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2026年4月20日
R192デフ オーバーホールR53
このケンメリGTR仕様用のデフのオーバーホールを依頼されました。この方は実はもう一台ケンメリをお持ちという事で今回これとは別にもう一台R192オーバーホールを同時に依頼されました。
アルフィンデフカバーが付いていて、中にはLSDも入っているとのことですが、今回はオーバーホールとともにLSDも4ピニオンに交換してスポーティー仕様に変更して欲しいというご依頼です。
アルフィンデフカバーは当時物だと思いますので貴重です。取扱注意。
デフカバーをはぐりました。
バックラッシュは
0.03~0.09とばらつきが大きく、バックラッシュ値もすごく狭い値になっています。通常は0.10~0.18なので0.13くらいになることが多いです。今までの経過の中でバックラッシュが詰まる側に変化しているのだと思います。
刃当たりはまあまあですが少しヒールよりですので調整が必要な状態です。
特に逆転側はすごくヒールよりですので、エンジンブレーキの時にかなり音が出ていた可能性があります。
サイドフランジを外すと片側でこれだけの枚数6枚のシムが使われていました。これは少し異常だと思います。
R192のこのシムは純正はすでに製造廃止で出てきませんので手持ちのシムを集めてこのようになっているんでしょうが、私はこのシムについては復刻して在庫しています。(ヤフオクでも売っています)
このシムはあまり薄いものを積み重ねるとどうしても精度が悪くなってくると思います(隙間にいろんなものが入り込む)ので板厚はまとめて行ってシムは片側2枚づつでセットするのが理想だと思います。
LSDですがここから見ると2ピニオンであることがわかります。
今までついていた純正2ピニオンR192のLSDイニシャルを測ると2Kgという所でほぼ効いていないという事になります。
ギヤ比は4.444です。
ピニオン側でも刃当たりは歯先当たりであるように見えます。
ピニオン側の調整シム類もかなり変形が大きいです。
ピニオン側のパーツ類です。
ピニオンセンタベアリングはやはり消耗が激しいです。実はこのベアリングは製造廃止は当然のことですが代替品を探そうとしても出てきません。私は何とかこのベアリングを在庫確保してまだ持っていますが、残り少なくはなってきています。
ピニオンリヤベアリング
こちらはまだ入手が可能です。現状はかなりひどい消耗となっています。このようにボツボツとした点の様なものが出てきているのは相当ひどく消耗している場合です。
リングギヤについてさらに見てみると画像の様に歯面の噛みあった跡が変な形になっています。青矢印で示した一番重要な部分に全くすべり跡が見られません。これでは歯面の周囲のみに荷重がかかってしまうので歯欠けが起こる原因となります。状況としてはすごくマズイと思います。
ピニオン側について見ると同じく当たりがひどくおかしいです。これから見るとピニオンをリングギヤに対して押し込みすぎた状況だと思います。
ここまでひどい編摩耗は私は見たことが有りません。
このギヤを使うのはかなり冒険です。
これはこれから使おうとしているR192 4ピニオンLSDです。新品です。
このカム角度効きそうですね、ニスモと同じくらいの角度です。
イニシャル測定です。
片手でカメラ持ちながら計るので大変で、少なくとも18Kgは行ってます。両手でゆっくりやると20kgに届きそうです。ものすごくイニシャルが高いという事になりますが(通常は5Kg~13Kgです)どうしましょうか?中身はおそらく片側6枚プレートに変更されていると思いますので競技用としては素晴らしいLSD仕様ですが、一般走行ではかなりバキバキ音が出ることでしょう。
最初のR192 Aがギヤがあまり芳しくないという事で、もう1台お預かりしているR192 Bを調べてみることになりました。
これから分解して行きます。
デフカバーを外しましたが内部はオイル汚れが激しいようです。オイル交換があまり実施されていないデフだったようでオイルが焦げて黒い墨のようになっています。LSDはR192の純正2ピニオンが付いています。LSDのイニシャルは2.8kgでした。
バックラッシュは0.18~0.20と過大になっていますが、長らくメンテナンスしてなかったためと思います。
画像の様に正転側の刃当たりはど真ん中で良い状態だと思います。
逆転側はど真ん中です。刃当たりに関してはかなり良い感じです。
リングギャの歯面についてはこのようにところどころ錆の様なクレーターが見られますが歯面のすべり跡は良い感じです。
ピニオンの歯面はすごくきれいな状態です。
R192のBの方がリングギヤ・ピニオンギヤこのセットで使った方が良い結果になると思います。
オーナー様とご相談して最初のR192Aのギヤはやめにして新たに取り出したR192Bのギヤを使って
R192Aのケースに組んで仕上げるということになりました。
まずはピニオンを取り付け、ピニオンプリロードを探りながらシム調整してゆきます。
LSDは御支給されたR192 4ピニオン たぶん6枚構成に改造、イニシャル18kgにBから取り出したリングギヤを組付けています。
リングギヤアッシーをケースの中に入れ込んでゆきます。
刃当たりは何度かやりなおしてここまで調整しました。
逆転側も良い状態です。
今回のセットアップデーターは
ピニオンプリロード 30Kgでナット締めて10.5kg
サイドプリロード 5.8kg
この状態でのバックラッシュ 0.10~0.14
となっています。
組み立てが完了して回転試験に入ったのですが、回転状態はすごくよかったのですが別の問題が・・・・
エアブリーザーからオイルが吹き上がってしまいます。どうもブリーザ―(純正かな?)の構造形状が悪いようでリングギヤで搔きあげられたオイルがこの部分に滞留して押し上げられて漏れてくるのか、または膨張した内部の空気で吹きだしているのか、あるいはその両方なのか。回転試験としては1000rpmくらいの回転ですのでそれほど高回転でもありません。オイル量も適正です。取り付け姿勢は実車とは少し異なるかもしれませんんがそれほど差はないと思います。どうしたもんでしょう?
他のアルフィンデフカバーではエアブリーザーのところに防護カバーが付いているものもあります。
エアブリーザーも純正R192のエアブリーザーは10cmぐらいある長いものだったような気がします。
このエアブリーザーからのオイル吹き上げはオーナー様も承知していたようでご自身で対策をされるという事で、このR192についてはオーバーホール完了という事になります。