看板車のS30Zをリフレッシュする その1  その2  その3  その4  その5

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足回り系はきれいで手が入っている感じです。

ブレーキはMK63、ベンチレーティッドディスク

ブレーキホースはステンメッシュ(キノクニかな)

ヘッドライトが小糸のハロゲンでシールドよりはずっと明るいことは良いのですが、シールドの曲面レンズに対して小糸ハロゲンは平面レンズなのでS30Zの雰囲気がスポイルされてしまいます。そこでヘッドライトを他メーカーのバリ曲面レンズランプに換えます。

ヘッドライトの裏側カバーもきれいに整備されています。

取り外してヘッドランプ交換、使うランプはルーカス製となります。

 

こちらが今までの平面レンズ

 

こちらが交換した曲面レンズ。

画像だけでもだいぶ印象が違いますが実物はもっと良い印象になって来ます。


 

この部分、シートベルトですがこのフックではいざという時にわっかが開いてシートベルトが外れる危険性があります。

 

 

10トンまで保証付きのこの金具でやり直してゆきます。


 

純正シートベルトの巻取器がこの部分にぶら下がっていて邪魔です。

 

ストラット上部のこの位置に移動、この方がまだ目立ちません。



この後天気が良くなったので1か月振り久しぶりに試走に出ましたが、どうも納得ができない状態でしたので急遽もう一度デフ下してやり直しています。お車ごとお預かりしているのでこういう場合納得ができるまで仕上げることができます。再度ピニオンまで外して全分解してシム調整やり直して完成、もう一度載せて試走、今度こそ満足のゆく仕上がりとなったと思います。

安心して試走に入れる状態になったので、キャブ調整に入ります。遮熱板が変な取り付けをしてあったので修正しています。遮熱板はどちらかというとキャブの後ろ側から真下に対してガードしなければなりませんがどちらかというと前よりについていましたので修正。

現状としては

メイン エアー アイドル ポンプ

175 220  60   45

で普通に走るのですが何かパワー感がありません。

 

先ずは燃料油面調整したのですが17mmぐらいしかなく大幅に高すぎる状態です。ので20mmぐらいまで下げました。アイドリングでオーバーフローでぼこつく現象もみられました。

それにソレックス45でモノジェットタイプだと思うのですが、エアージェットがこんな風に頭が小さく、初めてこのタイプを見ました。番手は有っているのでこれで良いのかもしれません。通常多いのは頭の径が9mmタイプなんですが・・・。

ジェットの手配をしている間にこちらのエアーコントロールを治します。ヒーターコントロールが効かないとのことで、センターコンソールやグローブボックス外してチェックしてゆきますがどちらにしてもこの部分は狭いところで手も顔も入らないので非常に面倒です。

このコントロールは後期型それもかなり最終型に近いもので、クーラーが付いていたのでコントロールにもクーラーポジションがあります。

さて、ヒーターコントロールワイヤーを取り外していますがワイヤー自体には問題がありませんが動きを見ていると全く動かないでワイヤーが折れ曲がるだけの状態でした。チューブのすべりが悪いのかと思ったのですがそれほど悪くありません。ワイヤーに給油しておきます。

原因はどうもここにあるらしく、これはどちらかというと日産さんの設計ミスっぽいです。チューブの固定位置が遠く離れすぎているのでレバーを動かしたときにワイヤーを押さずにチューブ毎向こう側にひっくり返ってしまっていました。完全に直すにはチューブの固定位置を増やして対処したいところですが、今回は無理なのでチューブの飛び出し量や曲がり向きを調整して何とかまともに動くようにはなりました。

クーラー無のコントロールはまた異なるのですが、初期型から比べるとこのあたりの設計はどんどん原価低減の対象となったようです。一例を言えばワイヤーチューブの固定がボルト固定からワンタッチスナッププレートに変更されたり等です。

引き続いてウィンカーの修理

これもs30zによくある故障でウィンカーレバーを押しているのに点かないという現象です。ここもどうもスイッチの作りがプアーなところでスイッチ機構の高級度が低いものを使っているせいです。この車はウィンカーもさることながら真ん中の白い線パッシングスイッチの線が切れかかっています。

