2022年6月20日
サファリーZその7
クーラーの取り付けといろいろとリフィール
サファリーZとうとう7回目のご来訪となりました。
今回の目玉はクーラー取り付けとなります。
そのほかいろいろ気になるところの修理をします。
室内関係の修理
時計が調子悪いという事で取り外してオーバーホールしています。もう一つは8トラデッキを取り外してこれもオーバーホールです。
取り外す前の8トラデッキの状態
取り外したクラスター
この初中期のクラスターはエアーコントロールワイヤーがすべて一緒についてくるのでそれらの切り離しが必要となり、これがすごく面倒なのです。
取り外した純正8トラックデッキ
8トラックテープそのものがすでに歴史遺産となりつつあり、8トラテープを売っているところもめったになく、10年位前には高速SAで中古品をたたき売りしているときもありましたが、今ではカセットテープはおろかCDさえもなかなか手に入らなくなてきました。
かなりの確率でこのデッキをCDデッキや今風の多機能デッキに入れ替えてしまう場合が多いのですが、そうすると時代考証がアンマッチになり、視聴者から投書が来るといけないのでこのデッキをスープアップすることを行います。このデッキはラジオの音は出ており室内スピーカーも問題ないのですが、自動選局機能(左の丸いボタンを押すと赤い選局針=バリコンをモーター駆動で動かし、受信感度が出たところでバリコンを止める機能)が動かないのでラジオを聴くのも億劫になっています。今回はそれらの修理とともに、このデッキに外部入力端子を取り出してきてスマフォやカーナビから音楽情報をインプットできるように改造します。(この手のデッキの修理を承っております こちら)
この伝統的な8トラデッキでスマフォでストリーミング配信を聞きたいとか、カーナビと接続して音を良くしたいとか、ゆう事は誰しも思う事です。という事でそれらと接続するピンジャックを引き出してきました。
Φ3.5の3極ジャックでヘッドホンの差込口へ接続することができます。
このような使い方もokです。ポーターブルカーナビ ゴリラの音量の小ささ(室内がうるさいから聞こえない)を改善するためにカーナビのヘッドホンジャックから音声を取り込んでカーデッキで増幅してカースピーカーから音声を流します。スマフォのナビゲーションの場合でも同じです。画像ではカーナビのAV機能で音楽を流していますが、カーナビ動作中はカーナビ音声は音楽の間に割り込んできて教えてくれます。また、TV機能時でも同じくテレビの音声を拡大、動画の場合は同じくステレオで音声を流してくれます。SDカードに動画を記録して流せば同乗者も退屈しないで済みます。
室内照明について前回オーバーヘッドスポットライトを取り付けたのですがもっと明るくしたいという事でLEDに変更して光度を上げました。
足回りチェック
同時にいろいろやっていきますが、前回問題となったこの部分、タイヤについて調べます。
どうもストラットのお皿とタイヤとのクリアランスが少なすぎるようなのです。
画像で撮りにくいのですが、感触的に3mmを切っているように見えます。つまりタイヤがストラットスプリングにすごく近い状態です。
これはホイールのオフセットに大きく影響されるところですが、今回の場合オフセットが後5mm外に出ていれば良いのですが、そうすると今度はタイヤのフェンダーからの飛び出しに繋がっていきます。
ホイールは15インチの7.5jと思われます。
タイヤは205 60 です。
根本的に修正するならホイールを買いなおしてホイールのオフセットを変更するべきでしょう。
ホイールを変えたくない場合はタイヤを205から195、あるいは185に変更する方法となります。
現在のハブ面からタイヤ内側までの距離は120mmぐらいです。ここを115mm以下に抑えたいわけです。
今回は緊急措置としてハブスペーサー3mmを挿入することにしました。なぜ5mmじゃないんだって・・・そうするとハブボルトのホイールナットかかり代が不足しそうなのです。ホイールナットのかかり代はボルト径の1.5倍が安全圏なのですがこの状態では1.0倍=10mmぐらいしかありません。これを解消するにはハブボルトをロングハブボルトにする必要が出てきますが、このようにしてゆくとどんどんと原点から離れてゆくこととなってしまいます。
