイニシャルとなります。

これはニスモのカタログに出ているとうりですね。

何回かやり直しましたがこれで5kg弱のイニシャルトルクが出ています。ニスモのLSDカム角度だと少しの差動でも敏感に作用しますので普段乗りではこれくらいで良いのではないかと思います。

 

以前 こちらの記事でLSDの効きはイニシャルトルクと比例しないという考察を書いています。

 

R200のニスモLSDで競技用に造るならフリクションを4枚にしてプレッシャー2枚並列で8Kg

のイニシャルで乗るのが良さそうだなと思います。

 

 

 

 

2018.9.23

部品が揃いましたので組み上げを開始します。

先ずは元のままベアリングを交換して組み付けていきますがやはりプリロードは規定トルクの19kgで締めこむと手で回せないほど高いままです。ピニオンベアリングを新品にしたので今まで以上にプリロードはかかるのでそのためだと思います。ピニオンベアリングのテーパーベアリング間のスペーサーを調整しなければなりません。ここでただやみくもにシムいくつか見当がつかない状態で作業しても無駄な時間がかかりますので規定トルクで締めこんだ状態から角度で何度もどすと規定プリロードになるか計測していきます。例えばねじピッチは1.5なので30度戻して規定トルクなら30/360×1.5で約0.12のシム追加で良さそうだという目安となります。

ということで0.1mmと0.05mmのシムを準備しました。これは純正はすでに製廃なので特別に準備したものです。材質はステインレスです。必要なかたは供給ができますので販売のページからお知らせください。

シムを組み込んで規定トルクで締めこんで私が製作したなんちゃって特殊計測器で測るとピニオン部のみのプリロードは10.81kg/cmです。これはメーカーの指定値内ですのでok。

 

次にはニスモのLSDアッシーを組み付けてバックラッシュを全周測りますが0.12~0.17と若干少なめ方向(規格は0.13~0.18)ですが良い値となっていると思います。

正回転側歯当たり。申し分ないですね・OKです。

逆回転側歯当たり、良好です。

 

 

 

オーバーオールプリロードは13.13kg/cmでしたのでサイドベアリングのプリロードは

13.13-10.81=2.32で少な目(規格は1k~4k)ではありますが良い値です。今回サイドベアリングは良さそうなので交換していません。

最終的な回転試験をしています。

60hZ(1550rpm)で負荷電流4.15 10分で3.05A

70hz(1810rpm)で3.9A

80hz(2070rpm)で4.9A10分で3.7A

このあとモーター焼けそうでスピード落として60hzで2.3Aで安定

 

30分でピニオン部で53度

ボディーオイル通路で59度やはりここが昇温します。

最高温度はなぜかコンパニオンフランジの首部分で

71度に達していました。某メーカーの強化フランジということですが多分オイルシールリップとの接触面積が多すぎて発熱しているのではないかと思います。オイルシールの打ち込みはボディー面一にしたんだけどなんでだろー?。

 

とにかく完成です。これから次は実車乗せ換えを調整します。

オーナーが乗せ換えの為にハコスカGTRに乗ってやってきました。ワンオーナーのGTRを引き継いだとのことでボディーから機関まで丁寧に乗られていた感じでヤレ感も自然な状態です。

 

手前のが今回作ったR200デフで、今までついているR180とは大きさがだいぶ違います。

デフは乗せ換え完了した状態の画像です。

画像でわかる通りデフのすぐ後ろにガソリンタンクがあるのでそのまま後ろに引き抜こうにも抜けません。

ハコスカのデフはセミトレーリングのメインメンバーの中に首を突っ込む形で固定されているので真下には抜けないので、ガソリンタンク側へ15CMほど引きづり出す必要があり、ぎりぎりです。特にオイルブリーザーがプラスチックで高く突き出ているタイプはこのブリーザーを折りやすいですので、あらかじめ高さの低い鉄製のブリーザーに交換しておくのが得策ですね。量産ラインではおそらくセミトレメンバーごと一式の状態でアッシーしているのだと思います。

取り外した今まで使っていたR180ですがかなりよれよれで走行時は室内まで届く盛大なギュイーン・ジリジリ・ジャージャー・ヒュウ~ンとかのにぎやかな音が室内まで響いていました。

デフ・LSDのオーバーホール  下記から各機種記事へリンク

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・R200 上記

・R180

R192  Z432・Z432R・ハコスカGTRなど

・H190       240RS・SR311など

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