今回はオーナー様がドナーのウィンカースイッチを持ってくれていたこともありこちらに交換してゆきます。この後期型のウィンカースイッチの機構は高級設計に切り替えられています。

最終的にはこんな感じで修理完了です。

狙い番手のソレックスジェットが入荷したので再びジェット調整に入ります。ジェット調整時特殊なジェットを扱うドライバーとして自分は専用ドライバ類を製作販売しています。キャブマスター工具 こちら

 

この工具を使うとジェットを痛めることなく、またジェットの紛失を防ぎ、楽しくジェット調整ができます。

今回は燃料油面が高いので調整しましたが、特に3番キャブが極端に高いのでフロート関係をチェックしています。

 

フロートを上下させる支点のこの部分痛みがあるのでチェックしています。

 

この部分クラックかなと思ったのですが、どうもダイキャストの合わせ目痕の様です。


メインジェットを#175→#180と替えまだ加速が力強さが出ないのでさらに#185にしてかなり良くなりました。エアーは取り合えず#220のままで行きますが場合によっては#250にした方が回転の立ち上がり感がもっと出るかもしれません。今までがかなり薄かったということですが、L28としてはジェットが大きすぎるのでエンジンが何らかのチューニング又は排気量変更されているのではと思わせるほどです。

メインが大きくなったので低回転側が濃いめに変わりますのでアイドルジェットを#60→#57.5に変更します。

メイン#185 エアー#220アイドル#57.5

となりました。

 

キャブがらみで燃ポン音がやけに大きくうるさいのでチェックしたらこのマッドガードの裏側についています。タイヤハウスを振動が伝わって音が大きく感じるのか、それとも燃ポン自体の問題なのか。

 

オーソドックスなこの位置に付け替えました。音はかなり小さくなったのですがこの燃ポン作動音間隔が細かすぎチャッチャッチャッという感じで耳障りが良くないです。コッチョン、コッチョンというあのメーカーの方が聞きやすいかな。


又室内に戻って、ドアを閉めたときのミョーンというような振動音が安っぽく感じられるので治します。この音は大部分の場合ドアセンターを通るレインフォースメントとドア表面の鉄板の間の緩衝材が劣化したことに寄ります。このようにして緩衝材を修理して安っぽい音は治り、高級感のあるドア締まり音ボムッになりました。

引き続きZではよくあるこのホーンパッドの劣化による脱落、内側のプラスチックリングが3か所で割れてしまっているのでハンドルに押し込んでも固定できません。前方に危険なものがあり、ホーンボタンを慌てて叩いたとたんにパッドが脱落してパニックに、というような事ありませんか。そういう時には決まってこのパットが床に落ちてブレーキペダルの裏に入り、ブレーキが踏めなくなるという確率はかなりあります。

私はこの部分の補修用にパーツを製作して販売していますのでお入り用の方、どうぞ。販売のページ

価格は3500円です。

 

カッターナイフでプラスチック周囲に切り込みを入れてドライバーなどで破損プラをこじりだします。(カッターナイフをあまり深く入れてパット表皮は切らないよう慎重に)

 

次に養生テープで外周を養生してから底面にシューズドクターN(セメダイン)を塗り込みます。左上が補修リング


 

補修リング内径も養生してパット中央に貼りこんで、外周との隙間にシューズドクターNを充填してゆきます。充填しきるとパッド外周を少しニギニギすると液状化現象のようなことが起こりさらに充填が進みます。

 

最後に表面をなだらかに撫でてきれいにして完成です。セメント打ち込みの作業に少し似ています。1時間ほどしてから必ず養生テープを取り除きます。 養生テープをいかに隙間なくきれいに貼り、はがすかが出来栄えのポイントとなります。やってみてください。


予定の作業をすべて完了して完成です。

この後オーナー様のドライブで福井までそのまま出発してゆきました。夕方無事到着の連絡で安心しました。ミッションもデフも全オーバーホールでリフレッシュされ良くなりましたとのことでした。

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