L型エンジン,クランク,クランクラダー,補強,改善,クランク振動,メタル損傷,滑らかな高回転,チューニング,補強,クランクキャップ,S30Z,ハコスカ,ローレル,セドリック,クランクラダー,クランクキャップ,クランクメタル,フルカウンター,カウンターバランス,エンジン回転,
クランクラダーの開発 クランクラダーの取り付け その2
このページ
新規開発
L型エンジンの新たな革新
2021年1月6日
L型エンジン用 クランクラダー
(ニックネーム イーザンラダー)
L型6気筒エンジンは直列6気筒という今では稀有な存在となっているエンジンですが、いまだに多くの日産旧車では愛用されておりチューニングパーツも豊富です。直列6気筒は低回転では120度クランクで滑らかに静かに回るため、50年前は高級車用エンジンンとして使用されていました。当時はエンジン回転を3000rpmぐらいまで回せば十分に走れた時代で静かに運転する使われ方をしていました。対して現代では高速道路や一般道でもかなりエンジンを回さないと走れません。
L型エンジンのクランクは直列故に長いので高回転になるとどうしても曲がりや振動が出やすいですが、このクランクはさらにクランクウェイトが完全バランスではありません。全体ではバランスしていますが各気筒の中ではアンバランスが有ります。(チューニングパーツでフルカウンタークランクというものが有ることでもそれが分かります)そのクランクを7カ所のプレーンベアリング(いわゆるメタル)で保持しており、半割のメタルにクランクを固定して上からクランクキャップで押えてボルトで締めあげるように構成されています。当時の低回転で稼働する条件ではこれで問題なかったし、フルカウンターにするほどの費用もかけられなかったわけですが、現在の高回転まで回すエンジンの使い方ではこの設計ではかなり無理が出てきていると思います。
このエンジンを純正のまま高回転、例えばイエローゾーンいっぱいの6500rpmまで回した場合ものすごい振動でそれ以上とても回す気にはならない場合が多いですね。ましてやボアアップして排気量を増したり、LDクランクに換えてストロークアップしたりすればなおさらです。このような時、クランクキャップは高回転で上下運動するコンロッドから慣性力や圧縮力を受け常にあらゆる方向に煽られ振動しながら稼働しています。結果としてそのストレスが溜まってきて最後にはメタルの偏摩耗やかじりに発展してゆきます。
今回の開発部品はこの振動して煽られているクランクキャップを新規開発したクランクラダー(ニックネーム イーザンラダー)で連結して箱型に補強することで主に横方向への動きを抑えることを目指して開発しています。上の画像のようにただの壁のように立っているクランクキャップと、この画像のように箱型に連結しているクランクキャップとの差は歴然としていると思います。ちなみにS20エンジンはクランクキャップを補強するためエンジンスカートに横からスラストシムをはさんでボルトでがっちり固定することで高回転に対処しています。
もう一つの特徴は全部1体のラダーにしていないで1対1セットずつの構成とすることで、自由なレイアウトを可能にしていることで、画像のように3セット完全構成とするやり方、2セットで中央部を補強する構成、一番シンプルには4番キャップのスラスト受けキャップを重点に補強するやり方等(実際にはもっといろいろ考えられる)ができる事です。これにより1体クランクラダーとした場合の重量の過大な増加を抑えられ、さらに取り付けるチューナーのアイデアで自由なバリエーションが作れます。
左記1セットの構成が一番基礎となる構成ですが、ラダーの肉厚は平均して10mm有り、材質は機械構造用高級鋼材で十分な強度が有ります。
すでに3セット完全構成で組んだL型3.1L フルチューン LDクランク I断面コンロッド (私の赤いZの魔界エンジン)でサーキットを走りこんでいますが、特に6000rpmからの回転がノーマルの激しい振動で回る状態とは全く異なる、スムーズな回転上昇であると感じています。
ノーマルL20ならより滑らかなエンジン回転となり快適に運転でき、L3.1フルチューンなら8000rpmまでストレスなく回して戦闘力を上げるためにこのL型エンジン用 クランクラダーをお使いください。
こちらが基本単位の構成となります。
どこに取り付けるかで効果は変化してきます。高強度ボルトと焼き入れワッシャーが必要数分付きます。
3セット完全構成の構成部品
6枚のイーザンラダーと強度区分13のM10高硬度ボルト必要数12本(長さは10mm増しのL80mm)
ボルトにセットする高強度ワッシャーは必ず純正以上を使ってください。
2セット構成
1セット構成
も可能です。
バランスの良い2セット構成
単品の画像
マシニングセンターでのフル削り出し
