チェインガイドを取り付けます。
取り付けボルトが純正は画像中央のM6ボルトで固定されますが、これではいかにも頼りないので画像左端のようにM8ボルトに変更する加工をします。これはほぼ定石の加工ですね。それに伴ってチェーンガイドもボルト穴拡大加工と、チェーン張り位置調整幅を広げるための長孔延長加工をします。
そしてこれもお決まりのチェーンテンショナーの飛び出し防止プレート付への交換
チェインを張る前にダイヤルをピストンヘッドに当てて、ピストントップを振り分け法で正確に出して、クランクに取り付けた分度器の上死点設定をします。
ヘッドを再度載せてヘッドボルトを2段階締めをします。
クランクが上死点の状態の時、カムを見て形状から判断しておおよそ上死点(ここが大幅にずれているとバルブがピストンと当たる)に仮セットしておいて、チェインを貼ります。
この時にはまだピストントップのままですので、クランクを回してトップから30度ほどずらし、この後ロッカーアームを1番のみ取り付けます。
この後セッティングの一番の肝であるカムタイミングのセットを行います。排気上死点過ぎからインレットバルブが開くタイミングを1mmリフト法で探っていきカム仕様書のセット値にセットします。この時スライドバーニアが重宝するわけです。
この後全ロッカーアーム取り付けて最終カムタイミング調整をします。
フロントカバーとかヘッドカバーとかオイルパンとか取り付けて元元のエンジンの形に戻りつつあります。
オイルパンですが今までの歴史の中でかなり締め込まれてきたようで合わせ面のボルト周囲のみ凹みが出来てしまっていました。強化オイルパンシールを使い液体パッキンも使用して組んだのですが、それでも完全ではありませんでした。結局ほぼ全周にわたってコーキング剤で処理しました。オイルパンは新品かもっと程度の良い中古オイルパンに交換するべきでした。理想はアルミオイルパン含侵処理品に交換することでしょう。
クランクシール前後交換
フライホイール取り付け
一気にエンジン組み付けてキャブ・タコアシ等組み付けて行きます。
タコアシのフランジ部にPLXの空燃比センサーを取り付けているのが見えます。ワイドレンジのボッシュ製o2センサー
こちら側のホース類・セル・オルタ等組み付けて行きます。
キャブを組み付けました。
一番右端のリンケージの取り付け角度が良くなかったのでいったん切り離してレバー回転方向を調節して溶接しなおしています。
サンヨーのインマニの白い軸受けブッシュは特殊で外形が細く、今一般的に売られているブッシュが取り付けできませんので、今回はこのまま交換しないで使います。
室内側、3連メーターを取り付けています。
左から機械式大森油温計
中央 機械式大森水温計
右端 PLX空燃比計
となります。
水温については元々ダッシュの3連メーターに電気式水温計が有りますが、水温センサーの設置場所を2系統にして、より細かくエンジン水温の状態を察知できるようにします。(これは私のサーキットZと同じやり方です)
水温センサーの追加場所
ラジエターの出口直後のウェーターポンプに吸い込まれる前の温度をここで測ります。ここの温度が100度を超えるようになるとラジエターの冷却能力の不足でオーバーヒート直前の状態となります。
エンジン関係エンジンルーム周りを仕上げていきます。エアクリーナーつけたり、補器類付けたり、タワーバーつけたり(タワーバーエンジンカバーとこすっていたので修正しました)
キャブリンケージのターンバックルを強化品に換えたのでだいぶ印象が新しくなりました。
こちら側から
オイルクーラー配管も元に戻しました。
キャニスターは年代的に必要なので取り付けています。このヘッドカバーは樹脂製ですが元々ついていたのですが最近急に値上がり傾向になっています。デザインが良いのだと思うのですがそれだけでなくタペット音がかなり減衰されているようで上質な感じの音です。
室内も元どうりに戻ってきています。3連メーターは今回取り付けた物です。
久々(4か月半ぶり)に外界へ出ました。足回りは純正スプリング長さ調整品にビルシュタインショックエナペタルチューニング品に交換しています。ちょうど良い車高(低すぎない)になっていると思います。
この後裏山の秘密のテストコースでかなり激しく走ってテストしましたが狙いどうりのチューニングが出来ていると思います。この暑さではありますが1時間ほどの走行でオーバーヒート傾向は見られませんでした。完成となります。
