2023年6月24日
魔界エンジン MEー6 製作開始
静岡県内の方から魔界エンジンの製作依頼がございまして、開始いたしました。 画像は今まで使っていたエンジンを支給されたもので、ある程度はチューニングされているが調子が良くないとのことで、不具合箇所は修理してほしいという要望です。
エンジン補器取り付け
クランクプーリーを取り付け
ATIダンパーを使うのでまずはハブを取り付けます。
そしてダンパーの取り付け
ハブは28Kg/mと締め付けトルクが強大なのでこんなビッグサイズのトルクレンチで締めています。
プーリーの振れをチェックしています。
ウォーターポンププーリー取り付け
ATIのウォータープーリーは回転を落とすためなのか巨大です。セットできる最大のサイズです。
エンジンン高回転では馬力ロスを低減できることでしょう。
オルタネーターを取り付けていますが、プーリーはATIに交換しています。ベルトがVベルトではなく、現代車の様な多条ベルトです。
右側にディストリビューターもついていますが、OS技研製のディストリビューターです。
クラッチを取り付けます。
OS技研のツインプレートです。
クランクはいわゆるケツ切なので出っ張りが少ないですね。
フライホイールを取り付けます。
ボルトはARPの強化ボルト
プレート類
ツインプレートの場合はプレートの芯だしは丸棒の芯だしジグではなく、スプライン付きの芯だし治具がマストです。
取り付け完了です。
2024年6月30日
71BコンパチC Ω61 OSクロス
魔界エンジンME-6をオーダーくださったオーナーさんから引き続きミッションの依頼です。
ギヤとしては私の手持ちのΩバージョンでOSクロス組を使用します。
これはすでにサーキットで走行実績があり、ギヤ比も車重のあるローレルに適します。
私のS30Zの車重やデフギヤ比ではサーキットでギヤ比が合わず載せ替えて保管していたものを、この機会にローレルフルチューンに生かしていただきます。
左がOSクロスの2速 右が71C純正2速ですがギヤ歯の先端のカットが幅が広いのがOSクロスの特徴です。(カメアリクロスは純正の刃先設計に近いと思います)OSクロスその分歯の断面幅が厚いので歯の強度が高いと思います。この辺はOSクロスはその製作設計の成り立ちが全く異なるようです。もちろんこのようにするとほかの部分の性能が落ちるようになる(回転の滑らかさとか、伝達率、噛みあい率とか)のでこれはメーカーの設計思想となります。
ギヤ全体の造りの印象は非常にきれいだなというところです。熱処理した肌の色が均一な明るいグレーで、熱処理仕上げが高度に行われている感じを受けます。
もう一つの特徴はシンクロ舳先がこのように溶接(電子ビーム溶接だと思う)されているところで、ここがスプライン勘合となっている71C純正(カメアリクロスもスプライン)とは異なります。これだとシンクロ舳先は絶対に抜けてくるという事はなくなります。(裏返すとシンクロ舳先の交換はできないとなりますが)加工としても無理にスプライン加工をしないので加工が楽になり、少量生産には向いた作り方です。(ただしもちろん電子ビーム溶接は費用は高くつきます、余計なことを言えば溶接深さが少し心配で、おそらく舳先の厚み全部には溶接溶け込みはしていいないのではないかと思います、もう一つは溶接の熱影響による内径ニードルベアリング径の変形をいかにクリアーするかですが、取り代付けて後から研磨仕上げかな?
)
カウンターを含めてこれがOSクロス3速セットになります。
カウンターの造りもメインギヤと同じようには先の切り上げ幅が広くなっています。
2速まで組み上げ
ハブスリーブは私がサーキット用に組んでからいくらも走っていない(私のS30Zの車重やデフギヤ比の仕様ではギヤ比が無理だった)のでほとんど新品の色をしています。
3速用のパーツ
メインインプットは純正新品セットを使用します。
メインインプットセット
ギヤ比としてはハイギヤード22-31となります。
(純正には他に21-32のローギヤード仕様が有ります)
Ωバージョンですのでシンクロはダブルシンクロに改造しています(ここから純正とは異なります)
ニードルベアリングは71C最終仕様の大径強化タイプとなります。
1-4速までアッシー完了
ギヤ精度(5速まで組んだ時の値です)
1ST 2ND 3RD 5TH
エンドプレイ
0.30 0.18 0.15 ーーー 0.15
バックラッシュ
0.22 0.25 0.28 ーーー 0.15
ほぼベストの値になりました。教科書的な値です。
5速-バックの部品です。
今回はシンプルなバックリンク改のタイプとなります。この後バックシンクロ付きに設計変更されていったのですが、その効果としては一長一短といったところです。
5速ーバックをバックリンクで組んでいます。
シフトフォークを組んでいます。シフトフォークは71C最終仕様のアルミタイプ。 71Cとしてはこの仕様になる前に特殊合金(鋳鋼かな)鋳造製の3-4フォークが主流でしたがその重かった事、このアルミ製になったことでづっと軽くなりました。
ケースに一気に組み上げました。
クイックシフト化も依頼されているので
イーザ方式クイックシフト化を行いました。
シフトレバーです。
上がローレルの純正シフトレバー
下が製作したクイックシフトレバー
青矢印の寸法差分クイックになったことになります。
ミッション側のシフトブロックをクイック化可能なものを探し出して取り付けて、矢印部の支点穴を追加加工しています。