日産 FS5W71C リビルド リフィール クロス組 ギヤ比変更 オーバーホール

R32・R31・S13・S14など

71BコンパチC Ω20~

2019年1月11日

FS5W71C Ω20 OSクロス

 

 いずれ来るだろうなと思っていたこの依頼がやはり来ました。R32用71Cミッションのリビルドオーバーホールとクロスギヤの組み込みです。私は71Bの中に71Cをいろいろ改造して組み込むことをしていますから、71Cをそのままオーバーホールして71Cに組むことはもちろんできます。また、71Cにもいろんな種類があるので、例えばCA18系では2速のみが大径ダブルシンクロで3速・4速が小径シンクロである仕様、シフトフォークが鉄やアルミの仕様、5速が0.83や0.75などなど、71Cでも過渡期の仕様は最終仕様から見れば性能的にはもちろん低いのですが、これらの組み合わせの中ですべての71Cをもっとも性能が良い最終仕様の仕様組み合わせでリビルドすることができます。

依頼されたのはR32 トミーカイラM30仕様ということでR32の中でも特別バージョンですね。

 千葉のU様よりディラー経由で依頼されましたが、1速ー2速のシフトが入りずらいということで困っておられるようです。特に冷間時にひどいといううことなので現象的にはシンクロの摩耗ですが71Cの大径シンクロは4万Km程度では摩耗はしないですので、他の部分に問題があるのかもしれません。

 これから分解してゆきますが、仕様としてはバックをリンクを介してシフトするバックリンクタイプです。

今回はリビルトにあたりクロスギヤ化したい、できれば240クロスに近いギヤ比にしたいとの要望です。

ギヤ精度についてはバックラッシュ、エンドプレイともに大きな問題はなさそうでした。ただこのメインシャフトの歯面にこのような欠けが2か所、よーく見ると小さな欠けはたくさん見られます。歯面をやはりよーく見ると微妙な凸凹がみられ、うねっている感じです。通常はこうはならないのでどこかのギヤで歯欠けが起こってその欠けた破片が挟まったためにできた欠けと思いますが、ミッションが一度分解修理されているようですのでそんな事故が起こっていたのではないかと類推します。

 

リビルトに入っています。

今回幸いにもクロスギヤ組と240クロスギヤ比の再現のご要望ですので結果的にはメインインプットの歯欠けも解消できます。

 主な改造はosクロスギヤ組でさらにメインインプットギヤをローギヤッド化します。

こうするとギヤ比はほとんど240クロスと同じギヤ比に近つけることが可能となります。

右1stと左2ndのメインギヤを組みました。

こちらはメインインプットギヤですがローギヤッド化するとともにΩバージョンですのでダブルシンクロ仕様に組み替えています。ダブルシンクロは71cのシングル大径シンクロと比較しても確実にシフトのスムーズ差が分かるほど、実にスムーズにギヤチェンジできる仕様ですので完成が楽しみです。

5速ーバックギヤ側です。

ギヤ部について全部組み上げました。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

精度は

エンドプレイ 0.34 0.22 0.25 --- 0.21

バックラッシュ0.18 0.15 0.08 --- 0.21

 

と良い値でできました。

ギヤ比について

OSクロスは通常で組めば

2.718 1.722 1.233 1.000 0.759

となりハイギヤードなクロス組となりますが今回これwおさらに全体的にローギヤッド化(一次減速を落とす)したことで

2.939 1.862 1.333 1.000 0.821

となります。

これは240クロスの

2.906 1.902 1.308 1.000 0.864

に非常に近い値となりますが、この組み合わせだと71cでこれが可能となります。

 

ギヤ組が終わってケースに収めて簡易試験機で回転試験に入りました。

ケース外観はブラスト処理してから腐食止めにシリコンスプレーしていますので非常にきれいな、新品と間違えそうな外観となっています。

 

いろんなパターンでシフトを繰り返しますが異常は全く見当たりません。

完成です。


2019年4月2日

71BコンパチC Ω21

 

茨城のハコスカ乗りさんからΩバージョンでご依頼を受けました。

1-2速部品類

ハブとスリーブは新品で組みます。

ギヤ部を一気に組み上げました。Ωバージョンなので4速メインインプットもダブルシンクロです。

ギヤ精度は

   1st  2nd  3rd    5th

EP0.30 0.19 0.28 ---0.05

BR0.14 0.16 0.17 ---0.06

3rdのエンドプレイが少し大きめですが問題ないと思います。

ケースに組み込んで回転試験をして問題ありませんでした。

71BコンパチC Ωバージョン21号 2-3-4速大径ダブルシンクロ バックシンクロ付 バック誤操作チェック機構付き 5速0.75 完成です。


2019年6月10日

71BコンパチC Ω22

 ハコスカ乗りのKさんからΩバージョンご注文いただきました。やり方は安定していつものとおりですがオーナーさんの記録のために画像アップしておきます。

 

 メインシャフトは純正新品

3速まで組みました。

この後、Ωバージョンの肝となるメインインプット=4速を組みます。シンクロは純正でも存在しなかった大径ダブルシンクロとなりますが、シンクロ舳先は新品を使用。

メインインプットと噛み合うカウンター側にはシザースギヤ(画像最前面の歯数が異なるごく薄いギヤ)

が取り付けられ、カウンター4速ギヤと面摩擦することでニュートラル時ギヤのガコガコというチャタリング音を軽減する装置となっています。71A、Bにはもちろん無い機構です。

最近はバックシンクロ付で組むことが多いです。痛みやすいシンクロスリーブは新品を使っています。

 71Bにはもちろんバックにはシンクロがないのでバックにシフトするたびにガリガリッとなりますが、バックシンクロ付きはもちろんガリガリなんてしません。尚、バックにシンクロが付いているからと言って前進している状態ではバックにシフトすることはできなく、シフトしようとしたとしても壁に当たったようにレバーが跳ね返されます。バックシンクロはあくまでもニュートラルからのギヤの慣性回転を打ち消すものものです。

5速は高速で余裕の0.75ギヤ比

71Bは0.86ですのでここははっきりとハイギヤードとなったことを感じると思います。高速が楽でうまく走れば燃費も良くなるはずです。

 オプションで0.83も選択できます。

ギヤ部完成

精度は

  1ST 2ND 3RD    5TH

エンドプレイ

0.24 0.18 0.22---0.18

バックラッシュ

0.12 0.14 0.12---0.14

 

1速のエンドプレイが少な目ですが問題ないと思います。

回転試験をしています。

ケースは5速から誤ってバックにストレートで入らないようにするバックチェック機構付き。

 ネジ穴の痛みが有ったので懸念されるところはヘリサートを打ち込んで補強しました。

今回も回転抵抗は驚異的に少なく、素性の良いミッションで有ったと思われます。

完成です。