ミッション・クラッチ関連技術情報 その2    その1はこちら

 

71系ミッション主なメカニズムを代表で71BコンパチC Ω10で詳細にレポートしています。 

 

2013年5月12日

車検に出すときから気になっていることがあるのです。クラッチがどうもヘンなのですが、目いっぱい踏んでもほんの少しディスクが引きずっているような感触で、さらにツナガリは深いところからつながるのですが、完全につながるのはかなり高い位置、つまり中間状態は著しく長いのです。かといって滑っているわけでもありません。操作感は最低です。

 運転が楽しくないので、結局エンジンを下ろす羽目になりました。車検取って2週間目でエンジンおろすって人いるのかな。そして、クラッチカバーを外してチェックしてみるとこんなんです。

 

 

 

クラッチカバーのディスクフェーシング面ですがスケールを当てるとこんなにテーパーがついています。面としては平面ですが全体が円錐状に変形したものと思われます。磨耗ならこのようにはならず凸凹しているはずです。 こんなことあるのかなと思いつつ手持ちのクラッチカバー5個すべてを確認してみましたら(全部 純正中古いや大古)なんと、1個を除いてはすべて同じ傾向です。あまりにも確率が悪いので最初からこのような設計なのかなとも思いましたが、機構的に有り得ない状態ですので私の技術屋的本能はこのディスクフェーシングは豆腐のように柔らかいことを問答し始めています。この金属は鋳物で出来ておりクラッチ盤の食いつきが良くなるようになっていますが、かといってあまり食いつきが良すぎると焼きつきが心配と非常に難しい場面です。いろいろな妥協の末が、豆腐ディスクフェーシングにたどり着いたということなんでしょうか?

 しかたなくまともだった1個に交換して組み立てました。本当はスポーツタイプに交換が望ましいです。

 

エンジン下ろしたついでにキャブも再びSUからウェーバーに交換しました。これで2年間はウェーバーで楽しめます。


71BコンパチCの最終チェック=e-zanaraizerでの確認

 

71BコンパチCが組みあがった状態で5速 60hZ=500rpm で1時間回したときの温度変化をいつも調べています。

今回は5度cの温度上昇でした。

これは今までのデーターからすると非常に少ない値です。

普通は10度cアップしていました。

今回はニードルベアリングもすべて交換しましたので、その影響なのか

あるいは、71Cがオーナー持ち込み品で素性が良い(ギヤの走行距離が少ない)物だったのか、

どちらかはわかりませんがとにかく良い傾向であると思います。

 

一応 71BコンパチC としてはこれで完成です。シフトしたときのシンクロの効きも申し分ないです。

 

実際の車両で使う場合、ミッションもエンジン回転と同じく6000rpmで回るので、一概にこのテスト結果と比較出来ませんが、何らかの不具合が有る場合このテストでその兆候はかなりの確率で検出できるはずです。 

 

 

 


 

これも忘れないうちにの一環です。

3時間の車談義の中でハコスカのプロペラシャフトを差込タイプに替えるときの裏技について教えてもらいました。画像のように水色のカバーの付いた差込みの頭だけ買ってきて、中央のシャフトのユニバーサルジョイントを分解して付け替えてしまいます。長さは後ろにスライド部があるので問題ないようです。

 

ただこのやり方の問題はこのスライドスプライン部がガイド無しで垂れ下がった状態になることだと思います。スプライン部には隙間が必要ですので、どうしてもその隙間分振れまわりますので、振動が出ると思います。このやり方でやるなら位置が決まったらスライド部を溶接で固定してしまうほうがいいと思います。

 

先頭にスライド差込が着いたのだからスライドは2個は要りません。

 

もうひとつの対処方としてフェアレディーS30Zの2/2のプロペラシャフトがほんの少し長さ違いでどんぴしゃで付くことも教えてもらいました。こちらのほうがいいかも。

 


 

 

 

e-za方式クイックシフト=標準品流用クイックシフトの造り方

 


これはシフトレバーの比較ですが、右側はS30Zの標準です。注目するところは丸いダンゴ形状の中心に穴の開いたシフトレバーの支点となるところの形状なんですが、s30z(ハコスカも含めて)用は画像の様にかなり小さいです。そこに透明な樹脂性のインシュレーターが入っていますが、ほとんどのミッションはこの部分がヘタってぐにゃぐにゃになってしまいます。

