安心して乗れる大人の240ZGへの変身ー駆動系編 S30Z R180 デフ オーバーホ-ル

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2022年4月6日

駆動系の修理の続きです。

ミッションのギヤシフトが入りにくいということでミッションに手を入れることになりました。

ミッションとしては純正オリジナルにこだわりたいということで240ZGに定番の240クロスで仕上げることになりました。240クロスはポルシェシンクロとなるのですが、今までもお話ししたようになかなか癖が大きいというかマニアックなミッションであります。良いときは素晴らしい性能なんですが、ダメなときは全くダメ。(そこで私はこれを240クロスのままワーナーシンクロに変換するバージョンもやっています。)

 ミッションとしては別の個体で仕上げて修理期間を短縮する方法で進めています。ミッションの詳細はこちら

交換に入っています。まずは現在のミッションを下します。

今までついていたミッション、240クロスのはずですが外観からはわかりません。

クラッチレリーズ なにやら傷だらけ

オペレートシリンダーは調整式となっていますが、フォークを引き戻す引っ張りスプリングが付いていませんでした。もっともクラッチフォークは何か他のものがついていて引っ張りスプリングをひっかけるステーがありませんでした。オペレートピストンはこの画像のようにぺしゃんこに縮んだ状態になっています。

レリーズの高さは今までは29mmだったようです。

これからクラッチセットで交換して24mm高さのレリーズに変えていきます。

シフトレバーブッシュ 粉々 反対側はすでに消滅していました。

シフトブロックの中はオイル漏れでオイル溜まりができています。白っぽく見えるのはシフトレバーブッシュの残骸。

クラッチ関係はまだ新しそう

クラッチディスクとクラッチカバー

ほぼ新品です。

クラッチカバー

ほぼ新品、割合と最近に交換しているようです。

フライホイール

こちらは消耗がひどいです。

 

長年使ったフライホイールはこのように回転方向とは90度方向に亀裂が入りことは多く起こります。

クランクリヤエンド

ここにも何やら打こんのようなものがあります。

この打こんがついた原因も予想すら困難な現象です。

ただ特に何も取り付けるところでもないのでこのままでも大きな問題はないとは思います。

もう一つミッションのフロントインプットが刺さるところのブッシュが半周ほど欠けています。

クランクリヤオイルシールはこれも比較的新しめで漏れも全く見られないので交換の必要はなさそうです。

右が取り外したブッシュ

なぜこうなったかは想像もできないくらいの壊れ方です。入り口側はテーパー状に広がっていますが、なぜ?

 ここがダメだとミッションのメインインプットの先端に支持するものがなくなり片持ちで振れ回ることになるのでミッションに対して非常によくないことになります。

フライホイールはクロモリ軽量フライホイールに交換で重量は今までの約半分となります。

このクラッチセットは今までも何例も交換して実績があるので安心して使えます。

フライホイールのボルトはなるべく新品を使ってトルクレンチできっちりトルク管理して締めこみます。

高回転多様の走り方の場合はARPの強化ボルトにしてマージン持たせます。

フライホイールとセットの強化クラッチカバー

若干伝達トルク保証値が高いものとなっています。

クラッチの踏みこみは差がほとんど分からないくらいで重くは無いです。

ミッションメンバーのブッシュが交換リストに入れていたのですが現状でほとんど劣化が無いのでこのままいきます。

ミッションマウントはニスモの強化マウントに交換します。

新たに作った71BコンパチB’ β27と交換して組み戻しました。ミッションの詳細はこちら

 

私の作ったミッションには画像では分かりずらいですが識別番号をミッションの黒いセンタープレートの底面に刻印しています。

リヤ側

この時ついでにハンドブレーキワイヤーの引き調整をしました。マフラーやプロペラシャフトがついていないこの状態なら簡単に調整ができます。画像のように調整ねじが隠れるくらいハンドブレーキワイヤーが伸びていますので、これで限界の状態です。いつかは交換しなければならないでしょう。

ハンドブレーキワイヤの交換はこのデフの真上の床裏にあるロックプレートを外してワイヤーを外してから、新ワイヤーを取り付けてロックプレートを打ち込む必要があるので、完全に安定して作業するにはデフを下す必要がありますので、なるべくデフの扱い時にはここも手を入れるほうが手順が良いです。今回はハンドブレーキワイヤー交換は見送ります。

