2013年1月8日 

71BコンパチC α7号機 受注製作開始

これは素材となる71Bの内部です。見たところかなり程度はいいです。走行距離はあまり多くない印象です。

しかし、この中で使うのは中心にあるドライブシャフトのみで、後はすべて71Cに組み替えてしまいます。

 ビフォアーの状態ですね。

今回初めてリヤエクステンションの完全分解に成功しました。

このリヤエクステンションはコンパチcで流用する部分なので重要です。

これを分解してシフトロッド根元のオーリングを交換します。

また最も重要なストライキングレバーを71C用に交換します。

 

でもかなり苦戦しました。ジグを作る必要がありました。

拡大図ですが、右のストライキングロッドの2か所の溝が左のケースの内側にあるピンに差しこまれることで、シフトレバーを横に振った時の動作を実現します。つまりこれがすり減ると横方向のガタが増えますのでチェックしていきます。

さて、やっと部品もそろい下ごしらえ出来たので組みつけに入ります。

先ず、基礎となるアダプタープレート これは鋳鋼で出来ているようです。

やすりで示しているシフトの要となるガイド穴の周囲をすべて面取りします。

可能な限り内部のチェッキングボール穴も面取りします。

面取りは、大量生産では見過ごしてしまう必要悪です。

メインドライブシャフトのメインベアリングを挿入します。

これは完全密閉シールドタイプ(標準はノンシールド)ですので、金属粉からベアリングを守ります。

もっとも負荷のかかるベアリングですから、交換することで振動異音は減るはずです。

この後セットプレートを止めますが、その時同時にこのバックアイドラーシャフトを取りつけます。

左がバックリンク用(s13) 右がバックシンクロ用(s14)と形が少し違います。互換性はなし。

これがセットプレートで、ベアリングを押さえるのが役目です。

やはり左がバックリンク 右がバックシンクロ対応で形が違います。

カウンター側のメインベアリングを取りつけます。

もちろんシールド

取りつけるギヤの準備ですが、画像の様に金色のシンクロリングの摩耗を判定する為、隙間をゲージで測ります。標準新品時は1.8mmで、摩耗限度は0.8mmですので、1.3mmが中央値ですのでそれ以上あればOKとします。またこれも製造廃止間近なので、いずれは中古品を使うしかなくなります。

2速ギヤですが、ダブルコーンシンクロですので、金色のリングが2個あります。

最初に左のリングを入れ、次に中央のシルバーのリングの足を4か所の穴の中に入るように入れますのでギヤとこのリングは連結します。そして最後に右側のリングを入れます。結果的にシンクロ時摩擦を生じる面積が2倍になりますので、強力なシンクロ効果が得られます。

右下のニードルベアリングがギヤの中心に入り200馬力を支えます。このベアリングは非常に耐摩耗性が高く壊れていたのは見たことありませんが、念の為純正品で交換します。

そして1速ギヤですが、これはシングルコーンですが、サイズがすごく大きくなっています。

ニードルべアリングは同じく交換

1-2速の間にシンクロハブが入ってメインドライブへの回転力を中央のスプラインで伝達します。

このやすりでしめしている部分には溝切りによるバリがありますが、ここを丸く仕上げます。

以前、この部分からかじりが生じていた例を見ました。裏表やります。

前述の1-2速ギヤとシンクロハブスリーブをセットし、下側にあるカウンターギヤを組み合わせて針金で仮セットします。このあとアダプタープレートをハンドプレスにセットして、この仮組み品をそーっと合わせます。なぜなら1速の右側に厄介な回り止め付きワッシャーがあり、ずれることがあるからです。

そしてセット完了の状態です

そして次にメインドライブの先端に3速をセットしますが、3速ギヤもダブルシンクロで2速と同一の構造です。ニードルベアリングは純正品で交換します。

これはメインインプットシャフトで、先ほどの3速と向かい合わせに取りつけます。これはシングルコーンですが、サイズが大きいです。

中心にあるニードルベアリングは純正品で交換です。

そして、フロントケース側にガイドされるベアリングをやはり交換します。このベアリングの外周には位置決め用の土星の輪っかの様なものが取りつきます。

左に見えているのはカウンター側の4速ギヤで、溝をカウンター軸のキーに合わせながら打ち込みます。これらの部品は同時にすべてセットしないと干渉があり、後からは入らなくなります。

すごく面倒で、シンクロ破損の恐怖もある作業です。

クリップは、お助けジグである働きをします。

シザースギヤですが、これを付けるとギヤノイズが減るといわれています。カウンターの4速ギヤの全面に取りつけます。

シザースギヤの取りつけ状態です

これでフロント側の組みつけは完了です

次に裏側の5速 バック関連の組みつけに入ります。

5速はやはりニードルベアリングを交換しますが、ここは2本を並べて入れるようになっています。この方が強いらしいです。

5速ギヤのうしろのベアリングを交換

この後、M38の逆ねじでメンドラ後ろ側から締めこんでいきます。

今回はこのバック―5速間のシンクロスリーブの欠け変形がひどく、交換することにしました。

シンクロ付きということでより無茶なシフトをする人がいるのだと思います。

また、ここのシンクロスリーブは摩耗などの理由で硬さを上げている可能性があるような気がします。

日産純正新品がまだ出たのでこれに交換です。

リヤ側も組みつけ完了です。シフトロッド部のシフトキーもがっしりしています。

シフトフォーク組みつけの状態です。71Bよりがっしりしています。

 

 

ギヤ比  1st  2nd   3rd   4th   5th

    3.321 1.902 1.308 1.000 0.759

と2ndが少し高くなります。また5速は超ハイギヤードになります。

 

シンクロ残量 1st  2nd   3rd   4th   5th

       1.5  1.4  1.6   1.4   1.4

とまずまずです。あと10万kMはいけそうです。

 

             EP        BR

1st        0.4      0.18

2nd      ----       0.15

3rd       0.4      0.45

4th      ----       -----

5th       0.25    0.05

 

 

いよいよケースの組みつけ準備です。

リアエクステのオイルシール交換

シフト部のオーリング交換

画像がありませんが、これに取りつけるストライキングレバーも71Cを移植しています。

今回ここで大きな問題が出ましたが、この横にかなり目立つリブのあるリヤエクステンションはかなり特殊らしく、さらに今回ストライキングレバーも71Cにしたことも影響したのか、左横に見えるバック誤操作防止チェックがそのままではつけられませんでした。

また、このバックチェックは他の物と比較して5mm奥行きが短いです。

何が何だか分かりませんが、ずっと考えているうちに何気なく左右を反転したら、なんとなんとかうまくいきそうです。もちろんそれだけでは無く内部の部品にも細工をしました。

ここは反対についていてOKですから元に戻さないでください。

 バックシンクロ付きの71Cの場合、このバック誤操作チェックは非常に重要でこれがうまく機能しないと、最悪5速から4速へシフトダウン時まっすぐバックに入る可能性があります。バックシンクロなしの場合は5速100Km/Hからバックにシフトすることははじかれて出来ませんが、バックシンクロ付きだと入ってしまう可能性があります。5速からバックに入ると当然後輪がロックします。5速からバックに直に入らないことをときどき停止状態で確認することが必要です。一旦ニュートラルに入れてからバックに入れることではじめてバックにシフト可能です。

フロントカバーのオイルシール交換

完成です。