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キャブマスター その1 本ページ

キャブマスター その2 

参考 ”ウェーバー・ソレックス・OERキャブ弱点克服”記事は こちら

2016年10月10日

ウェーバー・ソレックス・OERキャブの調整

 キャブマスター

 

スポーツキャブの調整は旧車スポーツカーのだいご味であるとともに、うまく調整できない場合は悩みの種でもあります。最初はだれでもしり込みしますし、壊れたらどうしようと考えます。ましてや最近のキャブの値段の高騰ぶりではますます近寄りがたい存在になりつつあります。

 

このスポーツキャブの調整について日常的に普通のオーナーがやることを前提でのまとめをしてみたいと思います。かなり当たり前の初歩的なところも感じるかもしれませんが悪しからず。

 

キャブ調整はショップさんやメカに任せているという方もいるでしょうが、それで割り切っているならそれでいいかもしれませんが、やはりなるべくオーナーがやる方が楽しいと思います。なぜなら一口に調整といっても或る決まった値があるわけではなく、高回転で走る人、低回転でのトルクがほしい人、トップスピードが欲しい場合とコーナーでの立ち上がりを重視する場合など運転する人の個性や、場所や道路の状況があり、もちろんよく言われる夏と冬など環境による違いもありますのでそれぞれの場面で使いわける方がより楽しめるはずです。一番身近な例は燃費だと思いますが、ツーリングで燃費重視で行きたい場合にサーキットでタイムアタックするのと同じセッティングでは大きな開きが出て直接サイフに影響してきますね。私のzはL型2000ccでウェ-バー40 3連で高速主体のツーリングで薄めのジェッティング調整で8~10km/L走ります。6KM/Lで当たりまえとあきらめないでください。もちろんショップやメカがその都度しっかりと調整してくれるという人は幸せな人たちです。

 

 キャブ調整といってもここではキャブバランサーなどの特別な機械などない場合でも或る程度の調整してかぶったり息つきしたりエンストしたりせずに普通に走れる状態を作ることを先ずは目指します。

 

 

 

 

点火系のチェックから先ず始めよう

キャブの調整なのになんで点火系のチェックから始めるかというとさんざんキャブをいじくりまわして治らずあきらめかけたら、実は点火系がだめだったということがあるからです。点火系はエンジンが回っていればOKと考えがちですが古ーくなったトランジスター点火の場合高回転で点火が間引かれる、時々失火するなどの症状があるからです。これは高回転がぐずつくなどの症状に似ています。

具体的には

・トランジスタイグナイターをスペアや友人のと交換してみる。またはポイントがあれば戻してみる。これは配線さえ画像やメモで記録しておけば点火時期が変わるなんて心配はなく元に戻せますが、ただ配線間違えるとイグナイターがお釈迦になるのでご注意ですので自信がない方はどなたかに助けてもらった方が良いかも。

・点火コイルをやはり交換してみる。

・点火ケーブルを交換してみる。

・点火プラグを交換してみる。番手はオーソドックスな6番または5番にする。

・配線のレジスターなどの抵抗を測定チェックしてみる。

・最後に点火時期や点火進角のチェック。これにはタイミングライトなどの機械が必要ですからショップやGSで借りましょう。車検をお願いしている工場なら一度ぐらいは点火タイミング見てくれます。

など。これらの電気系のチェックは最近新しく交換調整されているものならそれほど心配しなくてもよいかもしれません。

以上の例で交換して大きく調子が変わる場合はそのパーツの故障が考えられます。

私はこのような調整時には電気系はできるだけ余分なものがついていない単純な状態にして取り掛かるようにしていて、調整が終わってからまただんだん電気系の強化をしてゆけば良いと思います。

また一度チェックして問題なければ電気系はプラグ以外はそうそう頻繁に壊れたり変化するものではありませんから当分は触らなくてよいですね。

 大前提として当たり前のことですがバッテリー電圧が規定の電圧(12v~14v)無いと正しいキャブ調整はできませんのでチェック必要です。エンジンがかかるから問題ないではなく電圧をチェック必要です。オルタネーターが壊れかかているときも電圧が下がりエンジン点火燃焼に影響が出ます。

 

 

 

燃料供給系のチェック

これも同じく見落としがちなところですがまずは燃料フィルターを見て錆などのつまりがないかチェックします。次に燃料の吐出量をチェック。ちょろちょろしか出ない場合は燃料ポンプの故障や、ポンプ内にもフィルターが有る場合がありこれが詰まっている場合もあります。正式に測る場合はキャブ前でホース外して容器に一定時間で吐出する燃料量を見ます。機械式燃料ポンプは消耗品と考えた方が良いです。これらの不具合は加速不良、高回転が伸びないなどの症状になります。また、これらから錆を取り除いてもしばらくするとフィルターに錆が見られる場合は燃料タンク内がさびていることが考えられます。EGIなどに使われる電磁式フェールポンプは丈夫で吐出量も大きくよろしいですが、これも高圧用のレギュレーターを使えばキャブにももちろん問題なく使えますというか私はこちらの方が望ましいと思いますし、流用しようと思えば量産車用のがいくらでも使えるので安く済むと思います。

