追記:このミッションは2012年9月にオークションで販売済みとなっております。大阪のユーザーの方がお買いになりました。
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今回はS13用の71Cミッションが入手できたので、これを外観71B 中身71C のコンパチ71Cを作る作業を進めます。
これは2号機になるので 71BコンパチC α2 として区別します。
目的はもちろん L型エンジン車の機能アップと 製造廃止となるミッション部品対策です。
S13シルビア用とのことです。エンジンはSR20DET。
ミッション刻印はCB71C#1です。
分解して各ギヤの確認とシンクロの減り具合をチェックします。
ギヤ比は1st 3.321 の すこしハイギヤード仕様です。
シンクロ の 摩耗チェック(基準は 1.8新品~0.8摩耗限度)
1st 1.0
2nd 1.4
3rd 1.5
4th 1.4
5th 1.7
ですので1stが要交換ですね。(基準は1.8~0.8)
このあとメインベアリングをチェックしたのですがゴリゴリ回転し、使用不可のようです。今回は交換します。このミッションはオープンタイプを使っていました。
またバックのシフト構成はRB71CのタイプM用と同じくリンクタイプになっており、シンクロは付いていません。同じCB71C刻印だったのですがエンジン仕様によってここは異なっているようです。
3-4速のシフトフォークです。鋳物で一体です。
下の画像で左が今回の71C 右は別の71Cですが、こちらはアルミで先端のみ真鍮が埋め込まれています。重量がこれだけ違います。
どちらがいいのでしょうか?
鋳物一一体はいかにも剛性がありそうでシフトがスパッと決まりそうだが、
これだけ重いとその重量慣性力はすさまじくなりそうで、
よっぽど腕力を鍛えないと早くは動かせないか?
どっち・・・・・
ドナーのカウンターシャフトです。そしてベアリング。こちらもシールドタイプに変更です。
そしてこれは習性でやってしまうのですが、ダイヤモンドやすりを当てている穴は上から3個シフトロッドが入る穴ですがこの穴の周囲裏表の角をほんの少し糸面取りします。
いつの間にかこんなにメインドライブシャフトが集まりました。下2本は71cです。
今回は外観71Bの中身71Cのコンパチブル71とするので、胆となる71Bスペシャルメンドラシャを使います。
これは単なる71Bメンドラシャではありません。
71Cギヤ類とクリアランスや組み付けが同じになるよう工夫します。
素性としては後で組みこむ71Bベルハウジングとセットだったものを基本的には使います。
そうすればベルハウジングとの相性は当然保たれるわけですから。
またメンドラシャはこれだけ長いところへ200馬力の荷重を受けますのでやはり曲がりには注意しなければいけないと思います。Vブロックで受けてダイヤル当てるかな。
また使用するメンドラシャはその直径と長さ、溝位置などをあらかじめ測定してCAD図面化した71C・71Bのメンドラシャ寸法と照合します。特に溝位置は微妙に違う場合があります。
71Bと71Cの大きな違いは71Cのほうがリヤのドライブシャフトが入ってくるスプラインの長さが50mmほど長いです。スプラインを50mm切れば同じ長さになり、残りのスプライン長さも同じになります。あと、スピードメーター駆動ギヤの位置が50mm違います
アダプタープレートですが71系でもアルミ製が有ることを発見しました。初期仕様のようです。やはり軽くて1170gです。通常の鉄製のものは3600g有ります。ちなみに63A系はアルミでした。
今回は強度重視で鉄で行きます。
下画像左上から 2速ダブルコーンシンクロ 1速シングル大径シンクロ これは摩耗が有り交換です。
左下 左側が71Bの1速 右は71Cの1速 でそのシンクロの拡大の程度が分かると思います。
右下はシールドベアリングを打ち込んだカウンターです。
この後 71Bのスペシャルメンドラ(普通の71Bメンドラでは組めません。形はできますがクリアランスや組み付けに問題が出て危険です)に2速1速を組み、カウンターとともにアダプターに打ち込んでいきます。カウンターは後から打ち込みは出来ませんので同時にやります。