右側が今まで使っていたセルモーターでエンジン始動は問題なさそうだったのですが、時々回り切れずに止まる時が見られたのですが、これはチューニングエンジンによくある現象で圧縮比を高めたので今までのセルではトルク不足になるパターンです。今は良くても冬場になると回しきれない場合も考えられるので念の為リダクションセルに交換してゆきます。左側がリダクションセルで付随効果として重量まで約半分になります。
ある程度走りこんでからバルブクリアランスの最終調整を行います。バルブ周辺を加工しているのでバルブクリアランスの初期なじみ変化が出てきます。
そしてもう一点はカムがしっかり潤滑出来ているかと、もう一つ大事な事 カムとロッカーアームがそれぞれの摺動面範囲内で稼働しているかどうかのチェックうです。バルブガイドの厚みを今回3mmから5mmに変更していますがここがアンマッチだとカムとロッカーアーム摺動面の位置関係がずれてカムがオシャカになります。今回は問題なくきれいに動いています。
キャブ調整を続けます。
MJ 175→185→195
AJ 220→ → →
ID 55 →60→ →
PJ 45→ → →
となっています。これで空燃比計はほとんどいつも12~14の間を示しています。プラグは#6から#7に換えましたがまだ焼き気味なので#8でも良いかもしれません。
おさらいすると L2.8セミチューン
腰下F54 クランクL28ノーマル イーザン クランクラダー取り付け こちら 強化チェーンガイド
ヘッド N42 メンケン2.1 カム カメアリ73度 バルブスプリング9000rpm強化 バルブP90レーシングカット バルブシートレーシングカット インマニ軽チューン バーニアカムスプロケ 圧縮比10.6 キャブソレックス44 タコアシφ48
となります。
この後、ご要望でリモコンキーロック取り付け
オルタネーター交換&充電系のめちゃくちゃ配線修復を実施しています。
さらに追加でアルミオイルパンに交換しています。大容量でオイル量が6.5Lとなりました。
オイルクーラー仕様も変更しています。
アダプターをNEWにしていますが、今までのはリリーフプランジャーが破損してバラバラになって出てきましたのでちょうど良いタイミングでした。
オイル配管も交換して行きます。
オイルクーラーはセトラブの34段です。
そして残った最後のご要望、左ドアが振動が激しいということなので内張を取って確認しています。
こうなっていましたが衝撃の光景です。ドアの内側の鉄板がぐるりとくりぬかれていて、そこに再びそのくりぬいた鉄板を点付け溶接されています。理由は全く理解できませんが、何かやむにやまれぬ理由があったのでしょう。
エアーソーで切ったようで全周このように隙間が出来ています。
このようにした原因を想像すると、ほぼウィンドウレギュレーターの交換または修理の為としか思えないのですが、それはこのようにくりぬかなくてもドア内部で知恵の輪のようにやりくりすればできる事なんですが、ええい、めんどくさい となって切ってしまったのでしょうか?
この部分は特にひどく下側は点付け溶接さえも剥がれてぶらぶらだったので鉄板を当ててリベットで補強しておきます。ここの鉄板は厚みが0.8mmぐらいしかなくこれをこの状態で溶接するのはかなり難しいのです。せめて鉄板の隙間が最小限になっていれば何とかなるのですがこのように隙間がある場合はほとんどお手上げです。
補強板を取り付けては走り、取り付けては走りして結局ここまで補強が拡大しました。これ以上は補強が無理なのでこの状態で終了します。それでもだいぶ振動は少なくなったと思います。
ドアについてはもう一つの経年劣化でおなじみの部分がありましてドアの内部に画像のようなこの字型のチャンネルがドアの前から後ろまで通してあり、ドアとこのチャンネルの間の5mmくらいの隙間をスポンジで埋めてドアが共振振動するのを防いでいますが、40年も経つとほぼ100%の個体でスポンジは弾力を失ってボロボロの砂の塊りのようになって崩れてゆきます。
画像では応急処置的にゴム板を挟んで固定していますが、ここの防振チューニングは一筋縄ではいかないです。ここを適度な硬さのスポンジで前から後ろまで隙間なく塞ぐことができればドアを閉めた時の音がガシャンではなく、ボムッという感じに近づいて行きます。