どちらの場合も燃圧レギュレーターを入れた方が良いでしょう。機械式ポンプの圧力は0.4~0.5kgくらいある場合が多く、スポーツキャブの適正値の0.3kgより高くオーバーフローを助長しがちです。燃圧メーターは配管の間に仮に割り込ませ、レギュレーターの調整ねじで燃圧セットしたら取り外してしまいます。好みにもよりますが計器は作動しっぱなしだと次第に精度が落ちると思いますのでチェック時だけ付けるようにしています。設定は0.25~0.3kgくらいでしょう。念のためこの圧力を高めにしたからと言って決してガソリン供給量が増すわけではないので規定値でOKです。

  燃料流量については配管の太さで経路全体の中でどこか一か所でも細いところがあると流量がそこで規制されてしまうと思いますのでチェックです。純正などの燃料パイプには出口側に燃圧をコントロールするオリフィス(=パイプを細い穴にしたところ)が設けられていたりします。高回転で全開で走る場合が多いときは燃料流量は特に重要で、特に配管接手の内径(細くなっている場合が多い)や、レギュレーターの内部回路(同じく狭い)はチェック要です。配管接手は1サイズ大きくしたり内径追加工で太くしたりで、レギュレーターは並列2基がけにしたりする場合があります。

 

 

 

だんだんとキャブに近ついていきますが、燃料系ではやはり燃料の油面高さが影響しますので測定調整します。メイン系取り付け部のキャブ上面から油面までの高さをチェックしますが、ソレックスは21mm、ウェーバーは29mmですね。(フルチューニングエンジンでサーキット走行ではこの限りではありません)

ガラス管式の場合は画像のエマルジョンチューブ位置(ソレックス)に差し込みます。

これも一度設定してあればそんなに変わるものではないので毎回やる必要はないですね。新たに入手した場合は必ずやった方がいいです。

ガラス管式の場合は差し込んだ後上部の通気孔を指でふさいだまま抜き出してくると油面が写し取られてくるのでその目盛りを読みます。燃料が表面張力で変化するので結構難しいですが何回かやって平均を見て確認します。正式にはこれをエンジンをかけてポンプが動いている状態でやることとなっています私はそこまでシビアにやらない場合もあります。

高等テクニック?でこのようにノギスで直接油面を見ながら測る方法もあります。

 

調整はソレックスの場合は画像のノギスの左側に見えるマイナスねじをナットでロックしている部分が調整ストッパーになっていますのでこれをいったんナット緩めてマイナスねじを回して調整です。ちなみにマイナス締め込みで油面は上がりますね。

 

ウェーバーの場合はアッパーカバー全体を外して裏返してフロート根元のストッパーのベロを曲げて調整です。このときカバーのパッキンが破れる場合がありますからリペアパッキンを準備してからの方がいいです。このときフロートのヒンジが変形してフロートがキャブ本体の壁をこすったりしていないかチェックすれば完璧です。時々そんなのがあります。ソレックスでもこれはチェックした方が無難かもしれません。この状態だと時々フロートがキャブボディーにひっかかり激しいオーバーフロー(ガソリンがキャブ入り口から垂れてくる)が発生して危険です。キャブをコンコンと叩いたりコーナリングでフロートが動くと治ったりします。

 

 

 

原点を探そう

いよいよキャブのセットにかかりますが、その第一歩は原点を探すということだと思います。道に迷った場合と同じで今現在自分がどこにいるかわからなければ進めなくなり、がむしゃらに進んだら反対方向に来てしまったり、同じところをぐるっと回って元のところに戻ってきてしまったりします。

原点を探すには先ずは現在値、キャブの場合は調整に関係する各ジェットの番手を把握するところから始めます。この際、キャブのサイズやスリーブの径から考え始めると前に進めなくなるのでまずはジェットから。

 

ジェットにはいくつか種類があることはご存知と思いますし、いろんな資料で説明されていますので今更かもしれませんがここではまとめの意味で敢えてジェットの種類の確認から記述します。

 

上部の丸い蓋の中に主要なジェットがありますので、蓋の蝶ボルトを手で回して外しますが、内部にリング状のパッキンがありますから紛失注意です。

代表としてウェーバーキャブの場合

調整で触る可能性のある代表的なジェットやスクリューを示します。

 

補足で④アイドルジェットのカバー通常は画像のような中央の穴はありません。これは私がスペシャルドライバーを使うために改造でこのようにしています。通常はただのマイナス溝です。また、各ジェットなどは左右対称一対となっていますが⑦アイドルアジャストは片側一個です。

これからこれらのジェットを調整含めて何回も分解組み立てしていくわけですが、その時の工具についてやってみるとわかるのですが、どのジェットもマイナスドライバーで外せそうですが意外と溝幅が合わなかったり、溝からずれたりしてうまく回せません。これを6気筒分やるわけですからその間にキャブを壊したりとか、ジェットを紛失というこになりかねません。

 できればわたしの考案した画像のような専用工具「キャブマスターツール」でやった方がうまくいくと思います。詳細は こちら ウェバー・ソレックス・OERそれぞれのセットがございます。

①エマルジョンチューブを外してみますとこのようになっています。エマルジョンチューブはウェーバーの場合何種類もあるのでこの時点では記号をチェックッするにとどめ現状を肯定しておきます。一番下についているのが燃料量を調整するメインジェット。

エアージェットはジェットホルダー(一番上のパーツ)で蓋をされているので見えていません。エアージェットを分解するにはこのジェットホルダーを外す必要があるのですが、ウェーバーはこれが圧入になっていて手で引っ張っただけでは取れない場合が多いです。それでペンチで引っ張ったりするのですが傷がついてしまい易く、また抜けた拍子の勢いでジェットがどこかに飛んで行ったりすることがあります。