 左側はs130以降dr30などにも採用された支点の部分の形状変更で、大きな小判型の受け面に変更され、ここにこの大きさでやはり樹脂性のインシュレーターが入りますが、こちらのほうがずっと大きくてガタが出にくいですし、しかもインシュレーターは今でも日産部品で入手できます。(右側タイプはすでに製造廃止です)

 

左側のものは、この改善支点形状部分の上にハコスカに合わせてストレート形状っぽいシフトシャフトを溶接切り継ぎしたもので、しかもショート化していますので、ガタの少ないすばやいシフトが期待できます。

一番上がケンメリスカイラインの純正オリジナルです。ほとんどストレートであることがこのシフトレバーの特徴です。

上から2番目はフェアレディーzs30zの純正シフトレバーです。

 

 

そして注目すべきは一番下の いわゆるクイックレバーの典型的な商品です。これは現在でもアメリカで販売されている古典的なクイックシフトです。71B系ミッションのクイックシフトといえば、これしか見たことがありません。

原理は単純でてこの原理で支点の距離を伸ばせばストロークが減るということを利用しています。

ノーマル標準はあらゆる使用形態を網羅して万人に問題なく使用できることを前提にしていますから結構ダルイ設定になっていますが、これをクイックに変更するマージンは結構出あるはずです。

クイックにするとシフト操作が微妙になったり、シフトに要する力が必要になるので、ケンメリでもゆったり走りたい人には問題がでます。 

 

さて、この最下段の古典的なクイックシフトですが画像の四角いプレートで現在のシフトリンケージの上にアダプトするのでシフトレバーの根元が かさ張り、ゴムのダストブーツが取り付けできなくなっていたと思います。 

 

 

画像下側が新たに造ったクイックシフトですが、35%シフト距離を短くしました。

標準品流用クイックシフトの造り方


そして3点目の大きな変更点ですが、シフトレバーをセミクイック化しています。方法は先ずシフトレバーをR30以降の小判型支点を持つタイプ(画像右から2個目のパーツ)を入手して、そこにS30の純正のシフトレバーを切り継ぎします。そして小判部分のカラーを上下逆に取りつけますと画像の様になります。これで支点から作用点までの長さが57mmくらいのシフトレバーが出来上がります。一番右が純正のレバーですがこのサイズは43mmくらいです。このサイズの差分だけクイック化したことになります。

 

これに対して取り付けるシフトブロック(画像左側)についても加工して行きますが、画像の様に支点穴を追加工しています。通常の支点穴にたいして上部にずらして距離を延ばして加工します。

 

画像では左右方向にも少しずれていますが、加工ミスしたわけではありませんよ。シフトノブを位置を少し後方にずらす為にわざとしています。なぜなら私は腕が短いのでアメリカ人に合わせたシフトレバー位置では1速が遠くなるのでその分を補正しているのです。

 

これで高価でありながらシフト部分がやたら巨大化する従来のクイックシフトシステムを購入しなくてもシンプルに純正品を流用追加工するだけでシフトのクイック化が出来ました。

 

実際には前後ストロークで25%のストローク短縮となります。寸法で20mmですが、手の感覚ではかなりクイックになった様に感じます。実際例はこちら

 

またアメリカなどで販売されている後付けのクイックシフト上乗せタイプのシフトレバーのみをそのまま流用することも可能でその場合はもっとクイックになります。(クイックになるのは前後ストロークのみです)

 


2017年8月1日

業務連絡:シフトレバーのあごに注意

シフトストロークのマッチングについて

シフトレバーについて基本的には取り付けは取り付けるオーナー様側の作業になるので、自分的には取り付け時にチェックされていると考えていたのですが、今回すこし問題が出たのでご連絡します。

 

71B系2分割ミッションのシフトレバーは大まかには2種類あります。(4速2分割は除く)形状の違いを含めるともっと(5種類くらい)ありますが、大きな違いは画像の寸法です。

ミッション側A寸法  38mm 43mmがあります。

シフトレバー側a寸法 38mm 43mmがあります。

当然これらはそれぞれどうしで組むのですが、今となってはどちらも何回かメンテ交換したりして、

混在している場合が少なくないし、わかっていてもよりクイックな43mmをつけたいのがマニアの習性です。

しかしこの時ミッション側A寸法38mmに対してシフトレバー側a寸法43mmを組むと問題が出ます。

この様に組むと内部では画像のようなことが起こっています。シフトレバーの”あご”がストライキングレバーの穴の淵に当たってしまい、ストローク不足が起こります。ある程度はストロークするので気が付きにくいですが、中途半端なシフト状態になっている場合があり、問題なく走れる場合もありますのでますます気が付きにくいですが、この現象はバックギヤでは影響が大きく、時にはシフトストローク不足でバックギヤが抜けてしまうということが起こります。バックは他のギヤに比べてシフトストロークが大きいのでこのようになりやすいです。

