2013年3月4日
エンジンミッションの交換・その2
こちらのグリーンのs30zは4月に車検がありますが、エンジンの調整をしなければなりません。このエンジンはプロの手になるフルチューンで素晴らしい性能ですが、しかし車検となるとだいぶ問題ありですのでいつも困ります。
そこで今回 エンジンの「大回し」をやります。
グリーンのZの仕様はだんだんノーマルに戻してゆき、原型保存志向に方向転換しようと思います。
この車をサーキット仕様にしようとすると、おそらくボディ補強は必至で、追加のガセットなども必要になりますので手間がかかるし、もったいないです。前期S30Zは高速や高出力エンジンを使うことなぞ想定として当然しておらず、したがってボディーもやわいのですがその分軽いです。
対してS31Zは100Kg重いですが、その大部分がボディ補強に費やされています。
乗ってみた瞬間からその差がわかります。ですから、こちらをサーキット仕様にした方が楽に車を作れますし、車検でのエンジン調整もこちらだけやればいいことになるので手間が省けます。
そこで 1)グリーンからフルチューンを外しノーマルを載せる
2)レッドからL28を外しグリーンのフルチューンを付ける
さらに同時にミッションも71BコンパチC OSクロスに交換
の2回のエンジン載せ替えをやります。
やれやれ・・・・・
ラジエターから冷却水を抜きます。エンジンオイルも同時に抜きます。
ラジエターを外しますが、4本のボルトで止まっているだけですので簡単です。またボディー側に仮にひっかけておくフックがラジエター上部に有るのでボルトを全部抜いても落ちてくることはありません。ただ外す時にフィンをぶつけないように注意しないと簡単に変形します。心配なら段ボールなどでガードした方が確実です。
エンジンファンはファンベルトを緩めた後、やはり中央の4本のM6ナットを緩めるだけで外れます。話はそれますが、このタイプのカップリングのファンは見なくなりました。もっと冷却リブがたくさん有るタイプが多いですが、そちらのタイプはラジエターとのクリアランスが10mmくらいしかなくぶつかりやすいです。
こちらはラジエターとの距離が20mmくらいあり、安心です。
ガソリンホースを外します。
ジェネレーターの配線を外します。
配線の位置を覚えておきますが、コンデンサーが特に忘れやすいです。
ヒーターホース2本をはずします。
セルモーターへの配線を外します。
この前にもちろんバッテリーの端子から配線を外しておくのは当然です。
ここは大電流が流れるのでうっかりショートすると危険です。
こんかいも一度ショートさせてしましました。
この車にはオイルクーラーが付いているので接続アダプターがオイルフィルターの所についています。これを外してゆきます。外した後またオイルフィルターだけ取りつけフタをします。
外すにはこのM32だったけなのボックスが必要です。
つぎにこの ?バー を外します。これらの小さな部品は外したらスプリングや座金はもう一度仮組みして整理しておきます。そうしないとどこについていたものか分からなくなるし、付け忘れも起こります。ボルト類もすべて元あったところへ仮にもどしておきます。
ブレーキブースターへの配管を外します。
ウェーバーのエアーファンネルを外します。なぜってエンジン外す時何かにぶつけて変形させたら泣くに泣けません。この差し込みタイプのファンネルは高いです。
そして奥のタコアシのフランジ部のボルト3本をはずしてマフラーと切り離します。
またセルも―ターに戻って、これを止めている2本のボルトを外してセルモーターを車外へだします。同時にセルの下側にあるミッション固定ボルトを外します。
セルが外れました。
残りのミッション固定ボルトも外します。3本あります。
またミッション下部に2本ミッションカバーを固定するM8ボルトがあります。
つぎにエンジンマウントボルトM8 2本左右を外します。
外した主要部のボルト類はこれだけです。
特に、エンジンとミッションと固定しているボルトは右下のボルト4本だけです。いつもこんなもんでいいのかなーと思うくらい少ないです。
右上4本がエンジンマウント用。エンジンを車体に固定しているのはこのM8 4本だけです。
左上3本はタコアシとマフラーの固定用。これは錆びない為と、ナットにセルフロック機能のある特殊ボルトですので混同はできません。
