サファリーZ 

 その1 その2  その3  その4  その5 その6

                                   (現在のページ)

 


2021年3月29日

サファリーZ その6

この赤いサファリカラーのZは2013年に初めてご来訪以来 8年が過ぎたことになります。早いもんです。そして今回もこの隣のお車 [看板車のS30Z] と仲良く同宿となりました。あれ、前回も確かそうだったな。

サファリーZは今回のメインのメニューは足回りのさらなる改善が主たる目的ですがそれ以外にもいろいろ手を入れるご要望がございます。

 

先ずは細かいことなんですが前回取り付けたリモコンキーロックのコントローラーなんですがその後、左右ドアともに操作するように改造されたのですがここに来る前に動かなくなったということでチェックです。

 戸締りが出来ないと保管時困りますからね。

見てみると追加でいろいろ部品や配線が追加されていたのですが、すべて取り外してみるとコントローラー本体は問題なし、アクチュエーターも問題なしでしたので、私流の左右リモコンロックの配線でやり直して事なきを得ました。また、気持ち良く左右ドアのリモコンロックが出来、さらに今回はアンサーバックでターンシグナルランプが点灯するように機能アップしました。これは便利です。

 

足回りのビルシュタインショックが入荷するまでキャブを改造します。

この車の足回りなんですがフロントはφ55の後期タイプ、リヤはφ50の前期タイプが付いています。サスペンションとしては見て分かる通りひたすら車高上げのサファリ仕様です。

 さてキャブですがソレックスのφ44です。

取り外して分解しています。

アウターベンチェリーは内径φ37ですが、今回はこのアウターベンチェリーを改造します。

 加速時の3000RPM付近でどうしてもつながりが悪い、ぐずつくなどの症状が出る場合が有りますが

その対策となります。キャブ調整の詳細は こちら私の考えた、このような症状の時に効果のあるスペシャルアウターベンチェリーを設計製作投入します。

 

ここも少し気になります。

中央のスプリングが付いたシャフトですがこれが加速ポンプのレバーに繋がっていますが、加速ポンプの作動ストロークの調整が最小の所にセットしていますが、ここは真ん中ぐらいの作動ストロークになる様調整します。この方が加速時のもたつきが少なくなります。

またまたキャブ用の材料が届くまでオーナーのご要望を対策してゆきます。S30Zには天井の真ん中にルームランプが有りますがあまり実用にはなりません。また、コンソールの上部にマップランプが有りますがこれも今となっては実用には程遠いものとなっています。ご要望はルームミラの所に現代車では必ずついている室内灯を取り付けてほしいというもので、このように取り付けました。

フラッシュの関係で白っぽく目立つ感じになっていますが実際はそうでもなくあまり気になりません。

左右独立してスイッチが付いているので運転席、助手席それぞれで使用することができます。運転中でも視界に入りにくい角度と明るさとなります。レンズが有るのでスポットランプ的になります。

これも前回実施事項なのですがメーター照明を劇的に明るくするという対策で一目瞭然、昼間ですらこの明るさですので劇的に明るくなっているのですが、もう一つタコメーター側の下半分の明るさにムラが有るのが治らないかということで対策します。

 タコメーターの裏側を見たことがある人はわかると思うのですが純正のタコメーターの照明ランプは上側に2個並んでついているのでどうしても下側は暗くなります。重要なレッドソーン付近を集中的に照らしていると言っても良いのかもしれません。

 ブルーはオーナー様のご希望で良い色です。このほかに白色のままも可能です。

対策後

タコメーターの下側にも照明ランプを追加しています。ほぼ均一に照明できていると思います。

そしてこれもご要望の一つ、ウインカーインジケーターを緑で明るくしたいということで対策しています。

夜間でハザードを出すとこんな感じで、あまりにも明るすぎてカメラではハレーションを起こしてうまく取れません。

室内系の対策が続きます。

旧車にはもともとカーナビの設定は無いですので取り付けに苦慮するのです。今売られている豪華仕様のカーナビはほとんどが2DINの埋め込みタイプで、1DINしか入らないS30Zには取り付けが無理です。そこでこの老舗のポータブルカーナビ ゴリラシリーズを利用しますと、独立したカーナビなので比較的取り付けやすいのです。いろいろ変遷して今回はこの位置に取り付けました。これなら下に見えるカーラジオも使用可能となりますし、フューズボックスの点検蓋も干渉なく開けられます。

