ウェーバーキャブの分解・弱点克服

 アイドリングが下がらない病


エンジンは始動できましたので、最初の関門はクリアーですが、これからセッティングが必要なのですが、その前に問題発生です。

アイドリングが2000rpmから下がらないのです。古いキャブではありがちな話ですが、単体で確認した時うすうす分かってはいました。

バタフライが完全には閉まらず、隙間ができていたのです。でも何とかなると思っていたのですがだめの様です。

各リンケージを1個1個外しながらどこか引っ掛かっていないか確認してゆきますが、キャブへのリンケージを外してもアイドルは下がらず、キャブ不調に確定です。キャブの中でどこかは分かりません。バタフライかもしれないし、シャフトのガタやどこかのシール不良などもあり得ます。

 

ま、アイドルが下がらないだけなので走れるはずなので、今日試走に出ました。

 

1)スタート加速しません。クラッチをつないだとたんストールします。加速ポンプジェット30番はやはりだめです。50~60位かな

 

2)4000rpmから上のメイン領域。素晴らしい吹けあがりです。懸案だった5500rpm頭打ちも嘘のようにレッドゾーンに向かって加速します。

頭の隅で疑っていた20年前の川崎のz職人さん、ごめんなさい。私が間違っていました。エンジンはいいです。

 

3)パーシャル がこがこ息つきしますので、パイロットジェットが小さいです。やはり55~60位かな。

結果的に グリーンのs30zと同じジェッテイングになりそうです。

 

さて、アイドリングはキャブ分解しかないようですね。もう一度分解です。

 

もう一度チェックしたらやはりチョンボがありました。今はもうチューブをつないでいますが、バキューム進角ホースが取り付けてありませんでした。ここからエアーを吸っていたんですね。ふさぐと一気にアイドリングが落ちます。1200rpmまで落ちました。

でも、まだばらつくんです。アクセルをポンと離さないと、引きずる感じでアイドルが戻りません。

今まで何回も見当違いのところを分解して頭をひねって痛い目に会っていますので、もう一度確認します。

リンケージを一つ一つ外してどこが引きずっているのか確かめます。

そして中央部のキャブが原因でありそうだと目星を付けました。 

きっちりしたところは3個のキャブ全部を分解整備するのでしょうが、

貧乏症の私は、あわよくば1個で済むかもで、まず中央の1個の分解に入ります。

 

中央のキャブを外して分解しました。見た感じでは特に問題は見つかりません。

キャブは

タイプ 40でバレルの直径は40mmですね。

インナーベンチェリーで32mmに絞っていますので、

2000ccクラス向けの製品です。

 

ポンプの後ろにマイナスねじでねじ込まれている細長いジェット #100F5

 

フロート室の底にあるジェット  #50 でした。 

スロットルの分解前ですが、画像ではよくわかりませんがスロットルを閉じた状態で隙間が見えます。ちゃんと閉じてはいないようです。

両脇のナットを外してバタフライとシャフト・ベアリングを分解。

ベアリングは真っ黒です。

各部品は位置関係を印して、元の場所に戻せるようにします。

このキャブの両サイドナットで抑えるワッシャー類ですが、やはり汚れています。

 

DCOE45の場合はここにゴムのシールが付くのですが、これには付いておらずベアリングむき出しということになります。

 

ベアリングをガソリンに漬けて洗浄したら、このようなものが出てきました。

なにやらわかりませんがカーボンのようなものです。

ここには常に負圧がかかるし、吹き返しのカーボンもありますので、このようになってしますのでしょうか?

