2015年10月1日
71B亀有クロス
識別
71Bコンパチβ―3
CROSS for
L2947
3年ほど前に入手した亀有クロスですがずっとビニールに入れて置いたままになっていましたが、今回復元に入ります。
現状ですが先ずメインシャフトがスプライン根元で千切れています。よっぽどドッカンパワーの車に使ったのでしょうか、それともメインシャフトの欠陥か、原因は不明です。
一応ギヤ比のチェック。カメアリでいうと最もパワー仕様のFJ20ET用のタイプになりますね。
1st 2nd 3rd 4th 5th
歯数 メイン 31 25 25 22 26
カウンタ 18 21 28 31 44
ギヤ比 2.427 1.677 1.258 1.000 0.837
もう一点の難は3速のスラストクリアランスが大きすぎます。2mmほども有りましたが分解して行って判りましたがスペーサーを間違えて組んだようです。これではすごく3速のシフトはし辛かったでしょうし、ギヤ抜けしやすかったのではと思います。
また3-4速ハブの4速側がメインインプットと接触した跡があり、これも上記と同じ理由ですがかなりゴリゴリ音がしていたと思われます。
そしてこういうところを見ると判るのですがこのミッションの組み立てはちょっと問題ありだと思いますが結構こんな場合が良くあります。この大きなナットを締める工具が無かったのでタガネで叩いて締めたものと思われます。これではどれくらいのトルクで締まったか確認出来ないです。
こんな不幸な亀有クロスですが、そのおかげと言っては何ですが画像で判るとおりほとんど使われないで放棄されたようです。シンクロかみ合い部の舳先(ドッグティース)もすごくとがっていて新品みたいです。
これはちゃんと組み立てていけばかなり良いミッションによみがえるお宝ミッションと言えます。これから続けて組み立てていきますが、71Bのままで最終仕様に盛り込まれたいろんな改良点を盛り込んでいきます。
これから随時アップいたしますが、完成の折には販売いたしますので欲しい方はお楽しみに。
また、すでにこれを欲しいんだ、探していたんだ、という方はすぐにメールいただければご要望織り込んで作れますのでどうぞ。価格は230000円予定(クロス新品で組むと30万以上します)
2015年10月4日 神奈川の方が購入希望で決まりましたのでご了承ください。
これから組み立てに入ります。
メインシャフトはもちろん中古品ではありますが今まで保管していたもののなかから選びます。私は71BコンパチCにする場合は71Bのメインシャフトは使わないため沢山在庫が有ります。(追補:画像のメインシャフトは一旦は組もうとしたのですが、不具合が感じられたので別のに組み直しています。)
画像は1-2速関係の部品達です。シンクロリングやニードルベアリングは新品に交換していきます。もともと付いていたものもかなり良い状態でしたが、確実にするために新品交換です。
カメアリクロス 1速ですがほとんど舳先はは摩耗しておらずちょうどナラシが終わったかなの状態です。
こちらは2速ですが1速に比べれば舳先に少しだけ丸まりが見られますがナラシが終わった状態と言っていいです。
1-2速のハブとスリーブこれもしっかりしています。
1-2速側のメインとカウンターを組み付けました。やはりクロスは1速が小さいですね。カウンターの18Tもかっこいいです。
(ノーマルは14T)
カメアリのクロスは新品は表面処理で真っ黒ですが、この個体にはまだその名残が十分残っています。
次に3-4速
これも状態は良いと思います。
3速が一番使用頻度が多かったらしく舳先が有る程度丸まっていますが全く問題の無いレベルです。
4速まで組みました。
4速というかメインインプットは亀有のセットには含まれないのですが、今まで使われていたのはあまり状態が良くありませんでしたので、カウンターギヤとセットで別パーツと交換しました。
5-バック側も一気に組み上げてギヤ部分はほぼ完成となりました。
5-バックギヤ側ですがいつもボロボロになっているバックアイドラーギヤやハブの舳先も多少欠けが見られますがすごく良い状態と言えます。
71Bの弱点であるこのナットの緩みについては、私が編み出した技 サイドロックボルト採用で対策します。
この時点で組み付け精度を確認してギヤの状態を把握します。
1st 2nd 3rd 4th 5th
バックラッシュ 0.12 0.06 0.12 --- 0.13
エンドプレイ 0.14 0.05 0.20 --- 0.20
バックラッシュはすごく良好
エンドプレイで5速が少し大きめですが規定より0.01外れているだけで、狭いよりはずっと良いと思います。(狭過ぎると焼きつきます)
シフトロッド・フォーク関係を組み付けました。
シフトフォークは71B最終版のアルミタイプです。断面が大きくなっていますので剛性が期待できます。
アルミなので重量増加を抑えられるし、スリーブの摺動面にはメタルが鋳こまれていて寿命が向上します。
ケースへの組み込み準備でストライキングロッド部のリペアに入ります。中央部の小さなオイルシールは内部に隠れているシールで見逃しやすいですが、交換していきます。
この部分、シフトレバーが刺さるパーツですが、ロケート穴を上部に追加して有るのが分かるでしょうか?
