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2021年4月1日

71BコンパチC Ω34cross 

              for TC24

ハコスカのなんとTC24エンジン仕様車用のミッションを作ってくれというご要望でミッション素材が送られてきました。

 TC24はL型とはエンジン傾きが逆なのでこのDR30用ミッションが使われるのが定石ですが、このドナーミッションはだいぶ消耗が激しいようです。今現在は71Bも良品はなかなか手に入らないので仕方ないかもしれません。

先ずメインインプットが錆びてしまっていてどうも復活が難しそうです。

こちら側から見るとベルハウジングのエンジン取り付け面形状がL型用とは大きく異なるのが良くわかります。

開封しました。

このドナーミッションとしてはこのタイプの典型で大まかにいうと1-2速が71Cのハシリというか機構が類似でシンクロは大径になっていますがシングルシンクロです。

3-4速は71Bの面影をそのまま残した71Bの小径シングルシンクロというパターンです。

 チャタリング音防止シザースギヤは付いていません。

この個体はかなり特殊で、カウンターのベアリングサイズが71Cと同じ大径ベアリングとなっていますので、ミッションケース側ももちろんそれに合った寸法でいわゆる71Bとは異なっています。これも過渡期的な仕様なのだと思います。

 

 

このドナーについてはシフトフォークも上記と同じ事情での仕様です。

いつもの通り部品を準備して組み立てに入ります。カメアリクロス組、ハブスリーブは新品を使用。ベアリング、ニードルも新品

 白い箱3個と茶色い紙包はカメアリクロスセットでもちろん新品です。

かなり端折りましたが、ギヤ部分の組み付けが完成です。メインインプットも新品、3-4ハブスリーブも新品ですので新品率90%となります。

 DRではついていないチャタリング軽減シザースギヤも新品でセットします。

ギヤ精度

 1st  2nd  3rd    5th

エンドプレイ

0.23 0.19 0.22ーーー0.05

バックラッシュ

0.18 0.12 0.15ーーー0.11

 

全く問題の無い値です。

シフトフォークも71cのフルセットでしかもほぼ新品で組み付け。

ミッションケースに組みました。

ミッションケースはブラストしたのでまるで新品のようになっています。最初の画像と比べてみてください。これだけ変化します。

 

フレームはミッション試験機のフレームでこれから回転試験に入ります。

上から見るとこのようです。

ベルハウジングの中、これも信じられないくらいきれいになります。

2022年2月5日

ドライブシャフト・プロペラシャフトの  オーバーホール

 TC24エンジン用ミッションでΩ34カメアリクロスを採用してくださいましたオーナー様から引き続き駆動系として、このドライブシャフト、プロペラシャフトのオーバーホールのご依頼です。

 それぞれ分解してきれいにしてゆきます。ほとんどの場合グリースと砂が混ざって固まった物に下回りパスタ黒塗りされて固められていますので先ずこれらをこそぎ落とすのが一苦労です。またそれぞれのジョイントは特殊なクリップで固定されていますが、これを打ち抜くのもかなり熟練が必要です。クリップを外した後のジョイントベアリングの分解は、常にメンテしていればハンマーでたたけば抜ける程度ですが、今まで一回もやってない場合は治具を使ってプレスで押さないと全く抜けない場合が多いです。

赤色のチューブは特殊グリースでこれは最新の現代の専用グリースを使っています。

 

ここの部分はボールスライドとなっていて300馬力を伝達する中でスムーズに伸縮できる構造となっています。時々のこのボールスライド溝にボールがめり込んで凹みが出来ている場合がありますが、そうなるとシャフトの伸縮が固くなりスライドがカクカクなるようになります。どうもグリース切れで少し動きが悪くなるとその部分でボールが引っ掛かり、そこだけがどんどん摩耗してゆくというような悪循環が起こることが原因の様です。

組み付けが完了しました。

手で持ち上げてみてジョイント部分が自重でくにゃりと垂れ下がる様では全くのガタガタ状態ですのでそれでは回転時に振動発生の原因となります。

ジョイント部を持ち上げてもそのままお辞儀することなくピンとしていて、手で動かすと程よく抵抗感がある状態がGOODです。

 ドライブシャフトはこの時代のほとんどの日産旧車の共通パーツです。

プロペラシャフトは今回はハコスカハードトップ用となります。プロペラシャフトには分解式と分解できない加締め式があります。


2021年4月27日

71BコンパチC Ω35 cross

 このところクロスギヤ組が続きます。

71Bミッションを支給していただきコンパチ化するとともにクロスギヤ組み込みをいたします。

 最近は71Bミッションも価格が信じられないくらい高騰していて私の所でも手持ちの71Bは数少なくなりましたので今までのように71Bミッション一式込みのコンパチ化が固定価格では困難になってきています。現在は71Bミッション支給、または下取り前提でのお取引に移行しています。71Bミッションケース込み一式でのご依頼の場合71Bミッションケース分は時価で上乗せ計算することになります。

 

カメアリクロスで組んでいきます。2速、3速とカウンターギヤ

4速メインインプットまで組みました。Ωバージョンですので4速もダブルシンクロとなります。またカウンター前にはアイドリング時のガチャガチャ音軽減シザースギヤ機構が組み込まれます。

リヤ側 5速は0.75ギヤ比で71Cの純正です。シフト形式としてはリンク式となります。全体的には今や貴重なR32用71Cミッションを基本としていますが、このミッションもオークションでもほとんど見なくなったミッションです。

 このところ71Bはともかくとして71Cまで値上がりしてきていますが、私は良質な71Cが見つからない場合は純正新品を使ってしのいでいます。71Cについては価格はともかくとしてすべて日産純正で作り上げることも可能です。

精度測定に入っていますが、画像の見慣れないプレートはバックラッシュを測定するときにフロント側が遊ばない様にケースに入れた時と同じ芯間で固定するために私が作ったもので、芯間の精度は±0.02以内です。日産の特殊工具にはありませんよ。

精度

 1ST  2ND  3RD   5TH

エンドプレイ

0.30 0.16 0.20ーーー0.05

バックラッシュ

0.18 0.13 0.20ーーー0.08

良い値です。そしてやはりカメアリクロスは3速のバックラッシュ・エンドプレイは大きめの設定の場合が多いような気がします。

 

いつものようにシフトフォークを組み付けます。

一番右のシフトフォークは材質が異なっていますが、これがR32のシフトフォークの特徴でここの部分を大きく強度アップしています。

 左側の5速ーバックはリンクタイプのシフト機構で最近では数少なくなってきた個体です。特徴は機構が単純で強度が高くすっきりとした状態であることです。