2019年2月1日

箱入りZの社会復帰

 北の国から来た箱入りZの続編となります。

 北の国青森から、Zが生産されてからの40年間の内20年間をガレージの中で大切に保管されてきたS30Zワンオーナー車が私のところにやってきたのは、2014年のことですから早5年が経ちました。

そしてとうとう熱烈なS30Zファンとの出会いで社会復帰することとなりました。静岡市内に住む40代の自動車大学の先生ですので必ず箱入りZを大事にしてくれるものと思います。しかし、まず20年間も動かずにガレージ内保管された自動車はどんな状態なのでしょう。車体については雨風は全く受けない環境で夏はエアコン内にいましたので劣化は少ないとは思いますが、さて路上復帰となると・・・。

 路上復帰を目指して新オーナーの先生と私と共同で修理に入ります。

先ずはここブレーキのチェックです。

ときどきガレージから出して敷地内を走ってはいたのですが最近は少し引きずりがあるなと思っていましたが、分解するとやはりブレーキシリンダーからブレーキ液漏れがあり固着状態でした。また、漏れたブレーキ液がシューに回りシューもダメでしたので交換。

 ブレーキシリンダーは確保していた在庫で交換、シューは交換した中古を保管していたのでやはり交換。

順番が前後していますが、サイドブレーキの吊りゴムが完全に劣化切れしていましたので、いつもの方法で修復しています。

元の形はこんなものでホームセンターで買ってきます。

エンジンについては定期的に動かしていたので動くには動くのですがこれも最近ふけ上りがひどく悪くなってきていました。動くのがやっとの状態です。

 症状から燃料不足らしく見えたので燃料ラインをチェックしてゆきます。先ずは燃料フィルターから。

だんだんたどってゆくと電磁ポンプが問題ありで分解しています。先ずは回転音がひどい音でした。分解してみると一番右側のパーツのホース取り付け口が吸入ホース取り付けなのですがそこに小さなフィルターが有り、完全に詰まっていました。ガソリンタンクからの錆に間違いないのでガソリンタンクのドレンからガソリンをすべて抜いて錆を取ります。燃料ポンプも可能な限り補修して交換できるものは交換しますが、異音の原因は真中付近に見える5個のローラーでこれが摩耗していたようです。燃料はこのローラーが下側に見える5か所の溝のある部品の中で移動することで圧送されます。

組み戻しますがそのまま組むとまた錆で電磁ポンプがやられる可能性があるので、ガソリンタンクからの吸い込み側に燃料フィルターを増設します。逆に言うとここに燃料フィルターが無いのがおかしいくらいのことなんですがね。これで最悪またガソリンタンクから錆が出ても確認が可能だし、ポンプも壊れにくくなります。

さあこれで問題ないと車検に向けての検査項目をチェックに入っています。

 お決まりのヘッドライトはハロゲンに交換します。これは S30Z乗りがライトで通る道 で記載しています。

 その他の補器類は全く問題なくチェック終了でもう車検を取るだけということで仮ナンバー取って車検予約してさあ車検だというところで思わぬ問題が発生です。

 

話は飛びますがこの箱入りZは当時の塗装そのままの白で塗り替えられていないので、その白が真っ白ではなく柔らかい感じの白で上品でよろしいと改めて思います。またもちろん車高もノーマルのままですがこれくらいの高さが似合うなーとつくずく思います。

 

さー燃料ポンプもメンテナンスしたし燃料ラインも見直したしと車検予約まで入れて準備したのですがなんと当日車検場まで行く間というか工房から50M走ったところで立ち往生してしましました。現象は今までとおなじ息つき現象で、はっきりした症状としては

アイドリングは問題なくきれいにエンジン回転している ところが 加速しようとアクセルを踏んでクラッチを繫ぐとストールしてしまうというもので 

サー困りました。

 燃料ラインは見たのでレギュレーターやらアクセルスイッチ、エアーフローメーター交換、などなどほとんどエンジン回り一式、果てはコンピューター交換までしたのですが一向に変化なし。

 

しかし結局どう見ても燃料不足だろうということで再び燃料ポンプに戻り、燃料ポンプの劣化パワー不足を疑いポンプを新品にしました。それに伴いもう一度燃料ラインの掃除と燃料タンク内の吸い込みパイプ内を針金でぐりぐりして通るところまで通してみました。

さらにもう一度ガスタンドレンから古いガソリンを抜き取りましたがまだかなり濁ったガソリンが出てきました。やはりガスタン内がかなり錆びている感じはします。いろんな方にアドバイスももらいましたが確実にチェックするにはエンジン前から燃料パイプ外して燃料の突出量を正確に測ってどこで燃料量(燃圧でなく)が落ちているのかたどってゆくのが正解だった気がします。

 

でもこれで何とか走れる状態に回復しましたので、もう一度路上復帰にチャレンジです。

2019年4月1日

 新年号が発表される当日に箱入りZもとうとう路上復帰に向けて車検を取ることになり、静岡陸運局の検査ラインの前まできました。

 仮ナンバー付けておおよそ20年ぶりの車検となります。屋外保管ならいろんなところが錆びてエンジンサスペンションブレーキをはじめ灯火類、ワイパー、ウィンカー等ほぼ全箇所をチェックしないと車検は通らないでしょうが、この箱入りZはずっと屋内保管でしたので謎のエンジン吹けない現象を除けばほとんど軽微な整備で準備できました。

 排気ガスはEGIで触媒付ですから全く問題ない値です。

ブレーキ・メーター・ライト・サイドスリップと一発OKで行けたのですが、最後の下回り検査でブレーキ配管からの液漏れを指摘されて不合格になりました。

 

キャリパー取り付け部からのにじみでしたので駐車場で潜り込んで増し締めしました。

 

この後、再検査して無事合格です。

 

晴れて路上復帰です。桜の季節で年号も新たになる記念すべき年です。

ホイールは私が当時はいていたダンロップのホイール14インチ タイヤも当時モノの60扁平率のものに交換、リムがクロームなのですこし華やかさが出てきました。

5年を過ごしたこの場所から少し離れた新たな住まいの静岡市内に移動しますが、これからも面倒は見てゆくつもりです。

 

続く