71BコンパチC Ω13~16
2017年7月6日
71BコンパチC Ω13 OSクロス
1年ぶりにこのΩバージョンを造ります。1か月ほど前から頼まれていたのですがなかなか手が付きませんでしたが、開始します。
前回造ったのは北海道の一流ショップさん経由で北海道の有名なエンスーさん用に造りました。
今回は画像のように虎の子のOS技研の3速クロスの箱入り新品を使います。そしてメインシャフトは純正新品を使用します。
なかなかゴージャスな風景です。
OSのクロスギヤは作りがすごくきれいです。
先ずは1-2速の部品達。2速はもちろんダブルシンクロ・ギヤは新品・シンクロも新品・ベアリングも新品ということになります。
OSクロスの証がここにレーザー刻印されています。生地が以前より光沢があるような気がしますが気のせいでしょうか。
この部分がΩバージョンの肝となる部分ですが、メインインプット=4速のシンクロ舳先がダブルシンクロ専用のものが付いています。純正ではありえなかった仕様です。左下はハブですが、この部品もΩバージョンでは重要な役割をしますが、もちろん純正そのままではなくある加工をしないと成り立ちません。また加工内容も使う純正品がどれかによりその都度変化してきます。
フロント側が組めました。OSクロスの刃先の幅が純正品よりもすごく広いことが分かります。
そしてこの部分、バックギヤですがここにもシンクロが有る、71Cとしても最終形のバックシンクロ付とします。α・Ωともにここはバックリンクとバックシンクロと2種類あります。
構成は通常のワーナーシンクロと同じくハブとスリーブとシンクロリングの構成です。
この手前側に5速のシンクロが付いてきます。
5速はL3.1でサーキット用ということで最高速が伸びる0.75ギヤ比で行きます。
ギヤ部が完成です。
精度は
1ST 2ND 3RD 5TH
エンドプレイ 0.32 0.22 0.20 --- 0.11
バックラッシュ0.16 0.14 0.08 --- 0.18
3RDのバックラッシュが少なめの傾向ですが、ほぼ申し分ないです。
ケースの方に移りますが、これはストライキングロッドを格納するブロックですが、内部に見える左右2個のベアリングでロッドが回転しないようにしていますが、通常はただのピンで受けています。このようにベアリングで受ける方がもちろんシフトの前後のストロークがスムーズですので、こちらを使います。このタイプはごく稀にしかありませんが、どの車種だったのかよくわかりません。新品はもちろん出ません。
そして上記ブロックを横から見たところですが、このように私の言うところのウサギの耳部分にあるシフトレバー支点穴を上部にずらして支点間距離を稼いでクイックシフト(前後ストロークのみ)にする、「イーザ方式クイックシフト」 化します。
フロントカバーは流用するカバーの使い方が悪く、通称テングの鼻が編摩耗していましたので、手前側の鉄製カバーに交換します。
完成しました。
ΩバージョンOS新品クロス
内部で中古はシフトフォークリンケージ関係と4速・5速のみで他はメインシャフト・カウンターシャフト・ギヤ・シンクロ・ベアリングほとんどすべて新品になりました。
こだわるなら、4速、5速も新品が買えるのでギヤ部全部新品も可能です。
ケースのサイドに小判型のバック誤操作防止機構(5速からそのままではバックに入らない装置)が付いていますが、簡単にバックに入るようになるバックシンクロ付ではより完璧な仕様です。
オーナーはこれを富士スピードウェイアタック用のZに取り付けるということで、その効果が楽しみです。
このミッションの車両への搭載記事にリンク 「サーキットの狼」さんですね こちら
2018年3月10日
71BコンパチC Ω14
もうおなじみの画像ですが71Bの中身をそっくり71Cに入れ替えるコンパチC しかも4速までダブルシンクロのΩ14を作ります。
私のZもそうですがやはり4速ダブルシンクロはすごく気持ちよくシフトできます。特に高速やサーキットで。
メインシャフトは純正新品使用
メーカー製でもありえなかった4速ダブルシンクロの肝がこのメインインプットシャフトですが、今回は素材として純正新品を奢りました。
かなり端折っていますが、基本は今までと同じやり方です。
