R192のオーバーホール  その1

          その2はこちら 

Z432R用です 

車体取り付けの記事こちら

 

R192デフ観察をいたします。

                                           左が180 右がR192

サイドフランジ幅   225  250

コンパニ~リヤマウント 500 510

コンパニ~サイドフランジ400 400

リヤマウントピッチ   80  80

重量 (LSD付)  31Kg  31Kg

 

 

R192・R180ほぼ同じですが幅と長さが少し大きい

今回右側のR192をオーバーホールしますが

現状 ギヤ比は40:9 4.444

バックラッシュは実測0.21 少し大きめ

オーバーオールプリロード 2.73kg/CMとかなり少ない(しかもシール付きで)

LSDのイニシャルトルク 3.5~4.0Kgとまずまずの値

ピニオンのプリロード   1.28Kg かなり少ない(摩耗している)値です

 

入手できる補修パーツは限られますので、完璧にするのはかなり難しそうですが、プリロードは何とか復元したいものです。

 Z432R記事はこちら

 

フロントコンパニオンフランジを外します。他のR系とは互換性なしです。

リヤのバックプレートを外してリングギヤ部でバックラッシュを測定します。

バックラッシュは0.21mmとまずまずですが少し大きめの感じ(規格は0.15~0.20mm)

サイドフランジをはずします。

R180と似ていますが全く異なります。

 

特にサイドフランジの中にもパイロットベアリングがあることが大きな違いです。

ここにベアリングがあります。外側にあるのはデフ玉を支持するテーパーローラーベアリングのアウターレースで、この部分はR180と似ています。

サイドフランジももちろん分解します。

ここにベアリングがあることがR192の特徴です。

R192のLSDASSY分解しました。

イニシャルトルク測定

 

3.5Kg~4.0Kgと一応基準値に入っていますが、かなり低いイニシャルトルクです。

分解しましたがプレート類は4枚構成です。フリクションが2枚でスプリングプレートが2枚

 

ピニオンは2個です。

カムはニスモタイプよりもっと角度の浅いカムで効きは良さそうです。カムで押し易くして過大な無理な力はフリクションプレートを滑らせてある程度逃がすという構成でしょうか?

 

プレート類はどれも1.95mmと若干薄く、新品の2mmからある程度摩耗しているようです。

フロントのベアリング・シールを取り外します。

 

その奥にピニオンシャフトが見えていますが、ここもR180と大きく違うところで、フロントコンパニとはここでスプライン勘合しています。

 

そしてその奥にはさらなる難関が待ち受けています。

 

 

その前にこの状態でピニオンのみでのプリロード=ベアリングのガタ防止負荷 を測ってみると

1.28Kg/cmしかなく、基準の10K~13Kに対してすごく少ない値です。ベアリングが摩耗しているのでしょう。

こちらがR180の断面

これはLSD無ですがR180でLSD付もありますね。

こちらがR192の断面図

 

大きく異なるところはピニオンとフロントコンパニオンがスプライン勘合であること。R180はここが1本のシャフト化してその間をカラーで埋めていますが、どっちが高級かといったらR192でしょう。

また、サイドフランジがR192にはパイロットベアリングで保持するようになっていますが、R180はベアリングなしのプレーンで受けています。これもどっちに軍配が上がるかといえばR192でしょう。

でもどちらでも大きな支障は出ていないので、過剰だったのかもしれません。このように外観上かなり似ているR192とR180ですが中身はだいぶ異なっています。

 

そしてその奥にはさらなる難関が待ち受けています。とこの画像のところで記しましたが、ピニオンシャフトの奥の方に大きなダブルナットがあることが分かりますし、上の断面図でもはっきりと見て取れます。

もちろん通常のスパナを斜めに突っ込んでなんんてできません。しかもその締め付けトルクは22kG・mとすごく大きいですので、尋常な力では緩めることができません。

 

 

かなり考え続けてこの画像の中にある秘密兵器を設計製作しました。しかも、この兵器があるだけではだめで強大な締め付けトルクを受け止める固定方法が必要です。

 ダブルナットですから片方を固定して片方を回すのですがその時シャフトは回らないようにしておかなければなりません。そうでないと緩めることすらできないかもしれません。

 

手前のデフケースは治具を作る間に黒く錆止め塗装しました。

R192のピニオンシャフトを完全分解しました。

 

分解前のプリロード測定でほとんどプリロードが無かったこのピニオンベアリングはかなり摩耗しているのか、シム調整が甘かったのかどちらでしょう。

 

 

 

R192デフ組み付け

 

最も重要なピニオンリヤベアリング

 

新品に交換します。

 

こちらが今まで使っていたベアリングアウターレース。細かな傷がたくさんあるのが分かります。

 

こちらが交換する新品。当然ですがすごくきれいです。


そしてピニオンフロント側のテーパーローラーベアリングですが、ショップさんやベアリング屋さん、仲間内などいろいろ問い合わせたのですがどうしても入手できませんでした。今回はこのまま流用とします。

 

