2016年3月25日

 

71BコンパチC Ω9

(ルート6)Aタイプ

 

かなり以前に画像のクロスギヤ(中古良品)を入手していましたが、温存していたものです。

 

ギヤのサイドに刻印されているように71C用おそらくシルビア用のクロスギヤです。

ルート6ギヤは71B用は相当以前に消滅していました。71C用は少し前までありましたが、今ではすっかり見かけなくなりました。

 

今回組み立て完成させて有効利用していただきたいと思います。

27日までには完成しますのでそれまでにご注文いただければお譲りします。価格は398000円

タイプ的には4速までダブルシンクロ フルオーバーホールコンパチC Ωタイプとなります。

ご注文はこちらからオーダーフォームへご記入でできます。

Ωシリーズでクロス新品で組みますと450000円ほどになりますので値段的にもお得です。

 

27日以降はヤフーオークションに出品いたしますが上記がスタート価格で上限は設けません。

 

 

ギヤ的にはきれいな熱処理でしっかりできていると思います。

 

特徴はそのギヤ比で

        1ST   2ND  3RD

ルート6   2.730 1.745 1.240

OS     2.718 1.722 1.223

カメアリ   2.427 1.677 1.258

240クロス 2.906 1.902 1.308

 

とOSに近いですがギヤ歯数は全く異なりどちらかというと歯数が多い傾向になります。

 

もう新品入手は難しいですから相当レアなクロスミッションになると思います。

メインシャフトは純正新品を奢ります。

 

シャフトは研磨面の消耗や全体の曲がり、スプラインのねじれなどが経年変化として現れてきます。

 

その点新品は言うところなしです。

左から2速・1速ですがシンクロ舳先は良い状態です。クロスギヤでここがだめだと交換が効かないので致命的となります。

 

スリーブはWPC処理品

 

シンクロリングやベアリングはもちろん新品

3速です。

やり方は上記と同じ

Ωシリーズですから4速はダブルシンクロです。

71Cでもありえなかった仕様、もちろんR32やシルビアまで含めてクロスギヤでも存在しないと思います。

 

シンクロ舳先が新品であることがわかるでしょうか?

5速は0.75ギヤ比

高速が伸びるハイギヤードとなります。

ギヤ部分が完成

 

ギヤ精度

         1st  2nd  3rd      5th

エンドプレイ  0.30 0.12 0.21 --- 0.13

バックラッシュ 0.13 0.09 0.12 ーーー 0.14

 

良好な値です。

M38ナットは私が編み出した技サイドロックボルト加工をして緩みを防ぎます。

完成です。

簡易試験機e-zanaraizerで1500rpm1時間回します。

 

電気負荷1.17A

温度上昇27度

リヤエクステは71Bの最終仕様です。

バック誤操作防止機構付き。

 

71Bスプラインタイプであれば完全互換ポンつけokです。

インプットシャフトはきれいな状態

 

 

追記:画像で天狗の鼻が短く加工されていることが分かります。おそらくトリプルクラッチ対応のためと思われます。今回はシングルなのでこの後通常の天狗の鼻に戻しています。

シフトヒンジピン穴は2種類に増設

 

 

2016年4月25日

今回ミッション交換一日コースでご依頼いただいているので、いろいろ準備に入ります。

・クイックシフト+ハコスカ高比重DATSUNシフトノブ

・スポーツクラッチ一式

・その他駆動系小物部品一式

 

 

前の画像ですでにシフトリンケージにクイックシフトヒンジ穴を追加加工していますので、せっかくですからシフトレバーも準備します。

 

使っている部品はご想像にお任せしますが左記の感じです。

 

71Bの丸いブッシュはすでに製造廃止ですがこのタイプならまだありますし、ガイド面積が増すのでしっかりします。

これが通常の状態

これをこのように小判型のブッシュを入れ替えることでヒンジ穴の位置が動いたことが分かりますか?

 

このように簡単にクイックシフトができます。(ただしリアエクステ分解してシフトロッド部分解ヒンジ穴追加工必要です)


 

 

シフトノブはこれですね。

私のハンドメイドシフトノブ

 

ハコスカ 縞黒檀

高比重

赤ゴールドバッジ

 

詳細は販売のぺージ

購入可能です。

そしてこれを準備

〇s技研のストリートマスターシングルハードです。

 

これには外周3か所に何やら板バネがついていて重要な働きをしているようです。重量はトータール13.5Kgでした。

 

セットでクラッチベアリングがついてきますが、板バネ受け面の直径が小さい(内側より)ので、クラッチ踏力が軽くなると思います。

 

さあ、必要物が揃ったのであとは積み替えに入ります。

 

2016年5月14日

 

ミッションが完成し、スポーツクラッチや他の部品もそろったので、いつもミッション乗せ換えをお願いしている車屋さんで作業に入ります。

このgc10の下回りは完璧にレストアされています。どこも破たんが無い様にみえ、今までで見た中でも相当きれいな下回りでした。

これで富士SWや筑波を走られているそうです。

ミッションオイルを抜くとかなり大きめの金属片がざらざらと出てきました。内部のどこかが欠けているのは間違いないようです。オーナーが異常を察知していたのでこれで大きな故障になる前に対策できそうです。

フライホイールもクラッチカバーも部分的に焼けが見られます。ディスクはセミメタっぽかったです。

クランクオイルシールからもすこし漏れがあります。今回は手順の作業でもありますので念のため交換します。

こんな感じになります。

 

