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ミッションオーバーホール

その11~

・その12~

その15~

 


2025年7月6日

ハコスカGTR 71A 3分割 オーバーホール

ハコスカGTRの71A3分割ミッションのオーバーホールを依頼されました。

外観はかなりきれいです。各部もしっかりしているように見えます。

どんどん分解してまずはどこを直す必要が有るか調査する現状把握を行います。

リヤエクステンションを取り外しましたが、この時点ですでにかなり異常な点に気が付きます。

ギヤ部を取り出しました。

この状態で見て2速のポルシェシンクロは完全にダメであるように見えます。シフトフォークは健全です。

メインインプットのこのオイルシールが当たってくる部分ですがすでにかなり深く摩耗痕ができていますが、これは丸ごと交換するしか手立てがないので、今回はこのまま行くしかなさそうです。シール位置を少し工夫してみるしかないでしょう。

メインシャフトのM38ナットは緩んでいませんでした。ダブルナットでタガネ攻撃は無しで、回り止めワッシャーでカシメてあります。

しかし5速メインギヤのこの部分を見ると、明らかにM38ナットが一度緩んだ履歴があることがわかります。シンクロ舳先の裏側歯ギタギタですがここは再利用することになります。

おそらく前の前の段階でこのM38ナット緩みが起こって一度オーバーホールして現在に至るという事だと思います。

メインギヤの先ほどのカジリの相手はこのカウンター5速であることがわかります。テカテカに光っています。

この様にしてみるとどうしてこうなるかがわかると思います。右側のM38ナットが緩んで後ろに下がることにより右側のカウンタギヤ側面にメイン5速のシンクロ舳先が干渉するようになります。このM38ナット緩みがどんどん進んでゆくとしまいには5速メインギヤはシンクロ舳先だけ残して勘合スプラインから抜けてしまいます。そうなると5速が空回りしてギヤ抜けしたようになります。そこまで行かなくてもあちこち無理がきて壊れてしまいます。そのようになっている例をたくさん見てきました。それほど71Aのこの部分は弱点なのです。

5速の裏側もこんな感じでこすれた跡が出ています。

しかしギヤ欠けしなかっただけラッキーでした。

上側が1速ですが、やはりシンクロCリングはダメの様です。

2速もシンクロCリングもダメです。

3速ですが少しシンクロCリングの摩耗が出ていますがこれくらいなら裏返しで何とかなると思います。しかし、このシンクロCリングはあまり品質が良くなく表面がざらざらしています。どうもシンクロCリングのつくり方なのか同じ部品なのですが2種類あるようです。もちろん表面にきれいに摩擦材が付いているタイプがベターです。

4速メインインプットです。

このシンクロCリングは変形が出ているだけなので裏返しで良くなると思います。

 

以上の現状調査から見ると

・シンクロCリングは1速と2速は交換が必要

・5速裏ニードルベアリングの対策が必要(71Aはこれはもうマストアイテムといえると思います)

・後は通常のベアリングやニードル全とっかえとオイルシール・オーリング・パッキン全交換での

オーバーホールとなります。