2022年2月16日
R24 R192デフ オーバーホール
巨大なアルフィンカバーがついています。
このカバーを扱う場合はこのフィンを欠かないようにいつも緊張しながらやらねばならないです。このフィン、結構簡単に割れてしまいます。
後ろから
なんとなくユーモラスな形をしています。
反対側から
リヤカバーを開けてみるとギヤ比は4.444とハコスカGTRに多いギヤ比です。
バックラッシュは0.18と若干大きめとなっています。0.1~0.15ぐらいがベストなのではないかと思います。この0.18の値は製作されてそのまま走行を続けて通常に摩耗してこのようになったという印象です。
サイドフランジ
オイルは真っ黒でかなりメンテはしていなかった感じです。
ベアリング側も真っ黒
リングギヤ・LSDを取り出しました。
これも真っ黒です。
LSDのイニシャルはほとんど ”0” でLSDの効きは弱かったと思います。逆にUターンなどの時の引きずりは無かったと思います。
LSDを取り出しました。
真っ黒ではありますがR192としては標準的な構成です。ピニオンは見た通り2ピニオンです。LSDプレートの構成は左右4枚ずつでフリクション2、スプリング2枚ずつとなります。なんでイニシャルが出なかったのか測定してみなければなりません。
細長い半割の竹というか、八つ橋のようなものはR192で特徴的なLSDプレートの外爪を受ける焼き入れカバーで、これがあるのでLSDケースの痛みを軽減できる仕組みで、優れものです。
ピニオンをばらします。
ピニオンプリロードは”0”で、がたがたの状態でした。
ピニオン系を分解しました。
メインリヤ側ベアリングレース
全体的にあたりがあり、摩耗はしていますが均一になっているので動きとしては悪くない状態と思います。
ひどいものはこの当たり面が波打っているものがあります。それなりに回転方向摩耗痕がありますが、それも程度は悪くないほうです。
ピニオンセンターベアリング
このベアリングはとっくの昔に製造廃止となっていて、特殊サイズなので市販品もないし、アフターメーカー製も入手できないという代物ですが、私はこれを復刻販売しておりますので、もうしばらくはベアリング入手可能です。
ピニオンを組んでイニシャルを調整します。
1発で決まることは稀で何度かやり直して調整となります。今回は 10.5Kgとしました。
LSDを組んでいきます。
LSDケースは長く使うとたいていはこのような摩耗痕段付き摩耗が生じてきます。
まだこれぐらいなら再使用は可能とは思います。
ピニオンやサイドギヤ、ギヤケースなど、LSDの構成パーツ
プレートは1.90mmノーマルの4枚構成
オーナー様からスペアのスプリングプレートを預かりましたが厚みが1.8mmでこのまま交換するとかえってイニシャルが落ちてしまいます。
R192の場合LSDケースの幅を機械加工して左右6枚づつのプレート構成にしてイニシャルを上げる場合がありますが、その場合は1枚当たりの厚みが薄いプレートが必要になります。
組み込んでイニシャル測定しています。
イニシャルは5.5Kgぐらいを示しています。一般乗りではちょうどよいノーマルな値と思います。R192のLSDカム角はニスモ並みに大きい角度なのでこれでも十分なロックがかかると思います。
LSDのイニシャルが出たのでケースに取り付けサイドフランジのプリロード設定に入っています。
とここまで来たのですがオーナー様からOSスーパーロックの出物が手に入ったということでLSDを切り替えることにします。
右がOSスーパーロック
リングギヤをつけなおし、サイドテーパーベアリングも新たに取り付けます。
サイドベアリングプリロードをシム調整でやっていきます。今回は最終的に4Kgとなりました。良い値です。
バックラッシュは0.10~0.16
刃当たりの正転側 良好です。
そして逆転側刃当たりも良
ギヤ部は完成です。
アルフィンカバーを取り付けて、回転試験を行います。
測定データーをここにいつも記録しています。