2020年4月29日

看板車のS30Z をリフレッシュ

 お店の看板車であるこのS30Zをリフレッシュしてほしいとのご依頼です。フロントはロングノーズにお化粧直しされており、ボンネットもリアルカーボン調になっていたりとかなり手が入れられているのですが、駆動系がいろいろ問題あるということで今回修理に入ります。

試乗でデフが問題あることは明らかだったのですぐにデフのオーバーホールに取り掛かります。すでにデフは取はずしています。

デフをおろしてチェックしていますが、デフとしてはR180 ギヤ比3.9でデフオイルはきれいでメンテナンスはしっかりできている感じですが、

 ピニオンプリロードはゼロで手でするする回る状態で、ピニオンベアリングが摩耗しきっているようですのでこれでは異音が出ても不思議はないでしょう。

このデフ首のところにこのように何かがこすれて摩擦して光っているような状態はデフマウントが破断、または劣化してデフが暴れてアレスターベルト(安全帯)に当たっていた後で間違いないと思います。

LSDは効きが強すぎるとのご指摘でして、イニシャルは6.5kgで標準の5kgより強くセットされていますのですが、それよりデフそのものがニスモのLSDになっていますので効きが良くて不思議はないですが、一般走行では乗りにくくなるということはあるでしょう。

この角度がニスモバージョンの証です。純正はこの角度が鋏角で90度ぐらいになりますので、効きが鈍感になりますが、ニスモはこのカム角なので敏感にしかも強烈にLSDがかかります。

 上の画像でわかるようにピニオンは4ピニオンとなっています。純正は2ピニオン。

今回のご要望ではLSDのバキバキ音が深いコーナーで気になるとのことでしたのでご相談の上、プレートを調整してさらにイニシャルを落とすことにします。

 上が今までのプレート構成。

下が入れ替えたプレート構成で、フリクションぷれーとを渦巻プレートにして効きをマイルドに変えています。又、プレーシャープレートを入れ替えてイニシャルプレッシャーを3.5kgまで落としてLSDのかかるタイミングを減らしてゆきます。

 ニスモのセオリーとはだいぶ離れてしまいますが、これで乗りやすくなるし耐久性も十分だし、いざという時のLSD効果もまだ期待できる範囲です。

組み上げていきます。

ピニオンの分解に入ります。

ピニオンリヤベアリング

やはりひどい状態になっています。ぼこぼこです。

組み付け調整に入っていますが、プリロードが規定になる様何度もやり直しながら調整します。

今回ピニオンプリは15.7kgとなります。

 

デフケース外観は色塗りしたのできれいです。

LSDも組んで、サイドベアリングを取り付けてバックラッシュ調整しています。

 今回のバックラッシュは0.08から0.16

良い値です。

 

歯当たりチェック 正転側

今回は1回目がトー側でしたのでサイドピニオン全バラしてシム調整でこの状態に調整、ど真ん中です。

 

リバース側もど真ん中。このようにできるとやっていても気持ちいいです。


 

調整値をデフの上側に記録しています。

ギヤレシオは純正の3.917です。

デフは完成で回転試験を行います。

問題はないようです。

デフ組み付けに入っています。

 

デフマウントが切れていたので強化タイプで交換します。 

 

見たとこ何でもないようでもレバーでこじるとこのように亀裂があることがあります。


以上でデフの修理は終了で、引き続いてミッションの修理に入りますがその前に・・・・。

 

 

 

 

ここで少し寄り道です。

このリアルカーボン調のボンネットはものすごく軽く流通しているFRPの半分ぐらいの重さに感じるのですが、作りがしっかりしていて裏骨もきっちり作りこまれていてしかも裏骨までリアルカーボン調です。私もこの軽さには驚きました。

 ところでこのボンネットの開き具合ですが、明らかに角度が少なすぎます。見ていて心配なので対処します。

突っ張り棒を外して自分のと比較してみると明らかに短いです。日産純正のワッペンが付いているのになんでだー

とにかく突っ張り棒を切り継いでこの長さまで戻しました。ボンネットも気持ちよく開いています。

次に気になるのがこのエアーダクト

私的には全くこの景色にそぐわなく感じます。

意図しているところはキャブへフレッシュエアーの導入だと思いますが、画像で見えるとおり、エンジン下側の地面が大きく見えていますからこちらから十分にフレッシュエアーが入ることでしょう。