上記の場合以外は内部ではこのようになり、シフトレバーの”あご”は当たらず完全にストロークします。

これは他の組み合わせ、例えば

ミッションA43mmに対してシフトレバーa38mmではあごは逃げるので問題なし。

43mmどうし、38mmどうしはもちろん問題なしです。

 

 

でも、シフトレバーが43mmのしかなくミッションは38mだという場合どうするかというと、私の場合はミッション側のウサギの耳部分にシフトレバー支点をもう一つ上側に追加加工して対処します。こうしてあればあらゆる組み合わせが可能だし、前記事のイーザ方式クイックシフト化も可能です。

 

しかし、すでにミッションは組んでしまってそれも難しいという場合は43mmシフトレバーのあご部分の干渉部を削る逃げ手もありますが、強度は気を付けなければなりません。


 

 

ミッションの置き去り現象って?

 

シフトが1速に入ったまま抜けなくなった例です。シフトレバーは左右には動くが前後に動かず1速からチェンジすることが出来なくなっています。


リヤエクステンションを分解してシフトキーが見えてきました。見たところ普通ですが、このキーの中をストライキングレバーがHパターンで動く訳ですが、前述のシフトレバーの動きから見て、ストライキングレバーが本来の部分を押してからに行くべきものがを置き去りにしての部分へ入ってしまったと思われます。

つまり、矢印の部分をすり抜けたということですね。

これは確か日産がレースで苦労したところだったと思いますが、「シフトの置き去り現象」と言っていた事だと思います。こうなるとAを直接押してやらないとシフトは戻りません。

何故そうなるかというと1速から2速に入れようとしてものすごい力で3速側に押し付けつつシフトするとレバーがキーのメントリ部分に刺さってA側のシフトロッドが撓んで隙間が大きくなりすり抜けるわけです。

71Cではこの対策の為に1-2速のシフトロッドの太さをφ14からφ16にして剛性アップし、さらにストライキングレバーの幅も厚くする変更をしたのだろうと類推します。(違っていたらごめんなさい。でもたぶんそうです)

 

また、Iさんの話で4速とバックRの間にもポケットがあると表現していますがこれと同様のことが起こっていたと思われます。

 

まとめると、シフトロッドとシフトキーの隙間が開きやすくなっていたか、Iさんのシフトスピードにシフトリンケージの剛性がついてこれなかったかのどちらかだとおもいます。

 

 

 

 


71系はカウンターフロントベアリングで難儀した?

そしてこれらはカウンターの先端に付くボールベアリング達ですが、一番左が71Aの標準で、その右側が今回使用するシールドタイプ、その右は71Bの同じ部位のベアリングですが径が拡大されています。そして一番右は71Cの標準ですが、71Bよりさらに径が拡大されています。

このカウンター先端のベアリングはよっぽど泣き所であったらしく、このような変遷を経ています。

尚、これらすべて今現在では日産部品では入手できない製造廃止品ですので、私は昔なじみの商社に探してもらい取り寄せています。


 

 

 

71Aの設計ミス?シフトフォーク

71Aのシフトフォークは爪が片べりしている場合が多いです。理由はフォーク爪がスリーブの180度で押していない為、スリーブが傾くからです。寸足らずだったのですね。結果ギヤがときどき入らなくなるという現象になったと思います。

71Bになってからはフォーク又の所にもう一か所スライド面を付けて3点支持にしています。

 

それで今回は先に出てきた71Bの3点支持のシフトフォーク対策品をコンバートすることにしました。今のところ1速ー2速のみこれが可能でした。そのままでは付かないので追加工が発生します。

でもやる価値はあると思います。


2015年度から3-4速シフトフォークも3点支持品に対策可能となりました。内容についてはγ―シリーズの記事を見てください。

 

Z432Rもともと付いていて取り外した71Aミッションを分解チェックしてみます。数年前にオーバーホールしたがゴトゴトと音がでていたとのことでした。(元記事は こちら

 

分解してみると先ずこの通りシフトフォーク先端のスリーブ溝とかみ合う部分、極限まで摩耗しています。2-3mmくらい隙間が見えます。摩耗度合いの最高値です。

これではシフト前後ストロークがものすごく大きくなり入りずらかったと思われます。

 