その時にこのエマルジョンチューブホルダーリムーバーが役に立ちます。前述のセットに入っています。詳細はこちらで見てください。

このように分解しましたが、ウェーバーの場合まだ難関が待っています。左側が②メインジェット、右側が③エアージェットですがどちらも圧入になっていて手指では取れないのです。それで私も長年考えた末にこれを外す特殊工具を考えだして作ったのです。

(特許まで申請しました。圧入したパーツの取り外し方法全般について)

これがその工具でエアージェットをつかんで引き抜いたところです。工具詳細はこちら

 

メインジェットも同様の工具がございます。

これでジェット番手チェックや交換ができる状態になります。今回はメイン #155です。

 

これからこの番手を必ず記録してゆくようにします。そのときは頭で覚えていてもすぐにわからなくなります。

そしてエアージェットは#200ですね。

 

ちなみにこの番号はジェット穴径を0.01mm単位で示したもので#200の穴径は2.00mmということになります。

そしてこれが④アイドルジェットですが右側のねじ付きパーツはホルダーで調整交換はしませんで、左側の細い部分がアイドルジェットで交換調整する部分です。番号はF8 60で#60ということですね。F8にも意味がありますが今の時点では記録だけでとどめます。

⑤ポンプジェットはこの位置で指でつまんだカバーを外すとジェットの頭が出てきます。

頭をペンチやピンセットでつまんで引き上げるとこのように取り外せますが、下側にアルミの小さなワッシャーがあるので落とさないように注意。時には中に残っている場合もあります。中間の太い部分に番手が刻印されています。取り付けの時は太くなっているところの切り欠き平面がある側をエンジン側に向けないと組めません。ノズルの先端のそちら側にポンプが働いたときに噴き出すノズル穴があり、それをエンジンマニフォールド側にするためです。

 

ソレックスの場合はこのようになります。呼称や形は違いますが機能はほとんど同じですので番号で相互して覚えていけばよいかと思います。

*見やすいようにホース類などいろんなパーツを外していますので実際の景色は違います。

*①ジェットブロックには右側のビジェットタイプと左側のモノジェットタイプ(ジェットが出っ張ってい  

 る)の2種類あります。通常はどちらか同じタイプが2個付いていますが今は説明のためちぐはぐになって 

 います。


2018年12月20日

ソレックス モノジェとビジェの違い

 

ご質問が有ったので追加します。

外観的な大きな違いは右側のモノジェはホルダー上面に丸いエアージェットが飛び出しているところです。細かく見ればネジが2か所あるなど違いはかなりあります。奥側にあるメインジェットは共通です。

外観だけでなく仕組みも大きく違います。

左はビジェの模式図ですがビジェたる所以はこのメイン経路とは別にアイドルの経路があるためでつまりバイパスがあるということですが分かりやすく言えばバイパスジェットシステムとなるのかな。

この方式はウェーバーも同じでわかりやすく単純です。ガソリンボールの中の油面の上下からエアーとガゾリンをジェットで計量したものを混ぜてエマルジョン(液体と気体の混合物)化しています。エマルジョンをいかに作るかでチューブ(ホルダーの小さな穴の位置と数が工夫されています。メインジェットを大きくすればガゾリンの絶対量が多くなるのですが同時にエアージェットも大きくしないと良いエマルジョンはできないでしょう。

こちらはモノジェの模式図

モノジェの所以はメインとアイドル用のガソリンの両方がメインジェットを通ることで、ガソリン経路が1本であることです。これもいいかえればモノパスジェットシステムということです。

 構造的にはこちらの方が複雑で大きな違いはブリードパイプというものが有ることでこれはコップに刺したストローのようなもので、ストローから息を吹くとコップの中に泡がブクブクしますがこれがエマルジョン状態で、ある意味強制的にエマルジョン化したものをベンチェリーへ送りますので、良好なエマルジョンが作れるものと思います。

 アイドルジェットへのガソリン供給をメインジェットを通す意味は分かりずらいですがメインジェット1本でコントロールできることを狙ったのか。またアイドルからの吸引力でメイン系も引きずられながらメイン系に引き継がれることはあると思いますがその効果はどうなのでしょうか、微妙なところです。


ソレックスもそれぞれのジェット類がウェーバーとは異なりますので、やはり専用の工具セットを開発しています。OER用も同様にあります。

工具詳細はこちら。

販売しております。

 

確認したジェットの番手類は上記のような表にして記録します。今後ジェットを交換した都度必ず記入しますが、私はエクセルソフトで作っていますのでいくらでも行を増やせますが、紙でプリントアウトして記入でももちろんOKです。この表についてはキャブ工具をお買い上げくださった方でご希望の方にはサービスでお付けします。

*アジャスト戻しは⑥アイドルミクスチャーの戻し値です。


閑話休題:

ジェットのつけ外しでこんな話を聞くことがあります。

・ものずごく固く締まっていて全く緩まずジェットの頭をなめてしまった。それくらい締まっているので丈夫な工具が必要だ。

・走行後チェックしたらジェットが緩んでいた。だからジェットは固く締めなければならない。だから丈夫な工具が必要だ。

というような話ですが、私は今までそのような場面に遭遇したことはありません。

 