そしてそのあとメンドラシャ先端に3速を組み、そしてメンドラギヤを保持しつつ、カウンターのドリブンギヤを半月キーに位置合わせしながら打ち込みしていきますが、これを1人でやるのは大変です。
左手小指でメンドラギヤのシンクロを押さえながら、人差し指でシャフトを保持し、中指と親指で特殊工具の打ち込みカラーを持ってベアリングに当て、右手でハンマーでたたきこみます。
こうしないとシンクロの破損、メンドラギヤ内のニードルベアリング破損や半月キーの位置ずれ破損になってしまいます。
なんとか、別の方法を考えないと腱鞘炎になりそうです。
そして5速とバックを組み付けます。5速のシンクロはキーが金属ブロックタイプです。1-4速はこの部品がヘアーピンのようなスプリングタイプに変わっていますが、本当に機能するのかというぐらいチャチイですが、これでいいんでしょうね・・・・。
バックのアイドラーギヤーはまれにスプライン干渉で奥まで入らないことがありますので要チェックです。
メンドラシャM38の逆ネジとカウンターM27の固定ねじを目いっぱい締めてから、たがねで回り止めをコーキングします。
次にシフトフォークを組みます。3-4速フォークは鋳物一体の重いフォークをやめて、ドナーからアルミタイプをインターセプトして組みつけましたので、400g軽量化です。
シフトの集合部は71Bに比べると複雑なリンクになっていてごついです。
後のエクステンション組み付け時に右下の鋳物リンクステーが干渉しました。
養生してからグラインダーで干渉部削除しました。
コンパチ71C α1号機 は問題なかったので、個体差が有るようです
カウンターのリヤベアリングが見えますが71Cはローラーベアリングに変更されていますね。(71Bはボールベアリング)ローラーベアリングのほうが当然受け面積が大きくなりますから、耐久性が格段に増すはずです。見たところも高性能な精密機械ぽく見えますね。
おきまりのベルハウジング加工です。
今回は気合を入れて干渉部徹底解明?を実行しまして、α1では見逃していたことに気が付きました。
カウンターのギヤなり解消サブギヤはφ90有りますが、これがすれすれです。したがってカウンターベアリング周囲のリブをφ90範囲を1mm以上逃がす必要があります。またそのリテーナーがφ60有りますがやはりこの範囲を2.8mm以上逃がしが必要です。
ギヤなり解消サブギヤを取っ払ってしまえば、この加工は不要ですが性格的に有るものは使いたいという貧乏性ゆえ、アルミ粉だらけになりながらグラインダーで削ります。
3個あるシフトロッド穴のうち1箇所はφ14→φ16加工が必要です。
φ90範囲内にフロントカバー取り付けボルトが存在しますが、フロントカバーの取り付けボルトを71C用を使えば干渉はしません。71B用を使う場合はこの部分のボルトのワッシャー増しをするか、短縮加工が必要です。
71Bのベルハウジングに取りつけました。最初、BH下の木材のスペーサーを置かないで入れようとするうっかりミスが出ました。何回やっても覚えないのね・・・・。
リヤエクステンションのオイルシールは新品に交換。
フロントカバーのオイルシールも新品に交換。
この後メンドラの大ベアリングの側面に位置決め用Cリングを忘れずに入れます。そしてその状態でCリングが壁に着くか確認し、その時のベアリングの出っ張り量を一応チェック。
次に、カウンター側のベアリングをアルミ棒でたたいて落ち着かせ、その時の壁からの出っ張り量を測定します。今回は3.5mmでした。
そのあとフロントカバーのこの部分の凹み量を測ると4.2mm、ガスケット厚が0.5mmなので合計4.7mm深さです。
都合1.2mmの隙間がありますので、ここに0.4mmシム2枚をいれて隙間調整します。
リヤエクステンションを取りつけて完成です。この状態でシフトレバーを取りつけてシフトチェックをして問題ありませんでした。
残るはシフトレバーの固定ピンとEリングの両方を樹脂でコーキングが必要です。
これで外観は71B 中身は71Cダブるシンクロ の コンパチブル71C が完成です。
S30Z・ハコスカなどのL型エンジン搭載車であれば無改造で交換ができます。
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