また、バックラッシュやエンドプレイですが手で動かした限りでは感知できない、つまり測定不能の状態でした。

 

オイルがものすごく粘度が高いものを使っているようでそのせいかもしれませんが、数値が小さめなのは確かだと思います。エンドプレイの過小=締めすぎは焼きつきの原因になります。


 

 

フロントベルハウジングの寸法の違い

 フロントのベルハウジングにもいろいろあります。右サイドに刻印が有りますがそれを目印にして種類を特定していきます。

 

               L2(4S)  L (5S)
 

1 ギヤボックス内側深さ  174.7   175.4

 

2 ギヤボックス外側長さ  190.3   190.3

 

3 隔壁の厚み        15.6    14.5

そして転んでもただ起きないというのが私のモットーですので

こんなものを考えました。 

 

M38ナットを追加工してロックネジを取り付ける方法を考え付きました。 

 

このM38ナットの緩みは71系ミッションの一つの弱点であったらしく、N社さんも何回も設計変更をしています。

この後、ロックかしめ溝が追加されそれでもNGで

そのあと71Cの時に左ねじに変更され、ロックかしめ溝追加に変更されました。

 

今回私は画像のようにロックネジ追加対策を発案したのですが、なぜN社はそうしなく前述の左ねじ可締め溝対策を採用したのでしょうか?

いろいろ実験して決めていると思いますので、何らかの理由があるとは思います。またコスト的な問題もあります。でもネジの緩み対策でもっとも強烈なのはこの方法だと思うのですが、そうでもないでしょうか?

 

 

 


71A3分割ミッションの泣き所

71A3分割ミッションはメインシャフトのM38ナット緩みが泣き所ですが、その緩み止めのワッシャーはすでに製廃です。

仕方なく製廃となったロックワッシャーを作成します。

 

ステインレスのワッシャーを右側画像のように

加工して使います。

 

このワッシャーは5速のスラストを焼き入れワッシャーと背中合わせで直接受けますので、面が出ていないと5速のエンドプレイ=遊びに影響します。このワッシャーを外してしまう理由はそれが調整しずらいからだと思います。

 

話が判りづらくなりますが、本来この部分は2重ナットで締め合わせ調整ではなく、受けワッシャーに当たるようにカラーを入れて止めてそれをM38で目いっぱい締めこむやり方が普通の機械設計です。事実、71AでもポルシェシンクロのFS5C71Aや71Bからはそのように変更されています。

 

 

追記:説明不足で誤解されやすいところが有りましたので訂正します。上記のM38ナットに突き当てカラーが無い件ですが、同じ71Aの中でも今回のRS4W71Aなどのワーナーシンクロ系はそうだということで、FS5C71Aなどのポルシェシンクロ系はちゃんとカラーが入っていますので、通常はM38が突き当ってロック出来ています。ただ、パーツリスト上ではFS5C71Aでもロックワッシャーが存在しており、これは過渡期の名残かも知れません。現実には付けていない例が多いです。それはカラーで突き当り締めつけに問題が無いから省いてしまっているんだろうと思います。あった方が良いですが、ロックワッシャーが無いからと言ってすぐにM38緩みに直結するということでは無いです。

でも心配だという場合は、もちろんロックワッシャーやM38サイドロックボルト加工は安心材料にはなると思います。 

 

 


2015年10月31日


見たところ普通の71A3分割ミッションのリヤエクステンションです。

でもこのとうりぱっくり。

 

スピードギヤアウトプット取り付け面の切削カド部から亀裂が進行しているのが見取れます。

 

予防保全するならこの角部を少し削り込み丸みを持たせます。

強度に詳しい方はいっている意味が分かると思います。

 

 

それにしてもこの複雑なインバース形状をよく鋳物で作ったものです。しかも鋳物の厚みは思ったよりずっと薄いですね。鋳物は薄く作る方が難しいですが、重量との兼ね合いでこうなっているんでしょう。


この症状より71A3分割ミッションは強度的にあまり無理が出来ない状態である事が分かります。


2016年6月13日

 

ケンメリGTRの2分割ミッションフロントケース純正新品ですがヤフーオークションで出品され120件の入札があり、なんと487000円で落札されました。私にはとても手の出る値段ではなかったです。

 

私は今までに依頼されてこれで何回かコンパチcクロスミッションを組ましたが、都合総額860000円のミッションとなったということになります。

まさに希少価値のお宝パーツとなりました。

 

これが有ればS20エンジンユーザーはミッションで困ることはなくなりますから無理もないですね。

 

 