ではなぜそのようなことが起こるのかを推理してみますと、キャブはアルミでできていますので想像以上に熱で膨張しますし、熱い状態からならすごく収縮します。そうすると以下のようなことが起こりえます。

 

走ってきた後ジェットが合っていないと判断してそのままジェット交換し終えてその日は終わった。だけど次の日気が変わってやっぱりジェットを元に戻そうとしたらジェットは固く締まっていて全く緩まなかった。→これは次の日の走行前なのでエンジンが冷えていてキャブも縮んでいるからなのでは。→エンジン暖気後にジェット交換してみる。

 

明日はレースなのでタイヤやメーターなどいろいろ準備していたがふとキャブのジェットが前回のレースの時薄かったのを思い出し、深夜ではあるがエンジンかけずにそのままジェットを交換しておいた。次の日レースで終盤徐々にエンジンが不調になり負けてしまった。キャブをチェックしたらジェットが緩んでいたのが原因だった。→冷えたエンジンキャブの状態でジェットを取り付け、エンジンキャブが熱くなった時点で膨張してジェットが緩んだのでは→エンジン暖気後にジェット交換しておく。

 

という推理ですが(あくまでも推理で実験したわけではありません)どうでしょうか?

いずれにしても同じコンディション(エンジン暖気後)にジェット交換した方が間違いがない感じはします。

 

 

 


さて、現状のジェットの番手は記録できたでしょうか?これまでにもいろんなショップやご自分で選定して走行性能や状態は別にして走れる程度の選定ができているはずですので、まずはこれを記録することは重要です。そしてそのキャブが初めて取り付けた場合や自分で初めて見る場合は全部のキャブ気筒それぞれすべての番手を確認することをやった方がいいです。全部同じだという固定概念でいるとそうでもない場合が結構あるもんです。全気筒のうち一か所だけ5番手ずれてるとかが時々あるんですね。そんなことで頭をひねるのもつまらないのでまずは全て確認します。一回確認すればそれ以降は大丈夫ですね。

 

そしてここから原点を探す作業にかかりますが、その前にすこしリンケージ周りの簡単なチェックをします。

エンジンを止めた状態で上記画像参照で

 a)アクセルリンケージを軽く左右に回してみてほんのわずかに遊びがあるか確認します。あまりにもアクセルレスポンスを追求するあまりここの遊びがなくしてしまっている場合があります。それだと常にアクセルを少し開けた状態になってしまい、キャブの調整に影響してしまいます。遊びが無い場合は丸いぐりぐりがついているロッドの中間に調整ねじがありますから調整します。

次に手持ち鏡などを利用してファンネル内のb)バタフライが6か所ともほとんど閉じているか確認します。1mmも空いていたらちょっと変ですが大部分はちゃんと閉じていると思いますので確認だけです。暗くて見えない時はライトをファンネル内に当てるとはっきりします。私は工業用内視カメラでチェックしています。

次にアクセルリンケージを手で目いっぱい開ける方向に回して同じくバタフライがほとんど水平になるか確認します。このとき注意深く見ているとリンケージを回した瞬間にバタフライの奥にポンプジェットが作動したときの燃料の霧が見えます。

最後にt)ターンバックルをそれぞれ指で軽くゆすってみてガタ=遊びが大きすぎないか確認します。

 

以上やってみて極端な異常がある場合はリンケージの再調整をしなければなりませんが、ここでは説明しきれないんでベテランか専門家に見てもらった方が良いです。少しの違和感ならこの後の調整で治ります。

また、ここではキャブの同調などというようなシビアなセッティングはまだ後でするのであくまで簡単なポカヨケチェックをするだけです。

セットに入りますが、いろいろな条件を合わせたときに空燃比を確認する作業が必要ですが次のような方法があります。

1、空燃比計をつけて数値で判断。空燃比計はナローバンドはNGでワイドバンドタイプでないと不正確です。(理論最適空燃比は14.7 フルアクセル時は12.7が最大パワーが出る目標値です)

2、プラグの碍子の焼け方で見る古典的な方法。ほとんどの場合真っ黒で湿った状態が多いですがこれは濃すぎです。セットの如何によっては真っ白な碍子を見るのも夢ではありません。

3.排気ガスの音とかにおいで判断するこの境地までくるとかなり一人前のチューナーです。空燃比が濃すぎるときは排ガスが目に沁みますが、うまくセットできると排ガスのにおいは湿ったぞうきん、あるいは雨に濡れた犬の毛のにおいがします。ほんとか・・・。

アイドリング時の燃調と同調

手順としていろいろと思いますが私はアイドル系をセットします。先ずエンジン回転をだいたい700rpmになるように⑦アイドルアジャストスクリューを少しずつ締め緩めして調整します。3か所のうち回しても反応のないところはアイドルが低いので無視して反応のあるところを順次合わせていきます。どこかを下げるとほかのところが突っ張るので反応が薄くなるので、これを繰り返します。最終的には3か所ともアジャストをわずかに締めると回転がわずかに上がることを確認してから締める前の位置に止めます。(3個を同調させる)アイドルは低いほど次のミクスチャーの調整にメリハリができると思います。正確にするにはキャブバランサーを使いますが、そうでなくともおおよそできると思います。