もしやと思ってリヤタイヤを外してオフセットを測っていますが、やはり現在フロントとなっているタイヤよりオフセットが1cm浅いことがわかりました。そうすると、フロントタイヤの内側スキマが不足している件は、前後タイヤを入れ替えるという事で一件落着となります。
フロントタイヤをリヤストラットに取り付けた状態、
これなら普通の内側クリアランスとなっています。フロント側は現在リヤタイヤとなっているものと交換することで1cm外に出てくるので、スペーサー使わなくても普通の内側クリアランスとなります。
何のことは無いどこかの時点で前後タイヤを入れ替えて取り付けたことが内側スキマ不測の原因だったことになります。
ブレーキのタッチが良くないという事でブレーキパッドを交換することになりました。現在ついているパッドはもう10年以上前から交換記録が無いという事で相当古いようです。
左が今回使うパッドです。s30z純正対抗2ポッドキャリパー用プロジェクトミューBESTOPパッドです。純正を探したのですがもう純正は見つかりませんでした。3年前には部販で買えたんだけど・・・。
右側が今までついていたパッドでパッドの残厚はまあまあ残っているんですが、ブレーキの初期の食いつきが少なく反応が鈍いので最初にブレーキを踏んだ時は少しドキリとします。
今回はブレーキパッドを交換するのみで後は手付かずです。ブレーキラインのエア抜きもしませんし、ブレーキ液の交換もしません。パッドピンがだいぶ錆びていますがそれもそのままで使えないことは無いのでそのまま組み戻します。
続いてリヤスタビライザーの取り付けです。スタビライザーは中実無垢のΦ21でそうとう太いスタビライザーで、もともとこの車両についていたものです。
これは前回乗り心地が悪いからという事で取り外したパーツなんですが、やはりあったほうが良い感じだったという事で復活取り付けです。
リヤスタビはマフラーの上にセットされるのでマフラーを下げないと取り付けができません。
同時に下回りをいろいろチェックしますが、今までにも何回か手を入れたところですので大きな破綻は目につきませんでした。
ラジエターの修理
今回の作業の中でラジエターを外す必要があったのですが、外したものを見るとなんか変です。
あー、ブラケットの半田が取れています。半田の取り付け面を見るとわかりますがほとんどついていない いわゆるテンプラ半田というやつです。今までついていたのは端っこの筋状の部分だけ。
ほかに見ればホース取り付けパイプもぼこぼこです。こちら側のホースはいままで外していなかったので気が付かなかった。
こっちもなんかへこんでいる。なんでこんな風に変形するんだろう?
仕方なくいつもお願いしているラジエター職人様のところへ持ち込んで修理してもらいます。チェックしたらどうもこの部分もダメ。
取り外しました。
新しいのを取り付けていきます。最近のラジエターは薄型になって来ていますので、この大きなサイズのフィラーキャップ用部品が少なくなっているようです。
そしてこの部分もダメ
アッパーホース取り付けの根元にピンホールがあるようです。
ここはただのパイプがついていると考えていたのですが内部はこのようになっているようです。後ろに半円形で伸びていて取り付け強度を出しています。
ただ今回の3層ラジエターはこの後ろに長い部分でアッパータンクと2か所スポット溶接されていて交換はできなかったですので、今までのを肉盛り修正していきます。
フィレットで盛りだします。これでさらに強度アップです。なかなかこのような美しいフィレットは作り出せないと思います。
左右の取り付けブラケットももちろん全部取り付け直しで、結局ラジエターコアとアッパー&ロアータンク以外はすべて取り付け直しとなった感じです。
塗装も水没試験の後の水分をガスバーナーであっという間に乾かして、そのあとアッというまに黒色塗装を完了。
ラジエターを持ち込んだ当初はこの修理は1週間はかかるなと思ったのですが、なんと待っている間に完了してそのまま持って帰ることができました。ありがたいです。
一緒に持ち込んだ私のS30Zのヒーターコアも修理してもらいます。ヒーターコアは付け外しがすごく面倒なので、1度交換作業やると後遺症が治癒するまで半年くらいかかるので、絶対にやり直しが発生しないようにしておきたいのです。まだ新品売ってるのは知っていますが、私はラジエター職人様に1個ずつ完全にろう付けしてチェックしてもらったほうが新品より安心できます。
この部分に亀裂が入っていたようです。
