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R200 デフ R43
スカイライン GTS-R R31用 デフR200 R43のチューニング
久しぶりにR200に取り掛かります。しかもスカイライン GTSーRというとかなりレアな車です。
今回はこのR200デフとして、OSスーパーロックLSDの組み込みと、ギヤ比を4.1、最後にアルフィンデフカバーで仕上げるというチューニングになります。まずは送られてきたキャリアを分解しました。
デフとしてはオープンデフでギヤ比は37:9の4.111となっています。
今回はギヤ比変更なのでベアリングの状態は比較はできないかもしれませんが、恒例なのでピニオンリヤベアリングの状態観察です。
全体的にはまあまあの状態ですが、下の方に変な摩耗痕が見られます。ベアリングが片辺りしている感じです。プリロード不足かな・・・。
こちらはピニオンフロントベアリングですが同じような状態です。やはり、プリロード不足かな・・・。
途中でギヤ比を変更したいという仕様変更要望が有りまして、ドナーとなる3.9ギヤ比のR200デフを手持ち在庫の中から探し出してきました。これから分解しますが、ほぼR200デフ2セット分の手間がかかります。
何とかドナーのR200から3.9ギヤ比のセットを取り出しました。
デフはいつもそうですが、ここまで分解してしまうと基準となるシム類の選択に目安が無くなります。今回の場合も元のデフキャリアを優先して元々のシム条件でドナーのギヤセットを組むか、ドナーのギヤセットのシム条件を基準にして仕上げるキャリアーにセットアップしてゆくか悩むところです。でもどっちを選択しても必ず数回のやり直しが発生するので、手間がかかるのは大差はないのですが、後は経験と勘でどっちにするか選択するしかなさそうです。
3.9のリングギヤです。
ギヤ比を4.1→3.9に変更した時点でリングギヤのボルト仕様がM12→M10(ギヤ比3.9でボルトM12はめったにありません)に変更になるためOSスーパーロックも仕様変更となり、いったん中断しておりました。何とかやりくりしてR200 M10で再度OS スーパーロックを準備いたしました。
セッティングの再開です。
ピニオンプリはM27 24Kgで締めて18.9K
サイドベアリングはサイドベアリングプリロード5.7Kgで
バックラッシュは 0.10~0.17 70点測定
(規格は0.13~0.18)
とまずまず良い値になりました。
正転側刃当たり
何回かやり直してこの状態に調整
ほぼど真ん中です。
逆転側刃当たり
最終仕上げに入り
フロントベアリングの打ち込み
フロントコンパニオンシール打ち込み
となります。
サイドベアリングシールを左右打ち込みます。
この後の回転試験に備えて仮にサイドコンパニフランジを取り付けます。
R31なので実車では等速ジョイントなります。
さて、このジョイント取り付けで少し厄介なことが有ります。R200のこのフランジは長さが左右で異なります。そしてギヤ比4.1と3.9を堺にしてこのサイドコンパニフランジの長さが逆転するという状態が起こります。
これはデフ内部でのギヤ組の設計で発生することなのですが、間違いやすいですね。
確認として
サイドコンパニを指していって先端がCリングに当たった時点での寸法を画像の様に確認して、隙間が1cmぐらいであれば適合ですので、この後プラハンなどでサイドコンパニを打ち込んでCリングと勘合させフランジがぴったりサイドシールまで打ち込まれて引っ張っても抜けなければ合格です。(抜くときはコンパニフランジに治具など使ってショックハンマーを繋いで引き抜きます)
おそらく今回のR31 GTS-Rの場合は等速ジョイントが左右入れ替わりとなるはずです。
エスコートの大容量アルフィンデフカバーを取り付けます。このパーツはいつも取り扱いに神経を使います、というのは見るからにフィンが折れそうで怖いのです。
エスコートのアルフィンは内側はこのようにカバーがちゃんと取り付けられています。特にエアブリーザーのところのカバーは絶対に必要なパーツだと思います。これが付いていないと高粘度のデフオイルはリングギヤに掻上げられてエアブリーザーの位置に達してオイルを噴き上げるという現象が起こります。(以前回転試験でその現象を確認しました)もしもエアブリーザーカバーが付いていない場合は、私はオイルを噴き上げにくい構造のエアブリーザーを探してありますのでそれに交換して対処しています。
また下半分のリングギヤ後方のカバーは容量増量で後ろに張り出した出っ張り部分にオイルが偏ることを防止する意だと思います。
アルフィンを取付けてほぼ完成の状態です。
回転試験を行っています。良い状態で稼働できています。
2025年1月8日
R200デフ R45 OSスーパーロック で ギヤ比を5.1に変更