アイドルミクスチャー調整

次に⑥アイドルミクスチャーを左右半回転ずつ回して排気音の変化を見ます。(変化ない場合はもっと大きな幅で回す)すると排気音がボッボッボッからポッポッポッに変化してまたボッボッボッに戻ることがわかると思いますが、その左右幅の中間にミクスチャーを固定します。これを6気筒分繰り返します。ポッポッポッの時はエンジン回転数も若干上がります。空燃比計がある場合はこれを数値でリアルタイムで見れますが、アイドル時は理論空燃比の14.7になるようにミクスチャーを合わせるだけです。(フルアクセル時は12.7に合わせる)空燃比計が無い場合は私は自分がマフラーテールの後ろに行って人間COHCテスターになってチェックしますが、排気が黒い様では問題外の濃さで、排気が透明でガスを嗅いでも我慢できるくらいなら合格です。そのあとプラグを1本外して焼けの確認をします。今後、この作業はアイドルジェットを変更する都度やる作業となります。めんどくさい時は最初と最後だけでもよいかも。

3連キャブの同調

なかなかジェットのところまで行きつかないのですが、キャブの調整ってそんなもんです。手がかかります。ここで3個のキャブのスロットルの同調をとります。良くキャブがばらついているから同調を取らないとだめとかいうやつです。これが出来ていないとエンジンの本来の調子が分からないので、それでジェット調整してもうまくいきません。

 まずはスロットルをわずかに開いた状態にする、あるいはターンバックルをわずかに押した状態にするとか言いますが、私は簡易的には画像のように針金でスロットルの青いレバーのところを引っ張ってエンジン回転が1500くらいになるように固定します。もっとスマートな方法があるかもしれませんが野戦的にはこれで十分です。

このようになればいいですね。各キャブのスロットルがストッパーネジ=アイドル調整ねじからわずかに離れた位置にいます。ターンバックルがスロットルを押している状態です。(画像はソレックス)

このときの各キャブの負圧を画像のようなキャブバランサーで測定し、ガラス管の中の赤いフロート位置が3個ともそろっていれば同調が出来たことになります。(念のため使い方はキャブに押し当てたときまずは赤いフロートが目盛り中心に来るように真ん中のスプラインが付いたねじで調整します。そのままの状態で隣のキャブを測った時にフロートがどこに来るかを見ます)最初にセットしたキャブよりフロートが下がっている場合、そのキャブのスロットル開度が少し足りない状態ですので、スロットルを少し開けます。キャブバランサーはこれとは別にカタツムリ型のもありますが、機能はどちらも同じです。ガラス管タイプはキャブがかぶるともいわれますがそんなことはありません。

1個のキャブには2個の吸入口がありますが両方測ってもターンバックルは1か所なのであまり意味はありません。ただ常に同じ側の吸入口で測った方が良いでしょう。(実際はスロットルシャフトがねじれていたりバタフライが曲がったり、エンジン内部の差がが有ったりで左右は同じではないことがありますので)

各キャブのスロットル開度の微調整ですが、この様なマイクロアジャスト機構がついたリンケージではターンバックルを押しているレバーのシャフト部の固定ネジを緩め、スプリングのついた押しネジをプラスドライバーで回してキャブバランサーのフロートを見ながら開度を調整して基準のキャブと同じフロート位置になったところで前に緩めた押しレバーのねじを固く締めればセット完了です。これが付いていない場合はターンバックルの中間のねじを緩めて長さ調整してゆくことになりますのでできなくはないですがかなり厄介です。これを基準としたキャブに対して6気筒なら残りの2基のキャブに対して実施します。これらの同調取作業は一度やればリンケージをばらさない限りずれるものでもないので毎回やる必要はありませんね。

さて次はいよいよジェット調整です。

順番として3000rpm以下のアイドルジェットの領域、3000rpm以上のメイン系統の領域と大まかには区分しますがかなりの回転数範囲でお互いにラップしていますので、3000rpmできっちりと分離できるものではないようです。

どちらから先にいじるかというと私はメイン系統からやった方が良いと思います。やり方はほんとにいろいろあると思いますのであくまでもこれしかないではなく、やり方の一つと思ってください。(ここでいうアイドル系は1000~3000rpまでの走行状態のことで、完全なアイドリングの状態とは別のことです)

 

先ず今現在のメインジェットで試しますが仮にメインが#180エアーが#200とします。この状態で試験走行するのですが、これもすこし環境が必要になりますというのは、この状態で2速あるいは3速でフル加速できる試験路、できれば直線の試験路が欲しいのです。そして路側にある目印を決めて2速なら3000rpmでその横を通過したところからフル加速してイエローゾーンまでのふけ上りをチェックします。可能なら3速でやれるところが望ましいです。2速ではすぐに吹けきって調子がつかみにくいです。イエローゾーンになるところ付近にやはりもう一つ目印を決めてこれ以降ジェットを換える度にこの2点間を走って調子を見ます。できるならストップウオッチを使って2点間の所要時間を測るとより分かりやすいですね。またこの2点間での速度の上昇量を測るとその時の馬力が計算できるらしい(ある重量のものを一定時間でどれくらい加速できるかが馬力となる)ですが、私は体感勝負です。直線としているのはカーブがあるといろいろ不確定要素が入ってわからなくなるからですが、こんな試験路はなかなか見つからないですがやはりこれが欲しいのですね。