左下はミッションプレートの固定用で大した機能はありません。
いよいよエンジンを吊り上げます。
ラジエターコアを乗り越えました。
エンジンは無事着地いたしました。
ここまでボンネットを外してから着陸するまでの3時間の快適な空の旅でした。
やっとエンジンが降りましたがここまでは簡単です。外すだけの作業ですから、どんどん外します。
これから組みつけに入りますが、エンジンは20年前に川崎のZ職人から買った、L20怪エンジンです。ストロークを確認すると69mmのノーマル・ボアは?ですがおそらく83mmでしょう。ポートはL24と同じ36mmサイズに拡大されています。カムも替えてあるようです。ノーマルでは無いですが扱いやすいエンジンとおもいます。
を載せる前にステアリングラックピニオンギヤのクリアランスの調整をします。エンジンが無いと調整が簡単です。ここの大きなロックナットはM38でミッションのドライブシャフトと同じサイズなので、この特殊工具がつかえます。調整は大きなマイナスネジ部をいっぱいまで締めこみ20度戻すとなっています。このギヤボックスは前期タイプの特徴であるアルミ製ですが、どうも弱いようです。調整してもすぐにガタがでます。後期以降は鉄製に変えられましたが、問題が有ったのだと思います。いずれは鉄製に交換するようスペアを準備しました。
今回はグリスアップして再利用します。この方が軽いですから。
謎のZ職人エンジンですがキャブもエグゾーストもついていないので載せるのは簡単でした。しかし私はエンジンハンガーを持っていないのでエンジン吊り角度を出すのがいつも難儀します。やっぱり有った方がいいですので、購入を検討します。
タコアシを取りつけました。これはメーカー不明で銘もありませんからそんなに有りがたいものでは無いようですが、軽いです。錆が出てきていますが、あんまり見えないところだからこのまま行きます。ポートが綺麗に磨かれていることが分かります。
キャブレターですが、L24用の口径の大きいタイプのSUです。SUも最近は見なくなりましたが、そんな中でもL24用は少ないと思います。また、これはごく初期の物の様で公害防止アイテムが一つもありせん。
SUキャブレターのいいところは構造が非常にシンプルだということですね。私はこういうのが好きです。ただ欠点はリンクが壊れやすいところで、結果としてアイドル戻り不良が起こります。
これを力ずくで戻しスプリングを強くして対処すると、すぐに無理が生じて変なところが摩耗します。根本的にはバタフライシャフトの保持をボールベアリングに変更することで改善出来ると思います。とりあえずなら、現行のプレーンガイドを高性能なオイレスベアリングに変えることですかね。
口径43ですね。大きいです。
インマニ側も36mmありますね
取りつけました。下側の固定ねじはタコアシの一番後ろ側からひじまで手を突っ込んで手さぐりで締めこみますが良くしたもんで何とか全部締められるような位置関係になっています。
すこし分かりにくいですが、SUキャブのリターンスプリングを自作のステーを付けて移設しています。黒く見えるステーがタコアシの固定ボルトで共締めされています。
SUキャブの場合通常は遮熱版にリターンスプリングが付けられますが、タコアシを付けると遮熱版を手前側に曲げないとならずそのためリターンスプリングが効かなくなります。
その代わりにする為、これを増設します。
遮熱版を取りつけました。
ガソリンパイプ類や配管類も復元します。
ラジエターファンを取りつけます。
これを取りつけると急にエンジンらしくなるので不思議です。
ファンって大事?
途中端折っていますが、外した時の要領の逆で組みつけていきます。難しいところはありません。
この後始動に入ったのですが、今回は苦戦しました。キャブへの吹き返しがひどく原因が分からなかったのです。最初は今度新しくしたSUキャブが原因かと思いキャブを外して全分解しましたが問題はありませんでした。
私の本能は最初から電気だと言っていましたが(本当かー?)、点火タイミングを調べると1番の圧縮上死点でタイミングは合っています。よく180度ずれている場合があります。
次にプラグコードを疑って全とっかえをやりましたが治りません。
次にディストリビューターを交換してやっと直りました。パルスジェネレーターの故障でしょうか?
