2015年2月7日

 

71BコンパチC Ωバージョン 3・4・5号機

製作開始

 

昨年の11月に北海道のIさんからまとめてΩバージョンを2機頼まれていました。北海道は雪の中ということで、現在は冬眠中ということなので、急がなくていいよと言われていたのですがさすがにそろそろ取り掛かります。

 

それにしても510ブルにDRフロントケースで71Bを組むというのはどういう仕様なんでしょう。取り付け面の傾きが違うからな~~・・・・・!。 

これΩ3号機

 

そしてもう一台は同じく北海道でS31に組みたいというΩ4号機

 

そして上の2機とは別に四日市のHさんからハコスカ用でご注文いただきました。

 

以上3機ですが同じ仕様ですので、このコラムで一緒に載せていきます。

 

Ωバージョンはなんといっても2-3速に加え、4速もダブルコーンシンクロとなるところが大きく異なります。1号機は私のS31Zに搭載して富士スピードウェイを200KM/Hまで確認してシフトフィーリングはとても良いです。私の様なヘッポコドライバーでもヒール&トーやらなくてもいいくらいに回転がシンクロします。現代の道路事情では2-3速よりも3-4速へのシフトが多いし4-5速も高速では多用しますね。

 

 

画像左が通常のシングルコーンシンクロで右側3個がダブルシンクロの構成パーツですがシンクロ作用の差はその接触面積の違いで明らかです。


上の画像で比較できるようにシングルコーンの金属部を中心側に追いこんでダブルコーンを構成していますので重量的には同じです。

またおなじみの画像ですがここからスタートしてゆきます。

1速

2速

ダブルコーンシンクロです

Ⅰ-2速ハブとスリーブ


私はスリーブのスラスト受け面にはオイル潤滑用溝(ひっかき傷の様なもの)をダイヤモンドやすりで追加工しています。スリーブだけでなく全てのスラスト面に実施します。


シャフトの精度確認  メインシャフトは0.005の振れ


カウンタシャフトは0.01の振れ


素材としての精度は良いです。

3速

ダブルコーンシンクロ

そして今回のキモとなる4速(インプットギヤ)のダブルコーンシンクロです。


また、3号機は71c素材としてバックシンクロ付仕様を使ったので、付随して手前側にあるインプットギヤ内部のニードルベアリングが左側の様な強化版になります。このニードルがメインシャフトとの橋渡しをする構造になっています。

4・5号機は右側の通常タイプですが私のも含めてほとんどの71cはこちらの小さいタイプですが特に問題は無いようです。

バックシンクロのギヤです。


3号機のみこのタイプです。

4・5号機はバックリンクタイプです。


どちらでも機能的には大差ありません。

ここは操作する人の扱いに大きく左右される部分です。

バックシンクロ部分が組めました。

5速です。

ちなみに3号機の素材として北海道から送ってもらった71Bのミッションの5速は画像のように歯欠けが見られました。

今回はメインシャフトを止めるM38ナットですが画像のようにサイドロック方式を追加して可締めと併用で緩み止めしています。


71cを分解すると時々可締めて有りながら緩んでいることがあるからです。

ギヤ部分が組みあがりました。

 

精度は3号機

    1速   2速   3速  4速   5速

BR 0.10 0.19 0.08 --- 0.09

EP 0.34 0.14 0.34 --- 0.24 

 

 

4号機

    1速   2速    3速   4速  5速

BR 0.15 0.15 0.09 --- 0.05

EP 0.37 0.15 0.29 --- 0.30

 

5号機

 

BR 0.15 0.07 0.27 --- 0.15

EP 0.35 0.35 0.23 --- 0.25

ケース側の準備に入ります。


シフトレバーが取り付くところですが、この奥にオーリングが有ります。交換してゆきます。

この部分ですね


そしてこの部品のウサギの耳の様な部分に丸い穴が2個有りますが本来ここには下側の1個しか有りません。

3号機の素材のみこれが可能なので、3号機に限ってですが上側に穴追加しました。

こうしておくとシフトレバーのクイックチェンジ化が可能になります。方法はDR用のシフトレバーの小判型の樹脂ブッシュを上下入れ替えて支点距離を延ばして使います。ここまで一切加工なしでできますが、レバーの曲がりは改造が必要です。私のS31Zはこの方法でクイック化しています。


また、シフトレバーはアメリカで今も販売されているS30用クイックシフトレバーを購入すればシフトレバーも手つかずでさらに支点距離が長くなり、ものすごくクイックになります。

この様なものですね

完成です。

 

シフトレバーは仮の他車種のものが付いています。

 

簡易回転試験機e-zanaraizersで1時間回して

シフト感

バックスイッチ

スピードギヤ

振動

等をチェックして、温度上昇具合を測ります。

3号機 は 12度

4号機 は 10度

5号機 は 10度

 

71Cはこの条件では平均10度ぐらい上昇しますが

71Aは平均7度くらいと少ないです。

71cはギヤ歯厚が増していること、シザースギヤが付いていることが影響していると思います。



依頼主から重量の変化を確認して欲しいいと言われていたので確認したのですが、

71B(DRタイプ) 38Kg

71BコンパチC   38Kg

と全く変化ありませんでした。

ケースは同じものを流用しているので一緒なので

ギヤ分の重量増加は残るセンタープレートとシフトフォークで吸収しているようです。

自動車メーカーは重量増加を凄く嫌いますが、これは燃費や性能にもちろん寄与しますし、なにより原価価格に影響するからではないかとおもいます。わずか1Kgの差でも100万台生産すると1000トンの差でおおざっぱに1億円です。



Ωシリーズ 3機の記事 終わり  ミッションに戻る