閑話休題:またこの試験路ではもう一つの問題がありますがそれは世間の目です。同じところを何回も何回もすごい音を出して加速している変な人がいるといううわさがだんだんと広まっていくと、もう末期状態です。いろいろなところからあの人は何をしているのか、あの人は大丈夫なんだろうかという探りが入り始めます。私はすでにそのレベルは超越して悟りの境地にいるので大丈夫ですがまっとうな社会人は気を付けましょう。

 

 

この方法でだんだんメインを濃く(つまり現メイン#180なら#185・#190のように#5飛びに交換)していって5000rpm付近から回転が頭打ちになる番手をつかみます。ここではエアーはいじらないように固定しておきます。ジェットの番手はいろいろでしょうがとにかく回転が5000rpm付近で頭打ちになる番手をつかみ、ここを原点とします。そこから#10~#15薄く(メインジェットを小さくする)するとちょうどよい吹け上りとなる場合が多いと思います。 この時はまだ3000rpmより下のアイドル系統は決めてないですから1000~3000rpm状態は無視しておいて、この後アイドル系統のジェット調整に入ります。

だいぶ間が空いてしまいました。なかなか手が付きませんでした。

さて、メイン系はセットできたでしょうか。

次のアイドル系のセットですがここも街中では一番使う領域(~3000rpm)ですから、実用的にはもっとも気になる部分です。

通常は#55とか#57.5とかの④アイドルジェットが付いていると思います。このアイドルジェットのつけ外しですが今までも何回もセンデンしている通り通常のドライバーでは回しにくいです。その場合はこちらのキャブ専用工具キャブマスターツールを参考にしてください。

 

メイン系では燃調を濃くして原点をつかむ作業を勧めましたが、アイドル系はその逆で薄くすることで原点をつかむことをお勧めします。その方が分かりやすいのではないかとおもいます。アイドル系が薄いと、アイドリング時にピシッ!ビシッ!とかパスン!パスン!とかおおよそキャブとは思えないような音がファンネル付近から出てきます。これはバックファイヤー現象と言って燃調が薄すぎるためシリンダー内での燃焼が不安定になってキャブ側にガスが吹き返している状態です。特に少し薄いという状態ではアイドリングでは何ともないのに、アクセルを煽ったとたんにこの症状が出てきます。この状態で走り出そうとするとエンジンがくしゃみをしたようになり加速してゆきません。これがアイドルジェットが一番薄いセットの状態です。この状態になるように一旦ジェットをどんどん薄めの方向に変更してゆきます。(A/F計がある場合は14.7に調整すればそれでOKです)薄くして先ほどのくしゃみが出てきたら、そこから#2.5番か#5番アイドルジェットを大ききすればだいたい良い燃調になると思います。後は実走しての走行感とプラグの焼けで判断して微調整すればよいかと思います。

 ここがいったん決まったらここでアイドルミクスチャ-の調整を再度やります。前述

 

この後ですが、一番厄介な問題が出る場合があります。今までのようなアイドルジェット調整をしてビシッ・バシッ現象は無くなり加速してゆくのだが2500rpmあたりからエンジンが調子悪くなり息つきのような現象になり加速が鈍るという場合です。そのまま我慢してアクセルを踏み続けると徐々にエンジン回転上がって3500rpmぐらいになると再び好調になるというもので、いわゆる”キャブのつながりが悪い”という場合です。 この場合キャブとしてはアイドル系・メイン系・ポンプ系の3系統の調整箇所がありますがどうしたら良いか悩むところですね。 

キャブが2500rpm~3000rpmで息つきするのはなぜか?

 

この厄介な問題のヒントがここにあるのではないかと思います。キャブをエンジン側から見たところですがバタフライの少し手前上部にアイドル時のガスを補給する小さな穴が有ります。この穴の上側にはアイドルミクスチャー調整用のテーパーボルトが有ります。アイドル時はバタフライがほとんど閉じているため負圧が高い状態です。

拡大するとこうです。ほんの少しアイドルミクスチャー調整用テーパーネジの針先がのぞいて見えています。これを締めすぎるとこのアルミの小さな穴は簡単に変形して花が開いたようになってしまい、こうなるとアイドルミクスチャの調整をいくらやってもしっくりこないという状態になります。

 アイドルミクスチャー調整時握りの太いマイナスドライバー、ましてやジェット交換に使っているコインドライバーなどで回すと力がかかりすぎここの部分が壊れやすいです。ので、できるだけ握りの細いドライバーを使う、あるいは指の力だけで回すでも良いかもしれません。「ねじが止まるまで締めこんで2回転戻せ」とかの説明が多いのでネジを目いっぱい絞める人がいますが、ここは「ねじを締めて行ってほんの少し抵抗が出た時点から2回転戻せ」という言い方が正しいと思います。

そしてアクセルを少し開けた状態=1500rpm~2000rpmぐらいではこのようになります。

バタフライが向こう側に倒れたので隠れていたアイドル系統の吹出穴が手前に1個少し後ろ側に2個見えます。(この配置にも大きな意味があると思います)この時キャブのバタフライと胴穴の隙間はかなり狭く、そこを吸入エアーが勢いよく流れますので負圧は大きくアイドルジェットから十分にガソリンを引き出します。ですからこの辺りまではアイドルジェットの番手の影響はかなり大きくあると思います。ちなみに手前の穴と奥側の3個の穴は全て同じアイドル系ガソリン通路でつながっており、そこの流量はアイドルジェットでどちらも同時に調整となります。