いまだ真因は不明ですが、治ったのでいいことにします。
快調です。吹けあがりもいいです。
ボンネットも取り付けて復元完了です。
これでこのまま車検を受けても、問題なしとなりました。
ここまで途中始動不良に手こずったため9時間ぐらいかかってしまいました。
2013年4月25日
この後、グリーンのzは車検に出したのですが、S30Zの古典的な不具合でとんでもないことになりました。 この車の場合テスターがないと排気ガス調整が困難なのでいつもの自動車工場さんに格安で車検を取ってもらっています。
ところがです、画像のようにライトを外す羽目になりました。どうしても光度が出ないのです。80点しか出ません。100点で無ければだめです。(実際はカンデラです)自動車工場から連絡が来てさあ困りました。
Z乗りが一度は通るヘッドライトが暗くなる道です。
詳細は Z乗りがライトで通る道 こちら
2013年5月12日
そして、ライトはリレーかまして光度はokとなり車検は無事取れたのですが、車検に出すときから気になっていることがあるのです。クラッチがどうもヘンなのですが、目いっぱい踏んでもほんの少しディスクが引きずっているような感触で、さらにツナガリは深いところからつながるのですが、完全につながるのはかなり高い位置、つまり中間状態は著しく長いのです。かといって滑っているわけでもありません。操作感は最低です。
運転が楽しくないので、結局エンジンを下ろす羽目になりました。車検取って2週間目でエンジンおろすって人いるのかな。そして、クラッチカバーを外してチェックしてみるとこんなんです。
クラッチカバーのディスクフェーシング面ですがスケールを当てるとこんなにテーパーがついています。面としては平面ですが全体が円錐状に変形したものと思われます。磨耗ならこのようにはならず凸凹しているはずです。 こんなことあるのかなと思いつつ手持ちのクラッチカバー5個すべてを確認してみましたら(全部 純正中古いや大古)なんと、1個を除いてはすべて同じ傾向です。あまりにも確率が悪いので最初からこのような設計なのかなとも思いましたが、機構的に有り得ない状態ですので私の技術屋的本能はこのディスクフェーシングは豆腐のように柔らかいことを問答し始めています。この金属は鋳物で出来ておりクラッチ盤の食いつきが良くなるようになっていますが、かといってあまり食いつきが良すぎると焼きつきが心配と非常に難しい場面です。いろいろな妥協の末が、豆腐ディスクフェーシングにたどり着いたということなんでしょうか?
しかたなくまともだった1個に交換して組み立てました。本当はスポーツタイプに交換が望ましいです。
エンジン下ろしたついでにキャブも再びSUからウェーバーに交換しました。これで2年間はウェーバーで楽しめます。
2013年3月15日
いよいよ レッドのZを4月17日の富士スピードウェイのサーキット走行に向けて作っていきます。後1カ月を切りましたのでさすがに少し心配になってきました。車作っていきなりサーキット走行は避けたいです。
エンジンおろしは今までとなんら変わることはなく、サクサクと下ろしました。3時間でした。
これが下したL2蜂エンジンですが、出力が出ない上に燃費が3KM/Lと最悪でした。このエンジンはフルオーバーホールが必要です。ブロック・ヘッド共にN42のサラブレッド仕様なので、オーバーホールしてボーリング・クランク交換・カム交換などをすればよいエンジンになると思います。
ミッションも下ろす為にシフトレバーを室内側から取り外します。
この後、下にもぐってミッションを自作ミッションジャッキで支えて置いて、ミッションのマウントメンバーを外します。
ミッションをエンジンルーム側に引き出し、このあとエンジンクレーンで上方に吊り上げ取り外します。ミッションの下に見えるのは、ガレージジャッキのお皿を外したところにミッションの受けを自作して取りつけたミッションジャッキです。角度調整もできます。
