RZ250Rエンジンの探索  2012.10.18

 

RZ250RですがRZ250のモデルチェンジ機として発売されました。

エンジンとしては大幅にモディファイされています。

 

今回は廃却レベルのRZRエンジンが手に入ったので、モルモットとしてこのモディファイの内容を探索します。

なぜなら、RZ250に使えるところは使いたいですもんね。

何が、改良されているのでしょう。

逆にいえばRZ250の欠点は何だったのかが分かります。

 

このエンジンにはYPVSという排気デバイスが付いています。排気出口をサーボコントロールで開口を制御するというもので、2サイクル特有の回転数の違いによる脈動の変化を修正しようとしています。

 

 

 

 

 

早速分解に入りますが、インテークは互換であることはチェック済みです。

左右気筒を連結するパイプはRZより太いですが、インテークとセットで使えます。

パイプが中央で湾曲しているのはキャブが異なるので干渉を回避する為です。 

リードバルブも同一ですので使えます。今回のモルモットは錆がひどくて流用は無理ですが。

ウォーターポンプとオイルポンプです 。

見た感じ同じです。

YPVS排気デバイスです。

2本のラインがサーボモーターでコントロールされます。

 

今回のモルモットは錆がひどいです。

シリンダーはボーリングしないと使えません。使いませんけど。

ピストンもだめでした。

この2つはRZとは互換性はありません。

 

 

 ・シリンダーはRZとは全く異なります。ボルトの数が4本から5本に増えてます。

 

・シリンダーヘッドも同様。ただ、ウォーター接続部にはサーモスタットが入っております。RZも250には無いが350にはサーモスタットがついています。それを比較するとハウジング内径が異なりますので、RZ用のハウジング内径を旋盤で50mmに拡大すれば使えるかもです。またエンジン温度センサーも丸ギボシ端子へ強化されておりますが取り付けネジがRはテーパーネジに変わっていますので付きません。ネジをrzと同じに追加工できれば可能性はあります。

左がRZRのサーモスタット 右RZ

 

左がRZRの温度センサー  右RZ

 

 

・シフトフォーク関係 刻印番号が同一の為共通の様です。ただ、後ろ側のシフトフォークスライドシャフトは長くて互換なしです。

 

・クラッチ関係 形的にはほとんど同じです。クラッチスプリングはRZより固いかもしれません。強化クラッチスプリングとして使える?

 

 

・クラッチ関係のパーツの記号は異なっていますので、何らかの差がありそうですが、寸法的にはほとんど一緒ですので、形としては組みつけできそうです。

 

 

・ミッションはASSYでは3mmほど長くて互換無。長い分はドグクラッチを厚くしたからだと思います。他は同一?

 

・シフトドラム 上がRZ 下がRZR やはりだいぶ長いです。ただし両脇は同一っぽい。

 

 

・キックスターターですが、多分同一です。画像では白い樹脂部品を付け忘れました。

 

 

・さて、問題のクランクケースですが左がRZ 右がRZRです。クランク側については、RZRは全幅で173.5mmから175.5mmに2mm幅広になっています。ベアリング取り付け外幅でも156.5mmから158.5mmと+2mm。これはコンロッド大端部の強度対策でコンロッド幅を1mm幅広にしたことに起因します。2気筒分で2mm幅広になったのですね。コンロッドピッチが同一であることは雑誌などで述べられています。センターのリブ厚=ベアリング受け幅ですがRZ47mmに対してRZR45mmと縮小されています。

 

 

 

・ミッション側については今まで見たように115mmから120.3mmに5mmほど幅広になっています。

 

・ケースの全体の形は似ていますが、ボルト穴位置が微妙にずれておりもちろん互換は無理。

またケース一式RZRでシリンダーのみRZパターンも、シリンダーの取り付け穴位置が大幅に異なるので無理であると思います。

ただし、エンジン丸ごと交換は雑誌などでも紹介されていますので、フレームへの取り付け関係ステーは同じ寸法なのかもしれません。

 

 

・クランクケース左サイドカバーですが、取り付け関係は全く同一です。ただし、クラッチの機構の取り回しが異なります。RZはカバー側にクラッチプッシュ機構があり、RZRはクランクケース側にあります。したがってRZRにRZのカバーを流用は可能そうです。その逆はNG。これをやると左サイドの姿はRZぽいRZRエンジンになるかも。 

 

・次に右サイドですが、これもどうやら取り付け関係は同一です。そしてこれは相互に互換出来そうです。ただしポンプカバーの形が異なるのでカバー毎の交換が必要です。RZR用は周囲のボルト穴に補強リブが追加されています。またクラッチカバー部に井げた状の補強リブが入ります。オイルポンプもウォーターポンプも大きさ的には同一っぽいです。

 

・さてクランクですがRZRは2mm幅広ですので、RZRのクランクをRZのケースに入れるとどうなるか?結果的には入ります。そしてなんと回転も可能です。ただし、幅広分の余波がこんなところに出てきます。当然ですけど。ただ、ぎりぎりですが、ケースの中には収まります。

RZRのクランクは結局コンロッドセンターを中心にして左右に0.5mmずつ拡幅していることになります。結果、左右の軸付きだしもその分短くなっています。また内側のベアリング幅もその分短くなっています。ただ、ぎりぎりですが、ケースの中には収まります。

寸法的にはクランク外幅154mmから156mmへ

     内幅 50.2mmから48,2mmへ

     クランクマス幅 52mmから54mmへ

     コンロッド大端幅 16mmから17mmへ

     フライホイール側軸長さ 75mmから74mmへ

     ドリブンギヤ側軸長さ  66mmから65mm(ちょっと微妙だった)

     クランク総幅  295.7mmから297.5mm

 

 

・ピストンについて