片倉シルク スピードマスター です。
片倉シルクは80年代のマスプロメーカーでしたが、その後消滅していましたが、
最近また復活を果たしたようです。
この車体は片倉シルクのなかでは上級車に属するものではないかと思います。
かなりエグイバイクだと思います。
フレームを入手してアッセンブリーは私の感性で仕上ましたのでだいぶちぐはぐだとは思いますが、
このフレームはこうありたいですね。
下の画像をクリックすると、拡大写真となります。
基本は総メッキのラグ出しということですね。
ヘッド回りすべてメッキ出しは珍しい塗り分けですね。
一番の特徴はこの大きくて長いラグのひげですね。もはやひげとは言えずくちばしというくらい大きいです。その上 金線引きとなっています。そしてこのくちばしの中を肉抜きして模様として、重くなるデザインを軽減しています。
フロントハブはサンシンのラージハブ おそらくピスト用です。穴数は32穴
片倉シルクのヘッドマークはいろいろ変化していきますが、このマークはかっこいいです。これはペイントではなく金属のヘッドパッチをリベット止めしていますね。このリベットは移し替えは難しく、偽装しようとしてもビンテージを壊さずに作ることはまず無理でしょう。
ヘッドセットはメーカー名が分かりませんが受けが薄く、しっかりとした作りです。どこのメーカーでしょう?
ハンドルは現在のものを使いましたが、競輪用なので昔からあるものです。日東 クロモリダブルバテット B123となっています。ステムも現在のピスト用で日東ですね。
ところでこのバテッドがハンドルにもあるとは思いませんでした。鉄フレームの場合は クロモリトリプルバテットなどと表現しますが、これは材質がクロームモリブデン鋼でこれを熱処理して硬くスプリングの様にしたもので、バテッドとはパイプの両端の板厚を基本として、中央部に行くにしたがって板厚を薄くしてゆくことです。目的は力のかかる両端 ラグ接合部を強くして中央部は薄くしてしなやかさと軽量化を果たす為です。パイプは外側はストレートなので外観からは分かりません。内側の内径が少しずつ緩やかなテーパーで変化しています。簡易的に調べるなら爪でパイプをはじいていって音の変化で読み取ります。ダブルの場合はこれが2段階で変化しています。トリプルの場合は3段階です。どうやって作るんでしょう・・・・?。
ブレーキは シマノの旧デュラエース。シングルビボットの時代のものです。
立ち上がっているアームの肉抜き形状が面白いですね。
アウター受けは丸い縦溝のあるレバーを回すとクイック的に引きを緩めることが出来ます。
個性的ですね。
ブレーキレバーはダイヤコンペのグランコンペ ブラックアルマイト
フロントフォーク肩は片倉シルクの最大の特徴である2枚肩です。総メッキされています。大メーカーで独占されていたロストワックスラグが使えず、苦肉の策で鉄板2枚を重ねてラグとしたんだという陰口の様な説がありますが、そうではないと思います。片倉はフロントフォークの剛性を重要視して、ペラペラのラグは使わずこのなんと厚み5mmは有りそうな鋼材2枚を組み立てることで精度と剛性を醸し出したのではないでしょうか。2枚肩のフォークは他で作れる技術を持ったメーカーは無かった様です。
そしてなんといっても美しいです。
ダウンチューブサイドにはおどろおどろした字体で スピードマスター と書かれています。
魔物です。
ダブルレバーはユーレーです。
シフトガイドはカンパニョーロでこの車体に負けない様に華やかです。
クランクはスギノのプロダイナミックS 金属キャップは珍しいでしょ。
リヤエンドはカンパニョロです。
東京 片倉 のシール あまり見かけません
ユーテックシールは 溶接方法の説明の様なものだと思います。低温溶接を売りにしていました。
ウンノ デイバイデイ のシール 少し違和感があります。ビンテージが合っているかこの部分は私には分かりません。
BBラグもやはり総メッキ なかなかないデザインです
サドルは 皮革製のスワロー加工品ですが、メーカーは不明です。
オルモのシートポストはカンパニョーロのOEMです。彫りこみでオルモをデザインしていますが、手が込んでいますね。
リヤブレーキはフロントと同じくデュラエース
シート止めのネジは私の自作です。真鍮で作っていますが強度的に不安がありますがとりあえずはOKの様です。アルミ材AL2017のバージョンもありますが、それなら通常のクロモリネジに近い強度がありますし軽いです。
リヤハブはサンシンの継ぎハブ(軸とフランジを別パーツで作って接合したもの)ピスト用両コグです。本来は両面に固定ギヤを付けて、路面によってギヤ比を反転して使い分けるのが、正しい使い方ですが、この場合は片側に5速のサンツアーボスフリーを取り付けています。スポーク穴数は40という希少なものです。
リムはこれに合わせて木リムを組みたてました。メーカーは不明ですが日本製の様です。
クランクはスギノ プロダイナミックS チェインリングはストロングライト
フロントディレイラーはカンパニョーロ バレンチノ スライドタイプです。パンタグラフタイプではありません。これは昔 手でフロントのチェインガイドをロッド式のレバーで動かした時代の延長上にある部品です。
リヤディレイラーはサンツアーのコンペティション これも魔物の匂いがしますね。
チェインステーにアウター受けは直付けされていないので、バンド式のアウター受けを取りつけます。
こんな形の見た事ありますか?ときどき見ますよね。
ハブ軸を締めこんでいるゴールドのゼンマイ巻きみたいなものは、ウイングナットです。今の様にクイック式一辺倒になる前の時代ではこれが主流でした。その前はただのナットで締めており、常にスパナを携帯していないとパンク時車輪を外して修理することは出来なかったはずです。