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240クロスのオーバーホールからコンパチ化改造まで

 71BコンパチB’ 240クロス はこちら

 ・240クロスを含めた71系ミッションの輪廻転生 記事はこちら

71Bのケースの中身のポルシェシンクロ・ギヤ類を71Bの最終仕様のワーナーシンクロで組みなおすのがβバージョンで、特徴はシンプルで有る事と、もちろんプロペラシャフトがスプライン差し込みがベストですが、スプライン差し込みペラをお持ちでない場合はフランジ結合のままでも組める事。

 

240クロスは全てポルシェシンクロですがこれをワーナー化するバージョンを開発 

71BコンパチB’ 240クロス プロペラシャフトはフランジでもスプラインでも製作が可能


2023年8月28日

71BコンパチB’ β30

ショップさんから預かった3基まとめてのご依頼の最後の一基です。

これは71Bの純正でそのままオーバーホールでいいよと言われていたものです。外観的には落ち着いた感じで良い感じに見えます。

ばらしていますが構成としては典型的な中期71Bで1-4速まではワーナーシンクロ・5速だけはポルシェシンクロという仕様です。ちょっと見はどこも悪くないように見えますが・・・。

細かく見てゆくと・・・。

ああー、メインインプットがこんなことになっています。ここまでひどい錆びはなかなか見ません。完全に何年間か水に浸かっていたのではないかと思います。

カウンター側も同じです。

 

そしてリヤ側もひどい状態です。

リヤのメインベアリング

錆び切っています。

スピードメーターウォームギヤ

何でこんなになったんだろう

良くわからん。

水が入っていたにしてもここだけこんなになった理由が良くわからない。

シフトキーの部分です。

同じく錆びだらけ。

5速ギヤです。

斑点状の錆がところどころに有ります。

再利用は微妙なところです。

センタープレート

ここも錆がひどいです。

センタープレートのベアリングリテーナープレート

ここにも錆が。

以上をまとめると

このミッションは私のところへ来るまでの間に、ミッションは立てた状態で水がかかるような軒先の様な環境のところで保管され、しずくの様な水がだんだんと入ってミッションのインプット側とセンタープレートより後ろ側にある程度水が溜まった状態で1年以上放置されていたのではないかと思われます。リヤエクステアウトプットには防水処理がやってなかったか、やってあっても不完全あるいは劣化したという事でしょう。

メインインプットセット 再使用不可

スピードウォーム    再使用不可

 

5速ギヤセット     無理をすれば錆び取して使えなくはないが、交換が望ましい。

センタープレート    同上

メインシャフト     同上

その他こまごましたもの 同上

 

という調査結果になりました。

私は71Bのパーツはたくさん保管していますので交換部品は何とかなりますが、

交換してゆけばそれなりの金額がかかりますし。

殆んど入れ替えや補修が必要となりますので、すでに71Bのままで修理する意義は薄れていると思います。

錆び取して品質が保たれるかといえば、必ずしもそうではなくある程度ダメージが有る部品でのオーバーホールとなります。

 

別案として、71BコンパチCはミッションケースのみ71Bをそのまま使い、中身はすべて71Cに入れ替える仕様ですので、ここまでくるとこの錆びまくっている71Bを修理するのと、71Cにして機能アップとともに錆部品は全交換となる仕様を比較すると費用対効果でほとんど差が無くなるのではないかと思います。

どうするかはオーナー様と相談してゆくことになります。 

 


オーナー様とご相談してそのままオーバーホールのβバージョンから、中身をすべて71Cに切り替えるコンパチ αバージョンに切り替えることになりました。ミッションケースはそのまま使えます。詳細はこちら


2023年11月22日

71BコンパチB’ β31

 青森県からオーダーいただいたこのケンメリのミッションですが、ご覧の通りオイル漏れがひどくオイルと砂が固まって黒い漆喰のようになってしまっています。シフトレバーストライキングブロックから漏れているようなのでリヤエクステストライキングロッドを外してオーリングを交換して欲しい、費用はかけたくないので最小限でというオーダーでしたので早速ばらします。