洗浄するとベアリングは嘘のように滑らかに回ります。

このあと組みつけに入りますが、シャフトがうまく入りません。シャフトをはいるところまで入れて回転させてどちらに曲がっているか確認して少しずつ修正していきます。

何とかスルリとシャフトは入るようになりました。

しかし、今度はベアリングを付けると回転が固いです。どうもベアリングの部分で微妙にシャフトが曲がっているようです。

シャフトを旋盤にセットしてベアリング軸を紙やすりでほんの少し研磨します。

ほらこれでベアリングもスルリと入るようになりました。

あとはバタフライを付けてねじを締める前にぱこんぱこんとシャフトを回転させ芯だしし、ねじを締めこみます。このねじはマイナスねじで2個ありますが、これが緩み脱落すると燃焼室内に吸い込まれてしまいますね。 オリジナルは締めた後ネジの先端を荷締めて緩み止めしていますが、今回は接着剤の様なネジロックで化学薬品処理します。

結果動きは問題無く引きずりなく気持ちよく戻ります。

バタフライ隙間はうっすらとありますが、全周均一です。

okです。

 

再びセットして試走です。

ジェットは 

 メイン  135 

 エアー  185 

 アイドル 45→変更55f8 

 ポンプ  30 →変更50

 

すごく良くなりました。

1)スタート加速 豪快に加速してゆきます。吸気音がすごいので感覚的にも過剰に感じます。

2)高回転    良い感じです。6500rpっまで一気に回ります。少し伸びが重い感じはありますが                                      

3)パーシャル  息つきは無くなりました。

セッティングについては、少し前後させないと分かりませんが、やっとまともに走れるようになったというところです。

アイドリングですが、1100rpmまで落ちましたが、それ以上は下がりません。引きずりは少なくなりましたが、やっぱり他の2個のキャブもバタフライの隙間があるんでしょうか。やはり全部分解か?

 

 

 

 結局 キャブ全部分解することにします。左側のはバタフライを確認して隙間が無くぴったりしていますので、下手に分解しない方がいいと判断して際組み付け。

右側はかなり隙間大きく、ベアリングも真っ黒なので完全に分解して清掃。

中央以上にカーボンの様なものがどっさり出てきました。

シャフトの曲がりもありこれも修正して取りつけ。

 

 

さて、再テストですが  治りました。  アイドルアジャストを完全に緩めるとエンストします。これが欲しかったんです。こうじゃないと気持ち悪いですね。わたしはアイドリングが低い方が上等のエンジンという迷信の信奉者です。はい・・・

 

 

あと、手持ちにメインジェット#145が有ったので同時に交換しておきます。

ここで同調を取るのですが、一つ問題が有ります。

ファンネルが付いていないので、キャブバランサーが吸気口に密着出来ないのです。

 

ファンネルを買えばいいのですが 6個も必要なのでえらく高くつきます。

そこで、ホームセンターにてこんなもの調達です。

これで何とかなりました。

3個ともアイドルでの同調は揃いました。

しかし、この調整はいつもデリケートなので、最後は

いつもの通り 音と勘 で最終調整です。いいのかな・・・・

 

そしてこの後中速回転域 つまり本当に走っている状態での同調が必要ですが、

これもやっぱり 音と勘 です。あとプッシュリンケージの触感でも

有る程度 開度の差がつかめます。

後は走った時の感触で最終調整です。

なんだか 全部 勘 の様になってきました。

エアクリーナーを取りつけました。やっと5年目にして日の目を見ました部品です。

そして良く見ると3個のキャブが階段状にオフセットしているのが分かるでしょうか?

極東はL型に合わせてキャブのセットを階段状にしているのですね。確かにこの方が

フロートの精度はいいはずです。サンヨーはどうだったけかな?・・・・

 

これで一応の完結となります。

後は試走するのみですね。

 

7月1日 裏山の秘密の試走コースチャレンジ 4分31秒 で今までと全く同じ・・・・・。ここはカーブ連続の峠なので、パワーの効果は少ないのか?ただ今までよりトルクが有り、立ち上がりが早くなったことは体感できる。もう少しジェットを煮詰める。少し濃すぎるようだ。 

 

2回目セット仕様 

 メイン 165

 エアー 220

 アイドル 65

 ポンプ  50

結果 メインは少し重い(濃い)

   パーシャルはアフターファイアー(濃い)

   加速 少し重い

 