念のためもう片方もやり直しておきます。ヒーターコアは室内にあるためかめったにコア側がダメになるのは少ないようです。やはり取り付け時にヒーターホースの取り回しで無理にこじったりして破損したり、ヒーターコア側ではなくホース接続がうまくできていなくてホースバンドの隙間から漏れたりの場合も多いようです。
こちらもあっという間に修理完了でした。
今回の目玉であるクーラーの取り付け準備です。
前回と同じように( 前回の記録はこちら)同じ種類の中華製クーラーキットを購入します。中華製ではありますが一応前回曲がりなりにも作動したという貴重な実績がありますので今回もこれで行きます。
クランクプーリーを専用プーリーに交換後製作したコンプレッサーブラケットを取り付け、そのあとコンプレッサーを取り付けました。ここまでくるとだいぶ構成がわかりやすくなってきていると思います。
コンデンサーの前にクーラー用冷却ファンをさらに被せます。コンデンサーサイズに合わせたシングルファンとなっていまして、シンプルな構成です。
この部分の配管の通し方をいろいろ考えたのですが、この状態が最も配管にとって無理のない状態と思えたのでこの配管とします。
ラジエターをいろいろあった破損個所を直して塗装しなおしてから再度組み付けています。
さていよいよエバポレーターの取り付けです。
エバポはこれですが、仮にラゲージスペースに置いてあるわけではありません。今回のお題目の通り助手席を犠牲にせずにS30Zにエバポを取り付けるとなるとこの位置もあり得るなという事です。ここなら助手席真正面にエバポを付けるのに比べて足元のスペースの制限が無いことはもとより、助手席の住人に真正面から冷気を吹き出し続けることを防ぐことができます。
エンジンルームからの配管2本をこのように伸ばしてきてエバポに接続します。
クーラーはフロントから見るとこの位置に設置しています。
全周カバーとなります。底面側も念のため鉄板で箱状にしておきます。ここまでくると車幅いっぱいまで棚を広げてリヤシェルフのように作りこむ手もありそうです。そうするとそこに前に書いたようにフィルターを取り付けることができると思います。また、もっと発展させるなら両サイドの空間をスピーカーボックス化するという手もあります。等々、どんどんと妄想は膨らんでくるわけです。
アイドリングでクーラー全開の状態で外気温度30度が18.8度まで温度が下がっていますのでここまでのところでクーラーの性能は出せていると思います。この後実際に走行して試験しましたがクーラーは十分に効いていて、温度設定は最小、風量も最小でも寒いくらいです。冷気吹き出し口からいったんフロントガラスへ冷気が噴出して跳ね返ってくる冷気を浴びますので直接冷気を受けるより冷たさはマイルドに感じます。運転席からは左横を冷気が吹いているのでシフトレバーを操作する左手は冷たいくらいなので、長袖にするかなど何らかの工夫をすると良いかもしれません。調整の範囲内かなとは思います。実走ではコンプレッサーが小型にもかかわらず意外とエンジンへ負荷がかかったスイッチングのタイミングのパワーの落ちを感知できるほどですのでコンプレッサーは相当仕事をしているようです。プーリー比などもあると思いますが、コンプレサーの寿命については今後の状況を見る必要がありますが、冷却は必要十分できていると思います。エンジンはL3.0の73度カム、圧縮比アップ、ソレックスΦ44+タコ足のセミチューンですが、アイドリング時にクーラーがONしたときエンジン回転は1000rpmから800rpmへ落ちますがそのままストールせずに回り続けます。エンジン温度は今回の試乗では85度あたりを指したままほとんど変化しませんでした。
クーラー取り付けの詳細は こちら やっぱりカークーラーが欲しいー2
エンジン調整
前回に比較してアイドリングの不安定・回転低すぎとコースティング時(アクセル戻して流すとき)のガクガク感があったのでキャブ調整を行います。アイドリングの同調とミクスチャーはめちゃくちゃになっていました。ミクスチャーが4回転くらいは戻してありましたがこれでは濃すぎると思います。アイドリングのスロットル同調もズレズレなので調整します。とにかくアイドルが止まりそうなくらい低い回転の状態でしたので修正します。
アクセルオンのときのリンケージの同調もかなりずれていますので再調整します。これでコースティング時のガクガク感は少なくなってくると思います。
前回来たときはばっちりで送り出したはずなんだけどなんでだろう?