向こうに見えるのが今まで付けていた自作71BコンパチCミッションです。外観は71Bですが、中身はシルビアS13用の71Cダブルコーンシンクロに交換したもので、私が作った1号機でサーキット走行まで問題なく耐えてくれました。御苦労さまでした。このミッションについては一度開いてみて各部に問題が無いか確認してみます。走行上は何の問題もありませんでしたが内部の様子については開いて確認する必要があります。
そして手前に有るのが今回作った自分にとっては夢の様なOS技研クロスミッション入り71BコンパチCミッションです。ミッションの詳細は こちらで 見れます。
そしてこれがプロの手になるエンジンです。キャブはウェーバー3連装 ・タコアシはメーカーは分かりませんがいい形してます。
コシシタはE30と読めます。
L20のブロックですね。
エンジン刻印もL20です。
ヘッドはE88です
マフラーは15年前にある人から譲り受けたワンオフのステンマフラーで口径はかなり大きいです。ノーマルや今まで付けていたトラストのデュアルよりも抜けはいいと思うし、重量がすごく軽いです。
音は低音ですが、後ずけのサイレンサーを外すとサーキットでは丁度いい音量です。
なんとか組みこみが完了しました。ここまで6時間かかりました。
そしてこの後配線や配管をつなぎ、ラジエターを取りつけエンジン・ミッションオイルを入れます。
今回は今までふつうに動いていたエンジンを載せ替えただけですから、始動には何の苦労もなく出来るはずでしたが、なんとここから思わぬ事態になってしまいました。
エンジンがかからないのです。それも全くかからないのならまだしも初爆だけはありました。それ以降全然だめになってしまいました。さらに、バッテリーが弱ってきてますますわけがわからなくなってしまいました。
こういうときはあせりますが、だんだん場数を踏んできたのでパニックは避けれます。
先ずは簡単なところから火花を見ます。プラグコードを外し、他のプラグを仮に差してエンジンヘッドでアースしてクランキングすると、ちゃんと火花は出ています。点火時期はディストリビューターはいじっていないのでずれる訳けがありません。
すると燃料でしょうか?燃料ポンプは今までちゃんと動いていましたが、エアーでも入ったでしょうか?燃料ホースを外して容器に受けて置き、キーを入れると勢いよく燃料が出ます。フロートレベルも調べましたが、問題ありません。1週間前まで普通に動いていたエンジンですから。
かぶってしまったのでしょうか?プラグを全部はずしてクランキングしてかぶりを解消しますが、だめです。プラグを見るとかぶり気味ではありますので、プラグを全部交換してみますがだめです。
ここで3時間が経過してしまいました。気分転換で○ートバックスへバッテリーを買いに走ります。
こういうときに、問題点の解決の糸口が降りてくる時がありますが、今回もそうでした。
燃料か火花かどちらかしかありませんが、どちらもいままで問題なかったということは接続に関することしか残っていません。そして分かったのです。ディストリビューターと点火コイルを繋ぐ2本の配線なんですが、薄汚れていて色が判定できないし、接続カプラーも異なるのでやりなおしたのですが、ここがいけませんでした。逆につないでいたのです。ここって逆につないでも火花は出るんですね。それで悪さが分かりませんでした。
ボンネットも取り付けて試走に出ます。
今回ミッションはオーバーホール後初めての走行になりますし、しかもOSクロスは超高価ですので、
壊したら泣きですので慎重に行きます。
先ず、アイドリングで1時間回しました。その後、1速に入れて恐る恐るクラッチを繋ぎますが、いいようです。1速ギヤ比は2.7とすごく高くなったので少し回転高めで繋ぎます。
そのあと、2速~5速まで低い速度で繋ぎます。
1時間ほど近所を流しまして本日の試走を終わりました。
次は、高速で清水ジャンクション~三ヶ日ジャンクション間の巨大サーキットで高速試験をしてゆきます。