尚、このベアリングについてベアリング屋さんと相談して製作してもらうことにしました。納期は5か月の予定ですので、必要な方は今のうちにご連絡をしてください。

 

できたら交換したいところですが仕方ないです。


ピニオンベアリングのプリロード測定。道具はありあわせのものを使っていますが、測定原理は特殊工具と同じです。

 

これで今まで1.0Kgぐらいしかなかったプリロードを既定の10Kg~15Kgに調整します。

プリロードを調整するにはベアリング間にシムを調整する必要がありますが、純正は出ませんのでこの画像をものを特別に入手しました。

 

今までの状態ははどうもこのシムが手に入らなかったのでダブルナットで調整しようとしてうまくいかなかった結果なのではないかと思われます。結果的にシムを0.05mm薄くする必要がありました。0.1mmでは強すぎました。

 

この調整は重いデフ玉を扱ってピニオンをその都度組んだり外したり何回もやりますので大変です。

LSDの組み付けに入ります。この画像のLSDケースの内側下の方、カムの形が摩耗痕となって見えています。段ができるところまでは行っていないのでこのまま行きます。もっとひどければ修正が必要となりそうです。

この寸法も大事です。

再度イニシャルトルク測定で4.5Kg~5.0Kg出ていましたので規定内です。

リングギヤのタップはM10P1.00とこれも独特の細目ネジ。ボルトは首下がネジ切り無の特殊品です。

サブアッシー完

サイドベアリングの交換

このテーパーベアリングのアウターケースの分解は簡単ではなかったです。あなどれません。

 

外したサイドベアリングアウターレース

 

新品に交換


いよいよ最終組み付け準備完了です。

サイドベアリングを組んだ状態でのプリロードを測ります。

ピニオンベアリングのみのプリロード15Kgに対してどれくらい多くなったかを見てサイドベアリングのプリロードを判断します。今回3Kgほどありました(規定は3Kgまで)が少し多めの傾向ですがこれで行きます。

そして大事なバックラッシュの測定

全周の6か所で測りますが、最初は分解時と同じく0.19~0.23mmと大き目の傾向でした。(規定は0.15~0.20)

ここからサイドベアリングケースとデフの間にあるシムを入れ替えてこれまた何度もやり直します。結局0.05mmでは足りず、0.10mmでやっと落ち着きました。

 

バックラッシュは0.17~0.20mmとなりました。

歯当たりを見ますが、正回転側はすこしトー・フランク気味ですが許容範囲内とおもいます。

逆回転側はほぼ良好

シム調整やバックラッシュ調整・プリロード測定すべてがOKとなったら、全部分解してシール類の取り付けをやります。

サイドフランジの中のオイルシールですがこんなに摩耗しています。

取り付けました

フロントコンパニオンのベアリングも取り付け

シールも取り付け

リヤカバーも取り付け、完成です。

デフは何回も調整が入るので、根気と体力(重いので)が必要です。

 

ひとまず完成なのでこの後Z432Rにご来訪いただいて交換作業に入ります。

こちら


2017年7月21日

騒音のひどかったR192デフの調査

あらかじめオーバーホールしておいた前述のR192デフをZ432Rの車体の騒音がひどいR192デフと交換摘出が無事完了しました。

 

この外した騒音のひどかったR192デフを先ずはデフカバーはぐってバックラッシュを見ますがほとんどバックラッシュ”0”の状態でした。測り方が悪いのかなと何度も試したのですがやはりいつものように触った感じでも直感的にバックラッシュが無いと感じます。

 

また、コンパニオンフランジを手で回した感じでプリロードがほとんどないこともわかります。測定具を使って調べるまでもなくプリロード不足=ギヤが勝手に暴れまわる 状態だと思います。

正回転側の歯当たりは、ほぼ良さそうな感じです。

 

 

逆回転側の歯当たり。

これも良好な感じです。

 

全体的にはもうすでにこれらの調整用シムの純正品は出ませんので、このR192デフの場合(これは以前にメンテした形跡があります)、作業のやり方として限られた調整範囲の中で歯当たりを良くすることを最重視して実施していて、バックラッシュやプリロードの調整値は妥協しているのかもしれません。

 

引き続き分解調査してゆきます。


2017年7月25日

追補:R192 4ピニオンLSD

今回のR192の修理に当たっては空飛ぶZ432

さんより適切な情報をずいぶんいただき助かりました。

 

今回さらにありがたいことに貴重なR1924ピニオンLSDをご持参いただき一緒に研究会となりました。

LSDサブアッシー取り出しました。カム角度はニスモに近い感じです。

完全分解しました。プレートは2ピニの4枚に対して6枚に増やされています。

4ピニオンの構成がはっきりとわかります。

どうやってディスクを増やせたのか不思議ですがこの画像でどうやったのかわかります。また個々のディスクも板厚を少しずつ減らして、トータルを合わせています。

こちら側も同じような対策がされています。

 

LSDの効きを良くするためにはやはりプレート枚数を増やして摩擦面積を増すのが最も効果的だと思います。このデフは4ピニにしていることも有りがたいところですが、それ以上にプレート枚数を増やしていることがさらにありがたいです。