さらに大きくアクセルを開けて2500rpm~3000rpmまでいくとバタフライと胴穴の隙間は大きくなり、先ほどのアイドルのガス供給穴3個の部分のエアーの流速は落ちてきますのでガソリンを引き出しにくくなり、ここからのガスが薄くなると思いますます。

中央部に見える縦長の細い筒状のものはポンプノズルで加速ポンプからのガスが噴き出す所です。

その左右にシルバーで光って見えているのはアウターベンチュリーの淵です。

 

私なりの結論を言えばキャブのつながりが悪い現象がでた時にアイドルジェットをいくら大きくしても                        

                          むだなのではないかということです。

                          少し極端かも 知れませんが

                          大きくしてもせいぜい+#5番手ぐらいまで                 

                          ではないかと思います。                      

上の画像をもっと引いてみますとこのようにアイドルジェットからの吹き出し口穴の反対側バタフライも大きく開いていてこちら側にはガス供給穴はありませんから吸入空気は入り放題となっています。

向こうに見えるのはアウターベンチュリーですね。

さて、そうすると残るはメイン系とポンプ系です。加速ポンプは名前の通り加速=アクセルを急に大きく開けたときにガソリンを濃くする装置です。アクセルを急に大きく開けるとエアーのみ吸い込んでキャブ内の負圧が落ちガソリンが吸い込み不足となってしまいガソリンが付いてこれずガスが薄くなってしまうことへの対処です。先ほどの2500rpm付近でのぐずつきもアクセル開けるときに発生するので加速ポンプで治るのではと誤解する人はいないかもしれませんが、実際は少し改善する場合もあります。しかしこれはたまたまのことで有って安定して治るというものではなく、はっきり言えばもちろん加速ポンプは全く関係ないと言えると思います。

 加速ポンプはウェーバーの場合左画像の上部にある柱に腕が付いたような形のものがポンププランジャーですが(ソレックスの場合はキャブ底面にある四角いダイヤフラム)アクセルを開けると常にこのプランジャーは連動して動いてガソリンを押し込んでいます。ではなぜ加速の時だけ働くかはこの画像中央部のマイナスねじの付いた小さな真鍮パーツがコントロールしていてこのパーツの中には小さなベアリング球が入っていて大きな圧力がかかった時(=アクセルを急に開いた時)は上部の小さな穴を塞ぎポンプジェット側へガソリンを押し出し、圧力が小さいとき(=アクセルを徐々に開けたとき)は自重で沈んで小さな穴を開放してガソリンをフロート室へ逃がすようになっています。ですからアクセルを急に開けて圧力が高まった時だけポンプのガソリンはポンプノズルから吹き出し、そうでないときはフロート室へリターンしています。ここから考えるとこの真鍮パーツの小さな穴の径を変化させる例えば小さくしてゆく(または詰まってしまうと)と加速中でなくとも流動抵抗でポンプノズル側にガソリンが流れる可能性はありますね。また真鍮パーツの中のベアリング球(ドリフトンボール)を何らかの方法で軽くすれば加速ポンプの効く範囲が多くなるかもしれません。また、加速ポンプジェットが有りこれをキャブ調整の中で交換したりするのですが加速ポンプジェットの番手を大きくするとガソリンは勢いよく出ますがすぐに終了となり、番手を小さくすると細く長く出るようになり、トータルで出るガソリン量は同じです。ポンプジェット吹き出しガソリン量を変更するにはソレックスはキャブ裏のレバー穴位置をずらすことで可能です。

2018年6月1日

さて大分間が空いてしまいましたが続けます。ミッションの修理が続いていてなかなか手が空きませんでした。

 

3000rpm付近のぐづつきの話ですが残る方法はメインジェットを大きくしてゆくことです。えーメインジェットは一番初めに最適状態にしたじゃんと思うかもしれません。確かにそうですが、致し方ありませんので、このつながりがしっくりするまでメインジェットをだんだんと大きくしてゆきます。でもせいぜい+10番手ぐらいまででしょうが、例えば#180だったら#185・#190と変えてゆきますと3000rpm付近でのつながりに変化が出てくると思います。いろいろ走行条件を変えて走ってみて何とか納得できるレベルにしてゆきます。

 でもそうするとメインジェットを決めるときにチェックしたように高回転で回転が頭打ちになるゾーンに入ってしまう場合があると思います。その時はここでエアージェットを大きくしてゆきます。また薄くしちゃうのと思うかもしれませんが経験上エアージェットは高回転でその効果が顕著に出ると思います。液体と気体の違いだと思うのですが気体は低速ではあまり流動抵抗はありませんが高速ではかなり流動抵抗が増してきますのでジェット交換による高回転での影響が顕著になるのではと思います。エアージェットを変えながら高回転でのふけ上りを確認してゆきますがエアージェットは#10または#20ピッチぐらいで変えていかないと大きな変化は出ないです。

キャブ口径について考えること

 

キャブ調整も最終段階です。今まででまだキャブのつながりが改善しないという場合もあると思います。

そうするとやはりキャブのサイズの問題が出てきます。

 キャブ口径選択とエンジン排気量は当然密接に関係があるわけですが

大まかには

350cc~400cc/1気筒 φ40

400cc~500cc/1気筒 φ45

500cc~550cc/1気筒 φ48・φ50

ぐらいの感じではないでしょうか。

 

