2020年11月7日
デザイナーのS30Z
白いボディーとオーバーフェンダーやインスペクションリッドやボンネットルーバーのガンメタの対比がきれいなこのZはモックアップモデルのデザインまで手掛けるというデザイナーが持ち主です。
その2 現在のページ
今回のレストアのもう一つの大きなアイテム、ミッションのコンパチ化Ωバージョン改造のためにミッションを準備します。
ついていたミッションはかなりやれていますし、しかも形状からしてs130のミッションですので途中で一回は交換されていると思われます。外観的にはオイル汚れがかなりひどいです。
シフトレバーを外してみると先ず、丸い軸受けの中にあるべきブッシュが消滅しています。その残骸と思われるものが右側に脱落していますので、これではさぞかしシフトがふにゃふにゃだったことでしょう。
シフトレバーはここについていますがこの中も異物がいっぱい入っていました。
ケースを分離しました。左側が分解したケースですがオイルと砂ゴミが固まって真っ黒に汚れています。
右側に見えるのは別のミッションですが、ウェットブラストをかけていますのでもともとは同じ感じに汚れていたのですが抜群にきれいになっています。見えないところですから気にしなければいいのですがこの差は歴然です。できる事ならウェットブラストを掛けた方が良いです。(40000円できれいになります)
内部のギヤの状態はこのように一見きれいに見えます。S130系のワーナーシンクロの中期タイプと思われます。
ざっと見ただけでこの部分がすぐに違和感がありました。カウンターベアリングのボール保持器が破損しています。平たいタガネのようなものはわかりやすく指し示すために置いています。
回転させてみるとベアリングボールが3個ぐらいすでに脱落してありません。これらの脱落した保持器残骸とベアリングボールはオイル交換の時に流出したのだと思いますが(今回のオイル抜きでは出てこなかった。又ドレンプラグのマグネットにも何も吸着されていなかった)、よくこの状態で何事もなかったことがおどろきです。実際、私もこの状態でテストドライブしているのですがこの異変には気ずきませんでした。人間の感覚がいい加減なのか、ベアリングが優秀なのかわかりませんが、オーナー様が今回ミッションが変だということを察知したのは素晴らしい感性だと思いますし、毎日乗っているからこそ察知できる強みだと思います。もう一個さらにボールベアリングが脱落したらミッションは完全に分解ロックしていたのではないかと思われるくらいぎりぎりの状態でした。
71BコンパチC Ω29バージョンで作り直しています。詳細は こちら
フロント側が組めました。Ωバージョンですから4速=メインインプットも大径ダブルシンクロで、純正71Cでも無かった仕様で、イーザオリジナルです。
これにより現代の高速主体の道路事情にマッチした、3速(Wシンクロ)-4速(Wシンクロ)間の頻繁なシフトを楽しくさせてくれます。
71Cのがっしりしたシフトフォークを取り付けました。これも71Cのシフトがしっかりとする大きな要因です。
組み立て完成して試験しています。
外観はガラスブラストかけたので新品のようにきれいです。
ミッションのパーツが揃うまでステアリング系を見てみます。
このグリグリの部分、ゴムブーツが溶けてドロドロになっています。これは純正で間違いないと思うのですがなぜかこの部分のゴムは純正は2年で最悪の状態になります。何かの戦略だろうか・・・?失礼しました。
下回りを見ていて気ずいたのですがちょうど運転席の下あたりの床が上に押されてしまっています。手前のメンバーも少し押されています。何かに乗り上げたのでしょうか?
下回りでこの程度の変形は結構ありますが、今回の場合ちょうど運転席のアクセルペダルの足のかかとを付くあたりなので、アクセルをつま先で踏めないのでひどくコントロールしずらくなります。
ちょうど水抜きゴム栓の横辺りが何かに乗り上げた感じです。
ステアリングリンケージ系のパーツです。
ステアリングラックを固定しているこの部品、車体下側からネジを緩めるのですが、画像のようにダブルナットになっており、下側のナットは建て込みナット(溶接)されています。したがってまず上の緩み止め付きナットを外してから出ないと下側のボルトが緩められません。力任せにやると建て込みナットが破壊されます。
もう一つ、ステアリングラックの左側タイロッドの固定ナットは逆ネジ(左ネジ)です。現在の車はほとんどが右ネジに統一されているので、ここはプロでも間違える場合があります。右側はそのまま右ネジです。
ステアリングラック比較
左端のタイロッドが取りつく部分のぐりぐりが緩くなっている場合は寿命です。今回は今までついていたものの方がまだ程度が良かったのでそのまま行きます。
ジャバラのゴムブーツは前期と中後期で形状が異なります。鉄のバンドで締めるタイプが中、後期
ラックの部分です。
ラックに取り付けるジャバラですが初期・前期タイプが左側、今回の中期後期タイプは右のタイプと異なります。後期タイプはストレートの部分を金属のバンドでネジ締めして固定となります。
フライホイールクラッチ系の交換です。
フライホイールはもともと軽量タイプが付いていましたが消耗が酷く交換時期でした。
下側 亀有L6用キットDです。
フライホイールが消耗すると画像のように円周と直角方向中心から外周に向かって(画像左から右方向)亀裂のような溝が入ってきます。応力や熱で金属が披露した跡です。
そしてこの純正クラッチカバーはかなり妙です。最内周に細くクラッチプレートが当たって削れた跡がある以外ほとんど切削マークが残っていて、しかもその切削跡が仕上げ前のように溝が深く残っています。いったいどんな製品で今までどうやって動力を伝えてきたのでしょう?
今回使うカメアリカバーですが研磨したかのようにきれいで、ほとんどはこのような加工表面のはずです。
クラッチディスク、やはり内周側しか当たっていません。これじゃ滑っちゃうんじゃないかな・・・・
カメアリディスク 材質が異なるので模様や色も違います。