引き続き今回のタイミングでほかの部分の修理も一緒にやります。

コンソールなんですがSUキャブ車に特徴的なチョークレバーがコンソールについていてこれがまたかっこいいのです。しかしながらかなりの確率でレバーステーの取り付け部のねじ部が壊れてしまいます。このステーはコンソールのプラスチックダボに木ねじで直止めなのでかなり無理があります。SUキャブ車は冷間始動時にはこのチョークレバーを引かないとエンジンがかけられませんので非常に困ります。そこでコンソールの裏側に工夫してチョークレバーステーを取り付けるためのベースを金属板で作っていきます。

このようにチョークレバーがしっかりと引けるようになり、エンジン始動や暖気時アイドルアップも問題なくできるようになりました。

 このチョークレバーの仕様ですがS30Zの場合年式により種類があり、私の知る限りで3種類あると思う(レバーのデザインはもっと種類があるかも)のですが、このシングルレバー式は中期型の最終型についているものと思います。

さて、もう一つリヤにあるスピーカーの取り付けですが3か所ある取り付けねじが鍋頭のプラスねじでしたので、これだと壁からの出っ張りが大きく内張の取り付け時邪魔になります。

左側はこのようにねじの頭が低いボルトで交換して締めればすぐに解決。

問題は右側なんですがなぜかこちら側には建て込みナットがつけられておらずただの穴があるだけです。それで仕方なくボルトナットで止めていたのですがそれだとさらに出っ張りが大きくなっています。画像取忘れ。

こちら側についてはこのようにブラインドリベットを打ち込んでナットをボディー側に構成します。

そして同じく頭の低いネジを使ってスピーカーを固定しておきます。これで内張が浮き上がらずにきれいに取り付けることができます。

 このスピーカーですが当初はコーンがボロボロで破けていたのでもっと新しい社外品にしていたのですが、オーナー様がこだわって純正の破れを修理して使えるようにして復元したものとなります。

引き続きリモコンドアロックの調整に入ります。

自分のも含めて何例かリモコンドアロックに改造することをやっていますが、これは市販されているリモコンドアロック改造セットを使ってドアの内側にアクチュエーターを室内側のロックノブシャフトに並列に取り付けてロック。アンロック操作をするものです。取り付けについては市販品の取り付け説明書のとおりにやるのですが、S30Zはあまりにも旧車過ぎて、メーカーの想定には無いようで厳密には適合しませんのでいろいろ工夫しなければなりません。しかし、リモコンロックにすると操作が便利であることはもちろんですが、古くなった金属キーが金属疲労でキーシリンダーに差し込んだ状態で折れてしまうという旧車に結構起こる事故を減らすことができます。

黒いプラスチックの箱がアクチュエーターで電磁石で動くソレノイドです。これを右側に見えるロックシャフトと太い針金状のもので固定して力を伝えていますが、これだと元々の金属キーで鍵を回すときは場合によってはこのアクチュエーターが抵抗になって鍵が回しにくい場合があります。リモコンキーなんだから元もとの金属キーは使わなくていいんじゃないのと考えられていると思うのですが旧車の場合は事情が異なります。旧車をしまう場合バッテリー上がり防止のためにバッテリーカットオフスイッチをボンネット内につけ電源切ってしまうのですが、そうすると次に動かし始めるときは金属キーでドアを開けてボンネットを開きバッテリーをつなぐ必要があるのです。

そこで今回はメーカー指定の取り付け方法ではなくもっと工夫してアクチュエーターをつないでいても金属キーが今まで通りスムーズに開け締めできる接続方法を考え出しました。何とかうまくできたと思います。しかもこのように車を車庫にしまう場合にリモコンキーの電源を切ってしまえば、防犯上もリモコン周波数乗っ取りなどのリモコン破りがやられにくいというメリットもあります。

2022年4月13日

いままで使っていて交換下したミッションの状態を調べてみます。  詳細はこちら

1速、シンクロは完全に金属地肌が出ている状態でシンクロ機能は末期状態といえると思います。

2速もかなり消耗

3速はまあまあ

4速は70%寿命

5速は良

1速側のシンクロスリーブをチェックするとシンクロ舳先が一か所欠けています。これでも普通に走れていたのですが、このかけらはどこへ行ったのか不明です。このようにこの部分が欠けるのはポルシェシンクロでよくみられる事で、シンクロが効かない状態で無理にシフトを押し込むことでこのように無理がかかり破損してゆくのです。このまま使い続けるとほかの同じような箇所がだんだん破損が進行してゆき場合によっては片面6か所すべて破損しているものもあります。

 

全体的にはポルシェシンクロミッションの寿命の終期に近いところだったと思いますので、今回のミッション交換は良いタイミングだったと思います。


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