 この中でキャブの3000rpmあたりでのつながりが悪い場合の組み合わせは小さな排気量のエンジンにφ45やφ48などの大きな口径のキャブを組み合わせた場合ですね。吸入するガスの量が少ない小排気量のシリンダーで大きな口径のキャブを吸うとガスの流速が上がりません。流速が上がることは流体の世界ではそこの圧力が下がる=負圧が上がる ことを意味し負圧がが上がらないとジェットからのガスを吸いだせません。これは口をすぼめて息をする場合と口を大きく開けて息をする場合と同じことで、例えばコップから水を飲む場合口をすぼめた方が強く水を飲みこむことができますのと同じことです。

 もしこのような組み合わせになっている場合はとりあえずできることはキャブの中にあるアウターベンチェリーというカラーのようなものの口径を小さなものに変更して見かけ上口径の小さなキャブのように調整ですが、これも限界がありあまり極端な内径の変化はガスの流れを阻害しますので、やはり適正な口径のキャブ選択が必要ということですね。そしてもう一つの方法が考えられるのですがキャブを低い負圧でもガスを吸いだせるようにする構造変更で、ここについて私は以前よりいろいろな試作を繰り返してきていますがいまだ完成に至ってはいませんが今後もトライしてゆくつもりです。今のところはキャブのガスの噴き出しに最も影響するものとその形状の優劣については見えてきていますが完成するまでにはもう少しかかりそうです。

 

 

アウターベンチェリー交換の実際例から抜粋

原文はこちら

アウターベンチェリーを大きくした場合の例

 

さて、アウターベンチェリ交換後の状況ですが、ジェットセッティングは全く初めからやりなおすほどの変化が出てきます。吸入負圧が減ったので燃料吸出しが下がりメインジェットを大きくする必要があります。

メイン #220→#240

エアー #260まま

 

アイドルも薄くなったので#60では薄くなり#65へ変更したのですが、こちらはこれでは少し濃いようで燃調は10.5ですので対策必要ですが、#60ではキャブがくしゃみしますので薄すぎでどっちつかずの状態です。仕方なく#65で走るのですが高速100km/hでちょうど2500rpmで燃調10.5でずっと走ることになりますとやはりやりきれないです。

 

やはり今更ですがアウターベンチェリの径の選択がいかに大事かが分かります。ベンチェリー径を大きくして吸入抵抗をめいっぱい減らしてキャブの最大能力を出したいのですが、燃調が成り立つかどうかその攻めぎ合いとなるわけです。

 


長年考え続けてとうとう下記のパーツを考え出しました。このベンチェリーは従来のベンチェリーの概念から全く異なる方向からキャブ内部の負圧をコントロールするもので、特にキャブのふけ上り段付きが出る場合に大きな効果があります。すでに実用、販売をしております。

2022年1月15日

プレッシャーコントロールベンチェリー

ソレックス44用 withトルネード 完成

このプレコンベンチェリーは中間回転数の負圧を上げ、加速をスムーズにします。この仕様にてすでに実車実証済み。今回は内径φ34

ウェーバーφ50用も製作・実用しています。

詳細はこちら

ご購入は販売のページから

もう一つキャブの口径を決めるにあたって考えなければいけないことがこのバルブのことです。

 

久々にアップします。

画像はビッグバルブ インレット側φ46バルブリフト14.8mmが最大に開いた状態ですがこの開口面積円筒状の面積をキャブからガスが吸い込まれるのですがその面積は46×3.1415×14.8=2153mm2ですがこれをキャブ口径に換算すると√(2153/3.1415)ですので約φ52、4までそのキャブの能力を使えますのでφ55のキャブが良さそうです。

 

ではノーマルL28の純正バルブのままではどうでしょうか。バルブ径45でバルブリフト10mmですので開口面積は1414mm2 キャブ口径換算でφ42となりますので、これ以上大きな口径のキャブを付けてもこのバルブの開口部が堰となってキャブの能力が余ってしまうことになりそうです。つまりL28純正エンジンにソレックスφ50やφ44付けても何の性能アップにならないということです。頭で考えたことですから現実に沿うかどうかは分かりませんが計算上は間違っていないと思います。性能アップどころかバルブのところで蓋をされるのでキャブのガス流速が落ちて前述のキャブのつながりが悪化する原因にもなります。実際はマニフォールドの壁の摩擦損失などがあるので若干異なるかもしれませんが。φ45純正バルブでハイカム付けてバルブリフト14.8にした場合は同様にφ50キャブ、 もっとおとなしいカムでバルブリフト12mmにするとφ45  全体的にみるとバルブ径よりもカムリフトがガス吸入面積に大きく影響すると言えそうで、限られた資金の中でチューニングするならビッグバルブよりは、ハイカムに資金投入するべきなのではと思います。 まとめるとキャブ口径選択はバルブリフトから  

 

 

もう一つ考えたこと、画像はウェーバーのφ50ですが口径が大きくなるとジェット調整が難しくなるのではと思っていたのですがそうでもありません。どころか良く考えるジェットの番手のピッチと流入がガスの量の比率から見れば大口径キャブの方が明らかに滑らかな変化を付けられるということです。

 

φ40キャブでメイン5番ピッチ=0.5mmピッチで変えた場合と

φ50キャブで5番ピッチ変えた場合では明らかにその影響は異なるはずです。

 

 


キャブマスター その1 本ページ

キャブマスター その2 に続く

 

 

 

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