このあとos技研のシングルハードスポーツクラッチを取り付けていきますが、フライホイールの取り付け後いつもディスク面の振れチェックし取り付け面の調整をしますが今回は結果振れが0.000! 最高記録です。たいてい調整しても0.05くらいなんですが。

こんな感じにきれいに取りつけ完了です。

 

私は自分の作ったミッションのこの部分に小さく識別を入れていますのであとから履歴を追えます。(要望がある場合は横の見えない部分にしている場合もあります)

作業完了後私の工房で一休み。

やはりルート6クロスミッションとスポーツクラッチを同時に入れたのでオーナー様は途中何回か発進エンストしていましたが、すぐに慣れると思います。ルート6のシルビア用71Cクロスは相当レアーであると思います。しかも71Bルックで。

 

今回、シフトレバーもクイック化、シフトノブは高比重gtrタイプとしたので、かなりスポーティーな走りができると思います。

 

この後関東方面へ無事お帰りになりました。ミッション交換日帰りコースでした。

 

 

 

2016年5月24日  オーナー様からメールが入りました。

 

川嶋様

お世話になっております。

ミッション乗せ替えてから、800キロ位走行したので、ミッションオイルを交換しました。

渋さも消え、気持ちよくシフトチェンジができるようになり、しっかりした操作感に感激です

クロスのつながりもとても良く、サーキットを走るのがとても楽しみです。

5速もハイギアードになり、3.7のデフと相まって、高速走行が非常に快適です。

(3000rpmで、110km位)

未だに、上り道とステア状態からの発進が難しく、まだエンストするときがあります。

デフを3.9あたりにしたほうがいいかもしれませんね?

あと、デフの異音の件は、近くにあるレース車両のメンテナンスも行っている整備工場でみてもらいました。ギアの磨耗と組み付けに問題がある感じだと言っていましたが、来週にデフを開ける予定です。

もし解決しないようであれば、ご相談させて頂くかもしれません。 

 

ミッションには大満足しております。

本当に素晴らしい商品をありがとうございました。

2016年6月1日

ミッション交換の宿題

 

今回はオーナー様から今まで使っていた71Bミッションの状態が分かったら教えてほしいと宿題が有りました。今回のようにこちらに来て1日乗せ換えパターンだと1対1でミッションが追えるのでこのような事が可能になります。

誰しもあの調子悪さは何だったんだと探求したい気持ちは出てくるし、ましてや今回はオイル抜いたときにすでに金属片が出ていますので何かあるはずです。

 

上記画像でパッと見全く異変は無いように見えます。ですが分解に入るとすぐにこのM38ナットが緩んでいることが判明します。でもこのナットは71Bになってから回り止め加締めが設定されたので緩みながらも完全に外れるところまでは行っていませんでした。でも緩んだだけでいろいろ不都合が生じます。71系のミッションはかなりの確率でこのM38ナットの緩みが見られます。

リヤ回りの部品たち。あまり問題はありません。

5速のスラスト面もまあまあです。

フロント回り。メインインプット関連です。歯数からいってローギヤータイプで1速が3.572から始まるパターンで、これがついているのはエンジンパワーが無く車重が重くなったことをリカバリーするために設定されたミッションです。これでハコスカの3.1Lパワーで使うと一速はエマージェンシー的になりすぐに吹けきって、さぞかし使いづらかったと思われます。(これが一気に2.730クロスギヤになってあんなにエンストしてたんですね。)

この後1-3速もばらしましたがシンクロリングはどれもかなり摩耗していました 。

 

ここまで来てかなり異常な状態が把握できますが、画像のようにカウンター先端を手で振りますと通常より明らかにがたが大きいです。

ギヤ類に大きな損傷はなかったので金属片はなんなんだろうと思っていましたが、ここまで来てわかりました。下列右側はカウンターのセンタープレートに収まる一番負荷のかかるベアリングですが異変があります。

少しわかりにくいですがベアリングのボールで一番上から見て左右の2個が光って見えますがこの部分のベアリング保持器(ベアリングが飛び出さないように保持する輪っか)がちぎれて消失しています。これが出てきた金属片の正体ですね。

 

手で回転させてみるとゴリゴリと手ごたえがあり、クリアランスもがたがたの状態です。

結果的にこの部分に影響が出たのではないかと思いますがメインシャフトの振れが0.02振れ幅で0.04mmあり、これはかなり大きい値です。

 

こうなるとギヤがうなり音が出ていたのではないかと思いますが、いずれは先ほどのベアリングの玉が破壊するか焼き付くかしていたと思います。

 

このあたりで異常を察知できたのはオーナー様の感性であり、対処としてはベストの選択だったのではと思います。

 

 

2016年7月15日 オーナー様 埼玉のSさんからメールが入りました。

 

川嶋様

 

 

 

お世話になっております。

 

「ミッション交換の宿題」拝見させて頂きました。

 

早速、詳細な調査をして頂きまして有難うございます。

 

違和感を持っておりましたが、ここまで酷いといつか重大なトラブルになっていたかもしれませんね?

 

やはり早めの対処でミッションを交換した結果、大事に至らなかったことと思います。

 

 

 

ミッションはお陰さまで大変順調です。

 

バックギアに多少の渋さは残っておりますが、非常に快適です。

 

回転数があっていなくても、スムーズにシフトダウンできてしまうことにびっくりです?

 

 

 

また何かありましたらよろしくお願いします。