2016年7月21日

 

71BコンパチB’ β4

製作開始

 

71Bコンパチミッションをお買い上げいただきました関西のMさんから、お友達のミッション不調を何とかして欲しいとの要望です。

 

ミッションは71B2分割のフランジタイプポルシェシンクロとのことですがすでに1-2速でギヤ鳴りがひどいようです。そこで新たなバージョンといっていいほど今までのやり方と異なるものを考えます。どちらかというと究極というよりはリーズナブルの方向性ですが決して安かろう悪かろうではないです。

 

これは71Bフランジタイプのままで何とかならんかという挑戦です。71Bフランジタイプは昭和47年式ぐらいまでの日産車には使われていたミッションで、中身は画像の通りポルシェシンクロで71Aよりはギヤ歯厚が厚くなっていると思いますが、やはりポルシェシンクロの欠点は引き継いでいます。リヤエクステンションが71Bのスプライン差し込みタイプとは異なるので71BコンパチCにしようとすると、リヤエクステンションはもちろんのことプロペラシャフトも差し込みタイプがないと成り立ちません。ところがこれが今ではなかなか入手できなくなっていてあったとしてもすごく高価です。普通の71Bフランジタイプで普通の乗り方をしているだけというユーザーはそこまで費用をかけて改造するのには二の足を踏みますね。そこでこのフランジタイプでプロペラシャフトもそのままで何とかならんかというニーズが発生するわけです。

やり方としては71Bポルシェシンクロから71Bワーナーシンクロに変更してゆきます。ただ、コンパチCのように2-3Wシンクロまではしませんで、普通に71B中期のシングルシンクロにします。これでも普通の走りには全く不足はありませんが、しいて言えばこの先の補修部品の状態が気になりますがとりあえずはかなり性能アップとなると思います。ただサーキット走行やスポーツ走行には少し役不足を感じるかもしれません。

 

画像上がそれぞれワーナーシンクロ、下がポルシェシンクロで機構的には全く異なります。

左2速、右1速 シンクロ舳先は新品のようにとがっています。

それぞれシンクロリング(ボークリング)ニードルベアリングを新品にしてゆきます。

 

またいつものようにこのアダプタープレートからアッシーしてゆきます。

ベアリングはセミシールド

 

フロント1-2速を組みました。

シンクロは71Cほどは大きくないですがワーナーのシングルシンクロとなります。ポルシェとは全く異なります。

こちらは3速

 

左端がシンクロハブスリーブですが、3か所あるキーがちゃんとした金属の塊でできていて複雑な形状をしており、内部にはちゃんとしたコイルスプリングが内蔵されて押しています。お金かかっていますね。

4速というかインプットギヤです。

71系にはここのギヤ比=1次減速比が2種類あり、セダン系は減速比を落として重量増や低速での発進性へ対処していて1速が3.5から始まるギヤ比となり、スポーツ系は1速が3.3から始まるハイギヤードな設定となります。

 私はここをほとんどの場合スポーツ系の3.3から始まるハイギヤードにしてゆきますが、そのほうが急坂や砂利道が少なく、高速主体の現代では乗りやすいからです。これはクロスギヤではありませんで純正の中での選択肢です。俗にいう240クロスは2.9から始まり、社外のクロスは2.7から始まりますのでそれとは全く異なるものです。

 

フロント側組みました。最初のポルシェとは全く異なることが分かります。

そして後ろ側のバックー5速です。

この5速も71系としてギヤ比がいくつかあり、ポルシェはほとんどが0.86のギヤ比で、4速に近くチェンジしてもあまり差がないと感じると思います。純正では、0.83 0.81 0.75が選択できます。 71Cはすべて0.75となっていて5速に入れるとはっきりと違いを感じますが、一般道の坂道でまれに4速に落としたくなる時があります。低速トルクの大きな3.1Lなどでは問題ありませんが。

 

今回、その中間で0.83で行きます。

 

ちなみに0.86ワーナーもありますがきわめて稀で貴重です。

 

 

ギヤ部が完成。上の画像でM38ナットはいつもの私が編み出した技、サイドロックボルトで固定しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギヤ精度

    1st  2nd  3rd     5th

EP 0.35 0.05 0.10 --- 0.30

BR 0.09 0.12 0.05 --- 0.13

 

2ndのエンドプレイが少なめ 5thのエンドプレイが多めですが問題ない範囲です。

 

シフトフォークの組み付け

全部アルミになりますのでぐっと近代的な雰囲気になります。軽量化にも寄与しますね。

ケースの準備に入りますがストライキング関連のこのリンケージ類を完全分解します。

黒く塗ったストライキングブロックの内部には小さなオイルシールが在り、これを交換してゆきます。

組みました。

 

フランジタイプはこれだけでミッションボックスとして完結しているのでしっかり見えますね。スプライン差し込みタイプはこの時点でリヤに空間があるので不完全な印象です。車に取り付けて初めてボックスとして完成となります。 

上側にある青いキャップは特製エアブリーザーです。

2016年8月7日

 

今回は後から下取りのパターンなのでオーナー様が交換後のフランジタイプミッションを送ってきました。

 

分解したところやっぱりシンクロは限界状態。これではうまくシンクロしなかったと思います。

 

 

3速

1速

 

2速