オーナー様はS30Zでサーキット走行を楽しんでお有られる方で、今回戦闘力を増すためLSDはOSスーパーロックを使って、デフギヤ比を5.1に変更したいとのこと。デフギヤ比は富士SWだと私のS31Zは3.9でメインストレート5速7200RPMで220Km/hの最高スピードになりますが、 今回のようにギヤ比を5.1に変更すると5速のギヤ比(0.83)にもよりますが180kmが最高速になります。 5速のギヤ比が0.75だと199KmがMaxとなります。ショートサーキットではこのほうがミッションをうまく使える可能性は有り、1-4速は超クロスレシオになることになります。
下が4.1ギヤ比の純正ピニオンギヤ
上は5.1ギヤ比のピニオンギヤです。
見た感じかなりギヤ直径が異なります。
使用するドライブシャフトがZ31用の等速ジョイントという事なので、等速ジョイントを調べます。
2本の長さを比較しますとこれだけ異なっています。
約10mm差。S30Zのデフはほぼ車体の中央に取り付けられていますのでこれではアンマッチが生じます。
そのためこのようなスペーサーが一緒に送られてきていまして、これを短い方のシャフトに取りつけることになります。
スプライン差し込みとして長さが2種類あります。
こちらはCリング位置88mmくらいの長い方
こちらはCリング位置78mmくらいの短い方
これは他のR200も同じ仕様でこの長さの違いから、デフに対して取り付ける場所が決まっています。従ってこれらを逆に付けることはできません。ここで紛らわしいのはデフのギヤ比によってこの長短の側が逆転することです。
等速ジョイント全体の長さはS30Zに合わせてハブの長さ加工で合わせることが必要になりますのでこの時点では長さが有っているかどうかは判断できませんので、後は車体側のセッティングとなります。
等速ジョンイント自体の伸縮量は20mmぐらいは有りそうです。
まずはピニオンのセッティング
この時点では刃当たりは確認できませんので、暫定的なシムを取り付けています。
この時点で行うのはピニオンベアリングをプリロードを得ることです。2つのテーパーベアリングの間に入れるシムの厚みで調整してゆきますが、簡単には決まりませんので何回もやり直します。
今回は最終的にはM27ナット締め付け27kにて17kのプリを得ました。(規格は10~18K)
OSスーパーロックに5.1(37歯)のリングギヤを取り付け、サイドベアリングも取り付けています。
ここからサイドベアリングをセッティングになります。
R200のサイドベアリングの保持方法はエンジンでいうところのクランクベアリングと同じような半割のキャップを固定することで行っています。
この時にサイドベアリングのテーパーレースの裏側に入れるシムの厚さを調整してゆくことになります。
サイドフランジのシム調整ではサイドベアリングのプリロードを確保しつつ、ギヤのバックラッシュを規定内にセットする作業を行います。
今あるデフの微調整ならそこから少しずつ調整すればよいですが、今回のような場合は全くのゼロからの調整なので、最初にどのシムからスタートするかの選択からになります。
画像の様なシムを用意しておいてこれらを入れ替えながらセッティングしてゆきます。純正シムの板厚ピッチは0.05mmピッチなので、私はその中間ピッチの調整ができるようにスペシャルシムを製作して対応しています。
刃当たりですがいろいろ調整して今回はこのようにど真ん中です。ギヤが中古の場合はなかなかこのようにはなりませんが、さすが新品のスペシャルギヤです、精度の高さを感じます。
そして逆転側もこの通りど真ん中です。
今回はリングギヤ、ピニオンギヤともに新品で、LSDも新品ですのでバックラッシュのセッティングでだいぶ試行錯誤が必要でした。
結果的にばらつきが大きく一部規定値に入らないところが出てしまいました。平均値は15.7(規格は0.13~0.18)
一部規格違いのところについてはオーナー様と相談してこのまま行くことにしました。慣らし運転を行えばこの値もある程度こなれてくると思います。
リングギヤの背中の面ブレが出ており、リングギヤとLSDの組付け方向を180度綾掛けに組んでみても変化なしでした。
サイドベアリングプリは7.5Kg(規格は3~10)
最終組付けに入っています。
ピニオンナット・フロントコンパニフランジを一旦外してフロントベアリングの打ち込みと(これをしてもバックラッシュの傾向は同じだった)フロントオイルシールの打ち込みを行い、フロントコンパニフランジをM27で最終締め込みを行います。
回転試験を行います。2000RPMで1時間ぐらい回しましたが、問題は無さそうです。
温度は55度
騒音値は80db(30cm)
等速ドライブシャフトを仮付けして組付けに問題ないか確認しています。
スプライン差し込み部のCリング固定も問題ないと思います。