２０２３年６月２４日
魔界エンジン ＭＥー６ 製作開始
静岡県内の方から魔界エンジンの製作依頼がございまして、開始いたしました。 画像は今まで使っていたエンジンを支給されたもので、ある程度はチューニングされているが調子が良くないとのことで、不具合箇所は修理してほしいという要望です。
シリンダーのウォータージャケットは錆は有りますがそれほど深くない錆でまだまだ使える状態だと思います。
オイルストレーナー
ここも液体パッキン厚盛りでオイル通路に動脈硬化のようにへばりついています。
クランクキャップを取り外しました。
クランクは状態がよろしいようです。
メタルは純正の様です。
スラスト方向の摩耗もチェックしてみたのですがそれほどひどくは無いようです。また後で正確に測定します。
ピストンを外しました。
コンロッドはＬ２０用ノーマル１３３ｍｍだと思います。
ピストンなんですがピンハイトは３５．５ｍｍピン長さ６５ｍｍなのですが、ピストンリング厚は１．２ｍｍ
予測ですが鋳造レーシングピストンでピンハイトは通常は２９ｍｍですが、Ｌ２０コンロッドを使うために３５．５ｍｍとしたものではないかと思います。
ピストンを分解して重さを測定
ピストンリングを含んで４００ｇ
ピストン径は８８．９３
シリンダー径が８９．０１
なのでクリアランスは０．０８と少し広くなっているかなというところです。
オーナー様がフルカウンター・軽量コンロッド・ピストンキットをご選択されたので、入荷まで３か月ほど納期がかかりそうなのですが、それまでの間に少しずつできるところを進めていきます。
現状調査です。
オイルパンを再び外しています。これからすべてのパーツを外してチューニングに備えます。
オイルパン
前溜まりタイプです。
この部分に一か所傷が有ります。（私がやったところではないので念のため）まだ補修できそうな範囲内ではあると思います。
前溜まり形式なので後ろ側のオイルストレーナー取り付け穴はこのように塞いであるのは良いのですが、その材質がアルミで厚みも３mmくらいしかありません。それでパッキンを使わないで液体パッキンで固めてありましたが、少し心配です。アルミの材質にもよりますがすぐに曲がりが出てしまいます。強く締めこめば締めこむほど中央部は盛り上がることでしょう。ここは５mmくらいの鉄材で作り直して、オイルストレーナーの紙パッキン一枚余分に買ってそれでシールすることにします。ここからエアー吸ったらフルチューンエンジンは破壊することでしょう。
今までついていたＬ２８クランク 傷が多いです。
ここが４番中央のクランク
同じく傷が多いです。
ここにはスラスト方向の受け面（クラッチを踏んだ時に発生するスラスト力）を受ける面がありますが、目視で０．０５ほど摩耗して段付きが有ります。ここが摩耗するとコンロッドが軸方向に動くようになり、コンロッドが極端に言えば斜めになるのでピストンの下降力に負けて座屈し最後にはエンジンが破壊します。段付き無いに越したことは無いですが、０．３mm以上段付きが有ったらもうダメレベルです。
クランクメタル
もうアルミ色の表面が剥げかけています。
こちらはクランクキャップ側
裏返すと右から３番目だけ２という鋳物出し文字が見えます。私はこれは初めて見ました。確か比較的新しいL型で見かけたような・・・・
メタルもおかしなことになっています。
殆んどはこのコクインのメタルです。
私はこの刻印メタルは使ったことは有りません。
内２セットだけはこのコクイン
Ｆ７７０は純正メタル刻印と思います。
腰下加工している最中にまじまじとシリンダーを見ているととんでもないものを発見した。エンジン外観が非常にきれいなのでぱっと見シリンダーは良さそうだと思って今まではあまり良く見てこなかった。これは３番シリンダーだが、６本中４本に同じような物が有る。
これでこのエンジンはシリンダーボーリング確定で、ピストンも新調確定です。シリンダーが何とか使えれば腰上だけのチューニングで何とかなったのですがシリンダーがこの状態ではフルチューニング必須となりました。
