71系ミッションの輪廻転生  日産エンジン用 

71系コンパチミッション シリーズ

αバージョン  71Bの中身を71Cにする 2-3速ダブルシンクロ

Ωバージョン  上記をさらに4速もダブルシンクロ化 71Cでも存在しない仕様

Ω-クロス   上記をクロスギヤ組とする

Ωー魔法の箒  S20エンジン用コンパチC ケンメリフロントベル使い71C化 

 

βバージョン  71Bのままで71Bの最終仕様で作り上げたミッション

βーW     71B240クロスをポルシェシンクロからワーナーへ変換したミッション

 

γバージョン  71A3分割ミッションの欠点を改良したミッション、特にS20・SR311

γーW     71A3分割のポルシェシンクロからワーナーシンクロへ変換したミッション

 

 


2023年6月30日

71BコンパチC α85

一辺に3基のミッションをご依頼された三重のオーナー様の2基目の仕事に入ります。

 このミッションを中身71Cのαバージョンで仕上げます。

現状調査でミッションアウトプットの凹みが少し気になりましたが大きな問題は無いと思います。

71Cの中身を作っていきます。

メインシャフトとメインインプットは新品を使います。

 

71Cのメインシャフトです。

サクサクと1-2速まで組みました。

メインインプットギヤ

今回は新品を使います。

子の新品の場合ギヤの内部にあるニードルベアリングが左側の物になるのですが、右側の通常品よりかなり大きくなり強化されています。

71cのカウンターのフロント側にはこれらのパーツが取り付けられることが特徴です。

このようになりますが、薄いシザースギヤというものがカウンターギヤより一歯多い状態で組まれて、その回転差でアイドリング時のチャタリング(ガコガコする音)を低減します。

フロント側ギヤ組完了

リヤ側はバックシンクロ付きタイプとなります。

精度測定

 1st  2nd  3rd      5th

エンドプレイ

0.37 0.15 0.13 ーーー 0.20

バックラッシュ

0.11 0.18 0.16 ーーー 0.05

良い値だと思います。

シフトフォークを組んだ

ケースの準備

リヤエクステンションのオーバーホール

ストライキングブロックの中にストライキングロッドのオイルシールが有るので交換です。

今まで左側のリップシールタイプが付いていましたが私は右側のオーリング+金属冠タイプに変更してしまいます。なぜなら軸方向へスライドするロッドのオイルシールをリップタイプでやろうとするとすぐにリップが裏返って破損してしまうからです。ロッドが研磨してあればまだ良いんですが、実際は切削ままなのでかなり無理があります。

 

ここの寸法も問題で、このタイプの場合は場合によってはシフトが抜けるという現象が起こります。

この件の詳細はこちらにあります。

 

この部分の寸法に2種類あることにより、混乱が起こります。同じ寸法同士で組めばよいんですがね。

どうしてもスポーティーにしたい場合はこの寸法を長く=43mm品を使いたいのです。


私はこの部分の混乱を避けるため、できる場合は支点穴を上側に追加工して、どちらのシフトレバーでも合致するようにしておきます。(できない場合もあります)

フロントベルハウジング

セルモーターの取り付けタップがズル剥け

ほかのタップもある程度痛みが見られましたが、ここはかなりひどいので修理が必要です。

私の超小型ラジアル盤で加工してゆきます。

それにしてもこのサイズはこういう場合は重宝します。

ミッションケースへの組み込みが完了です。


2023年9月11日

71BコンパチC α86

 

上記と同じオーナー様のミッションで3基中の3基目ですが分解したところ錆がひどく発生しており(ここの詳細はこちらでご覧になれます)、そのままでオーバーホールは無理とご判断されて、中身をそっくり71Cに入れ替えるコンパチC αバージョンに切り替えとなりました。ミッションケースはそのまま使えます。

いつものように71Cのギヤ類とシンクロやニードルベアリングを準備して組んでいきます。

1-2速の組付けです。おくにメインシャフトが見えますが新品を使います。

3速の組付けです。

今回はαバージョンですので71Cの純正そのままの仕様となります。

1-4速メインインプットまで組付け完了です。

そしてリヤ側 5速-バックの組付け。

5速は71Cの純正0.75ギヤ比(オプションで0.83ギヤ比も作ることができます)

バックはシンクロが付いているバックシンクロタイプとなります。

 ギヤ精度確認です

    1ST  2ND  3RD      5TH

EP 0.33 0.20 0.25 ーーー 0.35

BL 0.15 0.22 0.18 ーーー 0.05

 

5速のエンドプレイが少し大きめですが問題ないと思います。

シフトフォークを組付けてこれでミッションのギヤ部分の組付けは完了です。

ミッションケースの準備です。

リヤエクステンションのシフトブロック部を分解してオイルシール類を交換します。これをやらないとシフトブロックの中がミッションオイルでバシャバシャになります。しまいにはリヤエクステのしっぽの部分がオイルまみれになります。

この後一気にケースに組んで回転試験まで来ました。

2500rpmぐらいでぶん回しています。モーターは3相200V ですがインバーターで4倍速まで自由に(アクセルダイヤルで)増速できるようにしています。プーリー比が1:2なので通常のモーター回転数では回転速度が800rpmがせいぜいとなってしまいますので対策しています。このやり方の原理は今主流のEVと親戚と言っていいと思います。とするとミッション付のEVというのはあり得るのだろうかなんて妄想がちらちらするのですが、やっぱあり得んか・・・。

 と思って調べたらやっぱりある種類のEVには変速機や減速機が付いているようです。それになんと冷却機(ラジエター)までついているようで、なんとなくガソリンエンジンくさくに戻ってきているような・・?

ってことはマニュアルミッション付のEV車ってのもあり得るのか・・・と懲りずに妄想が増速するのであります。

この後ろにデフ付けてタイヤ付ければ・・・。

アウトプットにはオイル漏れしないように特製のアダプターを付けています。

今回ミッション自体の機能はすべて問題なしだったのですが、スピードピニオンに少しオイル漏れが見られたので対策しています。

 ミッション事前説明でスピードピニオンはおまけ扱いで保障の対象外です。なぜならスピードピニオンはそれぞれの車で歯数が異なる(デフギヤ比やタイヤサイズの違い等)でスピードピニオンはそれぞれのユーザー様でセッティングする必要が有るからで、スピードピニオンを付けてもすぐに交換されてしまうのならここで付けるものには蓋の意味しか無いということになりかねないです。

 今回少しオイル漏れが多かったので蓋の役にも立たんわという事でシール交換しときました。