こうしておくと将来クイックシフトにしたい時に簡単に交換できます。もちろん今までどうりのロケート穴も有るので標準そのままつきます。
さて、フロントケース、リヤエクステンションともに組みあがりすでに試験段階ですが、すこし納得できないところが有り問題発生です。
回転、シフト共に問題ないですが振動があります。特に3-4と5速。
回転物ですからある程度振動は有りますが、今回周期的な振動があるし、程度が少し大きいです。
やり直します。
実は先週このミッションのオーダー元の方が来訪してくれました。しかも搭載車両240zGノーズL3000そのものではるばるやってきてくれました。ボディーとエンジンそれぞれ長い時間をかけて復元して来られた様です。3時間ほど話が弾んで、しかも私の家のリフォームの相談にまで乗ってくれました。(オーナー様は建築のプロです)この様な交流が有りますと私としてもますます恥ずかしいものは出したくないので、絶対に私なりに納得できるレベルでミッションをお渡ししたいという気持ちになります。
もちろん再度分解してゆきますが、最初に疑ったところは
1)メインインプットで、これを交換して再度組み付け ---NG
2)3-4シンクロハブスリーブ交換ーーーNG
3)今度は5S-バック側のメインカウンターギヤ交換ーーーNG
4)ミッションケースベルハウジングとリヤエクステンションを交互に交換---NG
そして最後に思わぬところで不具合が見つかりました。
5)ミッションセンタープレートの交換
センタープレートは一番最初に組む基本骨格となるところですが、滅多に精度不良は有りませんでした。しかし今回はここに問題が・・・。
都合5回ミッション組み直した事になります。
今回の少しの違和感はもちろん回転試験しないと判りませんし、車に取り付けてもエンジン音や車体振動でまぎれて気がつかないレベルかも知れません。しかも回転やチェンジに支障はないのでNGといえるかどうか微妙なレベルかもしれませんが、やはり懸念は消しておいた方が良いです。
今回の教訓でどこを見ればセンタープレートの不具合を感知できるのか観察出来るようになりました。また、チェック項目が増えましたが急がば回れですね。これからも見逃しません。
そしてせっかく組み直すのですからこの部分に工夫します。5速のスラスト受けですが71Cからすべてこのようなスラストニードルベアリングで受けるタイプに変更になっていますので、その仕様を織り込みます。もちろんそのままでは組めませんがいろいろ工夫して可能にします。71Bではプレーンで受けるだけですのでその滑らかさの違いは大きいと思います。
私も71Bでこれをやったのは初めてのケースとなります。おそらく他にはないオリジナルの仕様だと思います。
再度最終組み付け精度を確認してギヤの状態を把握します。
1st 2nd 3rd 4th 5th
バックラッシュ 0.15 0.18 0.22 --- 0.05
エンドプレイ 0.23 0.13 0.21 --- 0.20
バックラッシュはすごく良好
エンドプレイで5速が少し大きめですが、今回スラストニードル仕様にしたので問題ないです。
順番が前後しますが、ケースについてはセル取り付けネジ・クラッチオペレートネジ・ケース結合ネジ・フロントカバーネジは全てタップでさらい直します。また、その時にネジ溝の破損がひどい場合はヘリサートで修整しますが、今回は問題なしです。
クラッチオペ取り付けネジ
今年になってこのように識別マークを入れるようにしています。これで今後の状況が追えるようになります。