S20エンジンご用達、R192デフのオーバーホール
ハコスカGTR Z432 Z432R ハコスカGT S30Z
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2023年2月9日
R192オーバーホール R28
このところR192のデフオーバーホールが続きます。GTR用のR192デフ大容量でアルフィン付きデフカバーが付いています。
今で使っていたもので、前進側は普通に走れるがエンジンブレーキ側でひどい異音がするというものです。
違う角度から
これもデフカバーのスタッドボルトが付いてきませんでした。
先ずはこの大容量アルフィンデフカバーをはずしまう。
外してみるといきなりこの画面で驚きです。
リングギヤの真後ろのオイルセパレーター(アルフィンデフカバーにはよく付いている)ですが、取り付けねじがすべて外れかけています。これでカバー開けた直後の画像です。4本のねじのうち1本はネジすら見当たりません。そして下側に見えるドレンボルトには大量の鉄粉とスプリングワッシャーが見えます。このスプリングワッシャーは上の外れたネジについていたものでしょうが、ボルトはここにも見当たりません。どこへ行ったんでしょう?そしてこの大量の鉄粉の出どこはどこなんだろう?
エンブレ側でひどい異音という事でこの時点でリングギヤの刃当たりを見ておきます。エンブレ側の刃当たりはヒール側(外周側)に寄り気味ではありますが一応範囲内です。リングギヤ歯面にも特に異常は見られません。
正転側はかなりトー側に寄っていますが、それほどひどい状態でもありません。
リングギヤとLSDを外して中のピニオンを見ると、その下側に行方不明となっていたボルトが発見できました。ボルト自体はなんの変形も打こんもないのでこの中で何とか噛み込みもせず漂っていたという事でしょう。
リングギヤは4.444の純正
ピニオンは純正の2ピニであることがわかります。
現時点でのイニシャルを測ります。
2.9Kgぐらいというところです。本来は5Kgぐらいあるはずですがヘタッテいるようです。
ピニオンの取り外しにかかりますが、こんなところにまで鉄粉が溜まっています。
ピニオンギヤを外しました。
どこもかしこも真っ黒です。
そしてピニオンフロントベアリングを取り出してみたらまさかのこんな状態です。どうするとこんなことになるのだろうか?
大量の鉄粉の発生源がこれで理解できた。
何かを噛みこんだというよりも、ベアリングの摩耗限界を超えて崩壊に至ったという状態ではないかと思う。
そしてその相手側のフロントベアリングレース
なんじゃ、こりゃ
すごいことになっている
びっくりだ
良くこれで普通に走行できていたものです。
リヤベアリングレースは通常の摩耗状態だったのでこちら側で何とか持ちこたえていたという事でありましょう。
前進時はピニオンは後ろから押される力を受けるので荷重はピニオンリヤ側のテーパーベアリングで受けているが、エンブレ時はピニオンは後ろに引っ張られる力を受けるため、そこでこの破壊されたフロントベアリングをゴリゴリ回していることでひどい異音が発生していたと考えられる。
LSDの分解に入ります。
リングギヤをはずした。外観的にはこちらには問題ないようだ。
ピニオンギヤとプレート類
片側4枚構成の純正です。
プレートにはところどころさすがにかじり傷が入っているが、何とか再使用できる範囲ではあると思う。
ダメでもなんせもうこのプレートは製造廃止で入手ができません。
最もひどいところでこの外周部ぐらいのカジリが出ている。これと接触していた部分もカジリが出ているので、組むときには裏返してカジリ面同士が合わさらないようにセットするぐらいか救済策が無い。
再びイニシャルを測定する。
それでも4Kg近くまでイニシャルが戻ってはいるが、おそらくすぐに3Kgまで落ちてしまう事でしょう。
しかしR192のLSDのカム角はものすごく効き側に振った角度なのでこれでも街乗りでは十分な範囲だと思います。
組み立てに入っています。
やり方は今まで同じで、トライ&エラーを繰り返す感じです。
いつも難関となるピニオンの刃当たり
正転側ですが少しヒールよりですが許容範囲内です。
ベアリング摩耗や損傷のまま長く走り続けたギヤは刃当たりがめちゃくちゃのまま擦り合わされるので、刃当たりがきれいに出ずらくなりまだら模様のようになる場合があります。
逆転側はきれいに出ています。
ほぼ完成です。
ピニオンプリロード 14kG
サイドベアリングプリ 2.9kG
バックラッシュ 0.12mm
LSD イニシャル 4kG
となっています。
この後、アルフィンデフカバーを取り付けますが、全部外れていたオイルセパレーター固定ボルトはネジロック材で固定しました。
その後回転試験をするのですが、なぜかエアーブリーザーからオイルがあふれてきてしまいました。確認したのですがプラスチック製このエアブリーザーの穴が小さすぎ、粘度の高いデフオイルでは表面張力で穴が埋まってしまうようです。金属製の純正エアブリーザーと打ち換えておきます。
デフカバーはノーマルです。
ギヤ比は間違いなく純正の4.444
分解前に測定を行います。
トータルプリロードは”0” つまりがたがたです。
バックラッシュは0.18とかなり大きめ(プリロードが無いこととオイルが固いオイルなのではっきりとは測定できなかった)
LSDイニシャルは2.5kgとほとんど効かない状態です。
刃当たりは画像の逆転エンブレ側がトー側に逸脱しています。レベル2です。ピニオンベアリングが摩耗してくるとこういう傾向になります。こうなるとアクセルオフ時に異音が出やすくなります。
デフ玉を分解します。
標準の2ピニオン・LSDプレートが片側4枚構成のLSDです。
LSDプレートはすべてのプレートで両面とも光っていて摩耗している状態です。このプレートは私の知る限り新品や代替品も見当たらなのでこのまま組み戻すことになりそうです。プレッシャープレートのスプリング凹みは殆んど残っておらずスプリング力は相当弱っています。
恒例のピニオンベアリングチェック
これはフロント側です。今や純正は製造廃止・汎用品も入手困難という代物です。
私はこれを復刻製造してもらっています。まだ少し在庫あり
レース面は横スジが目立ってきてはいますがクレーター摩耗はまだ出ていません。
こちらはピニオンリヤベアリング
こちらはさすがにすでにクレーター摩耗が始まっています。