2012年12月25日

 今回で71BコンパチCの5号機になります。

大まかな分解組み立ては今までのものと変わりありませんから、

今回はより詳しく特徴あるところのみ記録してゆきます。

 

画像は分解前の状態です。今回も変なスラッジや異物・金属粉はごく少ないです。

もちろんギヤ欠けなどはありません。

 

今回の仕様はS13タイプで、シザースギヤ付き、バックリンクタイプです。

3-4シフトは鋳鉄でした。

 

 

 早速分解してゆきますが、今回は3-4速に違和感があります。

 

下の画像は3-4速のシンクロハブとギヤーですが、左の画像でわかるとおり中央部の研磨面が円周状にかじりが発生しています。ここには右画像のギヤの受け面と接触するところで、その形状でかじっています。これではもうじき焼きつきが始まるところでした。ギヤ側は何とかなりそうですが、ハブは修正できそうもなく廃却です。これらの部品の問題の面にはそれぞれ3か所 4か所の溝がありますが、これはオイル供給用の溝ですが、このカドは加工しっぱなしでエッジ=バリがありそうです。ここが起点になってかじりが進行することは一般的に起こります。このカドをダイヤモンドやすりであらかじめ面取りすることで、かじり予防になります。

 

  そしてこれはいつものことなんですが、大量生産の限界をいつも感じるところです。

私もかつては大量生産用の部品の生産技術をやっていたので、どういうところが生産上限界か分かっているつもりですので、そういうところは重点的にチェックします。

 

画像はミッション中央のアダプタープレートですが、そこにシフトロッドが取り付けられ、これが前後することでシフトチェンジします。右側画像でやすりで示しているところにもロッドが入ってきますが、この穴のカドはピンカドでエッジがありますので、ちょっとしたことでロッドに食い込んでしまいます。ナイフの刃の上でスライドするようなもんですね。量産の中ではこういうところが一番苦手なゾーンです。お金をかければメントリ出来ますが、コストとの関係でなかなかできません。

 ここはダイヤモンドやすりで丸く仕上げていきます。人間の手ではたいしてお金かけずに簡単にできます。3か所ともに面取りします。

そしてこの部分ですが、シフト感の一番の要となるチェックボールの部分です。シフトロッドに設けられたこの溝に横からスプリングで押されたボールが当たることでシフトの位置決めをしながらクリック感を出してます。(溝の中に左右方向で押しつぶしたような線があるのは、使用履歴の中で何回もチェックボールがスライドしたことで出来た摩耗痕です。)

この溝は機構状上先ほどのアダプタープレート部分で丁度スライドせざるを得ませんので、ここがひっかかるとスムーズなチェンジは出来ません。左画像の上側の溝をよーく見るとやはりカド部にエッジが立っていますが、下側の溝は面取りした後の形状です。ここをやはりダイヤモンドやすりで面取りしていきます。右側が拡大図です。やはりこれも3本のそれぞれの溝すべて加工します。これで余計な所に不具合因子を残さずに済みます。

 

また何ヵ所かの溝部を良く見ると筋状の溝が残っていますが、こういうところを機械加工上は削りっぱなし といいます。ここにチェックボールが転がるのでシフト感に影響するので本来は研磨するべきですが、あまり大きな段差でないので良しとしたんだと思います。ここをある程度綺麗にしていきます。いまなら簡単に手作業出来ますから。

 

 

 

補修部品を用意します。ボールベアリングはすべて新品にします。しかもすべて密閉タイプですが、これはボール部をゴムリップで完全にシールドします。このほかにもセミシールドもありますが、こちらの方が防塵性は高いです。つまり、金属粉が出たとしてもある程度はベアリングを守ります。71B標準はノンシールドですから、裸でいるようなもんです。あと前後のオイルシール類は無条件で交換です。

 全部品分解して確認したのち、組みたてました。スペシャルメインドライブシャフト以外はすべて、ドナーのS13シルビアの71Cです。この状態でギヤのバックラッシュやスラスト隙間を確認して問題ない様にセットします。

シフトリンケージを取りつけました。1-2速のシフトロッドはφ16と71Bのφ14より太くなっています。

 

3-4のシフトフォークは鋳鋼の様で、重さははありますがすごく丈夫そうです。

ボールベアリングはすべて完全密閉タイプに交換することで、多少の金属粉発生ならベアリングを守ります。カウンター先端のベアリングは71Cより少し小さい71Bと同一のものを使用しています。また、その後ろにギヤ打ち音消しシザースギヤが取り付けてあります。

71Cにはバックシフト時のギヤ鳴りを防止する為のリンクが追加されていますが、今回はこれをそのまま残します。

 

そのために、リヤエクステンション内のシフトストライキングロッドを71C用に交換してゆきます。

これは非常にめんどくさいです。

 

追記:で、そのつもりでやってきたんですけど結果的に適合しなかったです。ストライキングロッドの寸法が71Bと71Cでは異なっていました。

今回もこのリンクは削除しました。こうなるとS14のバックシンクロのほうが適合性がいいかもです。

今回のミッションのギヤ比は

          1ST   2ND   3RD   4TH    5TH

71BコンパチC 3.592 2.057 1.361 1.000 0.821

 

71B標準    3.321 2.077 1.308 1.000 0.864

 

と1STが少し低くなっておりますので、渋滞時の発進でのクラッチワークが楽になります。

また5速が若干ハイギヤードですので、燃費改善 静粛性向上が少し望めるかもです。

L3.0などでは無く、ノーマルエンジンならこちらの方が乗りやすいでしょう。

 

シンクロ残量ですが 新品1.8mm  摩耗限度 0.8mmですが

          1ST   2ND   3RD   4TH    5TH

シンクロ残量   1.65  1.60   1.60  1.60   1.40

とまだかなり残っています。

2-3速はダブルコーンシンクロです。

 

 

 

 

ケースを準備してゆきますが、左側のフロントケースは前使用者の手でエア抜き穴の様なものが開けられています。おそらく半クラでクラッチプレートが焼けた場合の匂いを検知する為に開けたものと思われます。 厳密に言うと雨のときに走るとここから水が入るかもしれませんが、少量ですから問題ないし、このケースの下部には標準で水抜き穴がありますのでそこから出てしまいます。気になるようでしたら何かでコーキングすれば塞げるものと思います。

 

 

 

 

ギヤ部分は組みつけ完了なので、フロントケースに入れ込んでいきます。

接合部には日産のフルードガスケット(ベンガラ色)を薄く両面に塗ってから貼り付けます。

正規はグレー色ですが、色の違いだけだと思います。

 

 

組み付け完了です。

フロントケース下側が黒くなっていますが、オイル汚れでは無くシャーシーブラックの様です。

ワイヤーバフかけたのですがほとんど取れません。
塗料剥離剤をかければ多分綺麗になると思います。

 

 

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