71Bの軽量タイプがある

実はこのアダプタープレートには形状は全く一緒で材質のみアルミになっているものがありますがそれを使うとすごく軽量化できそうです。鉄製が3.50kgに対してアルミ1.17kgで、2.33kgも軽いです。ただ、71Bのみの存在だと思いますのでシフトロッドの1-2速の穴はφ14です。したがってこれをコンパチCで使う場合は工夫しないと付けられません。このアルミ製はどうしても強度は低いはずですから、馬力の大きなエンジンには避けたほうがよさそうです。サニーなどのA型エンジン用63Aミッションなどはやはりほとんどがアルミだったと思います。


71cのインプットのカウンター側=4速ギヤにはこのようなシザースギヤがついていますが、一番上の丸のこの刃のように薄いギヤはこのカウンター4速より歯数が多くなっていて4速ギヤと接しているので相対的に少し回転が落ち、その分カウンター4速を常に抑えるような摩擦力が生まれメインインプットギヤとの間のバックラッシュに起因するギヤ同士のたたき合い、いわゆるガコガコ音を消す作用をしています。ギヤの直径は同じでかみ合いも同じなのに歯数が多いというのも妙ですがこれはギヤの転位係数というものを変えているから、ええいややっこしくなってきた。上から2番目のリングが皿ワッシャースプリングの大きなようなもので押さえ力を発生して、3番目のリテーナーで固定して4番目のスナップリングで抜け止めとなっています。ただこれは分解したものはほとんどが摩擦面はピカピカに光ってしまっているし皿ワッシャースプリングも摩耗してしまうので効果は?だったようです。


71A・Bポルシェシンクロ仕様の5速焼き付きや5速抜けの原因

とにかく分解してゆきますが5速のM38ナット側のスラスト受け面は無残な有様です。

 

経過的にはM38ナットを迷信技タガネ加締め攻撃で締めたがやはり迷信でしかなく緩みが生じた。

・緩みの隙間の範囲内の中で5Sギヤが何回も叩かれる事態になり無理がきてかじり始めた。

・かじりによりM38ナットはますます緩められる力を受け始めた。通常ならナットの前のスラストワッシャに回り止めの切り欠きとそこに回り止めボールがあるがすごい焼き付きでとっくにはじけ飛んでいた。

・M38が完全に緩んだため5Sギヤはスラスト分力を受けるたびカウンター側の5Sギヤとこすれ出してくる。そこに引っかかるのはシンクロ舳先なのでシンクロ舳先がまともにスラスト受けて抜け始めた。(5Sギヤはもうフリーになっている)

この時点でひどいがりがり音がすると思います。  詳細はこちら


e-za方式71B5Sかじり対策=5S後ろ側スラストニードルベアリングの構築

 

 

通常の71A・Bの5速とM38ナットの関係はこのような感じです。5Sはプレーンのワッシャーのようなスラスト受けで面受けされていますので、摩擦抵抗が大きい状態です。

今回の対策改造はこのようになりますが5速ギヤの後ろにスラストニードルベアリングをセットしています。今回私としては初めての対策だし、私の知る限り他でも見たことはないのでおそらく初めての試みと思います。

私の扱ったこれ以降のこのタイプのミッションにはほとんどすべてこのオプションを施しました。

そしてさらにM38ナットには私の編み出した技、サイドロックボルト加工で緩みを完全に撲滅します。周り止めワッシャーも併用していますが、おそらく周り止めワッシャーは省いても問題はないと思います。そもそも製造廃止で入手できないパーツですが。3枚前に出ているノーマルの姿と比較するとずいぶんとしっかり感が出ていると思いませんか。

 

以上実際の使用例がγシリーズを中心にこちらから見れます。


71Aリヤシフトアウトリガーからのオイル漏れ防止

このシフトレバーが取りつくところの私的にはアウトリガーと言っている部品の固定はこの円筒状のカラーをケースに打ち込むことでやっていますがそのカラーの中間にこのオイル穴が有りましてミッションオイルが入り込むことで、このアウトリガーとカラーの間のオイル潤滑するようになっています。アウトリガーの両端とカラーの間にはオーリングが入っていてこの潤滑オイルを止めるようになっていますが、車が急加速したり、坂道を上る場合はミッションオイルが大量にリヤエンド側、つまりこの穴に流れ込み圧力が高まりオーリングを押し破ってオイル漏れします。

今回対策としてカラーの前端側にこのブッシュを構築してミッションオイルの入る量を必要最低限に抑えることを狙っています。詳細は こちら