エアクリーナが汚れているという事で交換です。
新旧比較
エアクリーナーがきれいだと気持ちいいですね。
10kMほど試走を行ってガソリンを補充していつものテストコースをクーラーを入れて快適に走りました。走行後4番プラグを見ると真っ白です。ここに来た当初はくすぶって真っ黒でしたがキャブ調整が効いたのか、エアクリーナーが効いたのかびっくりするような状態です。なかなかここまで真っ白にはなりません。もっと以前の2か月ほど前には始動ができないとか走行中にエンジンが吹けなくて不調とかオーナー様からのヘルプがきて、それまでの7番プラグから6番プラグに交換するようにお伝えして不調から脱出した経緯もあります。
念のためにと2番プラグもチェックしていますが同じく真っ白です。この状態ならこのままで車検の排ガス濃度測定しても合格しそうな感じです。これではプラグは6番から7番への変更が必要だし、場合によってはキャブジェットの見直しが必要かもしれません。
#6でのプラグの様子を全気筒外して確認しています。
かなり白いですが、オーバーヒートの若干黄色がかった碍子の溶けかけているような兆候は有りません。
#6番であまり高回転まで回さなければ、こちらのほうが取り扱いは楽にできるでしょう。
ただし、5000rpm以上の高回転を常用するような場面ではエンジンの健全性は保証できません。
同じ走行条件で#7に交換して走行した状態。
うっすらとすすけたグレー色ですがこれでも十分使用できます。ただ始動時や一般道低速走行ではプラグがくすぶり不調になる場面が無きにしもあらずです。
5000rpm以上を何回も回すような使用方法ではこちらの#7にする必要があると思います。こちらならプラグが熱くなりすぎて溶けたなどの不具合は起こしにくいし、プラグが解けると往々にしてピストンの頭が同時に解けますので注意が必要です。
オイルですがオイル量としてはアッパーレベルいっぱいで一応OKですが、色としてかなり黒くなっていますので交換時期かなと思います。
バックランプとして私がつけたわけではありませんがこのブルーのランプがついていましたが、オーナー様のご希望でモンテカルロ用ラリーZに似たものに付け替えたいという事で、丸型のバックランプを選定しました。ランプが手に入ったのでクロームメッキ部を艶消し黒で塗ってモンテに近くして取り付けていきます。
ランプとしてはこのようになりました。
シビエミニオスカーより少し小ぶりのこのランプ、取り付けは簡単ではありませんでしたが何とか取り付けました。さて、後は今までの配線をそのままつなげば終了と思っていたのですが・・・
なんと点灯しません。
仕方なく配線を追って調べていきます。バックランプですので純正のバックランプに絡めて配線していると考えてリヤパネルをはぐります。
配線を見てみるとこのかっこいい黄色の高そうなリレーが目につきますが純正にはこのリレーは無いので後からつけた配線という事になります。ご丁寧にカプラーが取れないように黒いタイラップで巻いてありますが、これがブルーの追加バックランプに繋がっているはずです。ここは配線が少ないしアクセスしやすいので他の人が作った配線でもすぐに読めるので良いですが、ダッシュ下配線で後付けなどとなるともうお手上げ状態になります。
自分は最近は複雑な追加配線には後からわかりやすいように必ず配線の名札を全配線に付けるようにしています。
リレーのカプラーをはずして一か所づつリレーとしての働きの電気が通じているか調べていきます。
そして結局はバックランプ配線から横取しているリレーの信号線に使っているスピードカプラーというかスピードコネクターというか正式名称はわかりませんがこの赤いパーツが犯人であることがわかりました。私はこの赤いパーツをギロチンコネクターと呼んでいます。ここの電気接触ができておらず白いリレーの信号線にスイッチ電流が流れてきていませんでした。という事は、今まで取り付けてあったブルーのバックランプもこのリレー経由で繋いでいたので、いつの時点からかはわかりませんが点灯していなかったという事になります。
これを見るとわかりますが手前の赤い配線を金属のスリット部分に無理やり押し込むことでビニール被覆を切り込んで中の銅配線に接触させるというのがこのパーツのやり方で、したがってギロチンコネクターです。これを使うと今まで健全だった配線まで痛めつけることになりますので使うのはやめましょう。
何とか配線をやり直してやっと普通にバックランプを点灯できるようになりました。この後リヤパネルをプラリベットで元どうりに取り付け戻します。