 というかとにかくこの蛇腹は嫌いなんです。

蛇腹は取り外して、ここにもともとついていたはずのエアーダクトを取りつけました。これはこの部分からエアーを取り込んでフェンダーの構成骨格の中をエアーが入り込んで室内にまで送り込むという実に合理的な装置で、エアコンの無いS30にはありがたい部品です。

左右ありますが、反対側ダクトをつける前はこんな風にボディー側にエアー導入口があります。

さて、主眼のミッションの修理に入りますが、ミッションを下すに当たり今回はこのタコアシの太さがあまりにも太く(φ60デュアル)ミッションのフランジをかわせそうにないので先ずこのタコアシの取り外しにかかります。

タコアシもキャブもインマニもすべて取り外しとなりました。こうしないとタコアシが外せませんでした。

こうするとミッションがすんなりと外れてくれます。

ミッションは結構汚れています。

クラッチとフライホイールも取り外します。

今回は軽量フライホイールとスポーツクラッチに変更が依頼されているためです。

エンジン側からは若干オイルの湿りがありますが大きな漏れは見られませんのでクランクオイルシールも交換しないでそのまま行きます。真ん中のパイロットブッシュもほとんど摩耗していないのでそのまま行きます。

使うのはこの超軽量クロモリフライホイール、本当に軽くてびっくりします。穴あきタイプ。

ミッションについてはシフトの不調もありこの際Ωバージョンでリフレッシュということでオーナー様よりご要望ですのでミッションン製作に入ります。

71BコンパチC Ω26の製作詳細はこちら

ミッションのオーバーホールが完成しました。

71BコンパチC Ω26の4速までダブルシンクロ、5速は高速で楽しい0.75ギヤ比のハイギヤード、中身は71Cですが60%程度は純正新品パーツを使用しています。

ミッション搭載、今回はタコアシまで外してあるのでかなり楽にドッキングが完了しました。

 

シフトレバーは極端に短いので、今回手持ちの純正シフトレバーに交換します。支点はボックスタイプのDRだと思いますがこんなに短いのは無いけど・・・・?。

 

おまけに無理がたたって先端ぐりぐりがぐにゃりとなっています。


ミッションを乗せたのでタコアシ、キャブの復元に入ります。タコアシはメーカーはわかりませんが出口φ60の太さでしっかりしたもので、形状から等長管です。マニホールドはサンヨーの2階建て方式。

ソレックスキャブも復元。

配管もやり直している

今まではこの耐熱バンドがまかれたホースデリバリでしたが、これはSUキャブの配管そのもので方式としては行き止まりスタイルで、強いて言えば供給が前後2カ所なのでキャブへの燃料供給が均一化できるかなぐらいのものですので、これは廃却。

それでこのシンプルな燃料配管に落ち着きます。3番キャブは行き止まりですがT字コネクターが付いていたのでホースで仮止めしていますが、L字コネクターが入手出来たら交換したいところです。

燃料レギュレーターは今までもついていたのですがなぜかつけてあるだけで配管がつながっておらず、ステッカーチューンでしたの、これをちゃんと機能するように配管をやり直します。

ヘッドカバー~オイル漏れがあるということなのではぐって強化パッキンまで準備したのですが・・。

この樹脂ヘッドカバーは特殊なゴムシールとなっていて用意したパッキンでは対処できないことが判明。この特殊ゴムパッキンが入手出来たら交換に変更します。

ヘッドカバー締め込みボルトは今までは右側の+鍋小ねじでの+ドライバー締めではさすがに締め込みが無理なので、左側のキャップスクリューに交換して適正トルクで締めこめるようにします。

ディストリビューターのバキューム進角ホースも外してつぶしてしまっていたのでここも復元しています。

 サーキット専用車は4000rpm以上しか使わないし、アクセルも踏みっぱなしが多いので良くこのバキューム進角を殺してしまい、点火時期調整を固定化して点火時期確実化を狙いますが、一般車でこれをやるとすごく走りにくくなると思います。

エンジンルームの最終的な景色となります。この後キャブ調整してからエアクリーナーを取り付けます。