加工は静岡地元の高スキルの日本の精密メーカー製
板厚は10mm有るので十分な強度が有ります。
正面から
裏側
L型エンジン用 クランクラダー (ニックネーム イーザンラダー)
の取り付け作業について
L型のL20~L31まで取り付け可能と思います。
(設計時はL型28をL31に改造してLDクランクでI断面レーシングコンロッド、およびL28コンロッドの組み合わせで干渉しないことを確認しています。)すべての適合を確認しているわけではないですが、最も回転振れ周りが大きいLDクランクで問題ないので、幾何学的に問題ないと判断しています。取り付けれないなどの問題が出た場合は対処いたします。L4でも取り付け可能かもしれしれません。
エンジンを裏返してオイルパンを取り外し、クランクキャップを取り外します。いっぺんに全部のキャップを外す必要もないかと思います。(画像ではヘッドが付いていないですが、ラダーを取り付けるだけならオイルパンを外すだけで良いと思います。コンロッドもついていませんがそれも外さなくても良いと思います。エンジンをこれから組むという場合なら、画像のような状態で組むことになります。
一番後ろのキャップは対象外ですので取り外しません。ここのキャップは十分な厚みが有り、補強はしなくても良いです。
画像で一番右側のクランクキャップは取り外さなくても良いです。十分な厚みが有ることが分かります。
私は残りの6枚のクランクキャップをフライスに固定して共加工して高さをそろえましたが、そうしなくてもマイクロメーターで締め付け座面の高さを測って±0.02以下の差なら加工する必要は無いと思います。高さの差があり加工も難しいという場合は市販のシムリングを手に入れてシム調整が次善の策となります。 クランクキャップの締め付け座面にラダーと干渉するバリや凸が無いか確認して、それらを取り除きます。
又、私はクランクキャップボルトをM12に拡大したので画像のクランクキャップの穴径がM12用となっていますが、もちろん純正のM10でもOKです。イーザンラダーのノミナルはM10ボルト用の取り付け穴となっています。M12にする場合はM12取り付け穴(φ12.4)に追加工して使います。
クランクラダーの厚みが10mm有るのでイーザンラダーキットにM10長さを10mm増した長さ80mmの強度区分13の高強度ボルトを付属していますのでそれを使って規定トルクで締めこみます。座金は基本現状ついているものをそのまま使います。
クランクラダー3セット完全構成にする場合はエンジンブロックの黄色矢印の所2カ所をラダーが干渉しなくなるまでグラインダーで削除が必要です。だいたい高さ8mmで角度60度ぐらいを取り除きますが、逃がしなので精度は不要です。エンジンの開放面で有りエンジン側強度には全く影響は有りません。又フロントカバーの内側ですのでオイル漏れにも全く影響は有りません。(中央部のクランクウェイト部の黄色部は関係ありません。)
1セット構成、および2セット構成で一番前側のクランクキャップにラダーを取り付けないならこの加工は必要ありません。
画像にオイルストレーナーの取り付け面が見えていますが私のS30Z用は後ろ溜まりで、ストレーナーは干渉なく取り付けできています。ハコスカなどの前溜まりでも幾何学的位置は同じなので問題ないと思いますが、場合によっては少しは逃がし加工が出るかもしれません。
補強ステー付など純正とは異なるストレーナーの場合は追逃がし加工が必要になる場合がございます。
一番シンプルなクランクラダー1セット構成
これでクラッチの押し込みスラストやクランク全体のスラスト位置決めをしている4番キャップを補強できます。
クランクラダー2セット構成はこれに追加して5番6番キャップにラダーを橋渡しします。リーズナブルなセットとなります。
クランクラダー3セット構成の完全構成
これですべてのクランクキャップが強固に補強された状態になります。一番リヤ側のクランクキャップはフライホイールのすぐ隣なので負荷が大きいと思われますが、ここにははラダーの取り付けはしない構成ですが、5番6番のクランクキャップをがっちり補強することで7番キャップの補強に繋がると思います。
まさかこんな構成でやる人はいないと思いますが、すべてのキャップが連結しているという意味では面白い方法かもしれません。両脇が片掛かりとなるところがちょっと気になりますがそれ以外のところは良いバランスです。
取り付けやセットアップや問題が出た場合など、できる限りサポートいたしますのでチャレンジしていただければと思います。私はすでにL3.1フルチューンに組み込んで富士スピードウェイにてテストし続けております。
富士スピードウェイでのテスト経過はこちら
パンフレット
ご購入の場合は販売のページ こちら からどうぞ、
クランクラダーの取り付け その2 へ続く