オリンパス ペン の 奇蹟

2012年8月31日

 

右の画像はオリンパス ペン です。

今では リバイバル版がデジカメで売られていますが、このカメラがもともとの名前の由来です。

これはD3ですのでペンシリーズの3代目ということになります。 

 

フィルムカメラでしかもハーフサイズとなっていますが、ハーフサイズというのは35mmフィルムを縦に2分割して使うもので、枚数的には通常のフィルムの2倍撮影できました。

36枚フィルムなら72枚撮影可能でしたが、現像した写真は縦長でした。

そうです、画像は今の携帯電話のカメラ機能のように、縦長の画像になりました。

 

しかしこれが日記風の構図になってまさにスナップという画像が取れたと思います。

 

 

レンズ銅鏡部に有るダイアルはシャッタースピードと絞りの調整リングです。

まずどちらかを決めるのですが、たとえばシャッタースピードを1/30にしたとします。そして次に絞り(本体に近い側のリング)を5位にしたとします。すると上左の画像で1.7という数値の右側に四角い窓がありますが、ここに或る数値が示されます。この場合は7です。ここで上右側の画像PEN-Dと浮き彫りされている左側のメーターが照度計ですが、照度計のスイッチを押すとその時の適正照度が示されます。それが7であればいいんですがそうでなければ調整リングを回して再度セッティングします。この調整の時、シャッタースピードを変更すれば絞り優先の調整、または絞りを調整すればシャッタースピード優先の調整になります。どちらを選ぶかは、絞り優先の場合絞り数値を大きくすると被写界深度(=ピントが合う範囲)を広く写します。ですがあまり絞り数値を大きくする(=締める)とシャッタースピードが遅くせざるを得ません。なぜなら露光適正値は(明るさ×露光時間)で限られているからです。ですがシャッタースピードをあまりに遅くすると手ぶれが発生する危険が生じてきます。手ぶれしない限界は1/250くらいでしょうか?

ここが写真の基本中の基本です。オリンパス ペンはここを実に単純な機構で制御しています。オリンパスペンに限らずこの当時のフィルム式カメラは全部これを基本にしていたはずです。

 

左下画像でカメラ左側のアクセサリーシューに注目してください。事務用品のクリップの形をしていますね。このようなウィットがある商品が今の時代にもあるのでしょうか?ダジャレですがいい線行ってます。 ちなみに、オリンパス ペンの名前の由来はそれまで特殊な機材であったカメラを 日常の中での記録としてペン=鉛筆でメモを取るような感覚で使えるように大衆化する ということで名付けられたと記憶しています。そのためのハーフサイズだったのですね。

 

右下はフィルムを装填する時の状態ですが、実に大胆にカメラ本体下側全部がぱっくりと外れます。そのため遮光モルト=スポンジが劣化すると遮光が破れてしまいます。メンテが必要です。

シャッター幕が見当たらないので、絞り幕の様な物で露光をコントロールしているんですね。

フィルムの巻き上げは左上のギザギザの付いたノブを押し回しします。そのノブの左側に有る丸いボタンが露光確認スイッチです。

 

 

描画性能と使いやすさは現代のカメラとは数値で比較すれば比較出来ない様な低いレベルだと思います。

しかし魅力と言う観点からみると私にとっては非常に魅力のあるカメラです。いつでも手放さずに持っていたいと感じさせるものです。その大きさとデザインは絶妙で、外観は緩やかなカーブを持っていますが、このカーブはどうやって決めたのでしょうか?このカメラが作られた時代から40年経った現代では、正確な直線と正確なカーブを描けるCAD(コンピューターによる設計)また物質の形状を1/100mm単位で測れる測定器はありますが、今の国内のカメラ関連企業の状態ではこの曲線はおそらく作れないでしょう・・・・。