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71BコンパチC Ωバージョンは71Bミッションの中身を71系最終バージョンの71Cに入れ替えて性能回復を図るバージョンです。Ωバージョンは純正でも存在しない4速まで強烈なシンクロのかかるダブルシンクロとするバージョンです。バージョンとしてΩ、α、β、γ各バージョン×クロス組バージョンが有ります。

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2021年5月29日

71BコンパチC Ω37

 S31Zにお乗りでミッションに不調を感じているというオーナー様からミッションのΩ化を依頼されました。作り方としては今までと同じですがオーナー様用の記録のために掲載しております。このところΩバージョンがご希望が多いので基数が伸びてきています。

1-2速のギヤ組

2速がダブルシンクロです。外観上分かりにくいですが金色に光っているシンクロボークリングがこの内部で3重に組み合わさって強烈な摩擦力を生み出しています。

3-4速側組み付け

4速=メインインプットもダブルシンクロとなっているところがこのΩバージョンの特徴で、こうすることで現代の道路環境で多用する3-4速間のシフトチェンジを飛躍的に良いフィールに変えることができます。このセットだとシフトノブを指でスナップするだけでシフトが可能です。

 カウンター側にはアイドリング時のチャタリング音を軽減するサブギヤ=シザースギヤが構成されます。画像でも少し見えていますがカウンターメインギヤより1歯、歯数の多いサブギヤを接触回転させることで生じる摩擦力でチャタリングを防止します。

リヤの5速-バック側のギヤ組です。

71Cにはバックへリンク機構でシフトするバックリンクタイプと、バックにもシンクロが付いているバックシンクロタイプが有りますが、どちらも一長一短なのですが、今回はバックリンクとなります。バックリンクは機構がシンプルでシフトが確実にできますが、その分しっかりと丁寧なシフト操作が必要です。

ギヤ組が完成です。

ギヤ精度

 1ST  2ND  3RD     5TH

エンドプレイ

0.26 0.25 0.23 ーーー 0.25

バックラッシュ

0.19 0.19 0.10 ーーー 0.05

今回は各ギヤの精度ばらつきが非常に少なく、安定していると言えると思います・

 

シフト関係のパーツを取り付けました。

シフトフォークは相変わらずがっしりしていて、巨大です。

ケースに組んで回転試験しています。今回は外観については不問ということでブラストは実施していません。ミッションは搭載してしまえばあまり目立たないところではあります。

 ミッションとしては完成です。

ミッションが完成して載せ替えています。

ボディーが一見ノーマルですが、細部をよく見るとまったく異なることが分かります。よく雑誌で紹介されている最新のモディファイボディーの様です。

いきなりですがミッションはすでに降ろして、フライホイールまで来ました。中央のメインインプットが刺さるところのブッシュはガタガタでしたので交換します。分解してみて分かったのですがフライホイールはかなり痛んでいます。

表面に凸凹が出来ています。最初からこれが分かっていればあらかじめ部品を用意しておけばミッション交換の手順の中で交換してしまえばよかったのですが今回はこのまま組み戻すしかないです。これくらいでしたら普通に使うにはすぐにはどうということは無いですが、いずれクラッチが滑り出すことでしょう。

クラッチディスクも相応に摩耗してリベットが出るまであと0.5mmぐらいです。丁寧に扱えばまだ10000kmぐらいは持つかもしれませんが、かなりギリギリの状態です。これも部品準備が無いのでこのままとなります。 このあたりの部品はあらかじめご連絡いただければノーマルからツインプレートまでほぼすべての種類が入手できますのでその方が効率的です。交換費用はミッション交換費用にほんの少しアップするだけです。

今回フライホイールを外したのはオーナー様からクランクシールからオイル漏れが有る様だということで、シール交換するためです。クランクシールからは明らかにオイル漏れしていますが、それだけでなくオイルパン周りからもかなり漏れています。

クランクオイルシールを交換します。

オイルパン周りは暫定処置でシーリング材で処理しておきます。


2021年7月22日

71BコンパチC Ω38

S31Z 73年式のオーナー様からΩミッションのオーダーをいただきました。 Ω38となります。

Ωは中身71Cのコンパチミッションで、2速3速に加えて4速までダブルシンクロ化したバージョンです。

 Ω38

 5速ギヤ比は0.75

 ウェットブラスト

 ミッション載せ替え日帰りコース

でのご準備となります。

 

1-2速関連のパーツです。

1-2速組み付け

3速関連のパーツ

日産純正品をかなり使っていきます。

昨今、71Bどころか71Cミッションでさえその中古品ですら異常な価格高騰の状況ですので、純正新品の方がメリットが大きい場合は使っていきます。

1速ー4速まで組みました。

4速=メインインプットはΩバージョンですのでダブルシンクロとなります。メインインプット=1次減速比はハイギヤードタイプで、スポーツ仕様です。

 

下列のカウンター右端にアイドリング時にガコガコ音がするチャタリングを抑える、シザースギヤー機構が少し見えています。コンパチα、Ωバージョンには基本的に全数これが付きます。

リヤ側

バックはバックシンクロ付きのタイプとなります。

5速のギヤ比は0.75で高速道路でクルージングが楽になるギヤ比となります。(純正は0.83)

ギヤ組が出来ました。

ギヤ精度

  1ST 2ND  3RD     5TH

エンドプレイ

0.35 0.21 0.25 ーーー 0.25

バックラッシュ

0.14 0.16 0.12 ーーー 0.18

各値がそろってばらつきが少ないので、まとまりの良いミッションだと思います。

シフトフォークの組付けです。

すべてジェラルミンのスライドメタル埋め込みタイプ

大断面仕様となります。これで大幅にシフトに剛性感が出てしかも軽量にできます。

ミッションケースに組んで回転試験機で最終チェックしています。

ミッションケースはブラストをかけているので非常にきれいです。

完成です。


2021年8月13日

71BコンパチC Ω39

S31Zのオーナー様からΩバージョンでオーダーいただきました。このところΩバージョンのオーダー比率がだんだん多くなってきました。

 1-2速系のパーツを準備して組んでいきます。

こちらは3-4速系のパーツ

左端に見えているのがΩバージョンの証、4速もダブルシンクロの状態です。消耗が激しい部品は純正新品を含めて入手しながら交換してゆきます。

1速から4速までのフロント側を組みました。

 

今回は記録画像が不足したのでこの画像でギヤ精度表示しますがもちろん全部組んでから測った値です。

ギヤ精度

 1ST  2ND  3RD      4TH

エンドプレイ

0.35 0.22 0.20 ーーー 0.15

バックラッシュ

0.18 0.24 0.12 ーーー 0.10

良い値で収まっています。

リヤ側はバックシンクロ付きとなりますので、バックメインギヤが痛みがひどい場合は新品に交換してゆきます。これ結構値段が高いです。

71Bのケースに組んで回転試験を実施してゆきます。状態は良好でした。

回転試験中です。

シフトチェンジをいろんなパターンで繰り返して問題が無いことを確認してゆきます。各シフトアップ、ダウン時にスムーズにシフトできるか、ギヤ抜けは無いか、例えばわざと1速と3速の中間でシフトしようとしたりして2重噛み合いが起こらないかチェックします。

シフトチェンジにいずれの場合でも問題は無かったです。71BコンパチC Ω39の完成です。