後ろ側のSUを見るとやはりピストン下面が生ガソリンが貯っているとこが見られます。先ず間違いなくガソリンのオーバーフローです。


オーバーフローする原因は、フロートがだめかニードルバルブがだめかですが、ニードルバルブが段付摩耗している場合が多いです。


でも、今回は珍しくフロートがだめでした。

このような場合通常はフロートを交換します。

 

40年前のこの車ですが、SUキャブはイギリスが発祥で有るからなのか、部品が比較的残っているのでしょうか、新品フロートが入手可能です。

 

同時に左側に移っているニードルバルブもチェックしましたが問題ありませんでした。


フロートは新品を入手して交換します。


新品のフロートですが左側のように樹脂に金属冠が巻かれたものに変わっています。機能的には同じだと思いますが、樹脂製だと穴が開く心配はないですね。

壊れているフロートはどうせだめならと言うことで修理の練習をすることにしました。


壊れたフロートにはどこかに穴が空いていて中にガソリンが入ってしまい浮かなくなっているので、先ず穴の位置を特定します。たいてい上下もなかになっている合わせ目に穴が空きますがそこはガソリンが滲んでくるので良く見ると判ります。


穴を見つけたら、そこを画像の様に1mmくらいのドリルで穴をあけてしまいます。そうしないと中のガソリンが出せないからです。穴を開けたら何回も振って中のガソリンを出します。

そのあと特製はんだごて(自作品・普通のガスバーナーの先端にコテ状のパーツを取り付け、そのすぐ手前までガス口を設けて熱しています)で穴の空いた付近を再度半田付けしていきます。シンチュウ製なので養生さえしっかりやれば思いのほか上手く付いてくれます。

 これを実際にSUに戻して機能確認しましたが全く問題はありませんでした。今後、フロートが入手できなくなった場合や緊急の場合は有効な修理手段です。

フロートはSUキャブの中でこのように浮いています。

思ったより単純な構造ですね。このフロートの天井にニードルバルブが上からかぶさってきてガソリンの出し入れをしています。

 この当時の車はこの車も含めて機械式燃料ポンプでしたのでエンジンが動かない限りガソリンは送られてこないので、仮にフロートパンクしても大幅にガソリン漏れすることは無いはずですが、最近の様に電磁ポンプにするとフロートがパンクするとガソリンがしゃ漏れになりますね。




フロートが入っている筒の内壁に数か所出っ張りが見えますが、表面張力でフロートが壁に張り付くのを防ぐための工夫です。点当たりにしているのです。

そして組み付けてキャブ調整です。


調整の肝はメインノズルのナット戻し量で、締めこめば薄くなり、緩めれば濃くなりますが、推奨では15度cでロックから2回転半戻しとなっていますが、少し薄すぎるようでした。4速でアクセルべた踏みでも加速してゆきません。3回転から3.5回転ぐらいが加速的には良かったです。また、エンジンやキャブが全て均一と言うことは少ないわけで、前後SUキャブで戻し回転数が一致することの方が稀だと思いますがあまりにも差が大きい場合は別の問題があるかもしれません。0.5回転ぐらいの差なら問題ないのではと思います。


完成です。