見たところのバランスも良いですし、シフトレバー・ノブとの干渉も避けれる位置ですし、もちろん最も見やすい高さと距離となります。

 私はこのような旧車での実使用ドライブなどにおいてどうしても必要なものは取り付けるべきだと思っていますが、こんな現代的なものを取り付けるのは興ざめという人もいるでしょう。

 したがって私はこのようなものを取り付けるときは可能な限り最大限現在あるビス穴や造形を利用して取り付けるようにしており、今回もこれで追加の穴開けは一切しておりませんので、これらを取り外せば全く元どうりの状態に戻せるようにしています。実際ポータブルなので旧車イベントではボタン一つでこのカーナビは取り外して見えない様にしておくことが可能です。


さて、今回の最も困難なお題の一つボディー補強です。この年代のS30Zはボディーモノコックの剛性が低くボディー・内装からキシミ音が盛大に発生します。(その分軽くなっているのですが。後期からはモノコックそのものが強化されてこの点は大幅に改善しています。)このキシミ音を聞くと ああ旧車だな という感慨がわくのですが、オーナー様としてはやはりそのキシミ音が安っぽく感じる、ボディー強度が心配になるなどの不安要素であるということで、やり方としてはリヤストラットと前ボディー側へ補強バーを通して改善できないかというご提案が有りました。

 通常よくあるストラットタワーバーはボディーのローリングねじれを軽減しようとするもので世の中にはごまんとあるのですが、このボディーの前後たわみを抑えようとするバーはあまり見たことが有りません。

 

いろいろ考えてまずはストラット上部にステーを構築します。

シート取り付けメンバーに同じくバーの受けを構築します。補強ですので取り付け面にボディーの強度部材が通っているところでないとほとんど効果は得られないのでこの位置となります。

そして補強バーを作って仮組しています。

リヤ側から見るとこんな感じ

仮組で問題なさそうなので塗装をして本組しています。さらっと書きましたが、この取り付けステーですが幾何学的に直角に部材を構築していってできるものではありませんで、ほとんどすべての部分が微妙に傾いて出来ていますので、作るのが非常に大変でした。

もちろんシートももとのまま普通につきますし、前後スライドも元のままです。リクライニングがわずかに傾き幅が少なくなりましたがわずかです。

シートが付いていないと異様に目立っていた補強バーですが、シートを付けると全く目立ちません。いい感じです。

 そしてこのパーツについても共通した考えかた、取り付け取り外しは一切無改造でできる事という思想にもと着いて、今回もボディーへの加工穴や追加加工は一切なしでした。

 

さてこの補強バーを取り付けての走行感ですが、はっきりとわかるほどボディーのしっかり感が感じられました。特にリヤ側の変なよじれが無くなって、加速時も安定していて直進性が上がったような感覚が有ります。凸凹路でもリヤボディーのキシミ音が少なくなったように思います。なかなか侮れない補強です。ただここだけ剛性が上がっても全体的にはどうかという考え方もあるかもしれませんが、一般的な走りでは走りの質感は上がったと言ってよいと思います。

引き続き 走行感を改善する対策が続きます。

サスペンションのショックをビルシュタインに変更します。

継いでなのでリヤブレーキも確認しましたが、良い状態でライニングの摩耗は中程度以上で問題ない感じです。

何回もアップしている通り私はリヤのショックやスプリング交換時、ストラットを車体に着けたままで交換する方法でやります。

スプリングを縮めてアッパーインシュレーター・スプリングアッパーを取り外したのち、この大きなナットを回して今までのショックを取り外します。ナット回しとして私は画像のような特殊工具を工夫して使っています。(専用工具ではありません)

このナットが緩まずに苦戦することがままありますが、ひどい場合は水道工事用のパイプレンチが登場したりします。

今回使用するショックはビルシュタインですが、減衰力をチューニングするためにエナペタルでチューニングしてもらったものを使います。エナペタルとはもう何回もS30Z用として、その使用シーンに合わせた減衰力のセット仕様を打合せしており、データーがそろって来たので、このスプリングでこの車高で走行路はこんなところという条件に合った減衰力の選定ができるようになってきたし、試験走行もしているので微妙な補正も煮詰まりつつあると思います。