しかしながらドレンプラグを外すとすぐにこんなものが出てきました。何やら金属片が付いています。

調べてみるとこんなものが付いており、完全にミッションの機能部品のパーツです。

フロントケースもオイル漏れがクラッチディスクの摩耗粉と混ざって墨のようになっています。

ミッションギヤ部です。見たところなんともないようですが全体的にはオールポルシェシンクロですがプロペラシャフトがスプライン差し込みとなっているところが少し変わっています。

分解してゆくとやはりシンクロハブの青矢印で示した箇所が歯が欠けています。ポルシェシンクロの泣き所です。

1-2スリーブの中で同じような箇所が6か所ありますが、そのうち5か所が欠けています。

欠けているところはこのようになっています。

これではシンクロCリングもこのように削れてしまっています。

 

こんな状況でしたのでオーナー様と相談してこの際1-4速をワーナーシンクロに替えるβバージョンでやりなおすことにします。このバージョンではある程度費用も落とせます。しかもミッションシフトは今までとは比べるまでもなく楽にシフトできるようになるはずです。

 

ワーナー化用パーツを集めて組み立て準備です。シンクロ・ボールベアリング・ニードルベアリングすべて新品です。

1-4速まで組み立てました。

リヤ側はポルシェが残りましたが、リーズナブルにするにはこの仕様となります。

5速の裏にはこの仕様でも「5速裏スラストニードル」仕様で組みます。そしてM38ナットはサイドロックボルトで回り止め。

前後ギヤ組が完成

ギヤ精度

 1st  2nd  3rd      5th

エンドプレイ

0.32 0.18 0.15 ーーー 0.05

バックラッシュ

0.08 0.12 0.05 ーーー 0.05

良い値に収まっています。

シフトフォーク関係の組付けです。

ポルシェシンクロとワーナーシンクロのシフトロッドは異なるため見た感じは同じですが中身は異なっております。シフトフォークは通常は鉄製ですが、今回はアルミ製の強化バージョンで組んでいます。

5速はポルシェシンクロでここは今までのままです。

組付け準備に入っています。

リヤエクステ別のにしたんですね と言われそうですがこれは元々のリヤエクステをブラストかけてきれいにしたものです。これもすごい技術ですね。

今回はリヤエクステ周りのオイル漏れが発端の作業だったのですが、リヤエクステとしてはこの部分にオイルシールが有ります。(ここの部分はリヤエクステの種類であるものと無いものが有ります、無くても問題は有りません)

ここの部分のオイルシールを交換します。

ここのシールにもオーリングタイプとリップシールタイプとありますが、リップシールタイプは殆んどが用をなさない状態になります。私の考えではこの部分をリップシールタイプにするのは設計ミスだと思います。

 ですので私はリップシールタイプの場合であってもすべてオーリングタイプに換えてしまいます。

リヤエクステアウトプットオイルシール交換です。

これが代表的なリップシールタイプの使用方法で、この様な使い方がリップシールの普通の使い方です。違いはほぼ回転方向への動きしかしないことですね。

つぎにこのストライキングブロックのシール交換です。見えているオーリングと内部に一か所のオーリングと2か所のシールが有ります。

このミッションについてはこの部分にあるべきオーリングが付いていなかったです。残骸も見当たらなかったので何でこうなったかは不明です。

オーリングを取り付けました。

フロントカバーのオイルシールも必ず交換します。

 

画像でクラッチフォークピボットのねじのお尻が見えていますが、ここも外部と通じているので通常は液体パッキンでシールします。やってなかったので実施しました。

これだけ見ても何の部品かわからないかもしれませんが、シフトブロック=シフトレバーの左右の動きを規制するピンとなりますが、手前のがいままでついていたもので金属が変形するほど左右に強い力で叩かれています。シフトレバーを相当手荒い仕方で操作した結果だと思います。今回は後ろ側に見える代品に交換します。

回転試験に入っています。最初の状態とは見違えるように外観はきれいになっています。外観だけでなくもちろん中身はもっとよくなっていますけどね。

油とディスク粉で真っ黒だったベルハウジング内もこのようにきれいになっています。

回転試験としては

シフトチェンジ

回転振動

回転抵抗

温度上昇

オイル漏れ

バックギヤ

スピードピニオン

バックランプスイッチ

エア抜き

すべて問題は見られませんでした。完成です。

この後オイルを抜いて発送準備です。