このシフトコントロールピンの部分なのですが新品のリヤエクステンションのピン穴が変形して小さくピンが入らなかった事で、オーナー様と相談してリーマ加工するという事になり、リーマ―を手配して入荷してきました。結果、画像の対策品のプランジャーピンが組めるようにはなったのですが、少しでっぱり量が少ないようです。
ピンとしては結局このようになりました。
左が純正
真ん中は対策品
右は私が加工したものでOリング2本仕様にしています。さらにこちらは下側のつばの厚みを1.5mm削り込んでいます。理由はピンのでっぱり量が少なかったからなんですが、純正より薄くしてやっとでっぱり量が補正できたのでリヤエクステンションの加工寸法がダメだったことになります。
そしてこのようにでっぱり量が確保できたのですが、ところがこの反対側は相変わらずでっぱり量が全く足りない状態になってしまいました。わけわからん
変だなと思いつつこの部分を確認すると・・
こんな風に明らかに穴が左下側にずれています。これでピンのつばが左側の壁と干渉してストローク不足となっていました。
結局この問題を解消するためこちら側のピンはさらにつばの径を限界まで追い込んで干渉を逃げて何とか修正しました。従ってこちら側のピンはオーリングを2重加工してつばの厚みを1.5mm薄く加工して、つばの外径を縮小加工しています。フウ
調べてみると最初の時点でも気づいていたのですがこの新品のリヤエクステンションは鋳物と機械加工がひどくずれています。
こんな感じでずれていますが、ぎりぎりで加工面は確保できていて鋳肌が残るところまで行っていないので使えることは使えるので作業を進めてきたのですが、やはりこれだけずれていると心配になってきますし、今後も思わぬところで支障が出ないことを祈るばかりです。
こういうところも強度的にどうかなと心配にはなります。
一週間ほど間が空きましたが再開です。
リヤエクステンションのシフトリンケージの部分の組付けを再開します。
シフトレバーが付くところのブッシュを交換します。このブッシュの新品は初めて見ました。これもオーナー様のお宝です。
シフトブロックの部分について組みました。
下側のブロックはオーナー様が持参してくれました新品を色塗りしたものです。上側の縦方向のパーツは元々の5速ミッションに付いていたものです。
結果このようになってしまいました。
これではNGです。ストライキングロッドを押す部分のピンの引っかかり代が足りません。
おかしいなと思って関連性のある手持ちのハコスカのこのパーツを持ってきて寸法を見ると、65mmぐらいあり、今回取り付けたパーツと同じくらいでした。ので、オーナー様持参の新品パーツはどうもハコスカ用だったようです。うーん、先に確認しておけばよかった・・・。
元々ついていたこのパーツを同じように計ると、60mmぐらいですので約5mm寸法違いとなります。
こちらのパーツも比較してみます。
問題の部分の寸法を見ると、左のハコスカ用に対して、右のZ432(S30Z)用は5mmほど短いです。
またよく見ると左のハコスカ用は丸いシフトレバーを指す部分の角度が少し起きています。
以上よりシフトブロックの部分がハコスカ用とS30Z用が混在してしまったことになりますが、解決策ととして左のハコスカ用を現在のリヤエクステに組めばシフトピンの位置ずれは解消し、さらに支点間距離が5mm長くなるのでクイックシフトになることになりますが、その場合シフトレバーの立ち上がり角度が違うのでシフトノブの位置が純正より、おそらく5cmくらい前よりになると思います。
うーん・・・。やっぱりそれも無理が大きいので、あきらめて又スピンドル打ち抜いてシフトブロックを交換するしかなさそうです。
一度全部分解して組みなおしました。
今度はシフト支点の穴もぴったりと合っています。
結果的には元の部品をそのまま使う事になりました。
ストライキングロッドですが下側の純正袋に入っていたのは程度の良い中古品でした。
旧品はここがやはり摩耗していますので交換です。
こちらが交換するロッドですがこの部分は摩耗が少ないです。
ミッションの内部ギヤの組付けに戻ります。
5速のシンクロの新品Cリングですがこれも初めて見ます。お宝ですね。交換します。
5速はもちろん5速裏ニードルベアリング仕様でM38ナットはサイドロックボルト固定です。
ギヤ組が完成です。
ギヤ精度
エンドプレイ
0.12 0.15 0.20 ーーー 0.03
バックラッシュ
0.08 0.15 0.05 ーーー 0.18
まずまずの値だと思います。
カウンター再後端の固定ボルトがズル剥けだったので普通の強度区分7のボルトに交換しました。純正は低頭ボルトですが、JISボルトでも問題ないと思います。
5速のシフトフォークは異常な削れこみがありましたが、代品が見つからず修正して使う事にします。使用上は問題なさそうです。
1-2、3-4速は3点支持フォークに交換してゆきます。
シフトフォークを組付けました。
ギヤ部が終わったのでケースの準備に入ります。
フロントベルのこの天狗の鼻は私は異常が無ければ通常は分解しません。この部分は圧入になっていて圧入が緩むと問題が出ます。天狗の鼻はクラッチスリーブがスライドするので鼻先を左右に振られるため圧入部分のアルミケースが摩耗してしまう場合があります。そうなるとこの中にあるオーリングがオイルシール出来ずにオイル漏れするようになります。従って圧入を繰り返すとますますこのアルミの穴が拡大してくる恐れがあるため、天狗の鼻が抜けてしまうや(時々そんな状態のがあります)、オイル漏れがあるなどの問題が無ければなるべく触らないようにしています。
今回はオイルシールの交換がな長らくしてないので予防的に分解整備を実施してほしいという要望で分解することになります。
天狗の鼻を抜きました。
ドライバーで指しているところがオイルシールです。
オーリングはこんな感じでもう円形の断面ではなく三角形のようになっています。
今回は左側の純正オーリングに対して少し線形の太い右側のオーリングを探し出してありますのでそれを使います。
純正のオーリング線径はφ2.4
対策品のオーリング線径はφ2.6
天狗の鼻はオーナー様が純正新品を持ってきてくれました。旧品よりもオーリングが入るところの絞りRが小さくなっているようです。
天狗の鼻を一晩かけて固定しました。
元どうりになりました。
ここは強力に固定しています。
そのすぐ右側にあるこのクラッチフォークビボットですが錆でかさぶたができています。交換必至
オレンジ丸で囲った部分
セルモーターの取り付けタップですがネジが舐めています。
奥の方は残っているようですがヘリサート修正が必要ですね。
さらにこのクラッチオペレート取り付けネジですがやけに大きいなと思ってよく見たら・・・
こちら側は全部M10からM12に切りなおされています。従ってクラッチオペレートもM12に拡大して使っていたんだろうと思います。
こちら側は途中までM12で奥の方は元々のM10が少し残っている。M10のほうでしのいでいたんだろうか?
この辺はすべて修正が必要です。まだ先は長いか。
クラッチオペレート取り付けねじですが、M12になってしまっているのでヘリサートしようにも無理でした。
いろいろ考えたのですがこのパーツを作ります。
これは材料です。
このように削りだしました。
フロントベル側は穴を拡大してM14タップを切ります。
このように組付けてM10ネジ穴が復元できました。
裏側が出べそになっていますがこれは仕方ないですよね。
そしてビボットですが左が今までついていたもの。
真ん中が71B
右が71Cですが微妙に異なっています。
一番右の71Cを使う事にしたいのですが高さが少し違うのでワッシャーを挟んで高さを合わせて取り付けました。
セルモーターのところのねじ穴はヘリサート加工です。