1-2速のシフトスリーブは新品です。
ギヤ精度
エンドプレイ
0.38 0.13 0.13 --- 0.05
バックラッシュ
0.11 0.16 0.18 --- 0.03
今回要望でハコスカ用に
イーザ方式クイックチェンジ化加工をいたしました。シフトレバーをハコスカ用にて製作。ウサギの耳にクイック化用支点を追加工しています。
このように最小限の改造でコンパクトにクイック化が可能です。私のs31zも同じ仕様でサーキットで試験していますが全く問題なく、すごくシフトが早くなります。
拡大
これだとシフト面が小判型で面積が大きくなりガタが少なくなります。また、この方式ならブッシュが純正でまだ買えます。
2018年6月15日
71BコンパチC Ω15
4速までダブルシンクロのΩバージョンを熊本のH自工さんからオーダーいただきました。年配のお客様が各ギヤの入りの悪さに困っているということで通常の71Bのオーバーホールよりもシフトが軽くなるΩバージョンのご要望です。サーキットだけでなくこのような使い方もありなんだなと思いました。このミッションの場合4速は直結になるギヤですが、回転差がある限りシンクロ作用は同じく発生します。直結となった時点でギヤの噛み合いによる動力伝達は無くなりますので一番効率の良い状態になります。それ以外のギヤではギヤが噛み合ってギヤ面で滑る時に摩擦抵抗が生じますのでその分伝達ロスが出ます。
部品を準備してゆきます。メインインプット・メインシャフト・3速ギヤなど新品箱入りを準備しています。
Ωバージョンの肝となるメインインプットギヤ部ですが、メインインプットシャフト、シンクロ舳先(ここが純正でもなかったダブルシンクロの肝)、ダブルシンクロボークリング、カウンターギヤすべて新品です。
組み付けるとこのようになります。
ギヤ部が完成
精度は
1ST 2ND 3RD 5TH
EP0.20 0.18 0.18---0.11
BR0.13 0.25 0.21---0.12
良い値と思います。
完成して試験しています。
問題ない様です。
2018年7月16日
71BコンパチC Ω16
今回は結局この貴重なS20用2分割ミッションそのものをコンパチ化することになりました。このS20用2分割ミッションのフロントケースは今までも何回扱っているし、私自身も持っていますが、中身も入った一式というのは初めて見ました。中身は試走している時点ですでにわかりましたがシフト感が独特のポルシェシンクロでいわゆる240クロスですね。
シンクロはポルシェシンクロで
で71Bの後期タイプにあるパターンです。
ギヤ比を確認しましたが240クロスです。
メインシャフトを固定しているM38ナットはシングルナットの加締めタイプですがこのようにすでに緩みが生じています。
分解してゆきますが特にリヤエクステ側のオイル汚れが多いのでこちら側を重点的にメンテしてゆきます。
コンパチ用組み込み部品の準備
中身は全て入れ替えとなります。
カウンター前面にギヤのアイドリング時ガコガコ音を軽減するフリクションギヤ機構を付けます。
ギヤ部が組み付け完了。5速は0.75ハイギヤード、バックはシンクロ付です。
1速 大径シングルシンクロ
2速 大径ダブルシンクロ
3速 大径ダブルシンクロ
4速 大径ダブルシンクロ
5速 普通径シングルシンクロ
バック普通径シングルシンクロ
ギヤ精度
1ST 2nd 3RD 5TH
EP0.24 0.14 0.12---0.16
BR0.13 0.22 0.15---0.16
全て規格内で良好
この様にシフトフォークまで組み付けるとぐっと近代感が増してきます。
1-2シフトロッドですが71Bのφ14と異なりφ16と太くなっていますので通常はベルハウジング側を追加工してφ16としますが、今回はベルハウが希少なので安全策でシフトロッド側先端をφ14に加工してベルハウ側は手付かずとします。
シフトレバー支点のブッシュが粉々になっていたので新品に交換
他にミッションメンバーのブッシュも粉々だったので赤いウレタン強化ブッシュに交換しました。
ほぼ復元してきています。
このあと試走で最終確認します。
ミッションについては申し分のない感触でした。
デフについてはミッション交換前からすでに音が出ていて、こちらのデフも対策が必要そうです。