3回目セット仕様  手持ちの中で薄めを作る

 メイン 145  

 エアー 185 

 アイドル 55

 ポンプ  50

 

結果   おおよそok

   6000rpmから上で吹けなくなる状態になるときあり。

   メインが薄いかもしれない。155 200がいいかも。

   アイドルは60でもいいかもしれない 

 

この仕様でテストランを兼ねて、所属クラブの長野ツーリングへ参加しました。

総距離 360kM 高速あり 山岳あり ワインディングありのハードなコースです。

しかも真夏 気温は33度まで上がります。

 

詳細は こちら 

    

 

7月の長野ツーリングでいろいろありましたが、アイドルが戻らない病にはいらいらしました。そこで8月11日に再度キャブ分解です。先人の教えを紐ときますと、ウィーバーはこれが持病のようです。どうも原因はスロットルシャフトの軸方向の位置決めが明確にはされていないことであるようです。スロットルシャフトは両サイドに2面切り欠きがありその部分に片側はスロットルレバー、もう片側はワッシャーで挟まれますが、その受け面は三日月状のごくわずかな面積です。ここにナットで強く締めこみますとスロットルレバーの受け面が負けてスロットルシャフトに食い込んでしまいます。結果スロットルレバーがキャブのハウジングに接触するようになります。内部に銅製のリングとウエーブワッシャーがありますが、寸法を追ってみますと、この2部品は内部で遊んでおりほとんど機能はしていません。入っているだけです。

 

 

対策です。先人の教えに従って右画像の箱の中の部品の左から2つ目のパーツを削り出しました。ただのワッシャーの様に見えますが裏側に工夫がしてあります。これでナットをがっちり締めこめます。

左から ダストカバー(銅製) 特殊ワッシャー(真鍮で製作) ワッシャー 舌付きワッシャー  ナットとなります。この順番で組み付けますと、ワッシャーがハウジングに対して平行にしっかりと適度なクリアランスで固定出来ます。反対側のスロットルレバー側も同様にします。

 このようにしますが、完全ではないです。なぜならこの部分の仕様は正確な受け面となっていないので、どうしてもクリアランスを大き目にするので、結局はバタフライがバレルの中で動いてバレルの壁に接触してしまいます。

完全にするにはスロットルシャフトのどこかに正確な軸方向の位置決め機構が必要ですね。

でも、とりあえずこれでやってみます。

 

 

 

このあと何回か走りましたが、高回転がいまいちです。6000回転から上で頭打ちの様な感じです。

やはり 高回転領域で燃料調整が濃いのだと思います。

 

8月22日 走行テスト

・ウィーバーキャブのセッティング変更します。

 メイン 145→135 薄くします

 エアー 185

 アイドル 55

 ポンプ  50

やはりこちらの方が高回転がスムーズに回ります。濃度はこのくらいがいいようです。

もっと薄めをトライしていきますが、ジェットの手持ちがありません。

あまり薄くするとエンジンが壊れるようですので注意が必要です。

 

8月26日 高速試験

東京でミーティングがあり、真夏の35度超えの暑さですが試験を兼ねて行きました。

高速は6500回転くらいでパワーが落ちますが、まずまずです。メーター読み○80kmは

出ているようです。燃料総量が不足している可能性はあります。

6500rpmからの頭打ち感はカムやバルブスプリングの特性が合っていない場合も考えられます。

 

また6000rpmから一瞬アクセルを抜き再加速すると一瞬かぶります。加速ポンプがやや濃すぎるのかもしれません。

 

また走行中は問題ないのですが渋滞するとかぶり気味です。特に渋滞抜けて加速中にかぶります。

タコアシの発熱がエンジンルーム内にこもるようです。たぶんタコアシに断熱材を巻けば解消すると思いますが、なるべくやりたくないです。

 

燃費は高速60%で 8km/Lでした。2000ccクラスです。2400かも

 

 メイン 135→145  (135は2000ccクラスの最低サイズなので心配)

 エアー 185→200 210 220

 アイドル 55

 ポンプ  50 →45

が狙い目ですね。