日産旧車、ドライブシャフト、両フランジドライブシャフト、十字ジョイント

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2019年8月29日

ドライブシャフトのオーバーホール

岡山のハコスカオーナーがデフと共にドライブシャフト・プロペラシャフトも持ってきましたのでオーバーホールします。ベアリンググリースは切れてはいないものの十字ジョイントスパイダーの動きは軽くなりすぎです。いずれガタとなることでしょう。

ボールスプライン部以外は全分解。

十字ジョイントのニードルベアリングは一回もメンテしていない場合は固着してプレスで押しても外れにくい時があり、また押す面も平面では無いので傾いてしまうとこじれて取れなくなるし、それでもプレスで大荷重かけるとケース側が変形してしまいます。そういう時は無理に押し続けず一旦元に戻してから再度チャレンジします。私は現在は押し面形状に合わせた押しジグを作っているのでだいぶやり易くなりました。

ボールスプラインを分解してゆきます。こちら側は分解がそれほど難しくないので、ユニバーサルジョイント=十字ジョイント側は分解しないで、こちら側だけメンテしてあるという場合もあります。ここの動きが悪くなると、最終的にはサスが動かなくなりサスなしのリジット車となります。

ボールスプラインを分解してゆきますが、片側の方がとれにくくボールスプラインを手で引いただけでは抜けてこないほどでしてが、何とか分解してみるとやはり問題が。

4本あるスプラインのうちの一カ所にボールがめり込んだ跡が見られます。これが抜けてこなかったことの原因でした。

拡大しました。

もう一本の方は全スプラインがこのようにきれいで、分解時もスルッと簡単に抜けました。

もう一本もこれくらいの状態なら問題なかったのですがスプライン面にめり込むほど変形していると再利用は難しい感じです。

オーナー様とご相談してドナーを準備いたしました。

手持ち在庫のドラシャから摘出します。

パーツを清掃してから塗装しています。

組み付けに入りますが、これをやるにあたって先ず苦労するところがこの新品のゴムブーツを入れ込むことですが簡単ではありません。そのまま指で押し込もうとしてもぜったに入りませんくらいこのゴムは固いです、そうでないと下周りの過酷な条件の中で破れないで取れないでいられないです。

 これを組むにはジグが無いとできませんので私は自作したジグでやるようにしています。

 

(注:ドラシャブーツが破れると車検に通りませんので、ゴムブーツだけの補修の場合は近年このドラシャブーツを半割にしてかぶせてからスナップ式に割目を組み立てて接着剤で固めるタイプがありますが、ドライブシャフトを切りにくいF・F車では重宝します。私もスバルブリッエンではそれを使っています。

 

組み立てに入っていますがこの時忘れてはいけないことがスナップリングとワッシャーの入れ忘れで、それを忘れると全部最初からやり直しになります。

 

グリースは今回は日産純正を使用しました。場合によってはもっと高性能の高級グリースを使う場合もあります。

シャフトスライドを中間位置でバンド締めしておかないとバンド固定後は密封状態で空気も出入りできないので、シャフトスライド時内部の空気が災いしてゴムが膨らんだり、すぼまりすぎて具合が悪いです。

 

ときどきこれを針金でネジネジでやっつけたり、場合によってはインシュロックで締めている猛者もいた利しますがいずれも耐久性に難あり。

 

 

バンドをタガの間を2周通してからバンドの先端を強く引いて引き締めますが今回は専用の工具を入手して締めています。手でゴムブーツを回転させてみてにゅるにゅる回る様ではまだ引き締めが不足ですが、ゴムがベロンとはみ出しているようでは締めすぎで、いずれゴムが千切れてしまうことでしょう。

 

シャフト部の組み付けが完了です。ヨークとヨークが同じ回転方向でそろっているのが正しい状態です。組み付けようと思えば45度ずれ、90度ずれ というのもできてしまいます。

ユニバーサルジョイントを組み付けます。

部品としては日産純正品を使いますが、固定クリップの板厚が0.05mmピッチで選択制になっており、その選択によりジョイントの動きが適度になるように調整が必要となります。

 

完成しました。

 

この部分にe-zaマークがつきます。


2023年10月30日

ドライブシャフトオーバーホール参考例

こちら