下側の水色のショックが今までついていた物でごく一般的に売られているものでかつては私も使っていたことが有るものです。

 品物としてはもちろん実績があるものですので問題は無いのですが、たいていは1年以内にふわふわだなと感じるようになる場合が多いです。

ビルシュタインの一番の特徴はショックの構成が通常の場合と上下逆になっていることで、画像のクロームメッキされている部分がショックの胴体となり、ショックのロッドはストラットの内部の見えないところにあります。

 その効果はばね下重量の削減など有るのですが、最も大きな効果はこの胴体の太い部分をスライド面とすることでサスペンションのスライド時の抵抗を少なくすることができる、つまり良く動くストラットとなることだと思います。またブレーキング時は特にフロントストラットではこのスライド面でブレーキング反力を受けるようになり、この部分を折り曲げようとする力が働くのですがそういうときでもこの太いスライド面は強力にサポートできるのです。

リヤは元の状態に戻ってきました。

フロント側です。

こちらはストラットを外したほうが楽なので、取り外して外段取りで交換します。この車のフロント側はφ55の後期タイプのストラットとなります。ビルシュタインショックとしては径はどちらも一緒で、そこはビルシュタインも製造上の合理化をしているようです。ナットのサイズがφ55に合わせて大きくなっています。


 残るお題のエンジンのふけ上がりが3000rpm付近でもたつく件、73度ハイカムやφ44ソレックスキャブの特性もあり、ある程度は仕方ない部分もあるのですが、何とかならないかトライします。

 今回はアウターベンチェリーの形状を変えてテストしてゆきますが、画像がその材料なのですが完成したアウターベンチェリーは見たことが有ると思うのですが、このような素材はなかなかお目にかからないことと思います。

設計長さで切断して内径、外径を仕上げて要となる内径側のテーパー加工を先ず片側を実施しています。

 

自分は汎用旋盤(マニュアル)しか持っていないので円弧形状はできませんし、これだけ加工するだけでもだいぶ時間がかかります。NC旋盤なら素材をセットすれば手つかずで完成品まで加工が終了します。ただこのようなトライアンドエラーの場合NC旋盤ではマシン言語でどこかの形状を変えるたびにプログラミングが必要になりますので、それはそれで大変です。私は汎用旋盤で形状設定を確立して設計図を作ってからそれを一緒にやっている加工屋さんに渡してNC旋盤で流し加工をしてもらうようにしています。

反対側のテーパー加工も実施して、ベンチェリーらしい格好が見えてきました。

 この時の内径はかなり小さくしていますが、ここはトライアンドエラーでだんだんエンジンの調子を見ながらジェットも交換しながら次第に拡大してゆきます。内径が小さい方がエンジン回転は安定していますが、エンジンとしては最高出力(回転数)がここで制限されてしまいますのでなるべく大きい方が良い(少なくともマニフォールドの最小径より大きく)という痛しかゆしの状態になります。

また内部のテーパーの交差する最も内径が小さくなる位置をキャブの中でどこにするかでもエンジンの調子に大きく影響します。

 

ポンプノズルの逃げや突起物の逃げを加工してほぼアウターベンチェリーの素材の形が見えてきました。L型6気筒の場合はもちろんこれが6個必要です。

 この時点でキャブに詳しい人は通常のアウターベンチェリーと大きく異なる点があることに気付くかも知れません。

ベンチェリーの交換です。

中にたまっているガソリンをこぼすためにアッパーカバーを外します。

先ずはインナーベンチェリーを外します。この腕の中にガソリン(エマルジョン)が通る通路があり、真ん中のノズルからキャブに噴出する重要なところです。

ソレックスはこのように組み立て式ですが、ウェーバーは一体式となります。

キャブ胴体と接する部分にはこのようなガスケットが有り、紛失注意です。

これがガスケットです。

 

この中央右寄りについているただのアルミのプレートのようなものはフロート室でガソリンが偏るのを防ぐ仕切り板です。これも差し込んであるだけで逆さにすると落ちてきます。

ベンチェリーを交換してキャブを組み戻しました。

これを3基ともに行って、試走をしてエンジン吹け上がり具合や、ジェット交換もして様子を見ることを繰り返します。確定的に言えることはインマニより小さいアウターベンチェリーだとガスが濃くなりすぎて高回転、特に5000rpmより上は回らなくなります。こんな時はジェットを多少変えたぐらいでは状況は変わらなくなります。仕方なくまたキャブ全部外して、ベンチェリーを取り外して内径を少し拡大して、また同じことを繰り返し行います。ベンチェリーを拡大しすぎるともう元に戻すことはできないのでベンチェリーを又丸棒から削り出して作るところからやり直しです。この繰り返しとなります。

 そしてこの適正な内径のベンチェリーの許容幅は思いのほか狭いのです。2~3mm変えたらもう大きな変化です。1mm変えただけで大きな差が出ます。

 今回もともかくこれを繰り返してとうとう適値のアウターベンチェリーの内径と、形状を探し出しました。特に形状というか寸法は純正ソレックスの範疇から外れるまでモディファイしています。角度を少し変えたとかRを付けたとかそんな単純な事では無いです。

これでエンジンの吹け上がりは3000rpm付近のもたつきは全くなくなり、2000rpmから3速でアクセルをベタ踏みするだけで100kM/h以上までスムーズに加速して行くほどアクセルへの付きが良くなります。

これで今回のお題は全てクリアーしたことになり、完成となります。

今回はいかにしたらS30Zの走行感や使い勝手が良くなるかの追及だったような気がしますが、何とか目的は達成できたと思います。

・使いやすいメーターや計器やナビゲーション、ルームランプ、リモコンキーロックなど

・日常でぎくしゃくしないスムーズな加速のエンジン

・乗り心地のしなやかなサスペンション、ビルシュタイン

・凸凹路でバタバタしたりしないボディー剛性対策

等、ツーリングが楽しくなる装備になったと思います。

  完了かと思われたのですが、まだ宿題が残っていました。ワイパーの動きがおかしいということなのですが、S30Zのワイパーは現代の車から見ればほとんどの個体で動きがおかしいのですが、この車もそれほど変だとは思わなかったのですがとにかく分解してみます。

これがワイパーモーターが入っている袋で、本来は黒いビニール袋なんですが再塗装時一緒に塗られてこの真っ赤になっています。

ワイパーのリンクですが特に悪いところは有りませんというか、これは結構程度の良い部類の状態です。

ワイパーモーターもメッキがきれいでしっかりしています。比較的新しいのではと思います。下の方が少し白く錆が出ていますが問題ありません。

いつもトラブルの元となるリレーもきれいです。

強いて言えばワイパーの軸を固定するワイパーアーム根元の部分のテーパーセレーションがズル剝け気味ではありますが、まだ滑るところまでは行ってません。

 ということでそのまま全部を組み戻したのですが今度はなんとワイパーが全く作動しなくなってしまいました。訳が分からないのですが前よりも悪くなったというか、これでは走ることができません。私の組方が悪かったかと思って何度かやり直したのですが全く回りません。

 仕方ないのでここからワイパーの原理に立ち返ってすべてを白紙の状態にしてひとつづつ確認してゆきます。

 リンク自体は全く問題有りません。

2日間に分けて観察し続けてやっと原因が分かりました。前にこのワイパーを組んだ人がこのワイパーモーターの自動停止位置を調整するスイッチボックスの位置を訳も分からずに適当にセットしたことが原因だったのです。私はいままで一応動いていたんだからとまさかと思って疑いもしなかったので、なかなかここにたどり着きませんでした。

 この停止位置をちゃんとしたところにセットしないでリンク側を無理やり接続したのでリンクの動きが不安定(言葉で言い表しにくいですがエンジンでいえば下死点の位置にいつもストップする設定にしてしまった)になっていたということです。

そのようにすると普通はリンクがうまくワーパーモーターに接続できないはずなんですがなんとその人はこのワイパーモーターの取り付け位置をこの画像のように長穴にして無理やり取り付けたようです。

 

結局ワイパーモーターの自動停止位置をしかるべきところに変更して、リンクもすんなり接続出来てワイパーモーターもすんなり固定できました。ただし、これで元に戻っただけなので、素晴らしく動きが良くなったわけではなく普通のS30Zのワイパー程度になったのです。ワイパーブレードを取り付けるワイパーアームのテーパーセレーションは摩耗したままなのでいずれは交換した方が良いでしょう。